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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 広島

182件の記事があります。

2012年06月12日草原のチョウ「ヒョウモンモドキ」

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

ヒョウモンモドキというチョウをご存じでしょうか?
何度か日記で紹介されている“ウスイロヒョウモンモドキ”については
ご存じの方もいらっしゃる方もいるかもしれません。
外見は非常に酷似しており、同じタテハチョウ科ヒョウモンモドキ属の仲間です。

[ヒョウモンモドキ:羽を立てたところ]

[ヒョウモンモドキ:羽を広げたところ]

彼らは草原にすむチョウの仲間ですが、
“草原”とはどんなところでしょうか。
簡単にいうと、樹木ではなく低い草本類が茂った草っぱらのことですが、
通常、自然界では裸地→地衣類→草原→やぶ(ススキ等)→低木→高木(陽樹→陰樹)と森に移り変わっていきます。
ですが、農業が営まれていた里山では、
草は肥料や家畜のエサ、燃料など貴重な資源として利用され、
その結果、草原が維持され、様々なチョウが生息していました。
しかし、今は肥料は化成肥料に変わり、家畜は農業機械に変わり、燃料は石油に変わり、
何より農家の後継者不足によって里山はどんどん衰退していっています。
草原の減少とともに、そこに生息していた多くの生き物が行き場を失ってしまいました。
中でもヒョウモンモドキは、乾燥地に生育するノアザミのミツを吸い、
幼虫の時には湿地に生育するキセルアザミの葉を食べるため、
草原だけではなく、湿地もなければ生きていくことができません。

[ヒョウモンモドキの生息環境]


[ノアザミ(つぼみ):田舎ではよく見かけます]

[キセルアザミ:葉裏に卵を産み、幼虫は葉を食べます]

限られた場所だけに生息していそうですが、
ヒョウモンモドキは1950年代、中部、関東、中国地方と13県に生息が確認されており、珍しいチョウという訳ではありませんでした。
それが今や広島県の三原市と世羅町のみとなってしまいました。
今年3月にはヒョウモンモドキ保全地域協議会が立ち上げられ、
専門家や地元住民の方々によって保護活動が行われています。
また、久井・小幡にある小学校でヒョウモンモドキの学習会が行われました。
希少な生き物の生活環境を守るには地元の皆さんの理解や協力が欠かせません。
ここ広島県がヒョウモンモドキの最後の生息地とならないことを祈るばかりです。


[学習会の様子:身近にいる貴重なチョウを見て何を感じたでしょうか]

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2012年06月08日宮島の植物

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

宮島では、亜熱帯性の広葉常緑樹ミミズバイが自生するとともに、
冷涼な山地(中国地方では海抜300m以上)に生育するモミやツガなどの針葉樹が海岸付近に自生する珍しい森林を形成しているほか、
神の島として昔は耕作が禁止されていたことや、
シカの影響などにより、本土や他の島とは少し異なった植生が見られます。

公募観察会で見られた宮島の植物を一部ご紹介します。
まず、宮島の植物と言えば?“マツブサ”です。
というのも、世界的に有名な植物学者エングラー博士が弥山を訪れた際、
原始的な被子植物であるヤマグルマやマツブサが生育している植生を見て、感動されたとか。
天然記念物の指定は博士のすすめが大きかったと言われています。
マツブサの名前の由来はマツの匂いと房のような実がなることが語源とされています。
幹を嗅いでみましたが、いまいちマツの匂いはわかりませんでした。

[マツブサ]

そして、この時期弥山に上がればどこでも見れるのが“アオテンナンショウ”
宮島にこんなにあるのだからどこでもありそうですが、
広島県では宮島のみに生育しています。
何とも奇妙な花を咲かせますがサトイモの仲間です。

[アオテンナンショウ:広島県準絶滅危惧種]

次に紹介する植物は園芸屋さんなどで見たことがある方も多いかも知れません。
実際に昆虫を捕まえているところは見たことがないのですが、
食虫植物の“モウセンゴケ”です。
コケと名前がついていますが、被子植物の仲間です。
しかし、コケと同様に湿ったところに生育しています。
県内の他の場所でも見られますので、
水がちょろちょろと流れているような湿ったところなど探してみてください。

[モウセンゴケ:夏には白い花を咲かせます]

