ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大山隠岐国立公園 米子

239件の記事があります。

2015年10月16日【大山を守る】大山山頂保全活動が行われました!

大山隠岐国立公園 伊藤信広

 ご訪問ありがとうございます!

真っ青に晴れ渡った空の下、国立公園大山(標高1729m)で平成27年9月28日、「大山の頂上を保護する会」のメンバーらが中心になり頂上保全活動が実施されました。

当日の参加者は、ボランティア、行政関係者なども加わり約30名で3班に分かれて頂上保全活動を行うことになりました。そして最初に保護する会の後藤先生の実践指導のもと、ヤマヤナギの苗約70本を弥山頂上碑(標高1709m)の周辺から順次植栽が開始されました。続く狭い尾根での植栽活動前には、背中を谷側に向けないことなどの安全作業への留意事項が説明されました。その後、崩落が著しく進む三角点への尾根に沿って苗植えが行われました。苗植えの後は、耐久性のあるヤシの繊維で作られた網や、コモを敷く作業など、植物の植生復元を助ける対策が行われました。また頂上の弥山避難小屋付近ではオオバコなどの外来種駆除作業が実施されました。

【ヤマヤナギの植樹】

【植樹後、足で周囲を踏み固め】

【コモをかぶせて保護する作業】

頂上を保護する会は、1985年の発足以来、山頂での保全活動を毎年、積極的に取り組んできています。歴史を振り返ると、大山は昭和11年(1936年)に日本で3番目に国立公園の指定を受けました。その後、西日本を代表する山として広く知られるようになりました。また冬期は、西日本のスキー場のメッカとして多くのスキーヤーにも愛されるようになりました。そして昭和50年代には、年間10万人の登山者があったと言われています。(現在は、年間約6万人)。

従って、多くの登山者によって、次第に弥山山頂一帯が裸地化していきました。この緊急事態のなかで、「大山の頂上を保護する会」が「一木一石運動」を行動目標として、昭和60年(1985年)に誕生しました。そして昭和61年(1986年)には環境庁によって「大山頂上保全計画」が策定されました。昭和62年(1987年)には環境庁の補助によって、鳥取県が主体的に「大山頂上植生復元事業」を開始しました。その後、専門家による「大山頂上保全研究会」が組織され多大な役割をはたしています。

頂上を保護する会が誕生して30年が経過しています。今後も大山を愛する人達の力によって再生した大山山頂の植生保全を継続実施していくことが大切です。そのことにより大山の自然景観も改善されていくと思います。

そのためには、この山頂保全活動のバトンを受ける若い力が必要です。若い人たちが主体的に関わっていける環境つくりが、これからも必要と感じています。今後も出来ることから小さなことから、大山の魅力を伝えて行きたいと思います。

最後までご覧くださりありがとうございました!

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2015年10月08日【外来生物対策】大山の貴重な生態系を守る

大山隠岐国立公園 大利茜

「外来生物」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

ブラックバス、アライグマ、カミツキガメ・・・

最近ではメディアで取り上げられることも多くありますね。

 

 

では、これは何という花でしょう?

ブタナ

「ブタナ」といって、これも外来植物です。

道路脇などによく生えている、タンポポに似た花です。

ヨーロッパからやってきたこのブタナをはじめとした外来植物は、

日本にもともと生えている「在来植物」よりも繁殖力が強い場合が多く、

いったん侵入すると人の手で除去をしない限りどんどん生育域が拡大していきます。

そうなると、もともと生育していた植物の生育地が奪われ、例えば高山植物が少なくなったり、

山の景色が変わってしまったりということが起こります。

 

 

●今回は、石川県の白山において外来植物対策の活動などに熱心に取り組まれている

 お二人の講師をお招きし、事例講習会と技術講習会を、2日間に渡って行いました。

 

 日時:平成27年9月30日「事例講習会」@モンベル大山店

        10月1日「技術講習会」@桝水フィールドステーション

 講師:稲葉弘之氏(環白山保護利用管理協会)

    野上達也氏(石川県白山自然保護センター)

 

外来外来種実技

<1日目 事例講習会の様子>   <2日目 技術講習会の様子>

 

●1日目の講習会では、外来植物の分布、外来植物問題への取組み状況や実施体制、

外来植物の侵入防止対策、除去方法の紹介など、白山地域の事例をお話しいただきました。

約25名の参加者の皆さん、熱心に耳を傾け、質問などされていました。

 

