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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 松山

154件の記事があります。

2013年07月26日「海辺の生き物観察会in大角海浜公園」を実施しました!

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

7月の上旬、松山自然保護官事務所主催のふれあい行事「海辺の生き物観察会in大角海浜公園」を開催しました。

当日は、梅雨明け間近の変わりやすい天候だったため一部スケジュールを繰り上げての実施となりましたが、無事に観察会をすることが出来ました。

大角海浜公園は、愛媛県の島しょ部を除く内陸部では最北端に位置し、先端には磯が広がります。講師から潮が引いた磯には、潮位の違いで生息する生物が違うことやタイドプールの中にいる生き物などを説明してもらい、生き物を探して観察をおこないました。

【大角海浜公園の磯にて】
まずは、講師に磯の生物について、磯を歩くときの注意点を教えてもらいました。
・磯の生物も陸に近いところ、海により近いところで見られる生物が違う。
・ケガキやフジツボなどは硬くてとがっているため、手をついて怪我をしないように注意しましょう。

【ケガキの観察】


潮が引いた後に出来るタイドプール(潮だまり)には、生き物がたくさん見られます。

【タイドプール(潮だまり)の中を観察】
岩に引っ付いている貝やイソギンチャクはいるけど…。
一見何もいなさそうに見えますが、動きをとめてじっと待っていると、ハゼの仲間やカニ、ヤドカリなど動きだす様子が見られます。


どんな生き物が見つかりました?




しばらく自由に磯の生き物探しをした後、水槽の中を見せてもらうと、ミミズハゼやヒライソガニ、スガイなどがいました。
※一度、水槽に入れた生き物は観察後、元の場所にかえしました。


【たくさんの生き物発見】
左上:カメノテ     右上:ムラサキウニ
左下:ベンケイガニ科の仲間 右下:ドロメ
みなさんが熱心に生き物探しをしたおかげで、下見では見られなかった生き物がたくさん見つかりました。

たくさんの種類の生き物を観察し、磯は、生き物の重要な生息場所だということが改めて実感できました。

最後に…


【危険な生き物に注意! シロガヤ】
磯には、いろんな生き物がいますが、中には危険な生き物も。
トリノハネのように岩から生えているものは「シロガヤ」といいイソギンチャクと同じ仲間です。刺されると非常に痛く腫れるため、素手では触ってはいけません。

自分も生き物も傷つけないために、むやみに素手で生き物を捕まえたりしないよう、生き物を大切にする気持ちを忘れずに、この夏の生き物観察を楽しみましょう♪

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2013年06月19日近見山と糸山公園

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

愛媛県地域で開催されているアクティブ・レンジャー国立公園写真展も今週で最後となります。1ヶ月もあっという間ですね。
23日(日)まで、松山市都市環境学習センターにて開催していますので、時間がある方は是非ご来場下さい。

【写真展の様子】
会場までのアクセスは、こちら↓
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2013/0603b.html

今回は、展示写真の1枚になっている近見山とその周辺にある糸山展望公園へ巡視を行ったのでご紹介します。

近見山は、今治市街から近く市民の裏山とも親しまれている場所です。
山頂までは、山頂のすぐ下の駐車場がありますが、近見山中腹あたりから遊歩道も整備されていて、遊歩道沿いには、200本の大島桜が植栽されています。
春には歩道沿いの桜と山頂の展望を楽しみにハイキングコースとしても利用できます。

【近見山 遊歩道】

山頂のすぐ下の駐車場から10分ほど歩くと山頂に出ます。

【近見山 山頂】


【山頂からの展望】
少し霞んでいましたが、晴天でとてもきれいに見えました。
また、山頂では、たくさんの蝶が飛んでいました。周りを見渡しただけでも5~6種類はいたように思います。目立った花には気づかなかったのですが、あちこちに飛び回っていたので、蝶の食草となる草や木がたくさんあるのでしょうか。

