ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園

136件の記事があります。

2017年11月10日子どもパークレンジャー「仙酔島で自然のお宝さがし ~島のお宝ガイドにチャレンジ~」を開催しました。

瀬戸内海国立公園 川原康寛

辺りが秋色になってゆく10月の中頃、瀬戸内海国立公園仙酔島で子どもパークレンジャー「仙酔島で自然のお宝さがし ~島のお宝ガイドにチャレンジ~」(10月14日~15日)を開催しました。

※子どもパークレンジャー(JPR)・・・自然保護の大切さや自然とのつきあい方、また生き物に対する思いやりの心など、豊かな人間性を育むことを目的として、環境省レンジャー(自然保護官)と一緒に国立公園などにおいて、自然観察や自然環境学習などを小・中学生に体験してもらうプログラムです。(参照:https://www.env.go.jp/kids/gokan/jpr/)

レンジャーは、国立公園の維持管理を行うと同時に、国立公園内の自然の魅力を様々な方法で発信しています。

今回の子どもパークレンジャー事業では子ども達にレンジャーの仕事を体験してもらうべく、子ども達自身が仙酔島の自然を調べ、その魅力を他の来島者に発信できるようになることを目標としました。

【1日目】

まずは仙酔島の対岸にある鞆の浦公民館に集合し、集まった20人の子ども達で任命式やオリエンテーションを行いました。

 

みんなまだ少し緊張している様子・・・。

オリエンテーションでは、子どもパークレンジャーや国立公園の説明、野外での集団行動の心構え等を確認しました。

オリエンテーションが終わったら、いざ仙酔島へ!

最初はみんな緊張していましたが、島に渡る頃にはもうすっかり友達です。

島に渡って、準備ができたら自然観察へ出発!

海沿いを歩き、彦浦海岸を目指します。

途中、講師の佐伯先生から、恐竜がいた白亜紀にできたと言われる仙酔島の岩石群について解説いただき、子ども達は興味深そうに聞いていました。

 

彦浦海岸では、磯の生き物を探しました。

 

 

カニやウニ、貝類や小魚といった様々な生き物が見つかりました。

ふだん何気なく見ている瀬戸内の海にも、たくさんの生き物が暮らしています。

日常生活ではなかなか見ることがない生き物たちに、子ども達も興味津々でした。

仙酔島の自然の魅力は、岩石や磯の生き物だけではありません。

海での観察が終わった後は、山に登ってみます。

 

コシダやネズ(ネズミサシ)、イヌザンショウといった植物も観察しました。

また、赤石展望台からは、瀬戸内海国立公園の特徴である海と人の生活が調和した風景を眺めることができました。

にわか雨が降る冴えない天気だったのですが、雨ならではの自然にも出会いました。

 

 

左上:コフキサルノコシカケ

右上:キツネタケ

左下:ツチグリ

右下:ドクベニタケ

自然観察が終わると、すっかりお腹はペコペコに。夜には、みんなで協力しておいしいカレーを作りました。

カレーでお腹を満たした後は、ウミホタルを観察したり、夜の自然の音に聞き入ったり・・・夜ならではの自然を体験しました。

 

 

関レンジャーが、ウミホタルを捕まえるためのトラップを仕掛けました。

写真は撮れませんでしたが、たくさんのウミホタルが捕れて、青白い光に生き物たちの神秘さを感じました。また、夜の海辺で耳を澄ましてみると、周りが暗く視覚が遮られているためか、波や風の音や山から聞こえてくる虫の鳴き声がいつもよりはっきりと聞こえていました。

瀬戸内海国立公園は、海域まで含めると日本で一番広い国立公園です。

その中にはたくさんの島があって、また島ごとに違う環境がり、そこに暮らしている生き物も様々です。

子どもパークレンジャー1日目は、そんな瀬戸内海国立公園仙酔島の魅力を一挙に体験できた日でした。

1日中歩き回って疲れたのか、10時頃にはみんなぐっすりと就寝しました。

______________

【2日目】

2日目、きちんと寝られたのか、みんな朝から元気いっぱい。

まずは海辺で、「朝の音」に癒やされます。

鳥の鳴く声や船が海上を走る音など、夜とはまた違った音が聞こえました。

朝の音を聞いて心を静めた後は、1日目にみつけた「自然のお宝」をガイドするための準備に取りかかります。みんなで話し合って、発表の内容を考えたり、発表の役割分担をしたりします。

 

2日間の思い出を込めて、みんな真剣に作業しています。

出来上がったらレンジャーの認定をもらって、いざ発表!

