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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園

136件の記事があります。

2018年04月27日【瀬戸内海国立公園の春】大島自然研究路(正味名駒線道路)

瀬戸内海国立公園 福田学

今回はしまなみ海道の春を感じるおすすめコースとして、しまなみ海道の大島南西端に位置する大島自然研究路(正味名駒線道路)を紹介します。

瀬戸内海の春の風物詩に島四国があります。小さな島に四国遍路をギュッとつめこんだもので、瀬戸内海の多くの島々で行われています。中でも大島の島四国は歴史が深く有名です。

大島の島四国は4月第3土曜から三日間(平成30年度は終わりました)行われ、この期間は庵にお堂守が常駐しており多くのお遍路さんで賑わいます。

お堂守が納経捺印やお接待をしてくれます。

雰囲気のある細い路地が大島自然研究路の入口です。

島四国の最終日。多くのお遍路さんに出会う。たくさんの地元中学生たちも歩いていました。

このルートは島四国のハイライトともいえる37番示現庵から38番仏浄庵を経て39番宥信庵へと向かう道で、かつては断崖に阻まれ特に険しい道でしたが、昭和47年に大島自然研究路(正味名駒線道路)として整備され身近に楽しめるハイキングコースになりました。

38番札所仏浄庵

四国遍路足摺岬にある金剛福寺にならったお堂です。島の南西端に位置し、方角や立地条件まで似せてあります。

ちょっと寄り道。

38番札所の崖下の海辺に石仏がたっています。海上安全と溺死者慰霊の像として来島海峡を見守っています。少し道が悪いので気を付けましょう。

遍路道からは来島海峡の絶景や険しい断崖絶壁、山肌を彩る花などを楽しめます。

対岸は今治で空気の澄んでいる日には高輪山系から石鎚山系まで見渡せす。来島海峡は激しい潮流の航路ですが、多くの船舶が行き来します。

黒雲母を多く含む、黒っぽい閃雲花崗岩の露頭  

左隅のお遍路さんを見るとスケール感がわきます。 

今年は季節のうつろいが早く、コバノミツバツツジは花を終えていましたがコバノガズミ、ヤマツツジ、ウバメガシ、マツ、イワガサが花をつけていました。

コバノガズミ          ヤマツツジ           ウバメガシ

 

マツ              イワガサ            コツクバネウツギ

風景や植物を楽しみながら進むと眼下に美しい白砂の千年松海水浴場が見えてくるとまもなくゴールの吉海町名駒です。

名駒では干したひじきを収穫する作業が行われていました。

今回は穏やかな自然と文化が混然一体となった春の島旅でしたが、季節を問わず楽しめるルートです。ぜひご利用ください。

今治市へのアクセスはこちら今治市観光協会

http://www.oideya.gr.jp/accessibility/area.htm

【アクセス】◎自転車 ○バイク・自動車 △徒歩・バス・船

【ルート】39番札所 宥信庵ー大島自然研究路ー38番札所 仏浄庵ー千年松海水浴場

距離:約2㎞ 所要時間:1時間(片道)

ルートの注意点

・険しい断崖に通された道なので、落石などの危険が伴います。大雨や風が強く吹く日、またその直後は危険ですので利用しないようにしましょう。

・登山道に準ずるルートです。登山装備などでご利用ください。

おすすめは環境にやさしい自転車です。レンタサイクルやインフラも充実しています。サイクリングターミナルを利用して自由自在に移動しましょう!

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2018年03月29日瀬戸内海国立公園の自然10「厳島」

瀬戸内海国立公園 川原康寛

瀬戸内の風景に春霞がかかり、春の訪れを感じられる季節になってきました。

今回ご紹介する瀬戸内海国立公園の自然は「厳島」です。

地図(GoogleMap)

https://www.google.co.jp/maps/place/%E5%8E%B3%E5%B3%B6/@34.2642371,132.2305882,12z/data=!4m5!3m4!1s0x355ab6cf888dc919:0xc91f62ebee004301!8m2!3d34.2796599!4d132.3114041

厳島(通称「宮島」)は、松島(宮城県)や天橋立(京都府)と並ぶ日本三景のひとつとして知られており、1996年には厳島神社と弥山原始林がユネスコの世界遺産にも登録されています。

海上の大鳥居や、白砂青松の浜辺、古来より残されてきた山麓といった、瀬戸内海に浮かぶ島の中でも特徴的な島です。

厳島は、島の形が「観音様の寝姿」や「女神様の横たわっている姿」に見えることから、島全体が信仰の対象として、自然のまま残されてきました。そのため、厳島では独特な生物相が形成されています。

