大山隠岐国立公園 松江
150件の記事があります。
2013年08月13日子どもパークレンジャーが実施されました。(前編)
大山隠岐国立公園 松江 前川 文吾
先日、隠岐地域での子どもパークレンジャーを実施しました。
今年は隠岐の島町立北小学校の5・6年生17名が、国立公園を管理する自然保護官(パークレンジャー)の仕事を2日間にわたって体験しました。
まずは北小学校で子どもパークレンジャーの任命式です。自然保護官から全員に任命状が渡されます。
任命式の様子
子どもパークレンジャーは、自然保護官から国立公園についての話を聞いたあと、講師の先生から隠岐のジオパークについて学習します。
講師の先生からジオパークの話を聞きます
隠岐ジオパークは隠岐の魅力を「大地の成り立ち」「独自の生態系」「人の営み」の3つのテーマで紹介しています。子どもパークレンジャーはこのテーマに沿って「大地班」「生き物班」「人の生活班」に別れて国立公園の自然や文化を調査します。
まず始めに海岸沿いの植生観察をしました。
隠岐には北、南、高山、大陸、固有の植物があると解説を聞きます
ここは海抜50mほどですが亜高山帯に植生を持つ「オオイワカガミ」「クロベ」や「シロウマアサツキ」「ミズナラ」などを見ることができます。
オオイワカガミ
シロウマアサツキ(6月撮影)
ミズナラ
その他にも北方系の「イタヤカエデ」「エゾオオバコ」や南方系の「スダジイ」「ヤブツバキ」大陸性の「ダルマギク」「ケグワ」隠岐固有種の「オキノアブラギク」など様々な植物が混在する隠岐の植生の不思議を講師の先生から教えてもらいました。
イタヤカエデ
ヤブツバキ
ダルマギク(6月撮影)
オキノアブラギク(11月撮影)
公園区域外で見つけた植物について、形や大きさを観察するために葉を1~2枚切り取り、拓本にして記録を取りました。
拓本作業の様子
次に海藻を使った藻塩づくり体験をしました。
素焼きの土器に濃縮海水を注ぎます
周りを海で囲まれた隠岐では、たくさん取れる海藻を食用以外にも畑の肥料に使うなど人の生活に欠かせないものとして利用しています。また海藻は、サザエやアワビ、魚類など海の生き物にとっても餌場や繁殖場所になっているので、これらを捕獲する漁業者にとっても必要なものです。今回はこの海藻を使って古代人と同じ方法で藻塩の製塩に挑戦します。十分に熱した素焼きの土器にアラメの煮汁と10倍に濃縮した海水を注いでいきます。やけどしないように気をつけながら、30分かけて藻塩づくりを行いました。味見した子どもパークレンジャーからは「おいしい!」「にがい!」「しょっぱい!」など様々な感想が聞かれ、市販の塩との違いを感じたようです。
塩は上手にできたのでしょうか?
最後はシーカヤックに乗って海から地形や地質を調査する予定でしたが、波が高かったため、隠岐で産出する黒曜石を使った矢尻づくり体験を行いました。
黒曜石は溶岩が急冷されて溶岩内のガラス質が結晶化したもので、割れた断面はガラスと同じように大変鋭く、古代人達は石器に利用していた岩石です。
隠岐の黒曜石は、中四国地方で唯一、石器に使用できる良質の黒曜石で、古代人たちもこの黒曜石を矢尻に使用していた歴史があります。研究では4万年前の四国の遺跡から隠岐産黒曜石の石器が発掘されており、当時の古代人たちの交流の広さを教えてくれる岩石でもあります。子どもたちは復元弓の試射を目の当たりにし黒曜石の鋭さに改めて感激したようです。
黒曜石の矢尻を使った復元弓の試射
矢尻づくりは古代と同じ方法で黒曜石の原石とシカの角と皮を使用してつくります。隠岐にはシカは生息していないので、古代の隠岐の人々が黒曜石とシカの角や皮を物々交換していた様子をうかがうことができます。矢尻づくりはシカの皮で手を保護しつつシカの角を押し当て黒曜石の表面を剥離(はくり)させていきますが、なかなかコツがつかめず四苦八苦します。
黒曜石の剥離(はくり)にはコツが必要です
古代人の技術力の高さを体験しました。古代体験として2mの火おこし器を使い火おこし体験も行いました。
声をあわせて力を合わせて火起こしです
子どもパークレンジャー1日目はこのように体験を中心に行い終了しました。
子どもパークレンジャーおつかれさまでした
今年は隠岐の島町立北小学校の5・6年生17名が、国立公園を管理する自然保護官(パークレンジャー)の仕事を2日間にわたって体験しました。
まずは北小学校で子どもパークレンジャーの任命式です。自然保護官から全員に任命状が渡されます。
任命式の様子