●2日目、お天気は一変し、雨風の強い日でした。

少し雨風の弱い時間を見計らって外に出て、実際に外来植物駆除を実践しました。

 

除去作業植物除去後

<除去作業の様子>      <短時間でこれだけ除去できました>

 
 

オオバコ3.5kg

ブタナ5.1kg

セイタカアワダチソウ15kg

ヘラオオバコ1.6kg

ヨウシュウヤマゴボウ4.4kg

ヒメジオン1.02kg  

 
 

参加者15人で1つの場所を20分程作業しただけで、こんなにたくさんの種類の外来植物が!

場所や根の生え方等によって、使う用具や除去方法も異なります。

効率よく、確実な方法を、改めて学ぶことが出来ました。

 

ワークショップ

<ワークショップでの発表の様子>

午後に行ったワークショップでは、実際に大山でどのような取り組みをしていくべきか、

どのような取り組みが可能かどうか、地域ごとに分かれてアイデアを出し合いました。

 

 

「まずは、外来植物が存在する風景に『違和感』を感じること。そこから活動が始まる。」

このように講師の先生はおっしゃいました。

 

『外来植物そのものは決して悪者ではない』のですが、

大山の素晴らしい景観と貴重な生態系を守るため、皆さん一丸となって活動をしていきたいですね。

 

集合写真

<参加された皆さん、お疲れ様でした>

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2015年08月27日【出前授業】大山のふもと、日光小学校

大山隠岐国立公園 大利茜

大山のふもとにある、伯耆町立日光小学校。

学校のそばには大山より白水川(しらみがわ)が流れ、見上げれば大迫力の大山がドーン!とそびえ立っています。

児童数8名という小さな学校ですが、子ども達は元気いっぱいです。

今回は日光小学校さんからご依頼を受けて、私たちアクティブレンジャーが大山を取り巻く自然についての授業を行いました。

 

挨拶のあとは、国立公園やレンジャーのお仕事について説明。

その後の水についてのお話では、みんな興味津々の様子でした。

地球に存在する水を1リットルの水に例えると、人間が飲むことのできるお水はたった1滴!

これにはみんなビックリで、「水を大事にしないといけないと思った」という声も出てきました。

  

説明風景水

<国立公園やレンジャーのお仕事とは?> <地球上のお水、人が飲める水はどのくらいある?>

 

続いては水を使った楽しいゲーム「水リンピック」(プロジェクトWETより)

表面張力を利用して、クリップを浮かせたり1円玉を沈めたり・・・赤白チームに分かれていろいろな対決をしました。

水っておもしろいんだね~

 

水リンピック2水リンピック

<水のオリンピック「水リンピック」> <表面張力を活かしたゲーム、盛り上がりました>

 

今日のメインプログラムは「ストーンペイント」。

学校の脇を流れる川でお気に入りの石を拾い、学校や夏休みの思い出、自分の好きなものなどを描きます。

大山の雪解け水が流れる白水川は、夏でもとっても冷たい!

みんな「ひゃ~!」などと声をあげながら、楽しそうに川に入り、お気に入りの石を探しました。

(河川管理者に事前確認の上、石を拾っています。)

 

石さがし

<石のいろいろな形は水の力でできているんだね> <河原でお気に入りの石さがし!>    

 

石にポスターカラーや絵の具で絵を描いて、ニスを塗ったら完成です。

石の元々の形を活かしたもの、自分へのメッセージを描いたもの、大山の山をイメージしたもの・・・

思い思いの、個性あふれる作品が完成しました!

  

ストーンペイントニス塗

<思い出、好きなもの・・・ポスカで絵を描きます> <ニスを塗って仕上げます>

 

仕上げ

<みんな真剣な表情で作っていました!>

  

今回参加してくれたみんなには、記念の缶バッヂなどをプレゼントしました! 