・瀬戸内海国立公園の自然1「厳島 弥山のタゴガエル」

 http://chushikoku.env.go.jp/blog/2017/05/1-2.html

・瀬戸内海国立公園の自然3「厳島 ルイスハンミョウ」

 http://chushikoku.env.go.jp/blog/2017/06/3-2.html

・「ミヤジマトンボ・エコ観察会」を開催しました

 http://chushikoku.env.go.jp/blog/2017/08/post-230.html

特に秋の厳島の自然は人気で、紅葉を楽しもうと多く方が来島します。

紅葉以外にも、山の花々、海の小さな生き物、弥山山頂からの多島海景観といった様々な楽しみ方があります。

厳島の自然は、ただ手付かずで残されてきた訳ではなく、地域の方々の多大な努力で大切に維持されてきました。環境省は、地元有志の「宮島地区パークボランティアの会」と共に、この厳島の自然を後世に残していこうと様々な活動を行っています。

(宮島地区パークボランティアの会 http://chushikoku.env.go.jp/nature/mat/m_4_1/index.html)

その活動の中で、例年、観察会を開催していますので、厳島の自然をもっと楽しみたい、厳島の事をもっと知りたいという方は、ぜひ参加してみてください。

今回で「瀬戸内海国立公園の自然」シリーズが第10回を迎えました。1年にわたって瀬戸内海国立公園の自然を紹介させていただきました。瀬戸内海の自然に、興味を持ってくださる方が少しでも増えてくれることを願うばかりです。

私(川原)は、この春をもって広島を離れることになりましたので、今回が最後の日記になります。長らくご高覧いただきまして、ありがとうございました。

瀬戸内海国立公園の魅力はまだまだたくさんありますので、ぜひ皆さんも探してみてください!

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2018年03月06日第28回瀬戸内エコツアーを開催しました。

瀬戸内海国立公園 川原康寛

春霞のただよう季節になってきた3月の始め、28回目となる「瀬戸内エコツアー」を実施しました。

今回のエコツアーは、ふだん本州側から見ている瀬戸内海を見てみようと、愛媛県今治市大三島の安神山に登りました。

早朝、広島県竹原市の忠海港からフェリーに乗り込み、大三島盛港を目指します。

大三島到着後、講師の方々と合流し、開会式を行いました。

前日まで、開催日の天気は雨予報だったのですが、当日は見事に晴れてくれました。

まずは大三島の中心にある大山神神社で、過去から脈々と受け継がれてきた自然と文化の調和を体感しました。

この神社のクスノキ群は国の天然記念物にも指定されており、樹齢3000年とも言われているそうです。あまりの大きさと偉大な姿に、参加者の皆さんは圧倒されていました。

大山神神社を参拝した後は、いよいよ安神山に登ります。


安神山山頂までの道のりは、なかなか急な勾配で、参加者の方々も少々バテ気味な様子・・・。

しかしながら、要所で先生方から大三島の植物や瀬戸内海の興味深いお話を聞かせて頂き、疲れなど忘れて皆さん興味津々でした。

また、安神山山頂から見える景色も、我々を癒やしてくれました。

左写真は、1月の下見時のものなので、まだ冬の名残を感じられます。

当日(右の写真)は春霞がかかって、春らしい景色です。

先生方のお話を聞いていると、春の陽気に誘われて、冬眠から覚めたヒオドシチョウがひらひらと飛んでゆきます。

安神山山頂に登った後は、鷲ヶ頭山までの尾根筋を通り、様々な角度から瀬戸内海の景色を楽しみました。

一通り登り切った後は、下山して入日の滝を目指します。

下山すると、「大三島の自然を守る会」の方々にお茶とミカン、大三島まんじゅうをご馳走になりました。

瀬戸内の温暖な気候の中で育ったミカンの味は格別で、写真を撮る間もなく食べ尽くされてしまいました・・・。

ツアーの締めは「入日の滝」。

瀬戸内海の島という限られた自然の中で、森が機能し清らかな水が湧き出ている様子に、瀬戸内海が育む自然について新たな一面を見いだすことが出来ました。

瀬戸内海国立公園は11府県にまたがり、海域まで含めると90haを超える日本で一番広い国立公園です。その中にはたくさんの島々があり、段々畑や潮待ちの港など自然と人々の生活が調和した独特な文化が受け継がれてきました。これらの文化は島々の間でも少しずつ違っていて、今回のエコツアーでは大三島の自然や文化を知ると同時に、それぞれの故郷の自然と文化を見直す良いきっかけになったのではないかと思います。

皆さんお疲れ様でした!