子どもパークレンジャーは、自然保護官から国立公園についての話を聞いたあと、講師の先生から隠岐のジオパークについて学習します。
講師の先生からジオパークの話を聞きます
隠岐ジオパークは隠岐の魅力を「大地の成り立ち」「独自の生態系」「人の営み」の3つのテーマで紹介しています。子どもパークレンジャーはこのテーマに沿って「大地班」「生き物班」「人の生活班」に別れて国立公園の自然や文化を調査します。
まず始めに海岸沿いの植生観察をしました。
隠岐には北、南、高山、大陸、固有の植物があると解説を聞きます
ここは海抜50mほどですが亜高山帯に植生を持つ「オオイワカガミ」「クロベ」や「シロウマアサツキ」「ミズナラ」などを見ることができます。
オオイワカガミ
シロウマアサツキ(6月撮影)
ミズナラ
その他にも北方系の「イタヤカエデ」「エゾオオバコ」や南方系の「スダジイ」「ヤブツバキ」大陸性の「ダルマギク」「ケグワ」隠岐固有種の「オキノアブラギク」など様々な植物が混在する隠岐の植生の不思議を講師の先生から教えてもらいました。
イタヤカエデ
ヤブツバキ
ダルマギク(6月撮影)
オキノアブラギク(11月撮影)
公園区域外で見つけた植物について、形や大きさを観察するために葉を1~2枚切り取り、拓本にして記録を取りました。
拓本作業の様子
次に海藻を使った藻塩づくり体験をしました。
素焼きの土器に濃縮海水を注ぎます
周りを海で囲まれた隠岐では、たくさん取れる海藻を食用以外にも畑の肥料に使うなど人の生活に欠かせないものとして利用しています。また海藻は、サザエやアワビ、魚類など海の生き物にとっても餌場や繁殖場所になっているので、これらを捕獲する漁業者にとっても必要なものです。今回はこの海藻を使って古代人と同じ方法で藻塩の製塩に挑戦します。十分に熱した素焼きの土器にアラメの煮汁と10倍に濃縮した海水を注いでいきます。やけどしないように気をつけながら、30分かけて藻塩づくりを行いました。味見した子どもパークレンジャーからは「おいしい!」「にがい!」「しょっぱい!」など様々な感想が聞かれ、市販の塩との違いを感じたようです。
塩は上手にできたのでしょうか?
最後はシーカヤックに乗って海から地形や地質を調査する予定でしたが、波が高かったため、隠岐で産出する黒曜石を使った矢尻づくり体験を行いました。
黒曜石は溶岩が急冷されて溶岩内のガラス質が結晶化したもので、割れた断面はガラスと同じように大変鋭く、古代人達は石器に利用していた岩石です。
隠岐の黒曜石は、中四国地方で唯一、石器に使用できる良質の黒曜石で、古代人たちもこの黒曜石を矢尻に使用していた歴史があります。研究では4万年前の四国の遺跡から隠岐産黒曜石の石器が発掘されており、当時の古代人たちの交流の広さを教えてくれる岩石でもあります。子どもたちは復元弓の試射を目の当たりにし黒曜石の鋭さに改めて感激したようです。
黒曜石の矢尻を使った復元弓の試射
矢尻づくりは古代と同じ方法で黒曜石の原石とシカの角と皮を使用してつくります。隠岐にはシカは生息していないので、古代の隠岐の人々が黒曜石とシカの角や皮を物々交換していた様子をうかがうことができます。矢尻づくりはシカの皮で手を保護しつつシカの角を押し当て黒曜石の表面を剥離(はくり)させていきますが、なかなかコツがつかめず四苦八苦します。
黒曜石の剥離(はくり)にはコツが必要です
古代人の技術力の高さを体験しました。古代体験として2mの火おこし器を使い火おこし体験も行いました。
声をあわせて力を合わせて火起こしです
子どもパークレンジャー1日目はこのように体験を中心に行い終了しました。
子どもパークレンジャーおつかれさまでした
2013年08月13日子どもパークレンジャーが実施されました。(後編)
大山隠岐国立公園 松江 前川 文吾
隠岐の島町立北小学校で実施された子どもパークレンジャー2日目です。
前日体験・記録した資料を模造紙にまとめます。
前日の体験を振り返ります
前日の体験を振り返りながら隠岐ジオパークのテーマにそって「大地班」「生き物班」「人の生活班」に分かれて作業を行います。
まとめの方法について説明
班の中で発表原稿係や模造紙作成係など役割分担して作業を進めていきます。講師の先生から学習したことや体験したことをまとめていきます。多彩な色使いでデコレーションも欠かしません。
協力しながら模造紙に記入
写真やレイアウトも話し合いながら
子どもパークレンジャーとしてどのように隠岐の自然を感じたのか感想文も書いています。楽しい体験の中から子どもたちはどのようなことを感じ取ってくれたのでしょうか?