「今まで知らなかった環境の事を知ることが出来た」、「水にはいろいろな力があって面白いと思った」、「石に絵を描くのがおもしろかった」

など、子どもたちは笑顔で感想を述べてくれました。

   

作品発表環境省バッヂのプレゼント

 <作ったストーンペイントの発表>  <記念にバッヂをプレゼント!どれにしようかな?>

 

歌感想発表

<最後にみんなでエーデルワイスを歌いました♪> <今日の感想>

 

 

夏休みも終わり、いよいよ新学期です。

秋には紅葉した木々が大山を彩り、そして雪が降り、あっという間に冬が訪れ、季節がめぐります。

みんなたくさん遊んで、大山の恵みを全身で感じていってくださいね。

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2015年08月17日【イベント】写真展に来てごしないね~

大山隠岐国立公園 大利茜

★米子弁「来てごしないね」は、「お越しくださいね」という意味です。

 

中国四国を巡回している「アクティブレンジャー国立公園展」が、大山情報館にて開催中です!

日本を代表する美しい自然やその保護保全活動の様子などを、「自然」「活動」をテーマに写真でご紹介しています。

私たちアクティブレンジャーが、パトロールや活動中に撮影した写真です。

この機会に、中国四国地方の国立公園の魅力に触れてみませんか?

 写真展

『中国四国の国立公園展-アクティブ・レンジャーが伝える自然と活動-』

会場 大山情報館 (鳥取県西伯郡大山町大山40-33)

期間 8/8(土)~9/6(日) 

時間 8:00~18:30 

問合せ 米子自然環境事務所 0859-34-9331

 

ところで、2016年より8月11日が『山の日』に制定されることをご存じでしょうか?

今年はそのプレイベントとして、8月11日に大山下山キャンプ場や鏡ヶ成キャンプ場にて、 パンフレットやティッシュ、缶バッヂなどの配布が行われました。

山の日制定のご案内と同時に、これを機に国立公園やそこでのルール・マナーに興味を持ってもらうよう、マナーブックも配布しました。

鳥取県のマスコットキャラクター「トリピー」も参上し、子どもたちに大人気でしたよ!

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2015年08月13日中海・子どもパークレンジャーが開催されました!!

大山隠岐国立公園 伊藤信広

ご訪問ありがとうございます!

「水鳥公園の生き物図鑑を作ろう!」ということで、2015年8月7日(金)~8月9日(日)9時半から

12時半までの3日間にわたり、中海の米子水鳥公園で開催されました。この3日間で陸や水中にい

る生き物をたくさん見つけて白紙の図鑑ページにスケッチをして、最終日にスケッチした図鑑ページ

を1冊にまとめて生き物図鑑を完成させよう!ということで、連日、元気な子ども達が32名参加しま

した。スタッフには地元・島根大学で昆虫を研究し、水鳥公園長年活動をしている大学生3名に協力

をお願いしました。

1日目 2015年8月7日(金)

○子どもパークレンジャー任命式の様子

有山上席自然保護官より、子ども達にレンジャー任命書が次々と手渡さ

れました。子ども達にとってきっと一生の思い出に残ることと思います。

そして将来への飛躍が楽しみです!

○レンジャーの仕事の説明

レンジャーってどんなところで活動をするの?

そして国立公園ってなんだろう?

国指定鳥獣保護区、ラムサール条約登録湿地など大切なお話がさわや

かで元気一杯の今泉アクティブ・レンジャーから子ども達に伝えられまし

た。子ども達はお話に熱心に聞き入っていました。そしてときおりクイズも

交えて説明が行われました。それに対して積極的に答える子どももいま

した!

○上昆虫を探して図鑑書きの説明

米子水鳥公園の桐原指導員から3日間の全体の流れと

今日の昆虫採取について、きめ細かく説明が行われま

した。

○さあいよいよ昆虫採取のはじまり~

桐原指導員から、現地において昆虫採取のてほどきがは

じまりました。たも網の大切な扱い方から昆虫の取り方まで

基本のお話がありました。目からうろこのが落ちるような、

昆虫採取のテクニックが伝授されま

した。かくゆう私も大変勉強になりました!

○昆虫を採取しました!

先生から網の扱い方をならったばかりですが、子ども

達は少し悪戦苦闘していました。捕獲された虫は網の

上に登ってくるという習性を生かして、上にあがってきた

虫の下の網を手で絞っている様子です!

お友達も共同作戦に乗り出しお手伝いしています!