登山道の途中では遠目にササユリを発見!
笹のような葉が特徴です。
昔は至る所で見られたそうですが、今は減少傾向です。
はっきりした理由は分かりませんが、
里山の手入れをしなくなったことや
観賞用に持ち帰ったりすることが原因だと言われています。

[ササユリ:花をつけるまで5~8年かかります]

そして、この日一番の注目植物はセッコクです!!
ランの仲間で薄ピンクのきれいな花を咲かせますが、
モミやツガなどの樹上に生育し、
花期も1~2週間と短いことからなかなかお目にかかれない花だと思います。
この日は運良く2日前に開花し、満開を迎えていました。
しかし、こちらも観賞用の人気種で乱獲のため減少傾向です。

[セッコク]
人の手が届かない場所でよほど環境がよいのでしょうか。
こんなに群生したセッコクは珍しいそうです。
今週末はまだ見れると思います。

植物はそれぞれ自分に合った環境を選んで自生しています。
自然に生育する植物を持ち帰らないよう
皆様のご協力をよろしくお願いします!


【おまけ】
きれいな緑×赤色のカメムシを発見。
調べてみたら“アカスジキンカメムシ”といって
オオキンカメムシの仲間でした。
臭くて嫌われ者のカメムシですが、
こんな美しいカメムシもいるんですね。



オオキンカメムシはこちら↓
http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2012/02/28/index.html

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2012年06月05日宮島地区パークボランティア公募観察会を開催しました!

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

6月2日に宮島地区パークボランティア公募観察会〔紅葉谷~大聖院コース〕を開催しました!
今年3月の観察会が雨天中止となり、約半年ぶりの開催となります。
今回は植物観察に加え、自然物の中でも“石”をテーマとした観察会でした。

江戸時代に島民によってモミジが植樹され、
史跡名勝地として知られる紅葉谷(もみじだに)公園。
ですが、ただの公園ではございません!
紅葉谷公園は治水砂防を考慮した庭園風砂防公園なのです。

昭和20年(1945年)に上陸した枕崎台風の被害により土石流が発生し、
紅葉谷や厳島神社は18,000㎥に及ぶ土砂に埋まりました。
史跡名勝にふさわしい景観を残しつつも、
土砂災害に強い砂防庭園として復旧しなければならないため、
・石材は全て現地のものを使用し、傷つけない
・樹木は切らない
・コンクリートは表に出さない
・庭園師が仕事を行う
など、厳しい条件の中、復旧工事が行われ、
昭和25年に現在の自然と調和した紅葉谷公園が完成しました。
これが人手も物資もままならないはずの終戦直後に実施されたのだから驚きです!

[昭和24年に復旧工事された紅葉谷川]

[観察会の様子:右側の大石が前の写真中央部にあるもの]

続く紅葉谷コースでも土石流対策のため、
昭和24年から34年にかけて16基もの砂防堰堤が設置されました。
これも一つ一つ石の積み方が異なっていますので、
紅葉谷を登られる際は気にかけて見てみてください。


下山は大聖院コースです。
平成17年の台風14号による土石流は
記憶に新しいという方も多いのはないでしょうか。
幸い大聖院に影響はなかったものの、
登山道は崩壊、滝宮通りや厳島神社にまで被害が及びました。
弥山は天然記念物のほか、文化財保護法や自然公園法など様々な保護規制があり、
復旧工事は周辺環境への配慮が求められました。
こちらも現地の石を使用した渓流砂防工事が行われ、
自然石を用いた類い希な砂防堰堤が平成20年に完成しました。

[大聖院横:平成20年に完成した渓流砂防]

[土石流で流された滝宮神社も復旧されました!左に見えるのが白糸の滝]

花崗岩でできた急勾配の弥山は過去に何度も土石流に見舞われており、
登山道の位置が少しずつ変わっています。
古文書によると約200年おきに3回の水害があったとか。
その度に多くの方の熱意や協力によって復旧され、
宮島は昔から愛されてきた神の島なんだなぁと感じました。

コンクリートなどが普及した現代では、
普段の生活の中で自然の石を見かける機会があまりありませんが、
自然のままの石を用いた紅葉谷公園や弥山登山道をたどると
“石も自然の一部”だということを改めて思い出させてくれる気がします。

※次回は観察会で見られた植物をご紹介します!