感想文を記入中
各班できた模造紙の発表を行います。短い時間の中でとても完成度のた高い発表ができました。子どもパークレンジャーからは「隠岐に貴重な自然があることが今回の体験でわかりました。僕達もこの自然を守って行きたいと思いました。」と感想が聞かれ、隠岐の自然に対する認識にも変化が見られました。
人の生活班の発表
生き物班の発表
大地班の発表
今回の事業成果は10月に隠岐で開催される日本ジオパークの大会で発表する予定となっています。大会に参加された際には、ぜひ子どもパークレンジャーの発表をお聞きください。
前日体験・記録した資料を模造紙にまとめます。
前日の体験を振り返ります
前日の体験を振り返りながら隠岐ジオパークのテーマにそって「大地班」「生き物班」「人の生活班」に分かれて作業を行います。
まとめの方法について説明
班の中で発表原稿係や模造紙作成係など役割分担して作業を進めていきます。講師の先生から学習したことや体験したことをまとめていきます。多彩な色使いでデコレーションも欠かしません。
協力しながら模造紙に記入
写真やレイアウトも話し合いながら
子どもパークレンジャーとしてどのように隠岐の自然を感じたのか感想文も書いています。楽しい体験の中から子どもたちはどのようなことを感じ取ってくれたのでしょうか?
感想文を記入中
各班できた模造紙の発表を行います。短い時間の中でとても完成度のた高い発表ができました。子どもパークレンジャーからは「隠岐に貴重な自然があることが今回の体験でわかりました。僕達もこの自然を守って行きたいと思いました。」と感想が聞かれ、隠岐の自然に対する認識にも変化が見られました。
人の生活班の発表
生き物班の発表
大地班の発表
今回の事業成果は10月に隠岐で開催される日本ジオパークの大会で発表する予定となっています。大会に参加された際には、ぜひ子どもパークレンジャーの発表をお聞きください。
2013年07月30日柿本人麻呂終焉の地? ~中国自然歩道、湯抱温泉・西の原間~
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
夏真っ盛り。全国各地では猛暑を記録していますね。
また各地で豪雨による災害が起きています。お住まいの地域はいかがでしょうか。お気を付けください。
さて今回は三瓶周辺の遊歩道、美郷町の湯抱温泉から西の原に抜けるルートを紹介します。湯抱は三瓶山から少し離れていますが、この周辺も国立公園に含まれています。またこの遊歩道は中国自然歩道の一部でもあります。
今回は湯抱をスタートとして紹介します。湯抱はひなびた温泉地です。大正・昭和の歌人「斎藤茂吉」は、自身の研究で万葉の歌人「柿本人麻呂」の終焉の地をここであるとしています。
ここには駐車場とトイレが整備されています。ここに車を置いて歩き出すとしばらく舗装路を歩くことになりますが、道路沿いには沢が流れ心地良いです。
道を上っていくと向かって右側に沢を渡る木の橋が架かっています。この橋が遊歩道の入口になります。
道はアップダウンがあるのでトレッキングと言った感じでしょうか。
ですが坂には歩きやすい階段(間隔がちょうど良い)がついており、道幅も広いです。木々が木陰を作るぶん涼しく歩けます。展望は開けていませんが、尾根づたいを歩く道なので、明るい印象を受けます。また地面が柔らかで深山を歩いている感じがします。
ただしブヨが多いので虫除け対策をしてくださいね。
今年は雨が多いせいか所々でキノコを目にしました。どれが食べられるかわからないので摘みませんでしたが。
【「なんだこれは?」これもキノコのようです。傘が開いたものが離れた所に生えていました。】
遊歩道を抜けた先には浮布池が待っています。池から三瓶山を望む景色を写真に収めたいならここがポイントになります。
ここまでくれば西の原は近いです。西の原には草原が広がっており、レクリエーションも楽しめます。その先には三瓶山自然林内を歩く中国自然歩道が延び、三瓶自然館サヒメルや青少年交流の家のある北の原に至ります。
また反対側の湯抱温泉からは石見銀山へ中国自然歩道が延びています。