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2017年12月28日【体験教室】 ミニ門松づくり

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

今年最後の体験教室は、新年を迎えるための必須アイテム・門松づくり。

五色台体験教室では、マンションなどスペースに限りのある場所でも飾れるミニ版を作りました。

お正月飾りといえば、「門松」「しめ飾り」「鏡餅」がありますが、その中でも門松にはとっても大切な役割があるんです。お正月は、その年の家族の健康やお店の商売がうまくいくことを約束してくれる神さま・歳神さまが地上に降りてくる時期。その歳神さまの依り代(神様が宿る物)が門松なのです。

ちょっとした豆知識を入れることで、なぜ門松なのか、日本の伝統行事の由縁を知ってもらえれば。

作業の前に少し難しいノコギリの使い方をデモンストレーション。

ちょっとしたコツで切り口が斜めになることなく、また安全に作業ができる大事なこと。

・ノコギリなど刃物作業時は軍手を着用すること。

・使わない時はケースに仕舞うこと。

・作業している人の周りでは走らない、長い竹があるので周りをよく見て動くこと。

まずは土台になる竹と立てらせる3本竹×2を分かれて作業開始。

手順とおりに測って、印し付けて、みんなで協力してパーツを切り出します。

こちらは土台の竹。直径10㎝ほどあるので、ノコ刃を入れるのも大変(>_<。)

こちらは立てらせる竹の切り出し。

斜めに切るのが難しいですが、斜めに刃が入る治具(じぐ)を使って、しっかり手前に押さえて、ゆっくり刃を動かせば大丈夫。

ある程度竹が切れたら治具から外した方が伐りやすいです。

両方の竹が伐れたら、洗って拭いてきれいにしましょう。

立てる竹は、見えない下の方を輪ゴムで仮留め、真ん中はシュロ縄を使って、とっくり結びでしっかりと結びましょう。

アカマツとクロマツ、ナンテン、紅梅、白梅を使って、いよいよ仕上げの飾りつけ。

土台の竹に結んだ竹を入れて、間に水を吸い込ませるオアシスを詰めます。

飾りは、向かって右がアカマツ、紅梅、左がクロマツと白梅を飾ります。アカマツ&紅梅=女性、クロマツ&白梅で男性という色のイメージとおひな様と同じ向きで、と覚えておくといいですね。

そして、そして・・・。

完成です!みんな見事な門松が仕上がり、これで無事お正月を迎えられそうです。

門松は12月13日~1月7日まで飾るのですが、12月29日と31日に飾り始めるのは避けましょう。

29=「二重苦」、9が末につくので「苦末」=「苦松」となり、また31日だとお正月まであと1日しかなく、「一夜飾り」「一日飾り」と歳神様を迎えるのにバタバタとしてよくないそうです。

昔に比べ、あまり見かけなくなった正月飾りですが、今一度飾る意味を知って、おうちで日本らしいお正月を迎えてみてはいかがでしょうか。

門松づくりの作り方

来年、皆さまにとってステキでいい1年になりますように。

それではよいお年を☆

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2017年12月08日【紅葉情報】 屋島

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

暦は大雪を過ぎ、各地の平野部でも最低気温が零下となる所もあり、本格的に冬が到来しました。

温暖と言われる瀬戸内(実際は東日本の方が想像するよりかなり寒いです・・・)でも、早くも山間部に近い所ではみぞれ~初雪があったほど。

そんな冬の到来にもかかわらず、まだ紅葉が見られる瀬戸内の平野部。

今回は屋島の紅葉をご紹介します。

今年の紅葉は全体的にモミジの赤は色移りがあまりキレイにならず、代わりに黄~茶系に移り変わる広葉樹、ハゼの真っ赤な色がとても美しい秋だなぁと感じます。

屋島を散策すると、ウバメガシを中心とした常緑樹が目立ち、「紅葉って少ないんじゃ?」と思われる方のいるかもしれません。

屋島の紅葉を見るには、展望地からが1番オススメ!