天気があまり良くなかったのですが、多くの保護者の方が集まってくださいました。

1日目に体験した自然を、実際に同じルートを歩きながら保護者に紹介します。

 

海岸で見つけた磯の生き物たち、山で見つけた植物・キノコたち、展望台から見えた瀬戸内海の風景。みんな頑張って仙酔島の「自然のお宝」をガイドしました。

今回集まってくれた子ども達にとって、レンジャーの「調べる」「伝える」といった仕事を体験することで、地元瀬戸内海の自然の魅力を再確認できるよいきっかけになったのではないかと思います。これからも身近な自然を発見し、伝えていってくれると嬉しいですね。

皆さんお疲れ様でした!!

 ※保護者の方にだけでなく、仙酔島に訪れる人みんなに「自然のお宝」を紹介するために、子ども達が発表したガイド資料の一部を鞆の浦の渡船場に掲示する予定です。仙酔島に行かれる際には、是非ご覧ください。

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2017年11月07日【体験教室】 段ボール製オーブンでピザ&燻製づくり

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

秋といえば、芸術、読書、スポーツ、そして食欲の秋!

ということで、10月の体験教室は、段ボールをオーブンに変身させてピザ&燻製づくりにチャレンジ!

これも毎年多くの方に申し込みいただく人気プログラムの1つ。

ピザ&燻製づくりをあそ美工房の角田夫妻と三豊市でパン屋さんを営んでいる片山さんが、段ボール製オーブンづくりをビジターセンタースタッフが伝授。今回初めて体験教室に参加する方ばかりなので、どんなふうになるかこちらもドキドキ、わくわくです!

早速、ピザ&燻製づくり班と段ボールオーブンづくり班に分かれてスタート!

まずはピザづくり。

<片山さんから生地作りのコツを教えてもらいます>

<材料と作り方> 今回は直径18㎝皿2枚分の分量です。

アウトドア料理ということで材料をボウルに入れて手で直接こねるのではなく、材料全てをビニール袋に入れて揉み込む方法。

これだと洗い物を減らせるし、衛生的にもよいですよ。

生地がビニール袋にくっつかなくなり、まとまってきたら、2等分して麺棒で丸く延ばしてからアルミ皿に入れます。少し大きさが足りなくても手で延ばせば大丈夫。生地の上に片山さん特製ピザソース、トッピング、チーズをかけたらできあがり!

こちらは段ボールオーブンづくり班。主にお父さんが担当することが多いですね~。

段ボールの底を布テープなどで閉じて、内部は全て両面テープを使ってアルミホイルを貼っていきます。光る方が見えるように貼りましょう。

アルミホイルは貼る時にちぎれやすいですが、気にせず、上から補強すれば大丈夫ですよ。って言おうとしたのですが、今回の参加者さん、初めてなのにみんな上手!私が初めて作った時なんか結構ツギハギだらけだったのに・・・。

両面テープは四方辺と斜めに貼ると剥がれにくく、テープを無駄なく使えますよ。

<作り方と完成はコチラ>

両方とも準備ができたら、焼いていきましょー!

段ボールの中に火起こしした炭を金板(おかきや煎餅の金箱のふたを使いました)の上に置いて、ピザは2段式の金網に置いたら段ボールのふたを閉めます。ある程度空気(酸素)が入らないと火が消えてしまうので、コンクリートブロックなど重い物でふたをして調整しましょう。

火起こしはスタッフで準備しましたが、ご自分で作る時は炭おこしもやってくださいね。あと、今回やってみて思ったのが、雨天時は湿気が多いので火がなかなかおこらず安定せずで結構時間がかかりました。。。炭って冷蔵庫の脱臭などにも使いますよね。きっと湿気を吸いやすいから火が起こりにくいんだなと改めて勉強させてもらいました。

と、焼いている間に燻製はどうなっているかな~。

  

  うまく燻りあがっていました!

  実は、当日は台風接近の影響で大雨・風が強いこともあり、

  できるだけ時間を短縮して早めに帰ってもらおうということで、

  いつもなら参加者にやってもらう燻製の準備もこちらで行いました。

  こちらも作り方はカンタン。

  火を付けたスモークチップ(香りなどはお好みで。今回は桜を使用)の

  上から金網をセットした段ボールを被せ、ゆで卵やチーズ、燻製したい

  物を載せるだけ。写真は内部にアルミホイルを貼っていますが、

  アルミがなくてもできます。

上部を閉じて後は様子を見ながら、今回は2時間程度で完成。食材によって燻す時間が変わるのでいろいろ試してみてください。

ピザ焼き段ボールは上面を触ってぬるくなっていたら、火が弱くなっている印しなので炭を足して、時々ふたを開けて焼き上がりをチェック。

チーズが溶けて、少し焦げ目が付くくらいになったら完成☆

<できあがり~>

天候やこちらの段取りの都合上、参加者にはいろいろとご不便おかけしたと思いますが、皆さん楽しんで無事に帰られたようで何よりでした。

また、五色台体験教室では季節に応じたいろんなプログラムを用意していますので、ぜひお越しください!