○昆虫のスケッチがはじまりました

昆虫採取が終わりました。そして次のステップは採取した

昆虫の図鑑作りにはいりました。所定の用紙にまず今日の

日付、天候採取した場所など記入します。そして昆虫の名

前を水鳥公園の資料などで確認します。なかには名前がな

かなかわからなく奮闘している子どももいたりして、一緒に

お手伝いしたりしました♬

○初日の昆虫採取の観察結果はいかに~

さあ初日のレポートが完成しました!

時間をかけて、昆虫の体の長さ、虫眼鏡で細かい特徴を調査

して昆虫の姿をスケッチしました。そして、そのうえから色鉛筆

をつかって色塗りし、その昆虫をじっとながめて書いた特徴な

どが書かれています。普段から慣れている子どもは、短時間

で何枚も作成していました。

初体験の子ども達はけっこう大変そうにみえましたが。

やり終えたときの表情にはほっとした印象を受けました!

○とれた昆虫たち(2015年8月7日)

今日1日でとれた生き物たちは、カブトムシ、エンマコオロ

ギコアオハナツムリなど全部で35種類でした。

子ども達の奮闘でこんなに多くの種類の昆虫が、水鳥公

園に生息しているのだなとびっくりしました。

2日目 2015年8月8日(土)

○水生生物を探して図鑑書き

さあ2日目がスタートしました。

晴天の中、桐原先生から水槽の持ち方などについて大事な

お話がありました。昆虫かごと、水槽かごは持ち手が違うこと

を説明されました。そもそも昆虫採取のかごと、水生生物の

かごはよく似ていますが、よくよく聞くと違うのですね!

○水生生物採取のはじまり~

桐原指導員から、現地にて水生生物採取の前に、ここは貴重

な鳥の生活場所であり普段は入られない場所という説明があ

りました。また安全上などの大事なお話がありました。そして

水中用のたも網の扱い方から水中生物の採取テクニックが話

されました。

○さあどこにいるのかな~

最初のうちはなかなかみつかりません。

たもを何度も何度も水中に入れてすくっているようすです。

あ~いないよ~とつぶやく子どももいました!

○とれたはずなんだけど~えっいないよ~

たもですくって、確かにとれたはずなんだけど・・・。

姿がみえないよ~。目をこらす子どもです。

う~んいないよ~。このあと気を取り直して再び採取にとり

かかりました。がんばって!!

○水生生物のスケッチがはじまりました

水生生物の採取が終わりました。次のステップは採取した

生物の図鑑作りに入ります。昨日と同様に所定の用紙に

日付、天候、採取した場所など記入します。そのあと生物

の名前を資料等で確認します。

そしてスケッチがはじまりました。

○採取したメダカは専用の小型水槽に移されて観察がされる。

○とれた水生生物(2015年8月8日)

2日目の今日1日でとれた水生生物は、メダカ、スジエビ、

スジヒラタガムシなど全部で16種類でした。

子ども達は一生懸命に暑さに負けずがんばって水生生物

を採取しました!

3日目 2015年8月9日(日)

○水辺の野鳥を観察して図鑑を書き、図鑑をまとめて完成

さあ!最終日になりました。最終コーナーを回るところで

す。子ども達も少し疲れが出ているころと思いますががんばり

ましょう!そして桐原指導員から本日の説明がありました。

○望遠鏡はこうして操作をします~

まず、望遠鏡の操作方法を習います。

みんな先生のお話をよく聞いていますね。

なんといってもちゃんと見えていないとスケッチできないぞ!

○さあ望遠鏡をのぞいて野鳥観察のはじまり~

おっ!はやくもスケッチの手が動いています!

そして奥の女子は遠くの野鳥を観察しているようです。

望遠鏡を見ながらスケッチはなかなか手強いのかも?

○巨大画面で野鳥をクローズアップ!

やりますね~。望遠鏡をのぞくもよし。

巨大画面で野鳥をクローズ!アップ!もよし。

これならスケッチしやすいぞ!

山鳥と違い、水辺の鳥はじっとしてくれますね!なぜでしょう

ね?

○こちらは亀さんです。

うーん。丸太に亀さんが乗っていますね!

やはり亀さんも高いところが好きなのかな?

亀さんがいなくならないうちにスケッチをがんばりましょう!

子ども達も亀さん同様に腰を落としてじっくりスケッチに取

り組んでいます~。

遠いタンザニアではゆっくりゆっくりのことをポレポレと言い

ます。みんなもポレポレでいきましょう!