西の原と湯抱とを結ぶ公共交通機関が乏しいのでスタートした場所に戻ろうとすると工夫が必要ですが、中国自然歩道の散策を楽しまれてみるのはいかがでしょう。この辺りは温泉の宝庫でもありますよ。
※インターネットホームページ「自然大好きクラブ」内の「長距離自然歩道を歩こう!」に全国の自然歩道が紹介されています。
下記URLに今回紹介したルート(6-b 西の原・湯抱モデルコース)が載っています。
http://www.env.go.jp/nature/nats/shizenhodo/chugoku/shimane03.html
また各地で豪雨による災害が起きています。お住まいの地域はいかがでしょうか。お気を付けください。
さて今回は三瓶周辺の遊歩道、美郷町の湯抱温泉から西の原に抜けるルートを紹介します。湯抱は三瓶山から少し離れていますが、この周辺も国立公園に含まれています。またこの遊歩道は中国自然歩道の一部でもあります。
今回は湯抱をスタートとして紹介します。湯抱はひなびた温泉地です。大正・昭和の歌人「斎藤茂吉」は、自身の研究で万葉の歌人「柿本人麻呂」の終焉の地をここであるとしています。
ここには駐車場とトイレが整備されています。ここに車を置いて歩き出すとしばらく舗装路を歩くことになりますが、道路沿いには沢が流れ心地良いです。
道を上っていくと向かって右側に沢を渡る木の橋が架かっています。この橋が遊歩道の入口になります。
道はアップダウンがあるのでトレッキングと言った感じでしょうか。
ですが坂には歩きやすい階段(間隔がちょうど良い)がついており、道幅も広いです。木々が木陰を作るぶん涼しく歩けます。展望は開けていませんが、尾根づたいを歩く道なので、明るい印象を受けます。また地面が柔らかで深山を歩いている感じがします。
ただしブヨが多いので虫除け対策をしてくださいね。
今年は雨が多いせいか所々でキノコを目にしました。どれが食べられるかわからないので摘みませんでしたが。
【「なんだこれは?」これもキノコのようです。傘が開いたものが離れた所に生えていました。】
遊歩道を抜けた先には浮布池が待っています。池から三瓶山を望む景色を写真に収めたいならここがポイントになります。
ここまでくれば西の原は近いです。西の原には草原が広がっており、レクリエーションも楽しめます。その先には三瓶山自然林内を歩く中国自然歩道が延び、三瓶自然館サヒメルや青少年交流の家のある北の原に至ります。
また反対側の湯抱温泉からは石見銀山へ中国自然歩道が延びています。
西の原と湯抱とを結ぶ公共交通機関が乏しいのでスタートした場所に戻ろうとすると工夫が必要ですが、中国自然歩道の散策を楽しまれてみるのはいかがでしょう。この辺りは温泉の宝庫でもありますよ。
※インターネットホームページ「自然大好きクラブ」内の「長距離自然歩道を歩こう!」に全国の自然歩道が紹介されています。
下記URLに今回紹介したルート(6-b 西の原・湯抱モデルコース)が載っています。
http://www.env.go.jp/nature/nats/shizenhodo/chugoku/shimane03.html
2013年06月12日姫逃池のカキツバタ保全作業
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
カキツバタと言う花をご存じですか。アヤメやハナショウブに似た花で、古くから歌にも詠われてきた花ですが、今では日本の絶滅危惧種となっています。
三瓶山の北麓にある姫逃池(ひめのがいけ)には沢山のカキツバタが自生しており、県の天然記念物にもなっています。
ところが一時はほとんど無くなってしまい危機的だった事もあったのです。
そのカキツバタを復活させようと、毎年この時期にカキツバタ保全のための草刈りがおこなわれています。
今年も色々な団体や自然公園指導員をはじめボランティアの方々など多くの参加がありました。
【三瓶自然館サヒメルの学芸員の方が、ショウブとカキツバタの見分け方などを説明します。】
みんなで雑草を刈ったり、スコップで根こそぎ取り除いたりします。