【左:キアゲハ 右:ツマグロヒョウモン】
じっとしていない蝶がようやく枝葉に留まったところを写真に取ったところキアゲハとツマグロヒョウモンでした。どちらも山地や草原などでわりとよく見られる蝶です。
他にもクロアゲハなどが優雅に飛んでいました。

近見山から少し来島海峡大橋の方向へ向かうと、糸山公園があります。
ここのすぐ近くには、今治市サイクリングターミナルがあり愛媛県側からしまなみ海道を自転車で渡るときの起点となっています。
糸山公園からの来島海峡の眺めは、来島海峡大橋がよりダイナミックに見えます。

【糸山公園からの展望】
来島海峡を行き交う大小様々な船は、ひっきりなしに続いていて、次々に海峡の下を通る船は見ていて飽きません。
今も昔も変わらずここが海上交通の中心となっていることを感じさせてくれます。

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2013年06月12日「海辺の生き物観察会in大角海浜公園」のお知らせ

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

梅雨になったとはいえ、松山ではまとまった雨はほとんど降っていません。今日も日差しが眩しいぐらい良い天気で、この先、雨は降るのだろうかと心配になります。
皆さんの地域は、どうでしょうか?

さて、7月6日に今治市大角海浜公園にて、ふれあい行事「海辺の生き物観察会in大角海浜公園」を開催します。
大角海浜公園は、愛媛県の最北端に位置し、先端には磯が広がります。
瀬戸内海国立公園内、愛媛県側の海岸は、公園の特徴でもある白砂青松の砂浜海岸が多く、磯があっても小規模ですが、ここ大角海浜公園は、まとまった磯が存在します。

【大角海浜公園】
今回は、潮が引いて広がった磯の観察会を行います。タイドプールや岩の隙間を覗くと、様々な生き物に出会えます。どんな生き物がいるか自分達で探して、見つけて、観察してみましょう!
詳細・お申し込みは、こちらを参考に↓
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2013/0610a.html
中国四国地方環境事務所HPより

大角海浜公園の磯でもよく見かける、カラマツガイ。
岩にぴったりと引っ付いて、観察しようと触ってみても全く動きません。

【カラマツガイ】

どうしてこんなに隙間もなくぴったりと引っ付くことが出来るのでしょうか?


実は、このカラマツガイ、自分の殻の大きさに合わせて岩を歯で削っているのです。
そうして岩と殻の隙間をなくして、自分の殻にぴったりあった家(すみか)を造っているのです。
だから、岩の隙間にぴったりはまって、観察しようと触っても全く動かなかったのです。

【カラマツガイとその卵塊】

こちらの写真、青で囲っている部分は、カラマツガイの卵塊です。5月~6月は、半円から渦巻き状の卵塊がよく見られます。
先ほどのカラマツガイの写真と比べて、赤色で囲ってあるカラマツガイは、若干、隙間があるようにみえませんか?

じっと動かないように見えるカラマツガイも、海藻を食べるときや産卵の時は、家(すみか)から動きだします。
そうして、用事をすませるとまた自分の家(すみか)に戻るそうです。面白いですね。

岩に引っ付いている貝なども、じっとしていて動いていないように見えますが、生活しているのですね。

【左:ヒザラガイ 右:ウノアシ】
少し違った視点で、何をしているのかなと考えながら観察してみるのも面白いかも知れません。
観察会では、生き物の解説の他にも、観察のポイントなども講師の方から教えてもらいます。
お楽しみに~。

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   海辺の生き物観察会 in 大角海浜公園

大角海浜公園の初夏の海辺にて、潮だまり(タイドプール)
にいる生き物の観察を行います。

日時・・・平成25年7月6日(土)13:30~16:30
集合場所・・・大角海浜公園駐車場(愛媛県今治市波方町波方)
参加費・・・100円(傷害保険代、資料代)
講師・・・山本 貴仁氏
定員・・・小学1年生以上先着20名
   ※小学生は保護者同伴
   ※申込締切 7月1日(月)
持ち物…水筒、濡れてもいい服装(長袖・長ズボン)、
    長靴又は濡れてもいい運動靴(マリンシューズ)、
    軍手、帽子、タオルなど
問合せ・申込先…松山自然保護官事務所 
TEL:089-931-5803
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2013年05月28日平成25年度アクティブ・レンジャー国立公園写真展が始まりました