そして、アウトドア料理の幅を広げて、みんなで楽しんでくださいね~☆

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2017年11月06日宮島で秋の生き物を探してみよう!「秋の終わりの虫さがしウォーキング!」を開催します!

瀬戸内海国立公園 川原康寛

すっかり秋が深まり、暖かかった季節とは一転変わった自然を楽しめる時期になってきました。

夏にはよく目についていた様々な生き物たちが、秋から冬にかけてはすっかり姿を隠してしまいます。

そこで、そんな隠れている生き物たちを探してみようと、自然観察会を開催しますのでお知らせします。

詳細は以下のURLをご参照ください↓

http://chushikoku.env.go.jp/to_2017/post_167.html

日  時   平成29年11月26日(日) 9:30~13:00

開催場所   広島県廿日市市宮島町

対  象   小学3~6年生(保護者同伴)

募集人数   20人(応募多数の場合抽選とします。)

申込締切   平成29年11月17日(金)必着

秋の始まりにもたくさんの虫がいました。さて、この虫たちは、寒さの厳しい冬をどうやって乗り越えるのでしょう?是非、皆さんで冬越しの準備をしている虫たちを探してみましょう!

皆様のご応募をお待ちしております!

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2017年10月25日瀬戸内海国立公園の自然8「大久野島」

瀬戸内海国立公園 川原康寛

すっかり秋が深まり、昼間は心地よい日が差して、自然散策しやすい季節になってきました。

さて、今回ご紹介する瀬戸内海国立公園の自然は「大久野島」の景色です。

↓地図(Google Map

https://www.google.co.jp/maps/place/%E5%A4%A7%E4%B9%85%E9%87%8E%E5%B3%B6/@34.3090387,132.9651312,13z/data=!4m5!3m4!1s0x3550453047d04345:0x48c667e9a04c14fa!8m2!3d34.3113285!4d132.9921762

大久野島は、かつて日本軍の毒ガス工場があったことから「毒ガスの島」と呼ばれたり、たくさんのアナウサギが生息することから「ウサギの島」と呼ばれたりしています。

この島は、瀬戸内海の広島県部分のうちの中央あたりに位置しており、たくさんの島に囲まれています。そのため、山頂展望園地からは一面の多島海景観を望むことができます。

展望園地には、景色以外にも人間日時計や星座早見盤等の楽しい設備が置かれています。

南東側には、中国地方と四国地方の境目になっているしまなみ海道多々羅大橋(写真中央部付近)も見えます。

西側には、小久野島や大崎上島が見えます。夕方には美しい島影が見られそうですね。

北側は本州本土で島はないのですが、黒滝山という瀬戸内海国立公園に指定されている山があり、忠海の街並みと共に、風情ある景色を楽しませてくれます。

大久野島には、他にも瀬戸内海の環境を学習するための「大久野島ビジターセンター」や、毒ガス工場の資料を展示している「毒ガス資料館」があります。

瀬戸内海の景色に癒やされるとともに、環境や歴史に目を向けてみるのも、実りある行楽の秋の過ごし方かもしれませんね。

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2017年10月12日【オススメ】 秋も砂浜へ!父母ヶ浜

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

夏の海水浴シーズンが終わると、海岸エリアは少し落ち着きをみせます。

が、香川県内には今も多くの人が集まる砂浜があるんです!

それが、三豊市西海岸に位置する父母ヶ浜(「ちちぶがはま」と読みます)。

広く遠浅の砂浜であれば、お隣の観音寺市にある有明浜や三豊干拓の方が広大ですし、海浜植物群落の多様性、多さなら有明浜なのですが、父母ヶ浜の推しポイントはなんといってもコチラ↓

1.サラサラの白い砂浜

瀬戸内の砂浜は、花崗岩由来の土砂が山から川を伝って海底に溜まり、それが海浜流にのって堆積してできたもの。波の荒い外洋と比べると瀬戸内は内湾で穏やかなため、細かい粒子の砂が波で運び去られることなく、細かい砂浜ができるのです。

2.美しい砂紋(さもん)

干潮時の波によって粒子の細かい砂が動き、浅瀬に波跡ができる砂紋はまさに自然が創り出す芸術。幅約1㎞、奥行き400mもの干潟に形づくる砂紋は必見!

