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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 松山

154件の記事があります。

2009年03月06日自然体験行事の下見とは

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

現在、自然とのふれあい行事として、海辺での自然体験の行事を計画中です。
先日は、行事で自然の案内人をしていただく、講師のお二人と
下見に行ってきました。

行事の下見は、現地の環境や安全面の確認、そしてプログラムの構成を
組み立てる上でも、とても重要です。

危険箇所を確認し合い、対策を考えたり、また、自然とふれあう行事なので、
この時期に見られる生き物を含め、何が見られるか、どんなことができるか、
確かめに行きます。


ここは危険かな~・・・ しっかりチェック!

とはいえ、自然が大好きだから、こういった行事を企画したり、
講師を引き受けてくださったりするわけで、自然好きな大人が集まると、
子ども以上に、自然を満喫して楽しんでいたりもします。
自分がいい、楽しいと思わないことを、人に伝えられませんからね。


「あっ、こんなのも発見!!」「これを、こうして見せたら子どもたち喜ぶよ~」など。
下見の一コマ。ゴミも含めて海岸に落ちているモノからは、
いろいろな発見があります。

自然について、いろんな知識を持ち、いろんな視点を持っている人と
自然の中へでかけると、今までとまったく違ったことが見えてきて、
とても楽しいものです。

これでも、安全面や、プログラム構成については、しっかり打ち合わせし、
参加していただく方々に自然の尊さ、そしてこの楽しさを共有して欲しい!!!
という一心で取り組んでおります。

平日の昼間から、自然の中を楽しげに、うろうろしている大人がいたら、
そんな下見や調査をしている人たちかもしれません。

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2009年03月02日岩と暮らしと

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 先日行った佐田岬について、話題をもうひとつ。
 佐田岬は「四国・最西端」、「日本一細長い半島」の異名(?)を持つ、
地図で見ると四国の左上(北西)から「にょき」っと枝を伸ばしているような
半島の先端のことを指します。半島には標高400m前後の山があり、
細い山並みが続きます。国道もその眺望の良いところを走っており、
アップダウンを繰り返します。そしてリアス式海岸である半島の側面は
切り立った岩盤が目立ちます。その岩肌はなんだか緑色。


 この岩、「緑色片岩(りょくしょくへんがん)」と言って、
日本最大級の断層・中央構造線の南側に広く分布するそうです
(佐田岬半島は中央構造線の南縁に沿うように位置しています)。
中央構造線がこのまま東方向へ、愛媛県を南北に分断するように
走っているので、この断層の南側にあたる他の地域でもよく見られます。

 近くで見ると薄い層状になっているのがよく分かります。
「片岩」の特徴(※板状の鉱物などが方向性をもって配列し、
面状構造になっている)だそうです。

上:岩から木が。ど根性○○?? 根はどこまで伸びているんでしょうか。
下:海岸は砂浜ではなく大きい石から小さい石まで、
この平たい緑色の石ころで覆われています。


 灯台までの歩道の壁面や足下、半島の住宅の生け垣や、段々畑、
古くから使われている歩道の階段などには、急傾斜の地形やこの石を
うまく利用した先人の知恵を垣間見ることができます。
積み上げるの、大変だっただろうなぁ。

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2009年02月25日冬から春へ

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは、松山のARです。
愛媛ではこのところ、ぐずついたお天気が続いています。
寒暖、晴雨のお天気を繰り返して、春が近づいてきているのでしょうか。

 さて昨日、とある業務で愛媛県伊方町の佐田岬へ行ってきました。
遊歩道を歩いていると、このところの雨のせいか、ヤブツバキの花が
たくさん落ちてしまっていました。
頭上には、慎ましやかに咲いている花も。

【ヤブツバキ】
 11月ごろから翌年4月ごろに花をつける。


 一方、足下には純白のタンポポが咲いていました。
私、白いタンポポを初めて見た気がするのですが、西日本では
そんなに珍しい種ではないようです。
温かな日差しが恋しいお天気。足下の小さな春に心が和みました。


【シロバナタンポポ】
 関東から四国、九州に分布する多年草。早春から初夏まで咲き続ける。
愛媛県南部など、在来種のタンポポとしては「カンサイタンポポ」などの
黄花が自生せず、シロバナタンポポしか存在しない地域も。
このような地域では、都市部などで最も普通に見られ、黄色の花が咲く
「セイヨウタンポポ(ヨーロッパ原産)」が侵入するまで、
「タンポポの花は白」と思っていた人もいるそう。

