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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

剣山山系国指定鳥獣保護区を彩る白い花たち

2023年07月19日
瀬戸内海国立公園 湯淺和美
AR日記をご覧の皆様、こんにちは!
 
6月15日、16日の2日に渡って、シカ生息調査カメラのメンテナンスに4か所まわりました。
山中は白い花盛り。雨上がりのすがすがしい空気の中、清らかさが一層増しているように感じました。
 
この2日間で出会った白い花、メモできただけでも27種。

イワガラミ・マタタビ・エゴノキ・ヒメウツギ・モリイバラ・ヤマボウシ・マルバウツギ・ヤマアジサイ・ヒメジョオン・フタリシズカ・テンナンショウ・ウメガサソウ・コガクウツギ・コゴメウツギ・ヤマゴボウ・アサガラ・ヒメシャラ・スイカズラ・ウワバミソウ・クルマムグラ・バイケイソウ・ギンリョウソウ・サルナシ・ヤマブドウ・リョウブ・ミズキ・タンナサワフタギ

そのうちのいくつか、白い花を中心に写真で紹介します。

猫が喜ぶマタタビ

花だけでなく、葉もランダムに白くて、遠目にもすぐそれと分かります。
マタタビ
マタタビの花
マタタビ
マタタビの葉

エゴノキ

小さな白い花が枝から無数に垂れ下がるその姿、『森のシャンデリア』とも呼ばれるそうです。
夏には可愛い実をたくさんつけます。ヤマガラの大好物だそうです。また、若い実は水中ですりつぶすと白く泡立つことから『シャボンの木』や『石けんの木』とも呼ばれ、花と実それぞれにたくさんの異名をもつ木です。
*実には洗浄力も実際にあるそうですが、その成分には粘膜などを傷つける有毒物質も含まれています。遊ぶときは素手で行わず、目や口に入らないように気をつけてくださいね。


エゴノキ
エゴノキの花

アサガラ

こちらも『森のシャンデリア』と呼びたい美しさ。先に挙げたエゴノキと同じエゴノキ科(アサガラ属)。
散っていく花殻がミルクの王冠のようでとてもかわいらしい。
アサガラ
アサガラの樹形
アサガラ
アサガラの花
アサガラ
落下する花殻

アジサイ科アジサイ属の仲間たち

左からヤマアジサイ、コガクウツギ、イワガラミなど、みんな花が似ていてちょっとややこしい。
アジサイ属
ヤマアジサイ
アジサイ属
コガクウツギ
アジサイ属
イワガラミ

ヒメシャラ

ナツツバキと似ているけれど、花も葉もそれより小振り。足元に落ちた花もかわいらしい。
ヒメシャラ
ヒメシャラの花
ヒメシャラ
落下した花

スイカズラ

別名金銀花。花の色が咲き始めは白、次第に黄色へと変化するため、2色の花が同時に咲いているように見えることから。低地でもよく見られ、花の蜜が甘くて子どもが好んで吸うところから、この名が付いたそうです。
もともと東アジア一帯に分布する植物だけれど、欧米では観賞用に栽培したものが野生化し、現在、外来種として問題となっている植物でもあります。
スイカズラ
スイカズラの花

ウワバミソウ

この名を聞いたとき、日本昔ばなしで見た『とろかし草(蛇含草)』を思い出しました。大蛇が人を丸呑みしたあと、この草を食べて消化させる様を見て、強力な消化薬と思い食べた人が消えてなくなる、人を溶かす草だった、という怖い話。大蛇でも出てきそうな水辺に自生していることからその名が付いたもので、実際は別名ミズナと呼ばれ、人もおいしく食べられる人気の山菜だそうです。
ウワバミソウ
ウワバミソウ
ウワバミソウの花
このカメラメンテナンスからはや1カ月。
今、山ではどんな花が盛りを迎えているでしょうか。

今回は、白い花をテーマに、色々調べてみました。
下山後も、こういう時間が楽しいものです。

また、「ウツギ」と名のつく花の多種多様さにも驚きました。
ウツギについては、別の日記で書きたいと思います。
よろしければ、そちらもまたご覧ください。