<同じ模様はない自然の造形美とはこれ!>

3.夕景にただ見とれる!

父母ヶ浜から見る燧灘に沈む夕陽にただただ魅入る人が続出。特に干潮時刻と日没が重なる風のない日には、潮だまりの水面に夕陽や人の姿が鏡のように映し出され、、まるでボリビアにあるウユニ塩湖のような写真が撮れます。

4.砂団子も!実は生き物いっぱい!

砂に同化した体色、小さなからだをサササーッと移動させ巣穴に隠れてしまうスナガニ。巣穴を作る時に掘り出した砂がまるで団子のように丸いのが特徴。少し砂泥地に行くと、ウミニナやアラムシロ、ヤドカリなど干潟の生き物が見られます。

<まだ渇いていない砂団子>

<アラムシロなど巻き貝が通った跡はまるで幾何学模様>

同じ海でも季節によって何となく違う様子をみせてくれます。

下の写真は夏の干潮時の日中。

夏の強い日差しが照り返し、海も白い砂浜もまぶしい!

堤防の上からでも魚の姿がバッチリ確認できるほど海水透明度は高いです。

中州にはウミネコが。

秋は空気も澄んできて、他の季節よりも夕陽がより映えるように感じます。

父母ヶ浜は、地元の方の清掃活動によってキレイに保たれているので、赤く照らされた砂浜の中を裸足でゆっくりと歩いてみてもいいですね。

父母ヶ浜に関するHP「三豊市観光交流局」

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2017年09月22日瀬戸内海国立公園の自然7「野呂山」

瀬戸内海国立公園 川原康寛

台風一過ですっかり秋の始まりを感じられるようになってきましたね。

暑い夏が終わって、いよいよ外に繰り出すのに良い季節になってきました。

さて、今回ご紹介する瀬戸内海国立公園の自然は「野呂山」の景色です。

 

↓地図(GoogleMap

https://www.google.co.jp/maps/place/%E9%87%8E%E5%91%82%E5%B1%B1/@34.2656288,132.62796,12z/data=!4m13!1m7!3m6!1s0x35500c4cfef0bbfb:0x5e63d58c0ef9493f!2z6YeO5ZGC5bGx!3b1!8m2!3d34.2628632!4d132.6662405!3m4!1s0x0:0x27e8760b899778a2!8m2!3d34.2648644!4d132.6793957

野呂山は広島県呉市の海沿いにそびえる山で、なんと瀬戸内海国立公園では兵庫県の六甲山に次いで2番目に高い山です。

その高い山の頂近くには、「星降る展望台」や「かぶと岩展望台」といった展望スポットがあり、瀬戸内の大パノラマを眼下に望むことができます。

その景色は圧巻で、東は大崎上島を越えて愛媛県の大三島まで、南にはとびしま海道の島々が、西は倉橋島や江田島など、瀬戸内海の数々の島を視界に入れることができます。

かぶと岩展望台からの景色です。少し靄がかかっていて白っぽく見えますが、ちゃんと大三島まで見えました。これから涼しくなってくると、もっと鮮明な景色を楽しめるようになってきます。

山の麓や島の所々には港町が広がっていて、瀬戸内海沿岸では人と自然が一体となった文化が栄えてきたことが伺えます。瀬戸内の景色から感じられるどことなく懐かしい雰囲気は、こういった自然と文化の調和が見られるからなのかもしれませんね。

展望台からの景色の他にも、野呂山の山頂近くには「氷池」という綺麗な池があり、こちらも見所になっています。この池は、名前のとおり冬には水面が凍ってしまって、夏とはまた違った美しい姿が見られるようです。この池については、またの機会にご紹介したいと思います。

8月下旬の氷池の景色です。夏の終わりかけの時期にも、まだ少しだけスイレンが咲いていました。

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2017年08月17日瀬戸内海国立公園の自然6「仙酔島」

瀬戸内海国立公園 川原康寛

昼にはセミがせわしなく鳴く一方で、夜にはコオロギなどが鳴き、秋の足音が少しずつ聞こえるようになってきました。

今回、ご紹介する瀬戸内海国立公園の自然は、「仙酔島」から見える景色です。

↓地図(Google Map

https://www.google.co.jp/maps/place/%E4%BB%99%E9%85%94%E5%B3%B6/@34.3831481,133.3782697,14z/data=!4m5!3m4!1s0x35510e9021d2669d:0xafe954229d1049b2!8m2!3d34.3840933!4d133.3960114