(参考図書:『四国の樹木観察図鑑』、『愛媛の人里野草図鑑』 愛媛新聞社)

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2009年01月26日空中散歩 -上島町・岩城島-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 温暖な愛媛も雪のちらつく週末でした。大寒も過ぎ、一番寒い季節です。
さて前回の日記に続き、瀬戸内海の中央部・愛媛県上島町の島のご紹介。
今回は岩城島(いわぎじま)です。
 
 上島町・岩城島は「青いレモンの島」と呼ばれるレモンの産地であり、
かんきつ類の栽培が盛んです。島の中央にある積善山(せきぜんやま)は
桜の名所として知られていますが、頂上からは360度多島海の景観が楽しめる
ほか、山腹にはパラグライダーの離陸ポイントがあり、空からの景観を楽しめる
ポイントとしても多くのファンを集めているとか。
いつか私も挑戦してみたい…!


パラグライダーの離陸ポイントより。パノラマの景色が広がっています。
(写真をクリックすると拡大画像が表示されます)

 岩城、弓削、生名島は瀬戸内海の中央部に位置していますが、周囲は島が
ひしめきあうように隣接していて、山頂から見渡してみると「離島」
という印象をあまり受けません。

 また、積善山には頂上の展望所まで行ける車道のほか、遊歩道が整備され、
ゆっくり散策を楽しむこともできます。



こちらは「空中階段」との、素敵な名称がついています。
遊歩道や展望台からの眺めは抜群。パラグライダーで飛び出すことは
できなくても、十分に、多島海を見おろす鳥の気分を味わえるかも?

 ところで、瀬戸内の島では、これまで山火事が多々発生しているようですが、
この岩城島の積善山も被害があり、数年たった今でも、
所々でその焼け跡が見られます。焼け跡地は、アカマツやツツジなどの
低木や草本などが覆い、ゆっくりと緑が増えつつあるようです。
野鳥もたくさん見られる山林。豊かな植生が育ってほしいと思います。

焦げた跡が残る樹木
(写真は全て、平成21年1月16日撮影)

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上島町 岩城島、弓削島、生名島の紹介(過去の日記)
◇2009年 1月23日 巨石がたたずむ -上島町・生名島-

◆2009年1月17日 白砂青松の海岸 -上島町・弓削島-

◇2007年 4月 5日 花だより -上島町岩城島-

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2009年01月23日巨石がたたずむ -上島町・生名島-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは、松山のARです。前回の弓削島に続き、愛媛県の最北、
上島町の島・生名島(いきなじま)をご紹介したいと思います。
 
 さて、生名島の北部に位置する立石山には弥生時代から残るとされる巨石が
たくさんあり、町の文化財に指定されています。
山の東側のふもとには「メンヒル(巨石記念物)」と呼ばれる高さ7mほどの
巨石があり、弥生時代の祭祀の対象とした巨石文化の遺物と考えられています。

「メンヒル」と呼ばれる巨石

 また、標高139mの立石山山頂の展望地の奥には、折り重なるように
配置された巨石群があり、周辺からは弥生時代の石器や土器片も多数
発掘されていることなどから、こちらも弥生時代の祭祀と軍事的防塞の
複合遺跡と考えられています。

立石山山頂の巨石群

 お隣の岩城島・積善山や、今治市の伯方島・宝股山頂上部にも信仰対象と
されてきた巨石が残っています。よく信仰対象となる大きな樹木や石などの
自然物。いろいろな時代を超え、悠久の時をじっと過ごしてきたんであろう
相手に対面すると、畏敬の念を抱かずにはいられません。
弥生時代の人も同じような気持ちを抱いたのでしょうか。


立石山山頂からの眺望
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上島町は平成16年に、魚島村・生名村・岩城村・弓削町の離島同士の
4ヶ町村が合併した町で、瀬戸内海のほぼ真ん中に位置し、
大小様々な島からなっています。
現在、上島町の島々へは他のところから架橋がなく、本州・四国側からは
船を利用してアクセスすることになります。

