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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 松山

154件の記事があります。

2008年11月10日ツワブキ・ノジギクが見頃です -佐田岬-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 佐田岬半島・晩秋編です。
愛媛県・伊方町にある佐田岬灯台への遊歩道沿いでは、ツワブキと
ノジギクの花が見頃を迎え、秋も終盤、冬の足音が聞こえてきました。
あたりは慎ましく咲いた花の甘い香りに包まれています。
散策、おすすめですよ。


写真:遊歩道脇に咲くツワブキ


写真:アシズリノジギク
〈撮影は2008年11月5日です〉

○ツワブキ
 暖地の海辺や疎林下、やぶ地などに生える。若葉の葉柄は食用になる。
分布:太平洋側は福島県以南・日本海側は石川県以西、四国、九州、沖縄
花期:10月~12月

○アシズリノジギク
 ノジギクの中でも太平洋や豊後水道に面した厳しい岩場に生える変種
分布:四国では高知県の足摺岬~愛媛県の佐田岬にかけて分布し、
九州の大分県にも分布が知られる。
花期:11月~1月


-番外編-
9月初旬にあちこちで姿を見たセンニンソウのかわいい白い花
(ちなみに白い4枚の花弁に見えるのは萼)。
すっかり老けて、ヒゲが生えていました。

(写真上:花期 9月上旬)
(写真下:果実 11月5日)

・・・花の時期が終わり、果実になっていたわけですが、この実の先に
ひょろりと伸びたふさふさのものを「仙人の髪」に見立てて、
センニンソウという和名がついたという説が有力だそうです。
種の姿を見て、なるほど納得です。

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2008年10月27日10月 全国・自然歩道を歩こう月間

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 10月は環境省が「全国・自然歩道を歩こう月間」と提唱し、
長距離自然歩道(※)を始め、自然や文化に恵まれた自然歩道を歩くことを
目的とした行事を様々な団体が実施することを奨励している月です。

 26日日曜日には、休暇村瀬戸内東予が主催するウォーキングイベント・
「ふるさとウォーキングⅢ~絶景!しまなみ海道と亀老山(きろうさん)~」に
私も参加し、瀬戸内海国立公園と全国・自然歩道を歩こう月間のPRを
行ってきました。

 まずは今治市の糸山公園を出発し、しまなみ海道の来島海峡大橋を
てくてく1時間。しまなみ海道は西瀬戸自動車道という高速道路ですが、
自転車・歩行者道と、原動機付自転車用の道があり、サイクリストには
全国的に人気のスポットだそうです。
また特に歩行者は無料で、橋を渡る空中散歩を楽しむことができます。


写真:眼下には瀬戸内海。島々を結ぶしまなみ海道を歩きます。

 昼食後、愛媛屈指のビュースポット、亀老山山頂を目指します。
当然ながら、ひたすら上り坂。しかし、毎日何時間も歩いている!
というウォーキングイベントリピーターの方々は、足取りも軽くハイペース。

 登ること1時間半、なんとか無事、展望台のある頂上に到着!
 残念ながら完歩できなかった方もいらっしゃいましたが、
休暇村のバスにて、全員無事に頂上へ到着しました。


写真上:亀老山山頂に近づくと、視界が開けて海が見渡せます。
写真下:亀老山展望台から。今渡ってきた来島海峡大橋が見えます。

 残念ながら小雨まじりのお天気で、少し肌寒いくらいの気候でしたが、
歩いて体はほかほか。
体を動かすにはちょうど良いくらいだったかもしれませんね。
みなさんには、お気に入りの散歩道、ありますか?


