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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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足摺宇和海国立公園

91件の記事があります。

2016年11月25日✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ⑤ め?ね?

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

日中はぽかぽか過ごしやすく、でも朝晩は冷え込みがきびしく暖房が欠かせなくなってきました。

一気に秋から冬に変わり始めた土佐清水からこんにちは!


ヤブツバキに動きあり!ということでヤブツバキシリーズ第5弾です。


時をさかのぼって11月17日、トベラの実が熟したということで、トベラの種子採取に行ってきました。

緑の実が裂けて、赤い種がお目見えしています!まさしく穫り頃。ひたすら集めていきます。


集めた実は、種だけ取り出しクリーニング。

トベラの種はネバネバした粘液に包まれている上に、このネバネバ、油分が多くてなかなかとれないんです。

ただ、このネバネバが、種子の発芽を抑えるということで、クリーニングしてやります。

水で洗って、新聞紙でこすって、最後にペーパーで仕上げ。

すると、赤い小粒の実はまるで宝石サンゴのように輝きます。

ちなみにこの実、赤くて美味しそうに見えますが、全然栄養価がないんだとか。


これをプランターに植え、事務所前がプランターに占拠されたところで、

そういえばツバキがうんともすんとも言わないな?と気になり、少し掘り起こしてみると!

じゃじゃーん!

「ね(根)」なのか「め(芽)」なのか分かりませんが、ニョロッと伸びております!

他にも幾つか同じようなものが有りましたが、まだまだ芽を出すにははやいようです。


もしかしたら今回植えたトベラが先に芽を出すかも・・・!?

今後も気になるヤブツバキの動きに乞うご期待です!



おまけ~うっかり小咄~

メイちゃんさながら、芽吹きを心待ちにしてプランターをのぞき込む毎日。

そんなある日、ついに小さな小さな緑の葉っぱが!よくみるとあっちにも!こっちにも!

慌てて大きさ比較のための1円玉を引っ張り出して、パシャリ。

やったー!小さいけど、ついにヤブツバキが芽を出したぞー!!

山下R「いやそれ雑草やん」



これまでのヤブツバキ↓

✿シリーズ1 はじめの一歩 

✿シリーズ2 メダケの活路

✿シリーズ3 みどりの手

✿シリーズ4 メダケで一本釣り!

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2016年11月17日秋に行きたい国立公園スポット!

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

16日の気温は24度でした。秋の遠い土佐清水からこんにちは!


中四国の中でも、北側の国立公園では紅葉が見頃のようですね。

というわけで!我々もカメラ片手に紅葉状況を調査してきましたっ!


まずは愛媛県松野町と宇和島市にまたがる【滑床渓谷】

紅葉で有名なだけあって、行楽シーズンを感じさせる人の多さでした。

  

今年は冷え込みが弱く色づきが薄いそうですが、

万年橋や駐車場などアクセスしやすい場所の紅葉は見頃です。(左の写真)

※お弁当を狙ってサルが出没していますので、食べ物の携行には十分注意して下さい。



お次は滑床から1時間の愛媛県鬼北町にある【成川渓谷】

こちらも色づきはまだまだといったところ。モミジも部分的に赤くなっています。

 

周りの山肌もカラフルになっているのが見えます。

宇和島市からすぐの場所で、高月温泉もあるので1日をゆったり過ごすのにぴったりです。



そしてかわいらしいノジギクが見られるのは【高茂岬】

丸っこい花弁やすらりとした花弁もあり、さまざまです。

 

ヨメナなど、小さな花が今が盛りとばかりに咲き乱れています。

愛南町からは片道30分ほどかかりますが、石垣の里・外泊もあるので、ちょっとしたお出かけには最適です。



雨が降ると葉が落ちてしまうのが残念ですが、それもワビサビ・日本の粋ですね~。

どこも、景色良く自然豊かな場所なので、紅葉シーズン・お花シーズンに関わらず、

お時間があるときに、ぜひ足を運んでみて下さい!