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2009年01月13日白砂青松の海岸 -上島町・弓削島-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは、松山のアクティブレンジャーです。新年を迎えて、早くも半月が
過ぎようとしています。遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、この日記もしかり、国立公園内の写真は、業務のいろいろなところで
必要になるので、現地に行ったときには、できるだけいろいろな角度から
たくさん写真を撮っています。しかし「ここの、こういう風に写っている写真」
を探すと、なかなか目的のものが写っていなかったりします。
先日は、とある海岸の写真が必要となり、巡視も兼ねて広島県との県境近く、
上島町の弓削(ゆげ)島、生名(いきな)島に行ってきました。

 ところでみなさんは「白砂青松の海岸」をご存じですか?
文字通り、白い砂浜、青い松がある海岸。瀬戸内海国立公園の中では、
代表的な景観の1つに挙げられています。


 私自身は「白砂青松(はくしゃせいしょう)」という言葉自体を、
ARになってから知りました…。でも、松・砂浜・海の海岸は小さな頃から
とても身近な景色です。


写真:弓削島の松原海水浴場

 今回撮影に行った弓削島の松原海水浴場は、愛媛で残っている数少ない
白砂青松の自然海岸なんです。ここは、環境省が選定する快水浴場百選にも
選ばれています。
※快水浴場百選のHPはこちら↓↓
 http://www2.env.go.jp/water/mizu-site/suiyoku2006/data/index.asp?info=65

 青い海と空に映える白い砂浜と青々とした松林は本当にきれい。
法王ヶ原と呼ばれるここの松林は、県の名勝にも指定されていて、
立派な松もたくさん見られます。

 ここのところすかっと晴れる日が少なく、この日も曇り予報でしたが、
晴天に恵まれて無事撮影ができました。

 新年第一弾ということで、縁起の良い松の話題をお届けしました。

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2008年12月18日“能島の歴史・自然散策ウォーキング”を実施しました!

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは。松山は冷たい空気とやわらかな日差しの暖かさが
気持ちいいお天気です。
街路樹のイチョウはすっかり葉が落ち、木々も冬支度を整えています。

 さて、去る12月13日土曜日に瀬戸内海国立公園に親しんでもらう行事として、
愛媛県今治市の島しょ部で「能島の歴史・自然散策ウォーキング」を
実施しました。
お天気は翌日にむけて下り坂の予報でしたが、朝はよいお天気、解散まで
雨も降らず、無事終えることができました。
 
 行程は、展望台へ向かってカレイ山を散策→展望公園で昼食→町並み散策
→能島の史跡見学→潮流体験 という、1日満喫コースを計画。
前半の散策では、カレイ山の指定管理者でもある地元のNPO法人
「能島の里を発展させる会」の村上さんに案内していただきました。
カレイ山では、紅葉のピークは過ぎたものの、落ち葉の絨毯や
色とりどりの葉を残す木々など場所によっていろいろな風景が出迎えてくれました。


写真:道々で多島海の景観や木々の色づきなどが楽しめます。

 また下山後は、趣のあるお家や昔ながらの商店などが細い路地に並ぶ町を
散策し、漁師町の情緒を楽しみました。


写真:漁師町ならでは? 色々なところにタコや魚が干してあります。

 その後、船で国指定史跡とされている能島城跡・能島へ渡り、
今治市村上水軍博物館の発掘調査員・田中さんに発掘現場の案内・解説を
していただきました。発掘していると、たくさんの土器や陶磁器が
見つかるそうですが、現在発掘作業中の三之丸では発見された柱の跡
(下写真白丸部分)などを見せていただきました。



 最後に瀬戸内海の見所の一つでもある潮流体験。
独特の地形と潮の干満が作りだす激しく複雑な潮流や、島や橋などの景観を
海上から満喫しました。

 道中、講師の方や協力してくださった方から温かなおもてなしもあり、
瀬戸内の島の美しい自然・景観や歴史的遺産、人と土地が作ってきた
この場所ならではの魅力に、一日を通して私も改めてたくさんの発見をし、
また今回少しでもお伝えできたのかなと思います。
至らない点も多々あったかと思いますが、ご協力・ご参加いただいた
みなさま、本当にありがとうございました。