仙酔島は、広島県福山市鞆町の沖にある無人島で、仙人も酔ってしまうほど美しい島であることからこの名前が付けられたそうです。

島には橋は架かっておらず、船で渡ります。約5分程度の短い船旅ですが、途中には福寿堂(弁天堂)が建つ百貫島(弁天島)が見えていて、自然と文化が調和した風景を楽しませてくれます。

※島から帰る途中に撮った写真なので、船跡が島に向かって出ています。

仙酔島内にはいくつかの展望地があり、そこから鞆の町並みや瀬戸内海など、それぞれ違った景色を望むことができます。鞆には江戸時代の古い町並みが残されており、仙酔島からこの町を眺めると、まるで江戸時代にタイムトリップしているかのよう。また、夏には海水浴のために、多くの人が来島します。

仙酔島を含めた「鞆の浦」一帯は、広島の「宮島」と同じように国の名勝地にも指定されています。また、仙酔島は白亜紀後期の火山活動によってできた島だと考えられており、特徴的な岩石や地層を観察することができます。この島は文化的にも自然的にも、我々を魅了してきた島なのです。

残り少ない夏休み、仙酔島を訪れて、瀬戸内海の文化と自然に触れてみるのもオツかもしれませんね。


地質についてのお話は、またの機会にじっくりと・・・。

仙酔島の「五色岩」赤色、黄色などいろいろな色の岩が見えます。

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2017年08月16日【体験教室】 昆虫観察会

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

8月の体験教室は、夏休みの自由研究にもってこい!「昆虫観察会」

駐車場からクラフトハウスに向かうまでの間も、観察会スタートまでの間も待ち切れんとばかりに捕虫網を手にバッタやトンボを追いかけるほど子供たちはやる気十分!

そんな子供たちの高ぶる気持ちを一旦落ち着かせ、まずは昆虫を観察・採集する前に今回の講師・好井さん(かがわ自然観察会)から大切なお話を。

①森歩きの心得

 森に入ると、いろんな生き物がいて、中には飛んでくることも。森は生きものたちの住処であって、

 私たちはそこにお邪魔するお客さん。「こんにちは、お邪魔します」という気持ちで森に入りましょう。

②危険な生きものは森歩きの前にインプット!

 ウルシやハゼなどのかぶれやすい植物、スズメバチやマムシなど森の中には毒を持つ危険な生きものも。

 初めにどんな対処すればいいのか、どんな生きものなのかを知っておくことで、

 慌てず落ち着いて行動できますよ。ハチなどが人に止まっても、相手は人を物だと思っているので騒がず、

 払わず、あえてじっくり観察してみるのもよし!

③服装・持ち物チェック

 虫刺されやかぶれ予防に長袖・長ズボン、歩きやすいシューズ、暑さ対策の飲み物など準備バッチリなら

 森歩きもより楽しめます。

④やさしい気持ちで

 昆虫を追いかけると夢中になってしまいがちですが、持つ時はやさしくそっと。

 いざ放す時に羽や足が折れていたら・・・。

そんな心得や捕虫網の使い方などを教えてもらったら、お待ちかねのフィールドへ!

今年は暑さのせいか7月下旬になってもなかなかセミの鳴き声がせず、「昆虫観察会どうしよう!」とハラハラドキドキでしたが、1週間ほど前になってやっと「あー、夏休みだなぁ」と感じるほどの鳴き声が聞こえてきてホッとしました~。

【声は聞こえるけど・・・】

そんなセミ、木の幹と同化して鳴き声をする方を探してもなかなか見つかりません。

と思いきや実は目の前の木にいた、なんてことも。

成虫探しもいいのですが、宝探しのように見つけるのがセミの抜け殻探し。

抜け殻って同じように見えますが、特徴を捉えるとそれが何のセミなのか分かりますよ。

左【ツクツクボウシ】薄茶でツヤなし   発見しやすさ★★

右【ニイニイゼミ】体が丸くて泥だらけ  発見しやすさ★★★                

魚の池ではトンボ探し。

ここも暑さのせいかいつもより少ないような。そんな中でもしっかり目を見張った子供たちは小さなイトトンボを見つけ出します。

右【シオカラトンボとショウジョウトンボ】

左【クロイトトンボ】 

右【モノサシトンボ】名のとおりモノサシのように目盛りがあるのが特徴

昆虫ではないですが、遊歩道にある巣箱を使って、野鳥がいつ巣箱を必要とするのか、どんな環境が暮らしやすいのかなど「私たちだったら・・・」と考えながら設置のコツを教えてくれました。