おまけの「今日のベストショット」

まずは山下Rのベストショット!

滑床渓谷の万年橋でパシャリ。

青空と紅葉のコントラスト美しい一枚です。


わたし、谷吉ARのベストショット

滑床の独特な河床を撮りたか・った・・・

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2016年11月15日✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ④ メダケで一本釣り!

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

11月中旬とは思えない暖かさの土佐清水からこんにちは!


✿ツバキシリーズ②でご紹介したメダケのイベント企画ですが、

満員御礼の20名で11/12に実施されましたので、今日はその様子をお届けします。



土曜日の朝8:30に市役所に集合! 土佐清水市内の元気っこが集結です。

足摺半島を反時計回りしながら、餌・竿・そして魚をゲットしていきます。


釣るだけではおもしろくないのでちょっとしたゲームもあります。

それぞれ手にした1枚の紙・・・9マス分割の・・・

 

そう、ビンゴカード。

バスの中や活動場所でクイズが3つ出され、正解すると○。

メインのメダケ一本釣りでも、釣れた魚には○。

たて・よこ・ななめ、どこでも一列○が揃うと、なななんと!豪華賞品が!

と聞いて、みんなのテンションも上がります。

(しかし初っぱなのクイズ①で正解者がただ一人と出鼻をくじかれます)


川エビを捕って餌にする予定でしたが、

前もってつけておいたしかけ(こちらでは「しばづけ」と呼んでいます)をあげてみると・・

 

季節がずれたせいか、かわいそうになるくらい小ぶりなエビばかりだったので再度放流します。

今回は、釣り餌の定番、オキアミで勝負です。


場所を変えて、足摺岬でマイ竿ゲット。

 

観光協会の谷岡名人にアドバイスをもらいながら、

しなりや太さ、細工のしやすさを見ながら選んだ至極のメダケを竿にしていきます。


マイ竿に名前を書いたらいざ!今日の合戦場・港へ参る!

(ちなみにこの時点で3問のクイズが終わり、まだリーチはいない状態)


餌の付け方がわからない、魚にさわれない、という子もいれば、

名物釣り少年として地元で知られる子もいました。

釣り経験値はさまざまですが、それでも名人たちに習いながら餌をつけて、チャレンジです。


この日の海は、前日の雨の影響もあり少し濁りもありますが、

小魚類は壁面沿いにちらちらと見えています。

餌をつけてしばし・・・あれが釣れたらリーチなのに、なんて言い合っていると

第一釣り人現る!最年少の1年生がニシキベラを釣り上げました!

それに続いて次々釣り人が。

   

イシモチ、カゴカキダイ、コッパグレ、フグ、ニザダイなどなど

竹でも意外と釣れるものなんですね。



結果的に、釣り×ビンゴという運試しの極みを制覇したのは、ただひとり。

トリプルリーチやダブルリーチに嘆いた子もいれば、

残念ながら1匹も釣れなかったという子も何人かいて、

生きものを相手にする難しさや駆け引きのおもしろさを、

それぞれいろいろな形で感じとった時間になったようです。



かつては建材や鰹節の物干し竿などに利用されていたメダケ。

用途を失い増え続けた結果、足摺岬では、ヤブツバキや他の植物の妨げになってしまっています。

メダケを含む足摺岬の植生をどう生かし、どう活用していくのかを考える足摺岬ヤブツバキ保全。

今回のイベントが、そのきっかけの一つになれば万々歳です。

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2016年11月08日[参加者募集中] ツルも見えるかも!?バードウォッチング

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

たびたびこんにちは!土佐清水の谷吉です。


最近、おなかがオレンジ色の、スズメくらいの大きさの鳥をよく見かけるようになりました。

 (日本野鳥の会発行「おさんぽ鳥図鑑」より)