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2008年12月08日行事にむけて。

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 13日土曜日に松山自然保護官事務所主催で行う行事のため、
散策予定のカレイ山と町の下見をこれまで数回に分けて実施しました。
展望台へは、上まで車道がありますが、今回の行事はひたすら徒歩。
車で10分もかからないかと思いますが、徒歩では小1時間です。
 下見では、講師の方と歩き、案内する見所や安全なコースなどの検討を
重ねました。
 車だと見過ごしてしまうようなことも、歩いてみると、発見すること・
感じる空気や音はたくさんありますよね。
下見の様子を少しだけ、ご紹介です。


町の中、山の道中など、至る所に村上水軍の遺構と言われるものが見られます。


愛媛の島、といえばみかん。カレイ山の急斜面にはみかん農園。
農道を歩きます。


落ち葉の絨毯。

 講師の方からは、たくさんの見所と、伝えたいお話し・思いが
溢れ出てくるのですが、行事では時間も限られています。
時間配分を気にしつつ、当日はいろいろな魅力が詰め込めたらいいなぁ。。
こうご期待・・・です!

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村上水軍・潮流などの関連情報(過去の日記より)

◆2008年11月17日 行事開催のお知らせ-愛媛県今治市-

◇2008年10月17日 遺跡が眠る島・能島(のしま)

◆2008年 6月16日 芸予諸島 歴史ウォーキング

◇2008年 5月 2日 瀬戸内海の表情は

◆2007年 6月 8日 ウォーキングイベント-大島編-

◇2006年 9月15日 村上水軍居城跡能島


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2008年11月26日瀬戸内・冬の一風景

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは、日一日と冬の訪れを感じるこの頃です。
 先日、今治市の方へ出張した日は、冬将軍がやってきたのか、
急に気温が下がり北風が吹き荒れていました。
いつもは穏やかな海も白波が立ち、荒れた様子でした。

さて、佐田岬の花の見頃を以前の日記でお伝えしましたが、
今治市の北端にある大角鼻でも、ツワブキとノジギクの花が
見頃を迎えており、寒いながら、散策に来ている方も見かけました。


写真:ツワブキの黄色い花とノジギクの白い花が咲く大角鼻

 そして、急に気温が下がったこの日、冬によく話題になる現象が見られました。


写真:天空に浮かぶ島!?
〈撮影は2008年11月19日です〉

 浮島現象と呼ばれる、まさに島が浮いたように見える珍現象です。
蜃気楼の一種、下位蜃気楼というもので、水面付近の温度より空気の
温度が下がれば発生するようです。

 水平線上に見える、遠くの島も、行き交う船も、今日は浮かんで見えました。
冷たい北風で、涙目になっていたせいではないようです。

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2008年11月17日行事開催のお知らせ -愛媛県今治市-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 山の紅葉が平野部へも降りてきました。
今週は寒気が流れ込み、全国的に寒くなるようですね。
乾燥して静電気がパチリ。という現象もでてきました。
体調管理も気をつけないといけません。

 さて、今回は行事開催のお知らせです。
松山自然保護官事務所では、12月13日(土)に愛媛県今治市の宮窪町で
ウォーキング行事を実施します。
寒さを吹き飛ばして、歴史情緒と自然いっぱいの島散策を楽しみましょう!

〈内容〉
 瀬戸内海国立公園の能島に残る村上水軍の史跡探訪や、
多島海景観が一望できるカレイ山の自然の散策、瀬戸内海の荒々しい一面が
かいま見れる潮流体験など。
能島の発掘調査員など専門家による話を交えながら散策します。

 現在、参加者を募集しています。行事の詳細は瀬戸内海国立公園HP (http://www.env.go.jp/park/setonaikai/)のニュース&トピックス欄
「平成20年度 瀬戸内海国立公園 能島の歴史・自然散策ウォーキングの開催について(お知らせ)」
をごらんください♪ここから、チラシ・申込書のダウンロードもできます。

お問い合わせ・お申し込みは、松山自然保護官事務所
(TEL 089-931-5803)まで。



村上水軍の史跡発掘が進む、能島


能島周辺のはげしい潮流


カレイ山展望台からの多島海景観。キレイ、の一言に尽きます。

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村上水軍・潮流などの関連情報(過去の日記より)

◇2008年10月17日 遺跡が眠る島・能島(のしま)

◆2008年 6月16日 芸予諸島 歴史ウォーキング

◇2008年 5月 2日 瀬戸内海の表情は

◆2007年 6月 8日 ウォーキングイベント-大島編-

◇2006年 9月15日 村上水軍居城跡能島


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