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

先週の25日(土)から、愛媛会場の松山市都市環境学習センターにて「アクティブ・レンジャー国立公園写真展~アクティブ・レンジャーが伝える-中国四国地方の自然と活動~」が始まりました。

【国立公園写真展ポスター】

今年は、昨年度新たに設置された松江自然保護官事務所隠岐事務室のアクティブ・レンジャーの写真も含め、中国四国地方の7名のアクティブ・レンジャーが撮影した35点の写真を展示しています。

今年で4回目となる写真展ですが、愛媛会場は過去3回とも東予地域で開催していました。
今回は初めての中予、松山市での開催となります。
松山市は忽那諸島などが瀬戸内海国立公園に指定されています。
普段は、国立公園に馴染みがない人も写真展をきっかけに国立公園を身近に知ってもらえるかもしれません。

【開催場所:松山市都市環境学習センター】
展示会場は、松山市都市環境学習センターの一部スロープのスペースを貸していただき展示しています。

【展示の様子】
写真展示以外にも、国立公園やラムサール条約湿地などのパネルや関連施設のパンフレットなども設置しています。
四国地方では、昨日梅雨入りが発表されました。
雨の日は写真展でゆっくり国立公園の景色を堪能してみてはいかがでしょう。
その他、地域の開催場所・時期については、以下の中国四国地方環境事務所のHPからご覧頂けます。
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2013/0513b.html

5月の中旬、写真展の一枚にもなっている、蛇池湿地について定点撮影を行ってきました。

【定点撮影:蛇池湿地(2013年5月14日撮影)】

【定点撮影:蛇池湿地(2013年3月4日撮影)】
草刈りが行われていた3月の状態と比べてみると、2か月でここまで育っていました。
植物の生長の早さがわかりますね。


湿地の中の木道を歩きよく見てみると…

【モウセンゴケ】
湿地の一部ではモウセンゴケがたくさん生育していました。
違う写真には、モウセンゴケと一緒にミズゴケの仲間も見られます。

【モウセンゴケの手前にミズゴケの仲間】
モウセンゴケもミズゴケの仲間も、土壌に地下水がしみ出る、湿った環境を好みます。
湿地ならではの植物たちです。

国立公園写真展では、写真撮影位置図を地図に記した、パンフレットも設置しています。
これから蛇池湿地では、湿地性植物が増えていく時期になるので、写真を楽しんだ後は、実際の場所へ訪れてみてはいかがでしょう。

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2013年05月23日小島 磯の生き物

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

日に日に暑さが増しています。夏が近づいていますね。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

GWも終わった5月の上旬、小島(おしま)へ現地調査に行ってきました。
小島は、今治北部に位置し、潮流が速いことでも有名な来島海峡に浮かぶ小さな離島です。しまなみ海道来島大橋からも見ることができます。
ほんの周囲が3㎞ほどの小さな島ですが、日清戦争から日露戦争への時代に築かれた芸予要塞が今でも残っています。

波止浜港にあるフェリー乗り場には、隣接して造船所がたくさんあります。
間近でとても大きな船が作られていく様子を見ながら、フェリーは造船所を抜けて来島を経由し、小島へと到着しました。

【小島行きのフェリー 奥に見えるのは造船所】

島の北側へは椿の散歩道があり、そこを歩くと芸予要塞跡地を見学することが出来ます。
また、散歩道の途中にはしまなみ海道来島大橋の景色を一望出来るビューポイントがありました。