ジョウビタキ、という鳥のオスです。雌はもっと地味な色。

このジョウビタキ、夏は北の涼しいところで過ごし、

冬は寒さを避けるように移動する 渡り鳥 です。


ジョウビタキのように、冬になるとやってくるカモやガン、ツグミ、ツルは渡り鳥。

中でもツルは、昔話や千円札、花札の絵柄でもみられる「タンチョウ」が有名で、

日本の鳥の中では大型で、トキに並ぶ知名度かとおもいます。


今回はこのツルの仲間にかんするお話です。


主に北海道でみられるタンチョウは、赤い頭に白黒のコントラストが美しいツルですが、

西日本で見られるツルの代表格は少し小型で、柔らかな灰色と白をしています。

名前は  「ナベヅル」    と     「マナヅル」。

  (日本野鳥の会HPより)

シベリアを飛び立ち、韓国や中国を経て、西日本にやってきて越冬するこのツル。


これらのツルの多くが越冬することで有名なのが、鹿児島県出水市。しかし・・・

 ①ツルがねぐらやエサ場にする田んぼ(農耕地)への踏圧被害

 ②一極集中での感染症(鳥インフルエンザなど)による絶滅の危険性

という課題に直面しています。

これらを解決するべく、ツルの越冬地を他にも作れないかと、

環境省含む行政、民間の団体が、各地で様々な取り組みを行っています。


四国内でもツルが飛来する地域はありますが、

 愛媛県西条市・西予市、高知県四万十市、徳島県阿南市・阿波市・海陽町

が比較的、越冬するツルの多い地域です。

注目は、土佐清水自然保護官事務所のある土佐清水市のお隣、四万十市があること!


四万十市では、「四万十ツルの里づくりの会」が中心となり、

ツルがエサを食べるための田んぼを整備し、人工池を作ったり、

ねぐらになる中州に人が侵入しづらいように整備したり、

環境学習として、地元の子どもたちと一緒にデコイを設置したり、と

さまざまな取組がなされています。


そこで、そういった保全活動も含め、ツルについての理解を深めてもらいながら、

且つ、渡り鳥や留鳥といった、身近な野生動物の代表格・野鳥について知ってもらうべく、

四万十市にて!自然観察会を行います!

その名も「ツルも見えるかも!?バードウォッチング」!!


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日時:2016年11月19日(土) 9:00-12:30

場所:四万十市防災センター(観察は野外で行います)

対象:子どもから大人まで ※小3以下は保護者同伴

参加費:100円(保険代)

申込・お問合:環境省 土佐清水自然保護官事務所

0880-82-2350

       RO_TOSASHIMIZU@env.go.jp

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鳥ってカワイイよね、すきなんだよね、というあなたも

サギとツルと白鳥の違いがわからない、というあなたも

新聞でツルやコウノトリの記事見て気になってたんだ、というあなたも

寒くて運動不足になりがちなあなたも

バードウォッチングで一緒に外に出かけましょう!


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2016年11月02日✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ③ みどりの手

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

連続投稿もいとわない土佐清水からこんにちは!

秋の桜、コスモスが美しく咲き乱れていますね。

各地で紅葉も始まり、ようやく、目で楽しむ秋が始まりました!


さて、ヤブツバキシリーズ第1弾 はじめの一歩でツバキを採取した様子をお届けしましたが、

採取した種はすべて牧野植物園で育てるため、引き取っていただきました。



今回は、地元で育てていく分のヤブツバキの種を採取した様子をお知らせします。


当然のことながら、足摺岬にはツバキとメダケしかないわけではありません。

ツバキとおなじく足摺岬の景観を豊かにしてきた在来種を、

ツバキと共に育苗し足摺岬に植樹し、本来の景観を取り戻すまでが、この保全活動の目的です。

対象は、以下の4種。

     シャリンバイ               ハマヒサカキ

  

      トベラ                   マサキ

 