その理由が・・・。

<遊鶴亭(ゆうかくてい)からの眺め>

平坦な山頂エリアには多い常緑樹ですが、裾野はハゼやサクラ、コナラなど落葉広葉樹が多く、今、1番の色づきを魅せています。

先日までの強風はどこへやら。この日は風なしで海はベタ凪ぎ、日差しも強く、海の青と斜面の紅黄葉が映える日でした。

<魚見台東壁からの眺め>

屋島の東・源平屋島合戦の古戦場でもある檀ノ浦も紅黄葉がキレイに色づいています。

写真では少し分かりづらいですが、対岸の庵治半島~五剣山エリアの紅葉もここからは見られます。

<北嶺・千間広場>

北嶺・千間広場のモミジもすっかり枯れ落ち、少し寂しい雰囲気になりましたが、もう少しするとツバキの花がお目見えします。

空気はひんやり冷たいですが、ポカポカ陽気でそこまで寒さは気になりません。温かい飲み物と膝掛けなどを持って、ここでまったり本を読んだりするのもいいかも。

北嶺~南嶺を繋ぐ遊歩道の間には、ウバメガシのトンネル。

冬は防風林として、夏は日陰を与えてくれます。

この展望が開ける・閉じるのメリハリがあるからこそ、展望地からの開けた瀬戸内の風景がより映えるのかもしれません。

冬こそ低山・里山歩きがオススメなのは、気温が平野部と大きく変わらないため歩くことを始めたばかりの人でも装備や天気を読みやすい、落葉して光が入りやすくなり林野が明るくなること、それと蚊がいない!

左<仙遊橋東展望地>         右<桃太郎茶屋前展望地>

<展望地・獅子の霊巌からの眺め>

裾野~北嶺斜面には紅葉が眺められ、16:00近くになると少し赤焼けた空色の風景が眺められます。

紅葉はそろそろ終わりを迎えますが、入れ替わりで始まるのがサザンカ。南嶺には遊歩道沿いにサザンカが咲いており、そろそろ見頃ピークになります。薄ピンクや濃いピンク、白など色とりどりに加え八重咲きなどバリエーションも豊か。

冬は寒いですが、夏と違い、乾燥して空気が冴えているので遠くまでしっかりと眺められ、また赤く染まる夕景もオススメです。

今夏から、麓から屋島山上駐車場までの有料道路が廃止され、山上駐車場料金のみと以前よりお安く自家用車で来ることができるようになりましたので、久しぶりに行ってみようかなという地元の方もぜひ足を運んでみては。

■■コースタイム■■

南嶺周遊・・・約1時間(水族館に行くなら+1時間)

時間がある人は北嶺まで足を伸ばして・・・山上駐車場から千間広場まで約1.3㎞(徒歩30分)

                   千間広場から遊鶴亭展望地まで約1.0㎞(徒歩20分)

ガイドマップ「屋島の自然」

屋島ナビ

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2017年12月05日【体験教室】 サザンカの花びら染め

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

すっかり朝晩は冬の寒さになりましたね。

初冬の紅葉が終わる頃に咲き始めるのが、鮮やかなピンクをしたサザンカ。

11月の体験教室は、サザンカの花びらを使った染め物づくり。

今回の講師は、10月の「段ボール製オーブンでピザづくり」に続いて、角田眞理子さん(あそ美工房)。

葉や実を煮出して染液を作る草木染めはほぼ1日作業ですが、花びら染めは材料さえ集めることができれば短時間でできる染め物です。

さて、材料のサザンカによく似た花・ツバキがありますが、皆さん、違いが分かりますか?

クラフトハウス周辺に咲くサザンカを見て、まだ花が付いていませんがツバキと見比べてみましょう。

■ツバキ               ■サザンカ

花が丸ごと落ちる          花びらがバラバラになって落ちる

12月中旬~3月頃に開花        11~12月頃に開花   

<さぁ、どっちか分かるかな?>  →正解は右の写真!

サザンカの実物を見た後は、模様付けのレクチャー。

染める物はガーゼやシルク素材のショールやバンダナ。染液によっては、染まりやすい・染まりにくい素材などあるので、各自のお好みで購入しました。

<みんないろんな素材・ディテールに迷います(^^;; >

<どこにどう模様を付けようかなぁ>

模様付けに使う道具は、ビー玉やビーズ、短くした割り箸、輪ゴム、ヒモなど身近なものばかり。

「模様が付く=色素が入らない」なので、ヒモやゴムを縛る時はギュッとしっかり結ばないと色素が入ってしまい、模様が上手く付きません。

結び目は濡れるとほどきづらいため、結び目に短くした割り箸を入れてまたギュッと縛るとほどきやすくなりますよ。

たくさん模様を付けても楽しいし、シンプルに1色、絞り染めのようにギュッと1本縛っただけなどさまざま。

模様付けができたら、染液がよーく染み込むようにショールを揉む込みながら水に浸します。

そして、染液づくりにチャレンジ!