[産まれたばかりの子ジカを発見!シカも出産シーズン突入です]

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2012年05月27日春といえば

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

宮島パークボランティアの会では、
宮島東海岸に位置する入浜池の定点観測を行っています。
近年、松枯れなどの影響による山の保水力低下や
浜側の砂の堆積による海水流入の減少によって、
汽水池だった入浜池が淡水化してきています。
海水と淡水が入り交じる汽水池という貴重な場所でどのような変化があるのか、
池の水質、昆虫、周辺の植物調査を始めて、今年で5年目になります。
今回は植物班に同行しました。

新緑がきれいな季節となりましたが、
春といえば、植物も動物も繁殖の季節です!
普段は気づきませんが、入浜池後方の山を見ると至る所に
ツブラジイやコジイの花が最盛期を迎えていました。

[葉が隠れるほどの白い花はカリフラワーのよう…]

入浜池周辺でもウラジロガシが花を咲かせていました。
垂れ下がった長い花が雄花。


目をこらして見るほど小っこい花が雌花です。

[どんぐりになるのは雌花]

花粉症の原因にもなるアカマツも今が受粉の最盛期。

[マツの雄花]

[マツの雌花。後の松ぼっくり]

海岸では、広島県の準絶滅危惧種イワタイゲキも開花。
一見花のように見える黄色い部分は葉で、
先端に小さな花が咲いています。
ルーペがないと見えないほどでした…

[○が花の部分]


空ではミサゴが巣作りのためか、
枝のようなものを運んでいました。
ミサゴもこれからが繁殖の季節です。

[環境省準絶滅危惧種のミサゴも宮島では多く見られます]

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2012年05月18日鞆の浦観光鯛網開幕式  

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

福山市鞆町にある仙酔島では、
毎年GWを前に観光鯛網開幕式が開催されます。
ここ仙酔島で開かれる鯛網はなんと380年続く伝統漁法です!
外洋で育った鯛が産卵のために鞆の浦に入ってきたところを狙う漁法で、
村上水軍の頭領が考案した「しぼり網」を再現したものだとか。


[出航を待つ鯛網船団]

開幕式では、神事が行われた後、
大漁を祈願して弁財天の使い“乙姫”の舞やアイヤ節が披露され、
祝いの餅投げなどが行われました。

[乙姫の舞]

[アイヤ節]


そして、いよいよ鯛網船団が出航!
まずは弁天島にある「弁財天」へ大漁祈願にお参りをし、
弁天島の周りを3周回ったあと、漁場の沖合いに向かいます。
親船が網を下ろし、大きな円を描いていきます。
「エット~エット~ヨーイヤサンジャ~」という漁師さんの軽快な掛け声とともに
船が徐々に円を小さくしながら網を引き上げていきます。

[出航!]

さてさて、網の中に鯛は入っているのか?
最後は客船を船に着け、獲れた桜色の鯛を見ることができました。

[獲れた鯛はその場で購入することもできます]

観光鯛網といえど、漁の様子が間近で見ることはなかなかありません。
食卓に上がる鯛が昔どんな風に獲られていたのか。
その一場面を見ることができた貴重な体験でした。

※今年の鞆の浦観光鯛網は5月27日まで開催されています。

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2012年05月02日在来生物〈シロバナタンポポ〉

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

周防大島南部に位置する白木山。
ここ山頂一帯も国立公園に指定され、
春にはソメイヨシノが楽しめます。

[白木山の展望:安芸灘が一望できます!]


駐車場から展望台に向かって歩いていると白い花を発見。
なんと、シロバナタンポポではないですか!
タンポポといえば黄色と思われるかも知れませんが、
シロバナタンポポは白い花を咲かせるれっきとした日本の固有種です。
珍しい種ではないですが、
近年、外来種のセイヨウタンポポが拡大しており、
生育域は狭まっているようです。
現に私も道ばたで見つけるのはセイヨウタンポポが多く、
シロバナタンポポは初めて見つけました!