1時間ほど遊歩道を歩き、水分補給の後は、インタープリターから今話題のヒアリについてレクチャー。

事務所から標本も持って行きましたが、「思ったより小さい!」とみんな興味津々でした。

■ヒアリの特徴

・大きさ 働きアリの体長は2.5~6㎜と個体差あり

  • ・ 色  赤っぽくツヤあり。在来種のクロオオアリはマットな黒

  • ・ 巣  ヒアリの巣はアリ塚と呼ばれる土でできたドーム状。

     巣に足や棒を突き刺すと怒った数100匹ものアリが登ってくるので危険!!

「黒い」「大きさが2.5㎜より小さい」「働きアリの大きさにバラツキがない」アリはヒアリではないので、まずは落ち着いて見てみましょう。

■でも、やっぱりヒアリかも!

という場合は、県の自然環境部局かお近くの環境省地方環境事務所にお問い合わせください。

実際、高松事務所にもいくつか「ヒアリかも」という問合せが来ますが、調べてみると在来種(日本にいる)アリだったり、はたまたアリグモというアリに擬態したクモだったり。こういった特徴を知ることである程度判断できるのではないのかなと思います。

夏休み期間中は、ビジターセンターの自由研究ネタコーナーにて、ヒアリに関するポスターも掲示していますので、興味ある方はぜひご覧ください。

さぁ、話題のヒアリについて学んだ後は、体を動かしますよ~。

昆虫観察会では恒例となりつつある、広場でバッタ捕り競争!

捕虫網を持って、1列に並んで・・・よーいドン!!

子供たち、走り回る走り回る!見かねた講師から「トンボを捕まえたいならじっとして相手が来るのを待つ。追いかけると逃げるよ~」とポイントを伝授。

まぁ、じっとしておけないですよね(笑)というか、捕まえるのはバッタなんですが。

子供たちだけでなく、大人も必死にバッタ捕りに参戦!

帽子を捕虫網にしたり、小さなショウリョウバッタに悪戦苦闘ですが、なんとか時間内に1匹以上は捕まえられました。

講師から頑張った子供たちへ上位入賞者にエコボトルを、参加賞として折り紙などをプレゼント。

そして、最後に涼を取るかき氷でバッタ捕り競争のクールダウンを。

今年は少し昆虫の姿が少なかったですが、その分「見る」「(鳴き声を)聞く」など五感を使った昆虫探しができたのではないでしょうか。

参加した子供の中には、昆虫の特徴などをよく知っている子がおり、将来どんなふうに成長していくのか楽しみで仕方ないです。

晩夏から秋にかけても、まだまだ昆虫たちはいっぱい!

心得をしっかり保ちつつ、楽しい昆虫観察を満喫してくださいね。

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2017年08月10日【体験教室】 ハチミツ絞りと蜜蝋キャンドルづくり

瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

今年もやってきました!

大人気の体験教室「ハチミツ絞りと蜜蝋キャンドルづくり」。

なんと今回で6回目を迎えるプログラムですが、毎年キャンセル待ち続出の人気っぷりで、もはや五色台ビジターセンター夏の恒例プログラムとなっています。

今年も五色台のふもとで生業されている中田養蜂さんが講師としてミツバチの働きや手動遠心分離器を使った蜂蜜絞り体験などを教えてくれます。

まずは、「ハチミツってどうやってできるの?」という質問。

でも、これって大人でも知らない人がほとんどなのでは?「ハチミツ」=「花の蜜」と思いがちですが・・・。

ミツバチは花の蜜を一旦体の中に取り込み、酵素で凝縮分解した後、再び体内から出して巣に入れています。この甘~いハチミツ、実はミツバチが創り出しているんです!

花の蜜を舐めたことある人なら分かると思いますが、意外と甘くない・・・。

そのハチミツをいただく巣箱には、小さな八角形が集まった巣板が8枚入っています。その巣板1枚にはなんと!ミツバチが2,000匹も!巣箱にはもちろん女王バチも。

中田養蜂さんは香川県内の農家や採蜜場所に巣箱を置いているそうで、五色台だけでも800~1,000箱を5~12ヶ所に分けて置いているんだとか。

【資料と絵を見ながらフムフム・・・】

基本的なことですが、ミツバチのすごさ、身近な食品だけど意外と知らないことを少し知ってから体験をすることでいろんな疑問やミツバチに対する気持ちが変わってくるのではないでしょうか。

そんな後は、いよいよ2手に分かれてハチミツ絞り体験と蜜ろうキャンドルづくりのスタート!