結実し熟した頃合いを見て、今回採取することになったのが、

ヤブツバキ、ハマヒサカキ、シャリンバイの3種。

左上:ヤブツバキ 右上:ハマヒサカキ

左下:トベラ   右下:シャリンバイ


トベラ、マサキは時期尚早の様子。

果肉に発芽抑制物質(木になっている状態で芽が出ないようにするため)があるので、

それぞれの果実が熟すには時間差があるようです。



採取した実を、それぞれ皮・実からはがしクリーニングします。

ハマヒサカキは「インク」の別名を持つだけあって、青い汁が手に着くとあらっても落ちず、

しかも小さい実の中に、更に小さい種がぎっしり詰まっています!

しかもしかも、シャリンバイもハマヒサカキも、汁が粘性をもっているので、

なかなかうまく種だけを取り出せません。気が遠くなるような作業です。


    ハマヒサカキ          シャリンバイ

 

(おわかりいただけるでしょうか、このハマヒサカキの種の小ささを。)

取り出した実を、今度はきれいに洗い、最終クリーニング。



そしてプランターに植えていきます。

牧野植物園直伝の鹿沼土中粒と細粒の二刀流で!

 

植える! 植える! 植える!!


最終的に、土佐清水自然保護官事務所では

ヤブツバキ365、シャリンバイ235、ハマヒサカキ564を植えました。

足摺岬でも地元の方々や団体が、それぞれ畑やプランターに植え付けを終えています。

これから芽をだし、移植できるようになるまで育てていく、

植物を育てることのできる、「みどりの手」が必要な作業です。



今後、芽吹きまで育てられるか・・

これからのヤブツバキ保全活動の動向とあわせてお知らせしていきますので、

乞うご期待!

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2016年10月31日漁師とサバと宝石サンゴと・・・

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

天気が続いて晴れ晴れしい秋の土佐清水からこんにちは!


いま、足摺宇和海国立公園では、年々訪れる人数が減っていて、

地元にある恵まれた資源を使って、もっと地元を盛り上げられないか、

もっとたくさんの観光客に来ていただけないか、

地元の市町を中心に、産業面で、観光面で、色々と策が練られています。


普段、どちらかと言えば自然を守る関係の仕事が多いのですが、

少しでも地元の盛り上がりに貢献したい!

・・・というわけで、(かなり強引ですが)土佐清水自然保護官事務所も、

ハロウィンに乗っかってみました。


土佐清水市で10月最後の週末に催されるジョン万祭り。

そのなかの、ハロウィンの仮装コンテストに出場を決定!

メンバーは山下R、谷吉AR、山下R奥さんの3人です。

狙うはもちろん1等賞です。


小さな魔女やかわいいドラキュラ、ちびっこマリオなど21組が出場するなか、

我々の装いはというと・・・

漁師とサバと宝石サンゴと

周りからの浮き具合といったら尋常ではありませんが、語呂がすばらしいのと、

何より、これぞ土佐清水の恵まれた資源だと思い、選択した渾身の仮装です。

ハロウィンとは・・・という声がちらほら聞こえてきますが。


とはいえ、コンテスト出場は決定しているので、開き直るしか有りません。

司会からマイクを奪い取って、山下レンジャーが宝石サンゴとアテレコ一人二役でスタート。

単純明快に、漁師がサバを釣り上げ、宝石サンゴを網で穫るデモンストレーションです。

10分にも満たない時間でしたが、出し切りました。


そして21組終えての結果発表。

審査基準もわからないままに、根拠なく入賞を確信していました。

しかし、栄光のグランプリに輝いたのは「ちびっこマリオ」でした!

ステージ上でマリオジャンプを繰り広げたパフォーマンスが勝因でしょう。


我々も、ハロウィンの仮装としては逸脱しながらも、3位入賞と大健闘。

大きなホールケーキをゲットしました。


コンテストのあとは、町に移動して、トリックオアトリートの大パレード。

仮装をして、お菓子かごをもった子ども約250人が、町中を練り歩きました。


土佐清水出身のジョン万次郎がつないだアメリカとの縁を祝するお祭りで、

異国のイベント・ハロウィンを子どもも大人も、大いに楽しみました。

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2016年10月19日【三崎小学校環境学習④】 グラスボートで見残しへ!