長距離自然歩道 四国のみち版パンフレット

〈※長距離自然歩道〉
 四季を通じて手軽に、楽しく、安全に自らの足で歩くことを通じて
豊かな自然や歴史・文化とふれあい、自然保護に対する理解を深めることなどを
目的とした歩道。
 詳しくは、自然大好きクラブHP・長距離自然歩道を歩こう!↓↓
http://www.env.go.jp/nature/nats/shizenhodo/index.html

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2008年10月17日遺跡が眠る島・能島(のしま)

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは。松山でも朝晩はもう寒いくらいの気候になり、
周囲の木々もうっすら色づいてきました。
紅葉の便りも新聞などで目にするようになりましたね。

 さて先日、今治市の大島の北側に浮かぶ小さな島、能島に行ってきました。
能島は現在無人島ですが、かつて戦国時代に強大な勢力を誇った水軍、
能島村上氏の城郭があったところだと考えられており、
国指定の史跡となっています。
また、国立公園の中では、第1種特別地域という区分に指定されており、
潮流瀬戸や多島海の景観が非常に美しいところです。


写真:中央左が能島 (カレイ山展望台から)

 能島では、遺跡発掘の真っ最中でしたが、発掘作業のお忙しい中、
村上水軍博物館の学芸員の方に案内していただきました。
能島への定期船はないため、発掘の作業をされる方は地元の
漁船などで島へ渡っています。

 周囲1kmにも満たない小さな島ですが、海岸には、
同じ村上水軍の本拠地があったとされる来島でも見られる岩礁ピット
(船の係留施設の遺構と考えられる、岩場にあけられた穴の跡)が残っており、
陸地部では建物があった痕跡の柱穴跡、土器が発掘されるなど
興味深い発見がたくさんあるようです。


写真:発掘作業が行われ、雨などから守るため
ビニールシートがかけられている。

 また、この日は大潮で、島から帰るときに能島周辺の激しい潮流を
目の当たりにしました。日によって、また時間によって潮流は刻々と
向きや勢いを変えるため、周辺での操船はとても難しいそうです。
島が地の利を活かした、「天然の要塞」と言われる所以を実感。
 

写真:激しく渦巻く、能島周辺の潮流

 現在松山では、次回のふれあい行事を実施すべく計画を
練っているところです。また日記でもお知らせしますので、
どうぞお楽しみに。

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2008年09月22日ヨモギ採集

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 前回の日記(http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2008/09/351.html)
に続き、研究用の植物採取についてです。
 緑化植物(道路などの工事後に緑化する時に使用される植物)に
関する研究のための植物採集の依頼があり、愛媛県内の国立公園でも
対象種がたくさん自生している場所を探していました。
 採取するのは開花期の葉。


 対象の植物の1つであるヨモギは、前回の調査では堅いつぼみ状態でしたが
(上 9月3日撮影)、2週間空けてみたところ花が咲いていました(下 9月17日撮影)。
開花も確認したところで、いよいよ採集です。

 実はヨモギの花をまじまじと見たのは今年が初めてです。
ヨモギの花はあまり目立たない小さな花で、キク科の植物では珍しい
「風媒花(ふうばいか)」だそうです(虫ではなく、風に花粉を運んでもらって受粉する植物)。
 ヨモギの葉は食べ物やお灸などに利用するということでなじみがありますが、
花粉は花粉症の原因にもなるそう。
次から花粉対策にマスクが必要かも…。

 当日は小雨が降ったり止んだり。
ヨモギまみれ、クモの巣まみれになり、黙々と作業すること数時間。 


 DNAサンプル用に、葉の「組織液」を採取。


 一個体ずつ、葉を袋につめて研究機関へ発送!

 種判別や手順など、まだまだ不安は残りますが、不備がありませんように…
数年計画の研究だそうで、採集は、まだまだ始まったばかりです。


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2008年09月19日秋の七草?

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 迷走した台風がようやく去っていきましたね。
松山での被害はなかったものの、期待された恵の雨はほとんど降らず。
愛媛では水の大切さを実感する日々です。

 さて、8月から、ススキ、ヤマハギ、ヨモギを探していました。
ススキ、ヤマハギ、って… お月見?秋の七草探し?
ではなくて、植物調査のために全国の国立公園でこれらの植物の採集の
依頼がきているため、愛媛の管内での適地を探していました。

 「萩」といえば、一般的には全国的に普通に見られる「ヤマハギ」という種類を
指すそうですが、四国では、図鑑や植物の専門家のお話によると
ヤマハギは「やや稀」とのこと。
土佐清水のARもヤマハギ探しに苦労しているそうで、
こちらも探し回って素人目に発見した萩は別種のようでした。