【芸予要塞(地下兵舎跡)】

椿の散歩道の途中を曲がり、小島の西側へ行くと小さなキャンプ場があり、自然海岸が広がります。そこには、潮が引いて潮だまり(タイドプール)がいくつか出来ていました。

【西側の海岸】

【潮が引いてできたタイドプール(大小様々なタイドプールが現れます)】

タイドプールの中をのぞいてみると、海藻と岩の間でぷかぷかと浮かぶクラゲを発見。
潮が引いたことで取り残されてしまったのでしょうか。タイドプールではこのような生物も間近で観察することが出来ます。

【岩と海藻の間にいるクラゲ】

そのほかにも、磯で見られる生きものがいっぱい。
岩には、イシダタミガイやヒザラガイなど多くの貝がひっついていました。

【左上:イシダタミガイ 右上:ウノアシガイ】
【左下:スガイ     右下:ヒザラガイ 】

他にも、じっと見ているとまだまだ生き物が見つかります。

【左上:エビの仲間  右上:イトマキヒトデ】
【左下:カキの仲間  右下:ミドリイソギンチャク】
エビやカキの仲間は、回りの色に同化し、岩の形に擬態しているのでぱっと見ただけでは気がつきません。じっとして良く目を凝らしてみることで見つけることが出来ます。

大小さまざまなタイドプールがあり、そこにいる生き物も違いがあります。
また、潮の引く程度によって、タイドプールの数も変わってきます。
大潮の日は、潮が良く引くため、タイドプールもたくさん出来て、いつもは見られない生物に出会えるチャンスかも。

冒頭でも書きましたが、来島大橋は潮流がとても速いことで有名です。大潮であれば、干満の差は特に激しく、目の前で見る潮の流れはもちろん、その音はとても迫力があります。
小さな島ですが、歴史散策や磯の観察、迫力ある潮流観察もできる魅力的な小島でした。


【小島から来島海峡大橋を望む】
写真ではわかりにくいかも知れませんが、潮の流れで、白波が立っています。


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2013年04月25日花の形も色とりどり

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

春になり、海浜植物もたくさん花を咲かせています。
先日、松山市忽那諸島にある中島へ現地調査に行ってきました。

【フェリーからの忽那諸島を望む】

中島へは、松山高浜港からフェリーに乗って向かいます。
フェリー航路からは、運が良ければスナメリを見ることが出来るのですが、この日は風が強く波が立っていたため観察には向かず、スナメリを発見することは出来ませんでした…。残念。

【姫ヶ浜海水浴場】

現地調査を行った姫ヶ浜海水浴場ではたくさんの海浜植物を見ることが出来ました。

砂浜に生えていたカヤツリグサ科のコウボウムギ。この植物は、雄株と雌株が分かれている雌雄異化で存在する植物です。

【コウボウムギ】
上の写真からどちらが、雄株か雌株かわかりますか?答えは最後に。。。

薄紫色や黄色の花、色とりどりの海浜植物を観察していると、花の形も様々であることに気がつきます。

【コマツヨイグサ】
石の隙間に咲いていたのはコマツヨイグサ。花は、夜を待って、夕方に開花して、翌朝しぼむため、マツヨイグサと名付けられたそうです。この写真はお昼過ぎだったので、開花途中だったのでしょうか。
コマツヨイグサは、一般的に花びらと言っている『花弁』が4枚あり、1つの花弁が両隣の花弁と重なり合っています。


【ハマダイコン】
海岸付近の空き地にたくさん咲いていたハマダイコン。ダイコンが野生化したもので、砂浜に咲くことでこの名前がついたとか。ハマダイコンの花弁は4枚あり、2つの花弁が対になり十字型をしています。


【ハマエンドウ】
砂浜に咲いていたハマエンドウ。こちらは、特徴的な花の形で、花弁は5枚あります。マメ科の植物に多く蝶型花とよばれています。ちょうど今が旬で山で見かけるフジも同じ花の形をしています。

【フジ】

コマツヨイグサと同様、石の隙間に生えていたツルナ。葉は多肉質で柔らかく食用になるとか。
こちらのツルナ、葉っぱに隠れていますが、赤色で囲った部分に黄色い小さな花があるのが分かるでしょうか?