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

週末になると天気が悪くなる土佐清水からこんにちは!


さてさて三崎小学校の環境学習、今回は海を、地球を、体感できる授業でした。

講師は竜串でジオパークを営業しながら、長年サンゴ保全活動に取り組んでこられた竹葉さんと

市の職員で地質の専門家、土佐清水ジオパーク推進室の佐藤専門員です。


まずは、グラスボートに乗る前に、竜串のサンゴの歴史をおさらいです。

平成13年の西南豪雨後から、泥の除去やサンゴ移植などの

いろいろな活動によって、今の状態になったことを、写真を見ながら説明してもらいます。


それからクイズ!

これがなかなか難しく、まだまだ地元の海でも知らないことがたくさんあることを痛感しました。


ついにグラスボートで海へ!

すこし波がありましたが、みんな船底の光景にかじりつき。

「あっでっかい魚!」「緑のあれ、苔?サンゴ?」と、興味津々です。

海域公園の3号地と呼ばれるサンゴの群生地で停まり、

サンゴが育む豊かな生態系、そしてそれを守るための国立公園のしくみ、

大切な資源を取り尽くさないこと、次世代につなげていくことを学びました。


そして見残し海岸へ。

弘法大師が竜串にきて「みのこし」たというお話が由来のこの海岸。

1500万年前の奇岩群があって、周遊するとちょうど良い観光コースです。


ここで行うのが、地球の歴史を感じる、地質(ジオ)学習。

大昔にいきものが這った痕や、いきものの巣の化石などが見られます。

そして大小さまざまな穴が空いた奇岩、斜めに突き刺さるように切り立つ崖など、

大きな地殻変動や、じわじわと長い年月をかけて行われてきた変化を目の当たりにします。


お昼を挟んで、竜串湾を見渡せる展望台へ。

10月半ばも過ぎて、むしむしする暑さですが、見晴らしの良いところへ出ると、歓声があがります。

集合写真をぱちり。



最後に、土佐湾で見られるクジラについてのお話がありました。

ホエールウォッチングが盛んな土佐湾ですが、そもそもどうして土佐湾にクジラが来るのでしょうか?

答えは、山から始まる水の旅にあります。


海に流れこむ水をさかのぼると、川を通り里の傍を流れ、山に行きつきます。

山から栄養たっぷりの水が流れ出て、やがて川をながれ海にたどり着き、

たくさんの植物プランクトンを育て、それを食べる動物プランクトンが育ち、

さらにそれを食べる小魚が集まって、

最終的に、それらを食べるクジラがやってくる海になります。


この授業の趣旨でもある、「山・川・海・里のつながり」がよく分かるお話でした。


今回のこの授業を踏まえて、次は生きものをそだてる栄養の源、山へ行きます!




【おまけ】

授業の終わりにおもしろい50mメジャーの使い方がありました。

地球は今46億歳。見残しの地層は1500万年前のもの。

1億年を1mとして広げると・・・

46億年は46m。そして1500万年は、15センチ・・。小学生の靴よりも小さいんです。

見残し海岸で、1500万年前の化石を見て驚いていましたが、

地球46億年の歴史を考えると、本当につい最近のことなんですね。

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2016年10月11日✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ② メダケの活路

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

秋だけど、まだまだ暑い土佐清水からこんにちは!


さてさて、先週に引き続きヤブツバキシリーズ、早速第2弾です。

前回ご紹介しました、足摺半島で繁殖している「メダケ」。

ヤブツバキ含む、他の植物の生長を妨げるほど増加しているんですが、

これを使ってなにかできないか・・・考えに考えました。


そして思いついたのが、「メダケで一本釣り」!