ここにはショウブもありますが、これも刈り取ります。ショウブはとても良い香りがし、菖蒲湯はよく知られていますよね。そのようなものなら残しておけばいいのになぜ取り除くのでしょうか。
このショウブ、じつはもともと姫逃池にはなかった植物なのです。
誰かによって持ち込まれた物なのです。それが元々あったカキツバタを追いやっているのです。
私が参加し始めた4年前には菖蒲湯にしても有り余るくらい多かったのですが大分減ってきました。
以前はカキツバタが少なかったので気を使わないで鎌を振って草を刈られました。ですが今は「カキツバタが増えて草を刈りづらくなった。」と嬉しい悲鳴が聞こえてきます。長く参加されている方々は手応えを感じているのではないでしょうか。
【今年は雨にたたられず、暑い日差しもなく、作業日和となりました。】
さて私は姫逃池に入りました。と言っても池で泳いだわけではありません。池に生えるスイレンを刈ったのです。
ちょうど湖面には沢山の美しい花を咲かせていました。
そんなスイレンをなぜ刈り取るのか。これもまた元々姫逃池にはない植物だったのです。やはり人間が持ち込んだ物なのです。
姫逃池は以前干上がった事がありました。水生植物が増えすぎると池の水を吸い上げ、枯れては池の底に堆積してしまうのです。池が干上がってしまえば、水辺を生活の場としてきたカキツバタやモリアオガエルは生きていけなくなります。
長い鎌でスイレンを刈り、それをボートなどに乗せて池から持ちださなければなりません。
胴長を履いて池に入ると、ズブズブズブッ・・・、ピンチ!胴長の上から水が入り込みそうになりました。姫逃池は底なし沼のようです。
うまく水生植物の根に足を乗せ、一歩一歩慎重に足場を確認しながら作業をおこないます。それでもときどき、ズブズブズブッ・・・、ピンチ!となります。
【こんなに綺麗なスイレンなのですが、刈り取らなければなりません。
なかなかの重労働で気も使います。皆さんお疲れ様でした。】
スイレンは刈り取り切れませんでした。また毎年刈っているにもかかわらず、しつこく生えてきてなかなか減りません。取り除くのは大変な事なのです。
外来の生物が持ち込まれ元々の生態系が崩れる。姫逃池に限らず日本中で起こっている問題です。
そして一度広まってしまった外来種を駆除しつくすことは、ほとんどの場合できていません。
今もなお新たな外来種や新たな場所に外来種が入り込んでいます。
まずは外来種を放たない事、自然の中に進入させない事。それが一番の対策ではないでしょうか。
【作業が終わると地元のお母さん方が作ってくださった食事をいただきました。これがまた格別、皆さんに大好評です。興味のある方は来年参加してみませんか。】
【今年5月30日の花の様子です。姫逃池では活動の甲斐あって、美しい光景が復活してきました。浮島にもカキツバタが咲いているんですよ。また来年が楽しみです。】
三瓶山の北麓にある姫逃池(ひめのがいけ)には沢山のカキツバタが自生しており、県の天然記念物にもなっています。
ところが一時はほとんど無くなってしまい危機的だった事もあったのです。
そのカキツバタを復活させようと、毎年この時期にカキツバタ保全のための草刈りがおこなわれています。
今年も色々な団体や自然公園指導員をはじめボランティアの方々など多くの参加がありました。
【三瓶自然館サヒメルの学芸員の方が、ショウブとカキツバタの見分け方などを説明します。】
みんなで雑草を刈ったり、スコップで根こそぎ取り除いたりします。
ここにはショウブもありますが、これも刈り取ります。ショウブはとても良い香りがし、菖蒲湯はよく知られていますよね。そのようなものなら残しておけばいいのになぜ取り除くのでしょうか。
このショウブ、じつはもともと姫逃池にはなかった植物なのです。
誰かによって持ち込まれた物なのです。それが元々あったカキツバタを追いやっているのです。
私が参加し始めた4年前には菖蒲湯にしても有り余るくらい多かったのですが大分減ってきました。
以前はカキツバタが少なかったので気を使わないで鎌を振って草を刈られました。ですが今は「カキツバタが増えて草を刈りづらくなった。」と嬉しい悲鳴が聞こえてきます。長く参加されている方々は手応えを感じているのではないでしょうか。