【ツルナ】
こちらの花弁は、と言いたいところですが、実はこれ、花弁ではなく『萼(がく)』と呼ばれる部分です。
ツルナは、花弁を持たない不完全花で、萼が開いたものが、花弁(花びら)に見えているのです。
萼は、花弁や雄しべ、雌しべなどを保護する役割をしています。

花の形も色々ありますね。
花びらかと思っていたのは、実は花びらではなかったとか、普段は意識していなかったけど、よくよく観察して見るとおもしろいですね。
今回紹介した海浜植物は、比較的どこの海岸でも見られ、また区別もしやすいので、海へ行った際は、探してみて下さい。

さて、始めに問題を出した、コウボウムギの雌雄、正解は…


茶色をした穂が雄株で、淡黄緑色のものが雌株でした。正解していたでしょうか?

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2013年04月22日東予の自然遊歩道

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

今年の桜は例年よりも早咲きで、暖かくなるのも早いかなぁと思っていたのですが、このところ急に寒くなったり、気温の変化で風邪を引かないようまだまだ油断は出来ませんね。
みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。

私は、早いもので松山アクティブレンジャーとして3年目を迎えました。
今年も瀬戸内海の魅力を発信していきますので、どうぞよろしくお願いします。

休暇村東予のある東予集団施設地区は、瀬戸内海国立公園愛媛県地域の利用拠点となっています。
昨年リニューアルオープンした東予キャンプ場は、目の前に白砂青松の桜井海岸があり穏やかな瀬戸内海、内海多島海景観を楽しむことができます。

キャンプ場に隣接する自然遊歩道は、丸太階段が整備され利用しやすくなっています。
今回は、自然遊歩道を歩き、現状を確認してきました。

自然遊歩道

ちょうどコバノミツバツツジが見頃を迎えており、花には蜜を求めてキアゲハやハチなどが集まっていました。

コバノミツバツツジとキアゲハ

この自然遊歩道には、展望台が2箇所あり、そこからは瀬戸内海を一望出来ます。

展望台から景色 中央に見えるのは平市島 その右は小平市島
この日は少し霞んでいましたが天気も良く、瀬戸内海は波も風もなく、とても穏やかでした。潮目がはっきりと見えるのが、写真からもわかるでしょうか。

自然遊歩道を歩いていると、足下にはスミレが可憐に咲いていました。また、姿はしっかりと確認出来ませんでしたが、鳥の鳴き声もたくさん聞こえました。

スミレ

展望台から海岸に向けて自然遊歩道を下っていくと、東予キャンプ場へ到着です。
キャンプ場では、白色の花のスミレも発見。キャンプ場の隅に2株だけ咲いていました。

白色の花のスミレ

海岸には、ハマエンドウやハマダイコンなど海浜植物も花を咲かせていました。
花が咲くと色々な虫が集まり、虫を狙って鳥たちもやってきます。春になり生き物たちの活動も活発になります。海水浴はまだ早いですが、植物観察や野鳥観察いろいろな楽しみ方ができる東予へ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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2013年03月12日「笠松山・世田山ハイキング~春の訪れを感じよう~」を実施しました。

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

3月2日(土)に、当事務所主催の観察会「笠松山・世田山ハイキング~春の訪れを感じよう~」を行いました。

笠松山・世田山の標高は300m程度で、ハイキングとしても気軽に楽しめるコースであるため、多くの方からご応募いただき、当日は参加者36名、スタッフ8名、総勢44名でハイキングを行いました。

【奥に見える山が笠松山】

笠松山の麓にある今治市朝倉支所から出発し、まずは野々瀬古墳群の見学を行いました。
野々瀬地域には、古墳時代後期~終末期の円墳が20基余り現存しています。その中で、愛媛県下でも規模が大きい五間塚古墳、七間塚古墳を見学しました。