○いよいよ図鑑の製本にはいりました!

さあ、野鳥観察も完了しました!

初日の陸上昆虫の図鑑、そして2日目の水生生物の図鑑、

今日の野鳥の図鑑をすべて合体して製本作業に入りまし

た!瀬川レンジャーが最後の製本のお手伝いをしています。

今日、見られた鳥などは、チョウヒ、カルガモ、マガモなど全

部で13種類にものぼりました!

初日の陸上昆虫が35種類、2日目の水生生物が16種類。

今日を合わせて合計64種類にもなりました。本当にたくさ

んの種類が観察されました。

○瀬川レンジャーから3日間のまとめと終了式の様子

それぞれの子ども達はこの3日間を短くも長くも感じたのかも

しれませんが、自分の手で生き物図鑑をつくったことは、大き

な財産になり自信にもつながることと思います。

最後までやりとげることが大切とあらためて感じました。

本当に子ども達をはじめ、関わったすべてのみなさまありがと

うございました。おつかれさまでした。


○結びに

この3日間で、多くの陸上昆虫、水生生物、水辺の野鳥等を観

察できたのも、これらの生物がいたおかげです。

子ども達は将来それぞれの道を歩んでいきますが、忘れていけ

ないことは、生き物をいたわる心です。どんな職業についてもこ

れだけは忘れないでくださいね。

どんな小さな命も大切に、きずつけないでいたわりましょう。


最後までごらんくださりありがとうございました!

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2015年07月17日【大山 夏のお花畑~ユートピア尾根~】

大山隠岐国立公園 大利茜

大山には、弥山(標高1709m)を目指す「夏山登山道」や「行者登山道」の他に、夏場に人気のルートとして「ユートピア登山道(通称)」があります。大山を西側(米子市側)から眺めて左側に突き出たピーク「三鈷峰(標高1516m)」を間近に望むことができるルートです。大山寺より元谷、そして上宝珠越と、北壁を眺めながら谷伝いに歩く変化の多いルートで、無雪期の総合的な歩行技術を必要とする中・上級者向けのコースでもあります。稜線上に見える「ユートピア避難小屋」を目指し、汗を流して険しい道を歩きます。

 

<険しい登山道をのぼります>     <三鈷峰、その奥には日本海が見えます>

 三鈷峰

夏になるとこの稜線付近にはたくさんの高山植物が咲き乱れ、美しいお花畑となります。ナンゴククガイソウ、オオバギボウシ、カラマツソウ、シュロソウ、シモツケソウ・・・色とりどりの花々が一面に咲くその様子を見ようと、多くの人が訪れます。

元谷方面 稜線

<この日は少しガスがかかっていました> <お花畑が現れました>

 

今回はこの登山ルートの巡視と、高山植物の現状調査、そして高山植物保護のための看板設置へ行ってきました。お花畑の中を縫って歩くようになっている登山道ですが、近年、お花の写真を撮るために足を踏み入れたり、より眺めの良い場所を探して登山道を外れて歩いたりと、植物が踏み倒され、地面がむき出しになっている箇所も目立ちます。いつまでも美しいお花畑が保たれるためには、登山者の皆さんのご理解とご協力が必要です。こうして注意喚起の看板を立てることから、利用者の皆さんがルールを守り、植物を守り、自然が守られていくことに繋がるよう願います。

 植生保護看板避難小屋

    <植生保護の看板>       <避難小屋とシモツケ>

 

登山道沿いに見られた植物たちをご紹介します。

ヤマジノホトトギスイワキンバイ

シモツケサンカヨウホソバノヤマハハコダイモンジソウイヨフウロ

<写真左上から右へ>

ヤマジノホトトギス、イワキンバイ

シモツケやクガイソウ、サンカヨウ(実)、ホソバノヤマハハコ

ダイモンジソウ、シュロソウ、イヨフウロ

 
 

皆さんも、このシーズンならではの美しい自然を楽しんでくださいね。

コケ

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2015年06月22日☆国立公園大山の野鳥☆ (春~初夏シリーズ)

大山隠岐国立公園 伊藤信広

ご訪問ありがとうございます!

