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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大山隠岐国立公園 米子

239件の記事があります。

2009年11月12日鏡ヶ成のイヌセンブリ

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

みなさんイヌセンブリという植物をご存じですか?
イヌセンブリは環境省のレッドデータブックの中で絶滅危惧Ⅱ類に分類されている植物で、
山野の湿った草地に生え10~11月頃に開花する2年草です。
よく似たセンブリは胃腸薬などに使用されとても苦いのですが、
イヌセンブリはセンブリに比べさほど苦くなく薬効もあまりありません。

以前からこのイヌセンブリが鏡ヶ成にはえているときいていたのですが、
先日、鏡ヶ成の植生調査に行った際に初めて実物を見ました。


◎イヌセンブリ

通常イヌセンブリの草丈は30cm近くになるそうですが、
この鏡ヶ成のイヌセンブリは定期的に草刈が行われているため
5cm程度しかなくなかなか見つけるのが大変でした。
ちなみにイヌセンブリとセンブリの見分け方としては
イヌセンブリの方が葉っぱが太く、花の中のひげのような毛がもさもさ生えていること、苦みが弱いなどがあるようです。

せっかくなのでセンブリも探してみましたが少し時期が違ったのか開花しているものはありませんでした。
みなさんもイヌセンブリを是非探してみて下さい!


◎センブリ
確かに葉っぱが細いです。

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2009年10月23日大山紅葉情報【大休峠・矢筈ヶ山】

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

こんにちは!
昼間と朝晩の気温差がかなり出てきました。
大山ではこの寒暖の差で今年の紅葉は1週間ほど早いようです。
今回は紅葉時期の大山のおすすめルートを紹介したいと思います。

今回紹介するのは矢筈ヶ山です。
矢筈ヶ山へは様々なルートがありますが今回は中国自然歩道の川床~大休峠間を経由するルートです。

21日にこのルートの巡視を行ったのですが、
出発地点の川床の紅葉状況は3割程度。
ちょっと時期が早かったかなぁ、と思いつつどんどん進んでいきました。
1時間程度進むとだんだん周囲も色づいてき、あちらこちらから鳥たちのさえずりが聞こえました。
この中国自然歩道はかつての大山寺と倉吉方面を結ぶ参拝道の一部です。
歩道を進んでいくと、大山寺信仰を篤さを物語る石畳の道が現れます。


◎慶長年間(1600年頃)に付近の村人によって寄進されたそうです。

大休峠までは約1時間半の道のりで、途中急な坂もありますが、なだらかな道が続きます。
大休峠は川床、矢筈ヶ山、大山滝、ユートピアへの登山道の合流地点です。
ここまでくると紅葉はずいぶんと進みちょうど良い頃合いのようでした。

大休峠から矢筈ヶ山までは約1時間ですが始めに急な上り坂があります。しかし途中に見ることの出来る紅葉は、はっとするほど綺麗でした!


◎矢筈ヶ山に向かう途中。ブナの白い樹皮と紅葉のコントラストがすごく綺麗でした。

そして、矢筈ヶ山に登る人たちの目当てといえば、山頂からの眺望!大山、烏ヶ山、小矢筈、甲ヶ山と個性豊かな山容の山を見ることが出来ます。
中でも山頂から見える小矢筈はものすごいインパクトです!
是非是非実際に見てもらいたい光景でした。


◎矢筈ヶ山山頂から小矢筈
遠く、人が登っているのが見えました。

今年の大山の紅葉はどうやら今週末がピークのようです。
週末、大山にもみじ狩りにきてはいかがでしょうか?

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お知らせ

大山頂上の水洗トイレ2基は10月20日から来年4月下旬まで冬期閉鎖中です。
非水洗トイレ1基は使用可能ですが混雑が予想されますので、
トイレは登山前に済ますようお願いします。

臨時開放
平成21年10月24日・25日・31日、11月1日・3日
午前10時~午後1時(約3時間)

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2009年10月19日大山秋の一斉清掃に参加しました!