【七間塚古墳】
七間塚古墳の石室は、全長10m、高さは2mもあります。
五間塚古墳と七間塚古墳は、古墳の中に入ることができ、皆さん実際に中に入って大きさを実感していました。

野々瀬古墳群を見学した後は、いよいよ笠松山へ。
笠松山は、2008年8月に山林火災があり、107ヘクタールの山林が焼失しました。
山林火災が起きる前の笠松山はどのような植生だったのか?世田山や周りの山と見比べて講師に説明してもらいます。また、笠松山登山口にあるヒノキ林の下層に生えるコシダとウラジロについても説明して頂きました。

【ヒノキ林 コシダとウラジロの説明】

【笠松山 登山道】
火災から4年経った現在は、ボランティア団体の植栽や間の治山事業により徐々に復旧しています。その様子を実際に目で見ながら登山しました。


【笠松山山頂】
笠松山山頂からの景色は絶景です。そこから見える来島海峡大橋や瀬戸内海の島々の歴史についても講師から解説して頂きました。

笠松山でお昼休憩をした後、笠松山から尾根沿いを通って世田山へ向かいました。

【世田山へ】
ここが一番の難所の急傾斜地なのですが、みなさんしっかり前の人に続いて歩いていっています。

世田山から下山途中、いくつかの植物を講師の方から紹介してもらいました。

【左:メヤブソテツ  右:ヤブソテツ】
メヤブソテツは、上の写真右にあるヤブソテツと同じオシダ科ヤブソテツ属のシダ植物です。一般的にヤブソテツはよく見られますが、メヤブソテツは、愛媛県のレッドデータブックの準絶滅危惧(NT)に指定されています。


【ハカタシダ】
シダ植物などは、しっかりと観察したことが少ないのか、みなさん形の違いやその美しさにびっくりしていました。

また、そのほか笠松山、世田山で見られた植物です。

【左上:オオシラガゴケ 右上:キンシゴケ】
【左下:トゲシバリ   右下:シハイスミレ】

コケ植物のオオシラガゴケや地衣植物のトゲシバリは、下層まで光が良く届いたり、乾燥に強かったりする条件からアカマツ林内でよく見られる、アカマツ林を特徴する植物です。
キンシゴケは、胞子のうの柄が黄金色をしているように見えませんか?そこからキンシゴケと名付けられたそうです。
また、笠松山山頂へ上る階段にひっそりと生えるシハイスミレも見つけました。

笠松山・世田山の自然についてだけじゃなく、歴史についても学べたハイキング。
実際に自分で歩いて、耳で説明を聞いて、目で見て、感じて、みなさん満足して頂けたのではないでしょうか?
皆様、お疲れ様でした。

【集合写真】





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2013年02月19日弓削島 三山

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

1月の下旬に定点撮影をおこなうため、越智郡上島町弓削島へ行ってきました。
上島町は、弓削町、生名村、岩城村、魚島村が平成16年に合併し出来た町で、愛媛県の東北部、広島県境にあり、ちょうど瀬戸内海の真ん中に位置します。

上島町へのアクセスは船で、今回弓削島へは、広島県尾道市因島フェリーに乗船し、生名島に上陸し、橋を渡り、佐島を経由して行きました。

定点撮影ポイントである、松原海岸・法王ヶ原は、愛媛県の名勝に指定されており、また白砂青松の波静かな自然波静かな海水浴場は環境省指定の海水浴場百選にも選ばれています。

松原海岸・法王ヶ原のパノラマ写真

法王ヶ原 マツ林

近年、瀬戸内のマツ林もマツ枯れや塩害で数が減ってきており、法王ヶ原もパノラマ写真を見る限りは砂浜の後方にマツ林が多く残っているように見えますが、実際に近づいてみると、マツ枯れのせいか、たくさんのマツの切り株がありました。