春から初夏にかけて大山で撮影した野鳥を紹介します。

さて、大山は古くから「野鳥の宝庫」と言われています。

大山に野鳥が多い理由は、ブナ林を中心とした広大な広葉樹林を持っているからと言われています。

そしてその林は樹木の種類が豊富であり、年月の経たものが多く、林の中には低木がおい茂っていることと、阿弥陀川、地獄谷、一の沢、二の沢、三の沢、南光河原などその他の豊富な水飲み場があり、野鳥たちにとってこの上ない生活の場になっています。

そして、大山は傾斜がきついため、至る所に林縁帯が出来て、それが野鳥の生息と営巣に極めて都合のよい条件を作っていると言われています。

また、大山は日本海に面した独立峰のため、大陸から渡ってくる冬鳥、南方から渡ってくる夏鳥にとって、大山は長い旅の目標となり、または休憩していく、中継地「鳥の駅」とも考えられます。

大山は、あらゆる面で野鳥のパラダイスとしての条件がそろっています。

これは大山に、鳥越峠、文鳥水、駒鳥避難小屋など鳥のつく名前があることからもうなずけます。

それでは、「大山の野鳥」のはじまり~はじまり~♪♪

○4/18(土) キビタキ(下山キャンプ場)

正面から見たキビタキ。後ほど背面から見たキビタキを紹介します。

夏鳥で4月下旬から5月上旬にかけて東南アジアから育った土地に戻ってきます。

声も美しくブナ林の歌姫です!

ピーピツ、ピテキーピッピッイ、ピックルル、ポッピピピロと明るく大きな声で鳴きます。

(夏鳥 ヒタキ科)

○4/18(土) オオルリ(阿弥陀堂コース)

この鳥も遠い南の国から帰ってきます。

背面はルリ色で白い腹。

ウグイス、コマドリと共に日本の三名鳥と言われるほど姿も声も美しい。

鳴き声はピールリ、ポッピーリ、ピーリ、ルリルリピピピとゆるやかで美しい。

(夏鳥 ヒタキ科) 

○4月25日 モズ(大山博労座)

鏡ヶ成で良く見られる鳥ですが、大山博労座ではあまり見かけない鳥です。

平地、低山地の林などで繁殖します。

頭部が赤褐色で背は灰色、尾、翼ともに黒褐色、翼には白斑があり(オスはこれを欠く)下面は淡赤褐色。

キィー、キィー、キィーキチキチキチなどで大きな声で鳴きます。

(スズメ目 モズ科)

○4/25(土)カワラヒワ(米子市)

美しい緑褐色をおびた鳥。

冬期は大群をなして飛びます。

飛行中にキリ、キリ、キリ・・・と鳴き、こずえに止まって

ジュウイとかビーン、ピッ、ピッ、ピッとさえずる。

(スズメ目 アトリ科)

○5/2(土)キセキレイ(大山博労座)

下面が黄色、背面が灰色で尾は黒い。

飛び方は深い波状で飛ぶのが特徴。

オスは夏鳥ではのど全体が黒色となり、全体が淡色な雌との区別がつきやすい。

鳴き声は、チッチッとかチチッチチと細く鋭く鳴く。

夏暑さがきびしくなると山深く登っていく。

(スズメ目 セキレイ科)

○5/2(土)キビタキ (大山増兵コース)

背面から見たキビタキ。

黒い翼に黄色と白い紋がよく目立ち、姿も美しく南方系の色彩の強い鳥です。

高木の木洞などを利用して営巣することが多いと言われています。

(夏鳥 ヒタキ科)

○5/3(日)シジュウカラ(大山増兵コース)

頭は光沢のある黒色、背は青灰色。

のどから腹まで黒色の太いネクタイが目立つのが特徴。

キツツキの古い巣や木洞をリフォームして巣をつくる。

鳴き声はチープ、チープ、ピーツクとかシパ、シパ、チュパ、チュパと早口。

(スズメ目 シジュウカラ科)

○5/5(火)ヒガラ(文殊越付近)

のどのあたりに三角形の蝶ネクタイ、翼の白い線が二本あり体が小さく尾がうんと短い。

初夏の森でまだ明けやらぬうちから鳴き出すのがヒガラ。

さえずりは澄んだ高い声で早口にチペ、チペとかツピンなど繰り返し鳴く。

(スズメ目 シジュウカラ科)

○5/10(日)カップルのシジュウカラ(大山健康の森)