【今年は雨にたたられず、暑い日差しもなく、作業日和となりました。】
さて私は姫逃池に入りました。と言っても池で泳いだわけではありません。池に生えるスイレンを刈ったのです。
ちょうど湖面には沢山の美しい花を咲かせていました。
そんなスイレンをなぜ刈り取るのか。これもまた元々姫逃池にはない植物だったのです。やはり人間が持ち込んだ物なのです。
姫逃池は以前干上がった事がありました。水生植物が増えすぎると池の水を吸い上げ、枯れては池の底に堆積してしまうのです。池が干上がってしまえば、水辺を生活の場としてきたカキツバタやモリアオガエルは生きていけなくなります。
長い鎌でスイレンを刈り、それをボートなどに乗せて池から持ちださなければなりません。
胴長を履いて池に入ると、ズブズブズブッ・・・、ピンチ!胴長の上から水が入り込みそうになりました。姫逃池は底なし沼のようです。
うまく水生植物の根に足を乗せ、一歩一歩慎重に足場を確認しながら作業をおこないます。それでもときどき、ズブズブズブッ・・・、ピンチ!となります。
【こんなに綺麗なスイレンなのですが、刈り取らなければなりません。
なかなかの重労働で気も使います。皆さんお疲れ様でした。】
スイレンは刈り取り切れませんでした。また毎年刈っているにもかかわらず、しつこく生えてきてなかなか減りません。取り除くのは大変な事なのです。
外来の生物が持ち込まれ元々の生態系が崩れる。姫逃池に限らず日本中で起こっている問題です。
そして一度広まってしまった外来種を駆除しつくすことは、ほとんどの場合できていません。
今もなお新たな外来種や新たな場所に外来種が入り込んでいます。
まずは外来種を放たない事、自然の中に進入させない事。それが一番の対策ではないでしょうか。
【作業が終わると地元のお母さん方が作ってくださった食事をいただきました。これがまた格別、皆さんに大好評です。興味のある方は来年参加してみませんか。】
【今年5月30日の花の様子です。姫逃池では活動の甲斐あって、美しい光景が復活してきました。浮島にもカキツバタが咲いているんですよ。また来年が楽しみです。】
2013年06月03日ゴミは消えない ~第34回クリーン三瓶~
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
三瓶山では毎年ゴミ拾い活動のイベント「クリーン三瓶」がおこなわれています。今年で34回目を迎えたこのイベントに、今年も参加してきました。
この日はあいにくの雨降り、それにもかかわらず沢山の方達が参加されました。三瓶を愛する皆さんの思いを感じます。
【西の原で開会式がおこなわれました】
各所に分かれてゴミ拾い開始です。
私たちは三瓶山の麓を走る周回道路沿をおこなう事にしました。
ゴミはほとんど見当たりませんでした。三瓶を訪れる皆さんのマナーのお陰でしょう。
【雨に煙る三瓶山です。雨あしが強くなってきました。風にあおられうねるようにして降ってきます。】
ところがある道路脇の一段低くなった所をのぞき込んだ時です。そこには幾つかゴミが落ちていました。
下りてそのゴミを拾うと、他にもあるのが目につきました。そのゴミを拾っていると、草やツルに隠れて更にゴミが散らかっているのに気づきました。そして後から後からゴミが出てきて、一帯はゴミ捨て場のように沢山のゴミが散乱しているのでした。
缶や瓶,プラスチックなどのポイ捨てゴミから、行楽とは関係のない廃棄ゴミまでありました。
ゴミはみな古い物のようでした。「懐かしい~」思わず言ってしまうようなパッケージの空き缶が転がっています。ですが案外錆び付きもせず残っている物が多かったのに驚かされました。思った以上に朽ち果てないものなのですね。
【ゴミは草やツルに絡まり地面に埋もれ見つけづらかったですし、回収するのは更に大変でした。】
軽い気持ちで捨てられたであろうこれらのゴミ。その多くはいつまでも残り続けるのです。
【この日西の原周辺は、嵐のような様相となりました。皆様お疲れ様でした!】
以前海岸の漂着ゴミ清掃をおこなった時の事を思い出します。
国立公園の美しい海岸は、冬の荒波に打ち上げられた物凄いゴミにより、見るも無惨な光景でした。
