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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【オススメ】御殿山

2016年02月08日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

朝晩は一気に冷え込むも、日中は晴れてポカポカ陽気が続くと、「どこかに出かけてみようかな?」と思う人も少なくないのでは?

夏は高温多湿でやや霞んで見えることが多い景色ですが、瀬戸内の冬は乾燥しており、特に雨上がりは空気中の目には見えないゴミなどが洗われて落ち、景色は澄んで見えます。

そんな冬こそ行ってほしい!ARオススメの展望地をご紹介します。


今回ご紹介するのは「御殿山(ごてんやま)」。



屋島の東隣にある庵治半島の北西端に位置し、瀬戸内海国立公園特別地域に指定されている場所です。

名前から「山」とありますが、標高は83mと低く、周辺にはぐるりと一周する平坦で歩きやすい遊歩道が整備されています。

県道から住宅地を抜けると皇子神社に到着。そこから南側には漁港があり、庵治湾と港町らしい集落が広がります。神社前の広場のフェンスには恋愛の願い事を祈願した南京錠が付けられていますが、南京錠の重みでフェンスが倒壊しかねませんのでご遠慮ください。


皇子神社から3分ほど行くと、南休憩所に。

展望は他に比べるとあまり開けていませんが、さえずりを始めだした野鳥の声を聞くにはちょうどよい、ゆっくりできる休憩所です。すぐ横の桜の木にはウソ(♀)が留まり、好物の花芽を食べていました。


<ウソ♀(アトリ科)>


また5分ほど進むと、北休憩所、手前には山頂休憩所に行く階段が見えてきます。



<北休憩所・屋島全景が眺められます>


この日はご近所に住むご夫婦が歩かれていて、日影は冷えるから陽の当たる北休憩所で折り返して戻るのだそう。御殿山園地は来る度にご近所の方がお散歩や清掃をしていたりと地域に大切にされていることが目に見えて分かります。初めて訪れた時は、近所のお婆ちゃんが「女性1人だと心配」と言って、一緒に歩いてくれたことがありました(笑)


階段を100mほど登ると、スイセンやマンリョウが植えられ、四阿が整備された山頂展望所へ到着。


<山頂展望所>

女木島~大島~豊島~小豊島~小豆島まで見渡せ、四阿の先にあるベンチに座ればより抜群の眺望が楽しめます。


照射灯の横から下りる遊歩道に進むと、ウバメガシの林・トンネルの中に入ります。

この日は風もありましたが、ウバメガシ林がうまく防風林の役割をしていたので、さほど寒さは感じませんでした。



分岐で左に行くと根太鼻へ、そのまま道なりに進み、ウバメガシのトンネルを抜けるとどーんと瀬戸内海が広がるビュースポットへ出ます。屋島北嶺や荘内半島三崎もそうなのですが、閉鎖空間のウバメガシなどのトンネルを抜け出た先に広がる景色は、開けた場所よりも味わえる感動が大きいように思います。緩急って大事ですね。


<目の前には無人島の鎧島と兜島>


ビュースポットから下りた所には、サラサラの白砂の浜!完全独占状態です。

この浜に「御殿山」の由来となる、御殿跡が残ります。

1668年に高松藩主・松平頼重公(水戸光圀の兄)が別荘を御殿山に造りました。高松に戻ってから亡くなるまでの30年間、年に34ヶ月ほど滞在し、山の上にあった御殿がなくなった後も、浜の御殿には代々の藩主が泊まりに来ていたそう。それも1872年(明治5年)には焼失してしまい、今では池や井戸、石垣、蛭子神社が残るのみとなっています。


<波と船舶、山から聞こえてくる野鳥の声だけが聞こえてくる贅沢空間>


御殿山1周は約30分、根太鼻や御殿跡まで行くと1時間程度のコースです。

家の中に閉じこもらず、暖かい日は外に出かけてみてはいかがでしょうか。