駒鳥小屋からの鳥越峠を通過し、健康の森を歩いていました。

そこで二羽のシジュウカラに出会いました。

一羽は実のようなものをくわえて、もう一羽は、巣作りに必要な苔を繰り返し口にため込んでいました。

それは心暖まる共同作業に見えました。

(スズメ目 シジュウカラ科)

○5/25(月)ホオジロ(大山博労座)

明るい場所を好む鳥で、長めの尾と、赤っぽい体色、オスの頭部は、

黒と白の対比があざやかだが、メスではその黒い部分が暗褐色で不鮮明である。

白い眉斑とあごの線が目立つ。

春になるとこずえで力強くなわばりをつげるようにさえずる。

チョン、チン、ピーツツ、チョン、チン、ピーツツと鳴く。

(スズメ目 ホオジロ科)

○6/13(土)セグロセキレイ(大山博労座)

セグロセキレイが、なんと口に沢山の虫をくわえたままさえずっていました。

そして腹話術のできる野鳥に驚きを隠せませんでした。

ピチピチ、ヒィョ、ピチピチピーョ、チチージョイジョイと鳴く。

(スズメ目 セキレイ科)

独立峰大山は、遥か悠久の歴史を経ながら、黙して語らず毅然としています。標高1,729mの最高峰剣ヶ峰を中心に、弥山、天狗ケ峰、槍ケ峰、三鈷峰、矢筈ケ山、勝田ケ山、甲ケ山、烏ケ山等の峰が相並び、それぞれの山容を誇っています。
そして、この大自然にひかれて集まる人びとに、四季を通じて新しい息吹きを与え続けているようにも感じます。
大山の野鳥も、そんな大山にきっとひかれて、日々の営みを送っているのではと想像しています。
今後も清浄で美しい大山を皆様とともに守り続けていきたいと思います。


最後までご覧くださりありがとうございました!

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2015年06月16日【快晴!大山夏山開き祭】

大山隠岐国立公園 大利茜

●6/6(土)

大山の博労座は、屋台が並び、たくさんのお客さんで賑わっていました。

毎年6月初め、大山で「夏山開き祭」が開催され、地元食材を使った屋台や華やかなステージ、登山の安全を祈願する神事やたいまつ行列などが行われます。

これを心待ちにしていた人々が博労座にどんどん集まり、年に一度の賑やかな集いが始まりました。

大山イベント広場イベント会場

<大山が見守る中、思い思いに楽しむ人々>  <イベント会場の様子>

雨上がりのすっきりとした天気で、キラキラと海面を光らせる日本海まで見渡すことができました。

心地よい風がふく中、地元の人々の威勢の良い声と来場客の笑顔で、イベント会場は活気に満ちていました。

たいまつ行列1たいまつ2

<大神山神社参道を下るたいまつ行列>  <いつもと違う世界が広がります>

夕方からは「大神山神社」で神事が行われ、大勢の人々と共に登山の安全祈願を行いました。

そしてここからがクライマックス。

神聖な炎をたいまつに掲げ、新宮や天狗に続いて約2,000人の一般参加者が行列を作り参道を歩きます。

神秘的な雰囲気のその景色は、まさに「炎の河」。

人々から神域と崇められる大山の存在と歴史を色濃く感じる瞬間です。

●6/7(日)

翌日、夏山開き祭当日は快晴となりました。

すがすがしいお天気の元、大勢の人々が早朝から山頂を目指します。

山頂神事大山木道

  <山頂での神事>  <大山の木道、まさに「天空散歩」です>

山頂での神事にもたくさんの人が詰めかけました。

木道ステージが人で山盛り状態です!

一木一石

 <一木一石運動、トリピーも応援!>

登山客の中には、登山口から山頂まで石を運ぶ「一木一石運動」に参加してくださる方々も多くみられました。

↓↓↓一木一石運動についてはこちら↓↓↓

http://www.env.go.jp/park/daisen/effort/effort.html

さて、各地の山開きも終わり、これからはより山が賑わうシーズン到来です。

みなさんも、山の恵みを楽しみつつ、安全に無理なく、楽しい登山を!

