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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【出前講座】瀬戸内海ってどんなとこ?~瀬戸内海と私たちのつながりについて考えよう!~

2016年02月09日
瀬戸内海国立公園 大髙下理恵

古田台小学校6年生を対象に出前講座を実施しました。

テーマは「瀬戸内海ってどんなとこ?~瀬戸内海と私たちのつながりについて考えよう!~」です。

まずは国立公園とは?レンジャーとは?瀬戸内海とは?の概要をPPTにて解説。


続いて、実際に瀬戸内海の生き物に触れてもらおうと

ヤドカリの殻出し実験と二枚貝の浄化実験を行いました。

ヤドカリは誰でも知っている磯の定番生物です。

ですがその体がどうなっているか見たことがあるでしょうか?

脚が何本あるか?という質問には

6本、8本...と聞いて最高14本!という子までいました。

どうやったら貝から出るか?という質問には、

「お気に入りの貝を置いて出てくるのを待つ」「火で貝を炙る」など出てきました。

皆さん、なかなか勘が鋭いです。

多分これらの方法でも出る可能性はありますが、

今回は紙コップにお湯を入れて貝の頭を温めて出す方法でトライしてみました。


1~2分待つと熱さに絶えかねてスルリと出てきました。

体は思ったよりどうなっていたでしょうか?

「脚はカニと同じ10本」

「触覚みたいなのが赤い」

「エビやサソリみたい!」

「体が右巻きになってる!」など、色々な発見がありました。


二枚貝の浄化実験はカキとムラサキイガイで実験しました。

授業開始に汚した海水を作り、こちらもどうなっているか予測してみました。

「貝がバラバラになってる」「水が減ってる」「水がきれいになってる」など

様々な意見が出ました。

結果は・・・

わずか40分程度でしたが、左の白い汚れた水が澄んだ透明な海水になっていました。

これには皆もお~~~っと歓声があがりました。

カキは1リットル/1時間もの海水を濾過していると言われています。

ただし、二枚貝が多すぎてもエサが足りない。

有機物が多すぎると水が汚れる。

あくまでそのバランスがとても大事なんですね。



次にそのバランスを体感してもらおうと

「つながり発見!瀬戸内海」というアクティビティを行いました。

人間を含む生き物が生きるために必要なもの、

それは「食料」「すみか」「水」「空気」「土壌」「日光」です。

そこで、一人一人がカニ(生き物)-有機物(エサ)-干潟(すみか)-水-空気などの役割になり、もたれあいの丸い円を作りました。

[1、2、3の掛け声で全員後ろの人の膝に座ります]


お互いがお互いを支え合っているこの状態がバランスがとれた瀬戸内海の生態系です。

生活排水が流れ込み、水の人が輪から外れると...

干潟が埋立てられて、干潟がなくなると...どうなるでしょうか?

実際に水の人と抜いてみると、円が崩れてしまいました。

魚介類を食べる私たち人間もこの円の一員であることは言うまでもありません。


今回の講座で「学んだこと」「気づいたこと」を一人一人書き出してみました。

「一つ一つが大切」「バランスが大事」などの気づきが多く、

生物多様性の大切さが伝わったのではないかと思います。

最後に、こんな身近にある瀬戸内海がかかえる問題にも触れました。

自然海岸が7割消失していること、

きれいな宮島でも漂着ゴミが山積していること、

実験で使ったムラサキイガイなど外来種が侵入していること(水をきれいにしてるがいいことだけなのか?何が悪いのか?)など伝え、終えました。

[拡大:発泡スチロールの粉で埋まった宮島の湿地]

きれいで豊かな瀬戸内海を残していくために何ができるのか、

いろんな視点を持ち、取り組んでいってほしいと思います。