サザンカの花びらは当日採取しただけでは到底足りないので、予めスタッフが前年に採取して冷凍保存しておいたものを使います。

冷凍保存する時は、メシベやオシベ、ガクは取り除いた花びらだけにして密閉できるビニール袋などに入れるだけ。多少ギュッと押さえてもOKだそうです。

目の細かいネットに入れた花びらをボウルに入れ、そこに40℃くらいのぬるま湯と酢を1:1の割合でヒタヒタになる程度に入れて、花びらを揉み込みます。

右写真はオプションのフリージア&マリーゴールドで作る黄色の染液。

ぬるま湯と酢の割合は同じです。

どんどん揉み込んでいくと・・・

<こんなにふわっふわの泡に!>

サザンカの染液はこの泡が大事!フリージア&マリーゴールドは泡がほとんど出ません。不思議・・・。

理由はよく分からないそうなのですが、サザンカはこの泡が出れば出るほど染まる力が強いのだとか。

染液の染まる力が均等になるように、それぞれで作った染液を花びらをこしながらミックスします。

いよいよ染める時!

まずはシルクを一斉に入れてから、3秒後にガーゼ素材を投入。

これはガーゼの方が水を吸い込む力が強く、シルク素材と一緒に入れてしまうと、ガーゼに色を取られてしまうから。また同じ素材でも先に染液に浸けたものと後に浸けたものとでは先に浸けたものが色を吸い込んでしまい、後から浸けたものに色素が残らないため色ムラができてしまうからです。

ゆっくり箸を回しながら待つこと約10分。

皆さん、きれいに染め上がっていました!

染液から取り出したら、ビー玉などを外して水洗いの後、干します。

<このできあがり!いい感じ!>

サザンカのピンクはシルク素材の方がキレイに染まるのでオススメしていたのですが、中には「ガーゼ素材でやってみたい」とチャレンジされた参加者も。右写真の真ん中にあるピンクブラウンがガーゼ素材で染めたサザンカですが、なんとも渋みのあるステキな色合いになりました!

これを見た参加者は、「これ、いい色ねぇ」と絶賛。

最後は振り返りと高松自然保護官から国立公園や五色台の植物についてお話。

染料の植物を採取する時は、土地の持ち主におことわりをしてから採取しましょう。土地所有者が何かに使おうと思っているかもしれませんよ。

草木・花びら染めは、その時の植物のコンディション、水の成分、素材などいろんな条件で染まり具合が変わるので、同じ植物を使っても毎回色合いが違います。自然素材の色合いは化学染料と違って紫外線に弱く、色落ちもしやすいのですが、何度も染め直しができるのが魅力的。

身近にある植物、使う道具や材料も手に入りやすいものばかりの花びら染め。

「この植物は染まるかなぁ」いろいろと気になった植物を試してみてくださいね。

※角田さん曰く、安全を考慮して部分的でも有毒性のあるヒガンバナなどは使わないそうです。

■ツバキも同じように赤~ピンクだけど、染まる?

 ツバキはあまり染まらないよう。

 サザンカの花びら採取は、花が終わりを迎える時、落ちた花びらでも状態がキレイであれば大丈夫です。

■模様付けの注意点

 染液はタンパク質が多く不着している所ほど染液が定着しやすいそう。

 なので、模様付けなど染める前は手を洗い、きれいな状態にしておきましょう。

 また、「今着ている衣類を染めたい!」という方も多いはず。

 洗濯しても汗や皮脂は繊維に定着しているので、その部分だけ強く染まってしまい、あまり格好よくないかも。

過去AR日記もご参考に☆

2016年11月体験教室「サザンカの花びら染め」

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2017年11月24日【鳴門】 森林自然観察会~ドングリ拾い編~

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

毎年11月中旬に自然公園財団鳴門支部主催で実施している桑島小学校3年生によるドングリ拾いと自然観察会。

これは松枯れや自然災害などで荒廃した森林植生の回復や老朽施設跡地の早期緑化を目的として、地元小学生が鳴門山で拾ったドングリを苗木に育て、6年生の卒業間近に鳴門山を再び訪れて植樹する活動。

今年で22年目を迎える今回も元気な桑島小学校3年生25名がやってきました!