これは、今回は違う「萩」。

 名前はなじみの深い植物ばかりですが、地域によって少なかったり、
類似種があるようで、植物の専門的知識のない私にとっては、
普段、鑑賞するときなどでも特別に種類など気にしたことがないだけに、
「この種」を「特定の時期」に「たくさんあるところ」…etc.
色々条件付きで探すというのはなかなか大変なようです。



8月下旬。土も植物も夏バテ気味?少雨で乾燥してます。

○余談
 書いたように調査と秋の七草とは全く関係ないのですが、ススキとハギを探すうちに、
他の七草を意識するようになりました。
地方によっては、生えていなかったり、減ってしまった七草もあるようです。

~秋の七草~
 萩、尾花(ススキ)、葛、女郎花、藤袴、桔梗、撫子

 秋の七草は、春の七草で食べるのとは違い、花の美しさを眺めて楽しむもの
なんだそうですね。
食いしん坊の私はどこかで食に結びついているんだろうと思っていました…。
秋の七草の繊細な美しさって日本の美的感覚だなぁと、季節を感じる秋です。

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2008年09月12日秋の佐田岬

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 瀬戸内海と宇和海に挟まれた愛媛県の佐田岬半島。
その先端・佐田岬灯台へと続く、木々に囲まれた遊歩道を歩くと、
急潮の潮騒や鳥や虫たちの声が賑やかで、季節により様々な自然に出会うことができます。
今回は秋('08年9月11日)に出会えた風景をご紹介します。


遊歩道から見える瀬戸内海とセンニンソウの白い花

 一面のお花畑ではありませんが、道の脇にはひっそりと可憐な花々が咲いていました。

クズ、オオキツネノカミソリ、
ヤブランの仲間、ヤブツバキの実(花は、もう少し先…)

もうじき、ツワブキの花が咲き始めます。

 また、今回は珍しい(?)散策者が。
 灯台からの帰りの上り坂、ガサッと音がするので、すれ違う人かと思って顔を上げてみると。

ん!?
 …イノシシでした。

 しばし目が合ったあと、幸い静かに立ち去りました(写真は去り際の後ろ姿)。
 保護官や、あとから話した人からは「おとなしかったから良かった」、
「イノシシは突進してくるから気をつけなよ」などと言われましたが、どう気をつければいいものやら。

 調べてみると、イノシシに出会ったときは騒いだりして刺激しない、
突進してきたら横にかわす、木に登る、などなど…。心構えがいるようです。
住宅街や畑、はたまた海をも泳いで渡るたくましい動物。
みなさんも出会ったときにはお気を付け下さい。

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2008年09月11日四国の「最西端」

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 四国の一番西に当たる佐田岬。読みは「さだみさき」。
よく「佐多岬:さたみさき」と混同されますが、「佐田岬」は愛媛県、「佐多岬」は鹿児島県にある岬です。

 佐田岬の駐車場は、地滑りの影響により長く利用できない状態が続いていましたが、
伊方町(旧三崎町)による整備が終わりこの夏から利用再開となっています。
周辺の巡視も兼ねて、駐車場の様子を確認に行ってきました。



 平日ですが、利用者もおり入れ替わりで車が行き来します。
アクセスしやすいところではありませんが、年間通じて観光に来られる方が見られます。
 駐車場の奥からの眺めも最高。
蒼い宇和海が眼前に広がり、佐田岬の先端、佐田岬灯台が一番先端の山影に少し見えます。
九州側、大分県も今日はうっすら見えました。


駐車場からの眺め

 じゃあ、行ってみようかな、という方。駐車場は到着地のようで、まだまだ通過点。
およそ50kmの細長い半島をドライブしてこの駐車場に着いた後、
2km弱の遊歩道を登ったり下ったりしたところが佐田岬灯台の待つ岬の先端です。
「日本一細長い半島」、「四国最西端」の異名にふさわしく、
真の「最西端」への道のりはなかなか険しい(?)ものです。
足など悪い方には大変かもしれません。