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

本格的な紅葉シーズンも迫った10月18日。
大山博労座には朝から多くの人々が集まっていました。
みなさんの目的は毎年春と秋の行楽シーズン前に行われる大山の一斉清掃!
この日は大山町、伯耆町、江府町と
大山に関わりの深い地域で約1000人が集まり
一斉清掃と外来種であるセイタカアワダチソウの除去作業が行われました。
当所も大神山神社参道~金門周辺の清掃班、
セイタカアワダチソウ除去班と2班に分かれ参加してきました。




◎ゴミ拾い中!

清掃中にはさわやかな空気の中、
色づいた葉っぱや石畳に落ちたドングリなどを見ることが出来ました。
当所が担当したのは参道から金門、大神山神社までの短い区間でしたが、
春に比べペットボトルなどのゴミが多かったように感じました。


◎大神山神社。
 もみじが色づき始めていました。

これからの秋の行楽シーズン、是非綺麗になった大山に足を運んでみて下さいね!

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2009年10月14日大山頂上保全作業

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

10月6日に大山頂上保全作業が行われました。
今回はその様子についてご報告します。

天気予報では数日前から傘マークのついていたこの日。
朝、外を見てみるとどんよりと曇り空。
去年に引き続き今年も雨具を着用して登山か・・・、と覚悟を決めましたが
大山博労座に着いてみると曇り空なのに山容がはっきり見えます。
どうやらカッパ無しに登れそう!と気分も持ち直し、
早速頂上へと出発しました。

この日の参加者は関係機関、ボランティアの方々を含め46人。
山頂に着き一休みした後早速作業に取りかかりました。
今回の作業はでは周辺の外来種除去や山頂碑・三角点付近での植生復元のためのこも伏せ作業、ヤマヤナギの植栽、一木一石運動で登山者の方々に運んでいただいた石を使っての整地などが行われました。


◎三角点付近でのこも伏せ作業

◎旧縦走路に立ち入らないようロープ張り等も行いました。

写真の一番奥に見えるのが剣ヶ峰。大山の縦走路は崩壊が激しいため立入禁止になっているのですが、それでもなお縦走する人が存在し、毎年と言っていいほど滑落事故が起きています。

三角点付近や山頂碑周辺は植生保護の目的と
崩壊が激しくなっているため立入禁止になっています。
しかし今夏こも伏せを行った場所はすでに踏み荒らされていました。
みなさんの努力や協力を得てやっと戻ってきた大山山頂の緑。
大山に登った際には、その脆弱な環境を守るために一人一人マナーを守って利用してもらいたいと思います。

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2009年10月08日大山頂上トイレ汚泥キャリーダウン

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

昨年度から始まった大山のトイレ汚泥キャリーダウン。
この活動は日頃登山者のみなさんが使用している大山の頂上避難小屋の水洗エコトイレに蓄積した汚泥をヘリコプターなどの野生生物に影響与える運搬方法ではなく
人力で山麓まで運搬することで、山頂のトイレについてのマナーや
自然環境に対する意識を向上させようという取り組みです。
第2回目の今年は9月27日に行われました。

今年のボランティアの参加人数は433人。
午前8時、大山博労座で開会式が行われ、多くの団体や個人が夏山登山道から
山頂へ向けて出発しました。
頂上では2リットルのボトル500本分が参加者のみなさんに渡され、
約1トンもの汚泥が担ぎ下ろされました。
参加者のみなさんお疲れさまでした!


◎参加証の黄色のゼッケンを付けた参加者のみなさん


◎山頂での汚泥入りボトルの引き渡し


◎下山(しもやま)駐車場でボトルの回収

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2009年09月15日今年の大山は豊作です☆No.2

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

こんにちは。9月になりググッと朝晩が涼しくなってきましたね。

さて以前、今年の大山はブナの実が豊作です!と
日記(詳しくはこちら)に書きましたが、
どうやら今年はブナの実だけでなくいろいろな植物の実が豊作のようです。

まず、夏頃から目についていたのはこの植物。
これはナナカマドという植物です。名前の由来は七回竈(かまど)に入れても燃え尽きないという材の性質から、という説が一般的です。
秋になると実や葉っぱが真っ赤に染まりとても綺麗です。


◎大山7合目付近
今年はあちこちでたわわに実ったナナカマドを目にします。

そして、先日大山に巡視の際に目にしたのはダイセンキャラボクの実。
9合目付近の木道脇にはたくさんの実を付けたダイセンキャラボクの群落が広がっていました。
大山山頂付近のダイセンキャラボクの純林は国指定特別天然記念物です。
北西の斜面一面に広がるダイセンキャラボクは一見の価値有りですよ!