講師は木下さん(徳島県植物研究会会長)と市原さん(自然観察指導員・佐那河内いきものふれあいの里)、そして今回は自然公園財団鳴門支部・井上所長からもいろいろ教えてもらえるようです。

身支度を済ませたら、鳴門山へLet's go

鳴門山中腹にある展望地までの道すがらにもドングリがたくさん。

今年は当たり年のようで、いっくらでも拾えちゃうくらい!ただ、落ち葉の中に紛れてドングリがあるので、目が慣れないうちは「どこどこ?」と悪戦苦闘気味。同伴した保護者の手助けもあり、徐々に目が慣れてくると・・・。

<一気にドングリ拾いモードに!>

歩道だと先に歩いた子が採ってしまいますが、展望地まで行けば、もう取り放題です!ここでは子供だけでなく、保護者や先生、同伴した大人も一緒になって拾います。といいつつ、私も(笑)

ドングリをひとしきり拾った後は、ドングリを苗木に育てるために必要なお勉強。

植える時はどっちを上にする?芽はどっちから出る?

ドングリって食べられるの?など木下先生からの質問にも子供達はしっかりと聞き、ドングリ試食にもチャレンジ。

<どっちが上にするといい?>  <ドングリを食べて・・・まずっ!!>

右写真を見ると、ドングリの味がどんなだったか分かると思います(笑)

中には「味がしない」「意外とイケる?」など感想はさまざまなよう。

ドングリ拾いの最中には、昆虫や気になったものを捕まえた子も。

そんな時は市原先生の出番です!今の時期、昆虫が少ないのですが、ジョロウグモやミミズ、既にお亡くなりになったカマキリなどを観察してもらいながら、昆虫の脚の数やどんな生き物がいるかなど教えてもらいました。

また井上所長からは、鳴門山にもいるマムシの特徴や気をつけて欲しいこと、夏に見つけやすいセミの成虫と抜け殻を写真を使って教えてもらいました。児童の中には、セミと抜け殻の種類を当てる子、何でも昆虫を触れる子などもおり、将来が楽しみ。

左<市原先生から「この昆虫の脚の数は?」と聞かれ・・・・>

右<井上所長からは「マムシはこんな模様で・・・」「クズの豆やヤブツバキの実はこれ」とレクチャー>

 

展望台に上がる前におやつを。

赤い実をいっぱい付けたアキグミを食べてみました。

独特の渋みというか甘み・酸っぱさがあるのですが、子供達には大人気!オレンジっぽいものよりも、かなり赤くなっている実の方が食べやすいですよ。

保護者の中にも子供の時にドングリやアキグミを食べたことがある人がおり、少し懐かしそうに思い出していました。

当日は風が強かったのですが、湿り気がなく、展望台からは淡路島の南端・潮崎方面~小豆島までスッキリとした視界で今までで一番遠くまでハッキリと見渡せました。

保護者の皆さんも「360°眺められて、ここはいいわ~」と絶賛。

もう2週間ほど実施日が早ければ、サシバやハチクマ、ハイタカなど猛禽類の渡りを見られたかもしれません。9月中旬~11月上旬頃には鳴門山展望台と四方見展望地では、野鳥の会会員さんたちが猛禽類の渡りの調査をしています。声をかけると望遠鏡を覘かせてくれるかもしれませんよ。

展望台を後にして、歩道を歩きながらもいろいろ観察。

タンスの匂い(今は違うか)ショウノウの香りのクスノキやヤツデ、花を咲かせたツワブキやコウヤボウキ、3年ほど前から6年生が植樹を始めた老朽施設跡地では小さなゴキブリを見つけたり。

今年の3年生はとっても好奇心旺盛でいろんなものに興味を示してくれました。

クワガタムシが好きで「幼虫を見つけたい!」と言っていた子、ドングリをどんどん食べる子(アクが強いのでたくさんは厳禁!)、昆虫が触れなくても見たい子など、さまざまでした。

持って帰ったドングリはしっかりと大切に育てて、6年生になったらまた植樹に来てくれるのを楽しみにしています。

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2017年11月20日【紅葉情報】 寒霞渓

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

香川県屈指の紅葉の名所といえば、小豆島の寒霞渓。

標高600800mの寒霞渓山頂~星ヶ城山付近は紅葉も見頃~終わりを迎えていましたが、紅雲亭~草壁港まではまだ見られそうです。

先週11月16日に巡視した時の寒霞渓の紅葉の様子をお届けします。

8:02に高松港を出航したフェリーには、観光バスや個人旅行者でいっぱい。

高松空港は、上海、台湾、韓国を東アジア主要都市圏だけでなく、アジアの国際ハブ空港でもある香港と就航しているので、ここ2~3年で外国人観光客も増加しました。寒霞渓も外国人観光客に大人気の観光スポットです。