 足摺岬のメダケで竿を作り、

 餌は川や海の岸辺で、自分たちで調達する。

昔ながらの竹竿釣りをやってみよう!というイベント企画です。


11月に開催予定ですが、今回試験的に行ってみました。

まずは竹の調達。

あまり太すぎず、先がしなるメダケを探し、節を整えます。

先にしなり癖のついた良いメダケを選ぶ、さすがの釣り名人。


竹を持って、伊佐漁港へ

本当は磯や海釣りが楽しいのでしょうが、

今回は安全とアクセスのしやすさを優先して、漁港で行います。

糸と針をセットして、いざ、フィッシング開始!

が!魚影はちらほら見えているんですが、食いつきが悪い・・・

これでは釣りの楽しさが分からないのでは、と冷や汗。

ここで釣れたのはゲンナイ(イシモチ)でした。


気を取りなおして、足摺岬を挟んで反対側の漁港へ

一縷の望みをかけて、釣り糸を垂らすと、とれるとれる!

  

ゲンナイはもちろん、ニシキベラにオヤビッチャ、カゴカキダイなどなど

ここは活きが良いみたいで、カラフルな小魚もたくさんいます!


なぜこんなにも違うのか。潮か、時間帯か、場所か。

直前にもう一度下見をする必要はありそうですが、

とにもかくにも、なんとかイベント自体は開催できそうです。



満を持して告知!

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「足摺メダケでいっぽん釣り!?」

足摺岬のメダケを使って、竹竿作り♪

えさを自分でとってきて、竹竿を使って釣り体験してみよう!

[日時] 11/12(土) 8:30-12:30

[募集人数] 15人

[参加費] 無料

[集合場所] 8:30に市役所

※当日はマイクロバスで移動します。

詳しくは、環境省土佐清水自然保護官事務所(0880-82-2350)まで

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今回は「メダケ」を「釣り竿」にしてみるという試みですが、

他にも、建材や物干し竿はもちろん、笛やペンなどにも加工されるメダケ。

厄介者扱いせずに、うまく活用できる道を探していきたいですね。



おまけ

今回、思わぬモノを釣りそうになってしまいました。

なんだかわかりますか?

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2016年10月03日✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ① はじめの一歩

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

今週中には台風18号が上陸する予報の土佐清水からこんにちは!


さて、ここの国立公園の名前にもなっている「足摺岬」。

写真を見たことがある人や訪れたことのある人の中には、

足摺岬と言えば、展望台とツバキの二つを思い浮かべる人もいるかと思います。

足摺岬に到着するとまず目に入るのが、この灯台のモニュメント。

看板にはツバキがあしらわれています。


足摺岬のツバキは「ヤブツバキ」と言い、同じツバキ属のサザンカや寒椿以外の、一般的に見られるツバキを指すようです。

(写真 土佐清水市HPより)

花の少ない冬の時期に、海食断崖に真っ青な空と海、白い灯台に差し色を添えるようなヤブツバキは、

足摺岬の特異な景観の、重要な構成要素になっています。


この景観は、ツバキの油をとるために、ツバキが残され

他の樹木が、利用されたことで、できあがったと言われています。


一方、現在の足摺岬で勢力を増しているのが「メダケ」。

このメダケも、鰹節を干すための棚や壁の骨材など、かつては暮らしに生かされていたようですが、

今は使われなくなり、足摺岬で少しずつその分布域を拡大し、

ヤブツバキを含む他の樹木の成長の妨げになっています。



そこで今年度から、土佐清水市、観光協会、地元の方々と連携し、

メダケを伐採し、ヤブツバキなどを植樹し、ツバキ林を再生しようという取組を始めることになりました。


題して、「ヤブツバキ林再生プロジェクト」です!!