◎大山9合目付近
ダイセンキャラボクはイチイの変種で、赤い実はほんのり甘く種は有毒です。
※大山は夏山登山道の2合目付近から特別保護地区になります。国立公園の中でも最も規制の厳しい場所なので実を採取したり食べちゃダメですよ。

ところで、ナナカマドの実が豊作の年は
雪が多いと聞いたことがありますが・・・。今年はどうなるのでしょう?

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2009年08月19日台湾視察団の案内

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

18日に台湾国立公園学会の方々による
大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)の視察がありました。
今回はその様子をご報告したいと思います!

大山情報館で一行と合流し
米子事務所長より大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)の概要説明の後、
大山自然歴史館、阿弥陀堂そして今月に再建されたばかりの円流院を案内しました。
ここでは主に大山の自然や歴史、自然保護活動などについての説明がありました。

◎阿弥陀堂で大山の歴史についての説明

鍵掛峠では、自然保護官から、国立公園では森林施業の規制が地種区分毎に違っていること、国有林の管理や砂防ダムなどについての説明がありました。
鍵掛峠は大山で1,2を争う眺望ポイントです。みなさん熱心に話を聞きながらも大山をバックに記念撮影をされていました。この日は天候にも恵まれ大山が綺麗に見ることが出来ました。

◎鍵掛峠の四季の説明もしました。

その後、鏡ヶ成を経由し蒜山に移動し野営場の視察をしました。
暑い中みなさんとてもパワフルでした。


台湾には7つの国立公園があり、現在8つ目の計画が進められているとか。
機会があれば是非行ってみたいです!

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2009年08月14日上蒜山~中蒜山縦走路巡視

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

長雨の続いた今年の夏、なかなか現地調査に出ることが出来ませんでした。
今回は長い長い梅雨の期間中、雨の降っていない日を見計らって行った上蒜山~中蒜山の縦走路を紹介したいと思います。

上蒜山、中蒜山と単独での現地調査を行ったことはありましたが、
縦走は今回が初めてです。
上蒜山は2合目までは造林地をほぼ直登します。
2合目を過ぎるとキキョウ、ギボウシ、オトギリソウ、カワラナデシコ、オミナエシなど色とりどりのお花が咲いていました。
上蒜山は3合目付近を越えると8合目を過ぎるまでほとんど日陰が無く、太陽の日差しの下を歩くことになります。傾斜も急峻なので日差しの強い日は水分をこまめにとることが大切です。


上蒜山の眺望スポットは8合目の槍ヶ峯です。天気のいい日には大山を望むことが出来ます。しかし、この日は大山があるだろう場所には雲がかかり見ることはかないませんでした。
槍ヶ峯を過ぎると30分くらいで上蒜山の山頂です。少し休憩を取り、中蒜山までの縦走路を進み始めました。
縦走路は急傾斜の鎖場が数カ所続きます。実は前日は雨だったこの日は登山道もしめっていて滑りやすくなっていました。

◎縦走路の鎖場

この鎖場を乗り越えると比較的なだらかな尾根筋を進みます。
縦走路にはワレモコウ、イブキトラノオ、カワラナデシコ、マルバダケブキなどのお花を見ることが出来ました。上蒜山から中蒜山までは約1時間。歩いてみると実際かかった時間よりも短く感じました。

今年の夏は短そうですが、これから秋に向けて蒜山ではマツムシソウやツリガネニンジン、ツルリンドウなどのお花が見ることが出来るでしょう。

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2009年08月10日ラムサール湿地・中海子どもパークレンジャー

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

7月31日から8月2日の3日間、「ラムサール湿地・中海子どもパークレンジャー」(以下中海JPR)を実施しました!
ちょっと遅くなりましたが今回はその様子をご報告したいと思います。