[シロバナタンポポ]


[セイヨウタンポポ]

この2種なら色で見分けがつきますが、
広島ではカンサイタンポポという在来種も見られます。
在来種・外来種の見分け方は至って簡単!
花びらの裏側にある総苞(そうほう)といわれる部分が
在来種は反り返りがなく(又は少なく)、
外来種はしっかり反り返っています。



[在来種と外来種の見分け方]

タンポポは春を感じさせる花の一つですが、
セイヨウタンポポは年間を通して咲くことから繁殖力が強く、
環境省の要注意外来生物リストにも指定されています。
(在来種は春しか咲きません。)

ご自宅や学校、職場の近くに咲いているタンポポは何タンポポですか?
野外で見かけたら、足を止めて見てみてください。

外来生物法:要注意外来生物リスト
http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/detail_sho.html#22

ちなみに…日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、
ちょっと苦みのある葉はサラダやお浸しに、
乾燥させた葉はタンポポ茶に、
乾燥させた根はタンポポコーヒーなど
食用としても知られています。

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2012年04月27日外来生物〈ブラックバス〉

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

極楽寺山にある蛇の池で
またもや見つけてしまいました。
コイやフナに交じって黒い影を発見!
その名も外来種ブラックバス※です。

[分かりにくいですが中央がブラックバス]

以前蛇の池で見つけた外来生物はこちら↓
http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2009/05/474.html

名前を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
北米原産ブラックバスの歴史は長く、
戦前から食用や釣り用として日本に持ち込まれ、
現在では全国に分布しています。
バスフィッシングという言葉もあるように
釣り愛好家の方には人気種です。
ですが、このブラックバス。
魚食性が強く、生態系への影響があることから
今では“特定外来生物”に指定され、
飼育や放流など一切が禁じられています。

が、極楽寺山にいるということは…
空から飛んではこないので
恐らくどこかから持ち込まれたのでしょう。
在来種のエサや住み処を奪ってしまう特定外来生物がこれ以上拡がらないよう
① 持ち込まない
② 持ち出さない
を徹底していきましょう!

※オオクチバスやコクチバスの総称

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2012年04月21日宮島地区パークボランティア総会・海岸清掃

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

4月になりました!
昨年10月から始めた会員の追加募集研修も終わり、
宮島地区パークボランティアの会(以下、PV)は会員56名となりました。
今年度最初の行事はPV総会です。
日頃の行事では全員が顔を合わせる機会は少ないですが、
この日は総会とあって9割近くの会員の方が出席され、
昨年度の予算案や活動計画について議決されました。
今年度も観察会に清掃、調査など行事は盛りだくさんです!

[PV総会の様子]


そして、総会後は毎年恒例のこなきり海岸清掃です。
100mほどの自然海岸ですが、
毎年回収しても回収してもゴミはどこからともなくやってきます。
バケツやペットボトルなどの生活ゴミは勿論ですが、
次に多いのがカキ筏のフロートとパイプです。

[こなきり海岸に漂着していたゴミ]

大きなものは手で拾えるのでまだいいのですが、
波で砕けた発泡スチロール製のフロートは粉々になり、
“白い”砂浜になってしまいます。
粉々になった発泡スチロールを回収してみましたが、
ハマゴウの間に入り込み、わずか1㎡のゴミを回収するのにも苦慮・・
いかにゴミを出さないことが大切か、
また早く回収することが大切か思い知らされる作業でした。

[粉々になった発泡スチロールはなんと深さ20㎝もありました!]

当日回収したゴミは大型ゴミを除いて27袋。
毎年漂着するゴミは一向に減りませんが、
海岸清掃を続けることで
シカや海鳥、魚たちが誤飲したりケガをする可能性は確実に減っています。


[回収したゴミ]


[清掃後のこなきり海岸]

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2012年03月22日第16回瀬戸内エコツアー@大三島 開催!

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

梅や寒桜の花を見かけるようになり、
寒いながらも春を感じる季節となりました。
といってもまだまだ朝晩は寒い日が続きますね。

さて、去る3月4日。
しまなみ海道県境にある愛媛県大三島で瀬戸内エコツアーを開催しました。
この日は朝から雲行きが怪しく、雨がしとしと。
室内プランに変更か…と思われましたが、
皆の願いが通じたのか、何とか夕方まで持ちこたえてくれました。

忠海港から大三島宮浦港までクルージングをした後、
自転車に乗り換え!
今回はしまなみ海道お馴染みの自転車移動を取り入れ、
シクロツーリズムしまなみ代表の宇都宮一成さんを先頭に
大山祇(おおやまずみ)神社まで移動しました。