<寒霞渓山頂展望台>

10:00過ぎの山頂には、すでに大型観光バスや地元・観光客で賑わっていました。

イロハモミジはオレンジ~真っ赤に染まり、紅葉を撮影する観光客も多かったです。

この時期は、1年の中でも山頂~紅雲亭(ロープウェ麓駅)の周遊歩道を利用する方が多く、私も山頂~裏神懸歩道~猪谷池~紅雲亭

表神懸歩道~四望頂~山頂を歩きましたが、上り下りともに歩いてたっぷりと寒霞渓を堪能する人、上りはロープウェーに乗って上から景色を眺めて、下りを表神懸歩道から下りてくる人などさまざま。

寒霞渓には、谷間の奇岩怪石が眺められる表12景、裏8景と呼ばれる20の景色があります。

<裏神懸歩道>

左:裏8景のひとつ・松茸岩から眺める東斜面

右:同じく石門

裏神懸歩道は、表神懸歩道に比べ、石段や急傾斜が多いので、歩きやすいスニーカー、できるだけリュックなど手があくようにすることをオススメします。雨上がりの濡れた路面は、表・裏神懸歩道ともに滑りやすいので十分注意しながら、無理せずゆっくりと歩きましょう。

  

  左:小豆島霊場第18番札所でもあり、裏8景のひとつ・石門洞

  ここの紅葉はもう少しで見頃を迎えそうです。

  右:車道から石門洞までの参道兼裏神懸歩道

裏神懸歩道登山口を出て、猪谷池~紅雲亭は車道沿いを歩きながら、西斜面の紅葉が眺められます。

車窓からだと山陰に入って見えなくなるのも早いですが、歩くとその眺めは十分に楽しめます。

紅雲亭から表神懸歩道を上ると見えてきたのは、表12景のひとつ・錦屏風岩。近くに案内板があるのですが、形が変わっていることに気がつきました!

寒霞渓の奇岩怪石は、長年の風雨の浸食によってできたもので、私たちが生きている間にも形がどんどんと変わっているのかもしれません。

表神懸歩道は、コンクリート舗装されているので、比較的歩きやすいですが、上り・下りともに約1~1.5時間ほどかかるので水分や歩きやすい服装・スニーカーなど準備しましょう。

<四望頂>

空・山・海の視界が開け、四方が眺められることから名付けられた展望地。

<鷹取展望地からの眺め>

「歩く時間がないよ~」という方は、山頂駐車場から徒歩5分ほどにある鷹取展望地がオススメです。

寒霞渓には紅葉だけでなく、この時季に花を咲かせる小さな植物もありますよ。

左<集塊岩の上に咲いたツメレンゲ(ベンケイソウ科)>

右<ミセバヤ(ベンケイソウ科)>

ミセバヤは環境省・香川県共にレッドデータブックに掲載されている貴重植物。

山頂は見頃を終えましたが、山麓にかけてはまだきれいな紅葉が見られます。

この週末は小豆島に出かけてみてはいかがでしょう。

小豆島旅ナビ

寒霞渓ロープウェー

■■自然の中でのマナーを守りましょう■■

①キレイな花や見たことのない植物があっても、後から来る人のためにも採らずに見るだけにしましょう。

②ゴミは必ず持ち帰りましょう。また風で飛んだり、荷物からポロッと落ちないように気をつけましょう。

③展望地など柵がある場所では、柵外に出ないでください。そのための柵です。

④撮影する時は場所を譲り合って、気持ちよく☆

 写真を撮りたい気持ちは分かります!ですが、みんなも撮りたいんです!