海岸付近の伐採されたマツの切り株


松原海岸

マツの切り株は見られましたが、白砂青松の風景を維持できるように管理されているので、今後どのような変化が見られるかは引き続き定点として観測していきたいと思います。

その後、弓削島北部にある三山へ現地調査に行ってきました。

林道 三石線

「林道 三石線」の標識を目印に林道を進んでいくと、三山への登り口を発見しました。

左:生活環境保全林の案内版 右:登山道入口

林野庁の治山事業の一環として生活環境保全林として、整備されており登山道沿いには桜が植樹されており、春になると桜も楽しむことができるようでした。

登山道沿いに桜の植樹

頂上へは10分程度で到着し、頂上には展望台はないものの、休憩スペースのような広がりがあり、ちょうど木の隙間から上島町のひとつ魚島村が眺望できました。

魚島村

展望台がないため、枝葉が盛んな夏頃はあまり良い展望は良くないかも知れませんが、今の時期だと、樹木は葉を落としているので、景色を楽しむことができます。
徐々に寒さも和らいでいくと思いますので、軽い運動と合わせて三山からの景色を楽しんでみてはいかがでしょう。
また、桜の時期には桜越しの展望も素敵かもしれませんね。



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2012年12月26日冬の台海岸

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

2012年も残すところあと一週間を切りました。あっという間の一年でしたが皆さんはいかがだったでしょうか。

今年は例年よりも厳しい寒さで、松山でも平年より9日早く初雪が観測されました。
これからまだまだ寒さが厳しくなるようで一層の寒さ対策をしなくてはと思う私たち同様、植物たちも寒い冬を乗り越えるため冬支度をしています。

先週、大三島へ現地調査を行いました。
この日は、気温は低いものの、天気は良く澄み渡っていて台(うてな)海岸からは、安神山、鷲ヶ頭山がくっきり見ることが出来ました。

大三島 安神山、鷲ヶ頭山

台本川河口から台海岸へ
台本川河口では、海へと繋がる部分に自然堤防のような微地形が出来ていて、その後背湿地には湿性植物ハマサジの群落、その上の砂浜に海浜植物ハマゴウの群落と帯状に分かれて存在しています。海岸の埋立工事や護岸工事でこのような地形は少なくなり、台海岸のように湿性植物と海浜植物が大面積で共存しているのはとても珍しく、生物のすみかとしても貴重な群落となっています。

ハマゴウ群落 ハマサジ群落
上写真の赤線より上がハマゴウの群落で、下がハマサジの群落となっています。

ハマゴウは葉を落とし、ハマサジの群落も種子を落とし枯れていて、動物の様子はなく、どこか寂しげな雰囲気が漂っていましたが、一面をよくよく見るとまだ枯れずにいる植物がちらほら。

ハマゼリ
海岸の砂泥地に生える越年草のハマゼリ。セリ科の仲間で愛媛県のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。


ハママツナ
この時期に?とびっくりされるかもしれませんが、多肉質の葉が赤紫色に紅葉したハママツナ。枯れた草花のなかで赤紫色が目立って見られました。


タイトゴメ
同じく海浜植物のタイトゴメも下部の葉が紅葉しているのがわかります。形がとてもかわいらしく名前の由来は細長い大唐米に似ていることからだそうですが、バラのようにも見えます。5~7月にかけて黄色い花もとてもかわいらしく咲きます。

自然海岸の残っている台海岸には、たくさんの植物が残っています。微地形も多様な植物が生息する環境として大事ですが、台本川へ流れる水も植物にとっては非常に重要です。

入日の滝
台海岸から鷲ヶ頭山へ向かう途中にある入日の滝から流れる水は、一年を通して枯れることはないそうです。ここから台本川へ流れる水によって台海岸の豊かな自然は保たれているのだろうなと思います。

来年も台海岸一面に広がる植物群落が見られることを楽しみにしています。
今年もAR日記をご覧頂きありがとうございました。
それでは、みなさまよいお年をお迎えください。

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