その第一歩として先月末、育苗のための講習会を行いました。

牧野植物園から専門員の方々をお呼びして、種子の選別方法やクリーニング方法、

播種の時期や手法などを教えていただきました。

 

先月半ばの台風の影響で、穫りごろな種子はすべて落ちてしまったようですが、

なんとか割れているヤブツバキの実を探し出しました。

※国立公園内の植物や動物の採取・捕獲には手続きが必要です※

ないないといいながら、10人ほどで探すと意外と集まりました。その量約4kg。

今回採取した分は、牧野植物園で播種育苗していただきます。



今日はヤブツバキ保全シリーズ第一回をお届けしましたが、

今後も、ヤブツバキ保全について、最新の進捗状況をお伝えしていきます。

環境省でも、ヤブツバキの育苗に取り組む予定ですので、

ぜひぜひ次回のヤブツバキシリーズをお楽しみに~!




おまけ

ツバキの葉裏などで、集団越冬するカメムシの仲間、オオキンカメムシ。

こんなカラフルなカメムシもいるんだな-!と感動したり、

一人がにおいをかいで「くさい!」、また一人かいで「くさい!」。

まじめな保全事業の中で、大人が子どもに戻る幕間でした。

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2016年09月07日清水小学校のサンゴ学習

足摺宇和海国立公園 谷吉萌

まだまだ麦茶がおいしい土佐清水からこんにちは!

台風のおかげで海水温が下がりましたが、まだまだ予断を許さない状態です。

(サンゴ白化記事は【速報】足摺宇和海のサンゴ白化状況をご覧ください。)


今日は、土佐清水自然保護官事務所からあるいて5分の清水小学校のサンゴ学習のようすをお届けします。

1学期から、サンゴの生態や竜串のサンゴをグラスボートで見学してきた4年生。

まとめ授業として、「土佐清水のサンゴ いまとこれから」をテーマにお話ししました。


最初は、レンジャーという仕事や国立公園についての、簡単な説明から。

写真や地図を使いながら、国立公園が日本にどれだけあるか、

国立公園やレンジャーがどういった役割をもっているのかを説明していきます。

先生からは、サンゴのことだけじゃなく、レンジャーという普段かかわりのない仕事を知る、良い機会になったというお言葉をいただきました。


そして本題のサンゴについて。

まずは、清水のサンゴが今いい状態なのか、悪い状態なのか、

実際の状況を知ってもらう前に、考えてもらいました。

良いと思う子は、1学期にグラスボートから自分の目で見たサンゴがきれいだったことを挙げ、

悪いと思う子は、ゴミをよく見かけることや、オニヒトデがいることを挙げていました。

どちらの意見も正しくて、ものごとの見方がひとつでは無いことが分かります。


自分たちで考えてもらった上で、実際に起こっていることを

サンゴが直面する3つの危機として知ってもらいます。

サンゴを食べるオニヒトデや巻き貝や、

西南豪雨などで問題になった泥をはじめとする、上流部の自然の弱体化による影響、

(冒頭でも話題に挙げた)白化についてを取り上げて、詳しく話します。

オニヒトデ駆除で使用されている酢酸注射がドリルに見えたようで、

意外にも食いつきがよく、印象に残った話のひとつに上がっていました。


最後に、サンゴのこれからをみんなで考える上で、

サンゴがないとどうなるかを考えてみました。

サンゴのまわりに暮らす生きものがいなくなること、

観光や漁業など、人の暮らしにも影響が出ることを挙げてくれ、

これまでの授業がしっかり吸収されていることが分かりました。



事務所から歩いて5分、ご近所さんの清水小学校。

こうしてお話をしたことで、子どもたちも身近に感じてくれたようで、

さっそく放課後、習い事の帰りにあそびに来てくれた子がいました。

これまでに無いことなので戸惑ってしまいましたが、

こんなふうにあそびに来てもらうと、やはりうれしいものです。

これからもこどもたちが気軽にあそびにきて、

自然について新しく発見できる機会を提供していけたらいいなと思います。

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