[自転車の安全な乗り方について]

大山祇神社には樹齢2600年と言われる楠があります。
幹周りの太さは圧巻でつい全体に目が行ってしまいがちですが、
楠一本にもいろんな生き物が共生してるんだよと講師の小澤さん。
指した先には全国的にも稀少で絶滅危惧種に指定されているマツバランが。
見た目はスギナ、名前はランですが、根も葉も持たないシダの仲間です。

[大山祇神社境内にある天然記念物の楠]

[マツバラン(環境省:準絶滅危惧/広島・愛媛県:絶滅危惧Ⅰ類)]


それから国立公園に指定されている安神山へ!
7~8年前の山火事で植生はまだ乏しいですが、
おかげで高木がなく、景色を360度一望できます!(晴れてれば絶景なのですが…)
今回は時間の関係で安神山山頂までですが、
烏帽子岩(えぼしいわ)や鷲ガ頭山(わしがとうさん)へと続く尾根沿いの登山道は是非登っていただきたい一押しの場所です。

[急勾配ですが、安神山山頂までは40分程度]

山頂では、瀬戸内海国立公園の紹介や
山火事後の森の遷移や森のはたらきについて解説。
森のはたらきって何が思いつくでしょうか??
温暖化防止や生き物の住み処になるほか、
水を地中に蓄えたり、土砂災害を防いだり。
私たちのリフレッシュのためや海の栄養源になるなど
数えれば切りがありません。

下山後は大三島でとれたヒジキやタコ、野菜を使った
大三島 自然を愛する会の皆さんによる手作り弁当を頂きました!
山登り後のタコ飯に暖かいお汁、デザートの芋餅は格別でした。

[大三島産の食材を使った心温まる手作り弁当]

その後は再び自転車に乗って、
台(うてな)海岸にあるチャボイやダルマガエルの生息地を見学。
いずれも絶滅が危惧されている生物ですが、
ここ大三島にはこういった動植物がたくさん生息しています。
自然が多く残っていると同時に、
地元の皆さんの保護活動によって環境が保たれているんですね。

[小澤自然公園指導員による解説風景]


今回は島の一部でしたが、
大三島は愛媛県では最大の島で見所がたくさんあります。
しまなみ海道を自転車で渡って、是非訪れてみてください。


[自転車での島巡りもおすすめです!道の駅などでレンタルできます。]

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2012年02月07日冬の芸術@野呂山

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

広島の方なら野呂山を知らない!という人はいないかもしれません。
呉市川尻町にそびえ立つ野呂山は標高839m。
瀬戸内海国立公園でしまなみを見渡せる沿岸部の山では最も高い山です。
※一番高い六甲山(931m)からは大阪平野と明石海峡が見渡せます。

通常、山の高度が100m増すごとに、0.6℃下がると言われています。
夏は避暑地となる野呂山ですが、冬は沿岸部とは思えない気温となります。
日本列島に寒気が流れ込んだ2月2日。
野呂山山頂付近の気温はなんと-5℃を記録!
展望地からは中国山地や四国石鎚連峰も
雪雲に覆われ吹雪いているのが見えました。

[弘法寺展望台より:四国方面は真っ白]

この寒さの中、足を運ぶのは気が進まないところですが、
冬の野呂山にも素晴らしい自然の芸術があります。
野呂山にある「氷池」
製氷機がなかった明治時代。
その名の通り、冬の寒さを利用して氷を製造、販売されていました。
今はその役目も終わり、温暖化のせいか昔ほど厚くは凍らないようですが、
この日氷一面となっていました。

[スケートリンクのような氷池:上には上がらないように!]

そして…
弘法寺の真下にある「玉すだれの滝」
普段はちょろちょろと流れる程度の水量しかなく、
滝というか濡れた岩肌といった感じなのですが、
その水が少しずつ凍り固まって、大きな氷の滝が出来上がっていました!
その姿は壮観でまさに自然が作り出した冬の芸術品!

[冬の玉すだれの滝]

瀬戸内沿岸部で豪雪、そして凍った池や滝が見れるのは野呂山だけ!
是非冬の野呂山に足を運んでみてください。
ただし、路面が凍結して危険なので、
必ず冬用タイヤを装着してお越しください。

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