大山隠岐国立公園では毎年三瓶山地区でJPRが行われており、中海で行うのは今回が初めてです。今回、中海JPRのテーマは「世界に一つの生き物図鑑を作ろう!」です。
3日間テーマに沿った生き物を採取、スケッチし自分だけのオリジナルの図鑑を作ろうというもので、米子水鳥公園で行いました。

初日のテーマは「陸上昆虫」。
子どもパークレンジャーの任命式の後、早速外に出て昆虫採集を行いました。
捕虫網の使い方の上手な子、あまり虫を捕ったことのない子など様々なメンバーでしたが、みんな目標の5匹以上を採取し水鳥公園に戻ってスケッチを行いました。



2日目のテーマは「水生生物」。
外に出て採取し始めてしばらくすると少し霧雨が降ってきましたが、子ども達は熱中してタモ網をふるっていました。
やはり初日よりも採取できる子と出来ない子に差が出てしまいましたが、みんな外で採取しているうちに仲良くなり、採ってきた生き物を見せ合って協力して図鑑を作っていました!


◎大漁のメダカ。外来生物「ミシシッピアカミミガメ」の話もありました。

最終日のテーマは「野鳥」でした。
この日は外ではなく水鳥公園の観察ホールからスコープを使って野鳥を観察しました。
セイタカシギ、コサギ、アオサギ、カイツブリ、カルガモ、オオバンなど様々な鳥を見ることが出来ました!
さて、最終日にはいよいよ製本作業があります。
3日間で書きためたスケッチを図鑑の形にするために、目次と実際のページをそろえていきます。この作業はみんな大変だったようです。表紙も描かれきちんとページもそろえられたものを製本機にかけると図鑑の完成!
実際にできあがった図鑑を見てみんな本当にうれしそうでした!


◎中には30ページ越えの大図鑑を作った子もいました!

最後にラムサール条約の説明をし、無事に3日間を終える頃が出来ました。参加してくださったみなさん、そしてスタッフの方々ありがとうございました!

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2009年08月06日今年のユートピアは

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

こんにちは!
とうとう梅雨が明け、中国地方にも夏がやってきました。
大山蒜山地域の中でこの時期一番注目されるのは
やはり三鈷峰近くにあるユートピア避難小屋周辺のお花畑です!
今回はそのお花畑についてご紹介したいと思います。
今年の大山は7月の長雨のため、全体的にお花の開花が遅れていました。
今回ユートピアの巡視を行ったのは8月5日。
例年であればお花の開花状態はギリギリという時期でした。

大山のユートピアまでに至る道は、
中宝珠越から上宝珠越までの区間で危険箇所が続きます。
昨年の状態(詳しくはこちら)から崩壊はあまり進行していませんでしたが、
やはり十分注意が必要です。

上宝珠越を過ぎればユートピアまでは30分程度でたどり着きます。
平日でしたが、お花畑を目当てに何人もの人に出会いました。
お花畑はちょうど夏の草花が咲き誇り、
どうやら一番良い時期だったようです。


◎お花畑の様子
ナンゴククガイソウ、シモツケソウ、イヨフウロやコオニユリと様々なお花が斜面一面に広がっています。

さて、ユートピアのお花畑に訪れる人の多くは
三鈷峰にも足を向けます。
今回の巡視では三鈷峰にも足を伸ばしてみました!
初めて三鈷峰に行ったのですが、はじめはふつうの登山道。
しかし山頂までの最後の5分は・・・。

◎足がすくみました・・・。

◎左上:ユートピア避難小屋から三鈷峰、右上:三鈷峰登山道①
 左下:三鈷峰登山道②、右下:三鈷峰山頂

三鈷峰はかつての大山縦走路の終点です。
この山頂からは360度の展望と大山北壁のすべてを見ることが出来ます。
登山道には危険箇所がありますが、ここからの景色は一見の価値有りです!
是非実際に見てみてください。

ユートピアではおそらく今週末までお花を楽しむことが出来そうです。
今週末、天空のお花畑に行ってみてはどうでしょう?

*ユートピアからの下山道である砂滑りは、7月の長雨により大きく削れている箇所がありました。ゆっくり行けば危険はありませんが十分注意してください!

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