まずはハチミツ絞り体験のようすから・・・。

ハチミツがた~っぷり入った巣板を持ってみると・・・「重い!!」

中田さん達から丁寧に教えてもらいながら、ナイフを使って蜜がこぼれないように表面を固めた蜜ぶたをこそぎ取ります。

この時のポイント★

・ナイフはノコを挽くように前後に動かそう。

 ナイフに蜜がくっついて「ナイフが動かない!」ということが少ないです。

・密ぶたは薄く切り取ろう。

 あまり深く刃を入れてしまうと八角形の巣が壊れてしまいます。巣板はまた巣箱に戻し、ミツバチたちが

 使うもの。できるだけミツバチが壊れた部分を修繕しなくてすむように薄く切り取りましょう。

【蜜いっぱいの巣板、結構重い!】

蜜ぶたが切り取れたら遠心分離器に巣板を入れます。

そして、ハンドルを一気に回すと・・・

【キラキラしているのは飛び散る蜜】

遠心力で蜜を飛ばすので、外側に向いている方の蜜が取れただけ。ある程度蜜が出なくなったら巣板の向きを変えて、もう反対側の蜜も遠心分離器で採蜜します。

両面とも採蜜できたら、あま~くいい香りのするハチミツのできあがり。

絞りたてハチミツは中田養蜂さんのご厚意でお土産としてお持ち帰り。

右:蜜を絞った後は驚くほど軽い巣板!

左:とろ~りとしたハチミツに思わず手が伸びそうに・・・

順番にハチミツ絞り体験を待っている間は、観察箱でミツバチをじっくり観察。

【女王バチはどこかな~?】

左上側に他より大きめのミツバチがいるよ。

子供だけでなく、大人も興味津々。むしろ大人の方が興味があるようで、中田養蜂さんにいろいろ質問したり、燻煙器やネット付き帽子など養蜂グッズを見たりしていました。

さて、こちらは蜜ろうキャンドルづくり。

まずは、上側を缶切りなどで開けた空き缶(スチール缶)に蜜ろうを入れて湯煎して溶かします。ここでやっちゃいけないのが、空き缶を直火に当てて蜜ろうを溶かすこと。これをやっちゃうと爆発することがあるので、必ず湯煎をして溶かしましょう。

その間に、キャンドルを固めるためのシリコン型の準備。

シリコン型が破れないように竹串などで穴を開けて、そこにロウ芯(火が灯るところ)となるヒモを通してくくります。

そうこうしていると、蜜ろうが溶けてくるので、ヤケドに注意しながらシリコン型にロウを流し込んでいきます。ここでのポイントが、一気に流し込まずにゆっくり少しずつロウが固まるのを待ちながら流し込むこと。そして、シリコン型は動かさないこと。固まったかどうか気になるところですが、そこはガマン(>_<。)

30分くらい経つと・・・

【見事に固まりました!】

ハチミツ絞り体験と蜜ロウキャンドルづくり組が交代して、一通り終えたらお楽しみが。

ハチミツ4種の試食&どれか分かるかなクイズ!

【さぁ、香りと味の違いを頼りに答えを導いて・・・】

ハチミツってどれも似たような味だと思っていたら、意外としっかり違いがあることが分かったようで、みんな驚きの顔をしていました。さぁ、答え合わせはどうだったのでしょうか。

正解は、①サクラ ②ビワ ③アカシア ④タマネギ

気になる人はおうちで食べ比べしてみましょう。

ハチミツの味の違いを知った後は、少しミツバチについてのお話を。

■働きバチってオスが多い?メスが多い?それともどちらかだけ?

働きバチはメスのみ。しかも外で蜜を集める外勤バチは年配のハチで、巣の門番や幼虫の世話をする内勤バチは若いハチ。これは外勤バチの方がスズメバチなどの天敵や雨で羽が濡れて飛べなくなったりと危険要素が多いことから寿命の短い年配バチが外に出るのだそう。

ちなみにオスバチは交尾のためだけに存在するので、いない時期もあるそう。

■ミツバチの寿命って?

ミツバチの寿命は1ヶ月程度。

その反面、女王バチは2~3年程度生き、中には8年生きた女王バチもいたそう。女王バチは毎日1,500~2,000個の卵を産み続けます。

■ミツバチの役割

毎日のように食べている野菜や果物。それもミツバチが果物や野菜の花を受粉して実ができるのです。ミツバチがいなくなると、ハチミツができないばかりか、野菜や果物が実らず、私たちの食卓は・・・と考えると、ミツバチって本当に有り難い!