木のトンネルの中を歩く遊歩道

 駐車場で満足する方、歩く時間がなくて引き返す方、灯台までの道のりを聞き諦める方、
いろいろです。
 往復1時間程度はかかりますが、一見の価値あり!
ぜひぜひお越しの際は時間に余裕をもって「最西端」まで、散策してみてください。

 続けて、次回は秋の佐田岬で出会った自然をご紹介したいと思います。

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2008年09月05日笠松山の山林火災

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 8月24日夕方、愛媛県今治市の笠松山で山林火災が発生しました。
全国ニュースにもなっていたので、耳に挟んだ方もいらっしゃる
かもしれません。

 笠松山は標高357mの小高い山で、遊歩道のほか、麓には古墳群などもあり、
古くから地域の人々に親しまれてきた里山です。
このあたりは瀬戸内海国立公園の一部でもあり、私も休暇村瀬戸内東予が
実施するウォーキングイベントや、巡視などで何度かのぼったことがありますが、
瀬戸内海や周囲の田畑の景色が見渡せ、とてものどかで美しいところです。

 火災発生の翌日に付近を通ると、景色は一変。
ものすごい煙が巻き上がっていました。


8月25日撮影

9月3日撮影(鎮火後)
 
 懸命な消火活動が行われた結果、完全な鎮火が宣言されたのは、
発生から6日目のことでした。一時、山の麓の住宅の近くまで火の手が
迫ったようですが、民家などには被害がなかったのが幸いでした。

 雨が少ないとき起こった火災。乾燥しがちな瀬戸内ではたびたび山火事が
起こります。火の手はあっという間に広がってしまいますが、
また緑豊かな山に戻るにはしばらくの年月がかかりそうです。

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2008年08月29日夏の思い出

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは、今朝はものすごい雨の音で目が覚めました。
ひとしきり雷がなりひびき、土砂降りになりましたが、出勤の頃には
小雨になっていました。松山では雨の少なかったこの夏。
恵みの雨とはいえ、全国的にも局所的な豪雨が多く、本当にこわいですね。

 さて、先日、事務所宛に1通のお便りが届きました。
開けてみると、先月の観察会の様子が描かれたとってもすてきな絵日記や作文、
お手紙が入っており、参加してくれた男の子からのものでした。
御礼の連絡をしたところ、お母様のお話しによると、
「とても楽しかったみたいで、宿題の作文も絵日記もすぐに終わりました」
とのこと。見せてあげたいと言うので、送って下さったそうです。

 読ませていただくと、たくさんの生き物と出会えたことや、
当日手伝ってくれた大学生のお兄ちゃんたちと遊んだことがとても楽しく、
自然が大好きになった、というような内容のお手紙や日記を書いてくれていました。
 じーん…。とても心温まるうれしい出来事でした。

8月ももう終わり。学校の夏休みも終わりに近づきましたね。
楽しい夏の思い出、できましたか?


写真:今治市 近見山から。 
夏らしい空と来島海峡の青、山の緑に囲まれた今治市街

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2008年08月27日蝉時雨

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 先日から野外での調査が続きました。夏も終盤ですが、セミの声はまだまだ元気です。
 事務所で毎日聞こえるのは、そばにある松山城の城山や、お堀の木々からの
「シャンシャン!」といったクマゼミの大音量の鳴き声が主です。
しかし、同じ県内でも場所によって合唱の主役は違っており、
少し山のほうへ行くと「ミーンミン」や「ツクツクボウシ」の声に包まれました。


ミンミンゼミ

ツクツクボウシ

 セミ達は同じ種類のセミ同士で、違うセミとは鳴く時間帯や地中から出て
成虫になる時期まで、少しずつピークをずらしているという話を聞きました。
都市化や温暖化で生息域が変わったり、狭くなったりしても、パートナーを
見つけて子孫を残す工夫や努力がなされているんだなぁと感じました。
 おしりをプルプル震わせて、一生懸命鳴くセミをじっくりと見たのは久しぶりです。
しっかり記憶して、環境省生物多様性センターが「いきものみっけ」http://www.mikke.go.jp/
で情報募集中の「いきものしらべ」にも発見地点を報告しました。

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