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2017年11月20日瀬戸内海国立公園の自然9「元宇品」

瀬戸内海国立公園 川原康寛

山の色がすっかり変わって、秋の景色を楽しめるようになってきました。

さて、今回ご紹介する瀬戸内海国立公園の自然は「元宇品」の景色です。

↓地図(GoogleMap

https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%80%92734-0012+%E5%BA%83%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E5%BA%83%E5%B3%B6%E5%B8%82%E5%8D%97%E5%8C%BA%E5%85%83%E5%AE%87%E5%93%81%E7%94%BA/@34.3426123,132.4020355,12z/data=!4m5!3m4!1s0x355aa3c2df61421f:0x68a94c30c895690d!8m2!3d34.3476794!4d132.4617066

元宇品は広島湾にある瀬戸内海国立公園で、かつて瀬戸内海に浮かぶ離れ小島のひとつでしたが、1889年に干拓により陸繋島になりました。そんな元宇品は古くから森が神域としてみられていたことなどから開拓が及ばず、都心近くにもかかわらず豊かな自然が残されています。

元宇品南端付近には駐車場があり、その先には樹齢数百年のクスノキの大樹が植わっています。そしてその隣では、宇品灯台が広島湾を往来する船の安全を守っています。

 

駐車場からは林内遊歩道が延びており、そこではクロキ、モチノキ、ビナンカズラなど季節によって様々な植物たちが美しく色づいています。

もちろん元宇品の自然の魅力は原生林だけでなく、海沿いにも随所に見られます。

元宇品小学校と広島工業高校の生徒達が、かわいい標識を作ってくれています。

海辺に出てみると広く瀬戸内海を望むことができ、都心から近いためか、休日には多くの観光客や釣り人で賑わっています。

また、海岸沿いを歩いていると不思議な地形を見ることができます。

 

節理という溶岩が冷やされる間に規則的な割れ目が生じた岩石や、海水の波によって浸食された海食崖、他にも岩脈や断層も観察することができます。

現在、元宇品は広島本土と陸繋ぎになっていますが、その植生や地形は独特な自然を保っており、いわば都心に浮かぶ陸の孤島とも言えるのではないでしょうか。

気軽にアクセスできる場所ですので、天気の良い日にはちょっとしたお散歩やハイキングに出かけてみてはいかがでしょう。

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2017年11月10日【紅葉情報】 五色台

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

北海道や標高の高い山岳地域では、10月中旬には紅葉の見頃が終わりましたが、瀬戸内ではこれからが紅葉シーズン。

そんな県内各所の紅葉情報をお届けしていきます!

今回は紅葉の名所でもある五色台。

まずは高松方面から五色台へ。

<根香寺手前の県道沿い>

赤くなったハゼはピークですが、モミジはまだまだ緑のまま。

11月下旬には見頃になりそうです。春になると、この辺りはサクラの道になりますよ。

<山門から境内へ>

<本堂前>

<82番札所・根香寺(ねごろじ)>

山門~大師堂までは日陰のせいか、モミジはまだまだ緑。

大師堂~本堂までのモミジは紅葉しているものもあれば、まだ色づき始めたばかりのものなどさまざま。

こちらも見頃のピークを迎えるのはもう少し後のよう。

四国遍路は、大型バスや自家用車で回る人も多いですが、気候のよい秋になると、歩きお遍路さんが増えてきます。

今では遍路道の多くが生活道の再整備によって車道となっていますが、白峯寺~根香寺間の遍路道は、五色台を一直線に抜ける山道。

アップダウンもありますが、昔の人もここを歩いて88ヶ所霊場参りをしていたのかなと感じさせてくれる趣のある道です。

左:<欲しい時にある休憩ベンチ>

右:<国分寺~白峯寺~根香寺との分岐・十九丁>

紅葉する木々は少ないですが、秋のひんやりとした空気と落ち葉で敷き詰められた歩道を歩くのもまた気持ちがいいもの。

五色台のもう一つの紅葉の名所が81番札所・白峯寺(しろみねじ)。

<山門前~根香寺への遍路道>

<本堂・大師堂へ向かう階段>

山門~頓証寺殿付近は真っ赤に色づいたモミジ、咲き始めたツワブキなど鮮やかな秋の風景が見られます。階段~本堂・大師堂付近は色づき始めています。

五色台ドライブの方にはここもオススメです。

<五色台スカイライン>

中山休憩所~大崎ノ鼻方面に進むと、紅葉始めた木々の道の間から瀬戸内海が見えてきます。

ここも春になると桜が咲き、そこから望む瀬戸内海もまた見惚れます。

五色台では11月下旬頃まで徐々に色づき、見頃を迎えます。

ぜひ、お出かけして、秋の風景を楽しんでくださいね!

****紅葉を見に行く方へ*****

・お遍路さんのお参りの邪魔にならないように撮影しましょう。三脚はNG。

・遍路道を歩く時は滑りにくく履き慣れたスニーカー、水分などしっかりと準備を。

・紅葉に見とれるのは仕方がない。けれど、運転中のよそ見は厳禁です!

 ※ロードバイクの方も多いので、運転には気をつけましょう。

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