中田養蜂さんでは香川県下の2/3の農家さんにミツバチを貸し出しているそうですよ。ちなみに我が家の畑も近所のイチゴ農家さんから飛んできたミツバチのおかげで野菜や果物が実っています。

そんなミツバチたちですが、自然環境の変化によって少しずつ変わってきているそう。

昔に比べ、蜜源となる花が減ったことでミツバチ自身も栄養が取れなくなり病気がちになったり、そしてミツバチの数が減ってきたりと自然環境の変化と共にミツバチ達の環境も変わっています。今は野菜や果物も実り、ミツバチがつくり出すハチミツやローヤルゼリーなどの恩恵も受けていますが、100年後はどうなっているんだろう・・・?

同じミツバチからでも採集する花によって味の違いハチミツができること、それも花やミツバチの状態や採るタイミング、その場所の環境によって味が変わってくることを学んだ今回。近づいてきたら手で払いがちなハチですが、古くから人の暮らしに密着し、私たちに多くの恩恵を授けてくれる大切な存在。

食事をいただく時に野菜や果物などを作ってくれる農家さんだけでなく、一緒に実りを支えてくれているミツバチにも感謝しながらいただきたいなと感じた体験教室でした。

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2017年08月08日「ミヤジマトンボ・エコ観察会」を開催しました。

瀬戸内海国立公園 川原康寛

81日にミヤジマトンボ保護管理連絡協議会主催で、「ミヤジマトンボ・エコ観察会」を開催しました。

ミヤジマトンボは、国内では宮島でしか生息が確認されておらず、環境省はこのトンボをレッドリストで絶滅危惧ⅠA類(絶滅の危機に瀕している種)に指定しています。そんな希少なトンボについて、地元の小学生に知ってもらうべく、当観察会は実施されました。

今回、参加してくれたのは、廿日市市立地御前小学校の5年生達。

まずはミヤジマトンボとその生息地である宮島をよく知るために、小学校で事前学習しました。

宮島の歴史や自然、トンボの生態についての話を聞き、宮島はいったいどういう島なのか、なぜミヤジマトンボが宮島にだけ生息しているのかを考えました。

そして、事前学習の後は、いよいよ宮島へ移動して観察会。

午前中に学習した、潮水と淡水が入り交じる「潮汐湿地」を観察してみます。

ミヤジマトンボはヤゴの間、この潮汐湿地で成長します。そしてトンボになって、またこの湿地で卵を産みます。ミヤジマトンボは他のトンボに比べて成長が遅く、他のトンボが暮らしている場所では、競争に負けて生きてゆけません。そんなミヤジマトンボにも潮水に強いという特技があって、他のトンボが生きてゆけない潮が入る水の中でも生きてゆけるのです。

このような潮水と淡水が入り交じった潮汐湿地が、かつては日本全国にあったのですが、人間の活動によって破壊され、ほとんど残っていないのが現状です。宮島は、昔から神様が居着く島(いつくしま)として崇められ、人間活動がほとんど及びませんでした。その結果、ミヤジマトンボが生きてゆける湿地が残っているのだと考えられています。

ミヤジマトンボを観察した後は、浜辺で飛び回っている小さなムシを追いかけてみます。

そのムシの正体は、ルイスハンミョウ。

  ↓アクティブレンジャー日記 瀬戸内海国立公園の自然3「ルイスハンミョウ」参照

   http://chushikoku.env.go.jp/blog/2017/06/3-2.html

このムシもミヤジマトンボと同様に、人間の環境破壊によって棲む場所がなくなっている生き物です。宮島には、こういった絶滅に瀕した生き物がたくさん棲んでいます。

ひと通り観察会が終わった後は、浜に流れ着いたゴミを拾いました。

ふだん人が出入りしないような場所でも、たくさんのゴミが落ちていました。

人間が何気なく捨てたゴミでも、そのゴミは海を巡って、ミヤジマトンボの生息地のような希少な環境までも汚してしまっているのです。

そして最後は、坂本先生から地御前小学校の生徒達へ熱いメッセージ。

日本各地で自然環境が破壊される中、昔のままの自然が残っている宮島は、まさに奇跡のような島です。宮島を見て育ったみんなに、これからも宮島を守っていってもらいたい!とのことでした。

何十年何百年先も、ミヤジマトンボがたくさん飛んでいる宮島であって欲しいですね。

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