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2015年05月29日国立公園大山 中国自然歩道を歩く(川床から一向平) 

大山隠岐国立公園 伊藤信広

5月24日(日)に新緑の大山山系を歩きました。行程は次のとおりです。

川床登山道入口(大山町)岩伏別れ→香取別れ→大休峠→大休口→大山滝→一向平(琴浦町)

このコースは、アップダウンも少なく初心者にも楽しんでいただけます。

残雪も無くスパッツは必要ありませんでした。


[川床登山道入口(解説板)]

ここから、目的地の一向平への歩行距離は約8kmで所要時間は約6時間です。

そして岩伏別れ手前までは登坂(約40分)が続きますが、その後はフラットが続き、大休峠以降は緩やかな下り坂になります。

川床


[阿弥陀川]

川床登山道入口から15分で阿弥陀川を渡ります。

この辺りは、川のせせらぎが心地よく響いています。

大山の雪解け水が年中絶やさず流れています。

そして遠く日本海へとつながっています。

阿弥陀川


[大休峠の石畳]

江戸時代にこの辺りは大変道が悪く、旅人は苦労されたそうです。

そこで多くの人たちが、敷石を寄進したそうです。

この道を使い鳥取県中部地方から大山博労座へ牛馬が歩いたと伝えられています。

感謝の心を忘れずに、この石畳を歩きたいものです。

大休峠石畳


[大休峠避難小屋]

この大休峠は十字路になっています。

大山ユートピア方面、船上山方面、一向平方面、そして川床方面へとつながっています。

そのため様々な散策コース組むことができて登山を楽しむことが出来ます。

近年改修されているため、綺麗な状態です。

大休峠避難小屋


[ヒガラ]

大休峠避難小屋外のベンチに腰掛けていたら、すぐそばにヒガラ近づいてきました。

そして長い間、植生土嚢のような物をつついては、綿毛のような物を地面に下ろしていました。きっと巣作りの材料にするものと思われます。

ヒガラ


[大休口]

この辺りは、かなり密植された杉が沢山ありました。

太陽の光も優しく射し込んできて、少しだけ風もあり心地よい環境でした。

この辺りは、地獄谷と平行しているため、谷のせせらぎと共に野鳥のさえずりも良く聞こえました。

大休口


[大山滝]

この日も多くの人たちが、大山滝に訪れていました。

滝壺のすぐそばまでいくと、もはやマイナスイオンの世界です。

自然の恵みに感謝!!

大山滝

[一向平(終点)]

朝7時半に川床登山口を出発し、ここに到着したのは14時ちょうどでした。

あっという間の6時間30分でした。

先人達の作った道のおかげで、自然とふれあいながらゆったりとした時間を楽しむことが出来ました。そして道中の新緑の香りはふつふつと若いエネルギーを惹き起こさせてくれました。

一向平


[ギンリョウソウ]

一向平では、涼しげなギンリョウソウが最後に出迎えてくれました。

最後までごらんくださりありがとうございます!

ギンリョウソウ

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2015年05月26日【出前授業(5年生の大山登山にむけて)】

大山隠岐国立公園 大利茜

米子市にある福生西小学校。校舎の窓からは、大山を望むことができます。

5/21(木)に5年生が大山登山をされるということで、出前授業をして参りました。

大山のこと、国立公園のこと、自然環境、登山のルールやマナーなど、これから登る大山にまつわることを、諸々紹介させていただき、みんな興味津々の様子で聞いてくれました。

アイスブレイク


<アイスブレイクでみんな笑顔になりました!>

大山にほど近い福生西小学校ですが、大山登山を経験した人や、頂上まで登ったことがある人はごくわずか。

やはり登山に対する不安や緊張もあるようで、最後の質問タイムでは「登山のコツはなんですか?」「遭難したらどうしたらいいですか?」などと質問がたくさんあがりました。

有山R


<レンジャーのお仕事とは?(有山Rより)>

授業後、みんな大山について興味を持ってくれたようで、私たちのところに集まってきて、質問や感想などをたくさん聞かせてくれました。登山を楽しみにしている様子も伝わってきました。

授業後


<授業後の様子>

5/21に実施された大山登山はというと、お天気にも恵まれ、無事に全員登頂できたようです。これをきっかけに、子どもたちが身近にある大山をさらに好きになり、豊かな自然を守る気持ちをもってくれたらもっと嬉しいですね!

ちなみに、大山には「大山讃歌」というテーマソングがあることをご存じですか?今回は有山レンジャーと一緒に、ウクレレを弾きながら歌を披露しました♪みんな覚えてくれたかな?

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