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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【大月PV】オニヒトデ駆除活動

2012年04月16日
土佐清水
平成24年度になり、今年度も様々な活動が始まっています。
そのうちの一つである大月地区のパークボランティアの会の活動があります。

4月中頃に、昨年度の活動報告と今年度の方向性の話をしました。
その後、酢酸注射によるオニヒトデ駆除活動がありました。

PVによるオニヒトデ駆除活動

この日の駆除活動は4名、ウェットスーツ等に着替え船に乗り込み、



この日に駆除したのは14匹。
竜串湾に比べると数としては少ないものの、以前は見られなかった場所にまでオニヒトデが迫ってきているようです。


以前までオニヒトデ駆除は、L字型やはさみ型のカギ等でオニヒトデを引っかけネットに入れて船まで引き上げ陸上にて処分するという方法でした。

オニヒトデ採取する際に用いる手カギや手バサミ

刺傷する危険性が高かったネットに集められたオニヒトデを引き上げる作業

この方法は、オニヒトデをネットに入れる際や船に引き上げ時などにオニヒトデのトゲに刺され、人によってはアナフィラキシーショック症状がでたりと、かなり危険が伴う作業。
また、駆除個体の処分としてかかる様々な費用や手間も多大でした。
パークボランティアの方々もこういったオニヒトデ駆除作業でトゲに刺される事故は幾度かあったと聞いています。

昨年度、マリンワーカー事業によるオニヒトデ駆除の新しい手法として酢酸注射による駆除方法が開発されました。
酢酸は、(もちろん濃度は違いますが)いわゆる台所にもあるお酢のようなもの。
理科の教室でよく見かけた柔らかい薬品ボトルには駆除用に希釈した酢酸がはいっており、ホースでつながった鉄砲型の注射器のグリップを握ると針からオニヒトデに注入されるというものです。

酢酸注射駆除の機具

このような注射駆除による方法は、海外では特殊薬品で実施されていたようですが、駆除に用いるその薬品が高額なこと、誤射時の人体や海への影響が懸念されていました。
そこで、安価で人体への影響も少ない酢酸での効果検証が行われ、様々な実験検証により、海水温等の環境条件により変わりますが、駆除に適した酢酸の濃度が定められ現在も研究が続けられています。

この手法を開発した黒潮生物研究所の職員による説明会などを受け、大月PVでもこの手法を用いて駆除を行い始めています。

陸上と違ってダイビングによる駆除活動は、参加できる人が限られてしまいます。
オニヒトデ駆除対策は人手不足が大きな課題です。
人体と環境負荷が少ない薬品でかつ効率が良く安全に行えるという点で優れているこの方法は、何より駆除活動に参加する人手を増やす方法として一役買ってくれるのではないでしょうか。