そのゴミを撤去し、海岸は見違えるほど綺麗になりました。
【目を覆いたくなるような光景ですが、けして特別な光景ではありません。】
【見違えるように綺麗になりました】
ところがです。地面には小さなゴミがびっしりと詰まっていました。地面に入り込み堆積物のひとつと化していたのです。それを目の当たりにした時、私達にやれる事の小ささと問題の深刻さを実感しました。
過去に私達が捨ててきたゴミは消えてなくなってはいません。ちゃんと地球に残って積み重なっています。
最近は昔に比べると人々のマナーが良くなりゴミのポイ捨ては少なくなってきたように思われます。それでも弁当の空,空き缶やペットボトル,吸い殻など、ゴミのポイ捨ては後を絶ちません。不法投棄といった悪質なものもあります。
今捨てられているゴミは、拾われない限りこれまでのゴミに積み重なっていきます。そして後世に受け継がれていくのです。
子供たちがこの光景を見たらどう思うでしょう。「大人達はこんなひどい事をしてきたのか・・・。」そう思われても反論できるでしょうか。
そしてこれが私達から子供たちへ受け渡す遺産なのでしょうか。
【全て取り除く事はできません。写真ではわかりづらいですが、砂を掘ってもゴミが詰まっていました。】
この日はあいにくの雨降り、それにもかかわらず沢山の方達が参加されました。三瓶を愛する皆さんの思いを感じます。
【西の原で開会式がおこなわれました】
各所に分かれてゴミ拾い開始です。
私たちは三瓶山の麓を走る周回道路沿をおこなう事にしました。
ゴミはほとんど見当たりませんでした。三瓶を訪れる皆さんのマナーのお陰でしょう。
【雨に煙る三瓶山です。雨あしが強くなってきました。風にあおられうねるようにして降ってきます。】
ところがある道路脇の一段低くなった所をのぞき込んだ時です。そこには幾つかゴミが落ちていました。
下りてそのゴミを拾うと、他にもあるのが目につきました。そのゴミを拾っていると、草やツルに隠れて更にゴミが散らかっているのに気づきました。そして後から後からゴミが出てきて、一帯はゴミ捨て場のように沢山のゴミが散乱しているのでした。
缶や瓶,プラスチックなどのポイ捨てゴミから、行楽とは関係のない廃棄ゴミまでありました。
ゴミはみな古い物のようでした。「懐かしい~」思わず言ってしまうようなパッケージの空き缶が転がっています。ですが案外錆び付きもせず残っている物が多かったのに驚かされました。思った以上に朽ち果てないものなのですね。
【ゴミは草やツルに絡まり地面に埋もれ見つけづらかったですし、回収するのは更に大変でした。】
軽い気持ちで捨てられたであろうこれらのゴミ。その多くはいつまでも残り続けるのです。
【この日西の原周辺は、嵐のような様相となりました。皆様お疲れ様でした!】
以前海岸の漂着ゴミ清掃をおこなった時の事を思い出します。
国立公園の美しい海岸は、冬の荒波に打ち上げられた物凄いゴミにより、見るも無惨な光景でした。
そのゴミを撤去し、海岸は見違えるほど綺麗になりました。
【目を覆いたくなるような光景ですが、けして特別な光景ではありません。】
【見違えるように綺麗になりました】
ところがです。地面には小さなゴミがびっしりと詰まっていました。地面に入り込み堆積物のひとつと化していたのです。それを目の当たりにした時、私達にやれる事の小ささと問題の深刻さを実感しました。
過去に私達が捨ててきたゴミは消えてなくなってはいません。ちゃんと地球に残って積み重なっています。
最近は昔に比べると人々のマナーが良くなりゴミのポイ捨ては少なくなってきたように思われます。それでも弁当の空,空き缶やペットボトル,吸い殻など、ゴミのポイ捨ては後を絶ちません。不法投棄といった悪質なものもあります。
今捨てられているゴミは、拾われない限りこれまでのゴミに積み重なっていきます。そして後世に受け継がれていくのです。
子供たちがこの光景を見たらどう思うでしょう。「大人達はこんなひどい事をしてきたのか・・・。」そう思われても反論できるでしょうか。
そしてこれが私達から子供たちへ受け渡す遺産なのでしょうか。
【全て取り除く事はできません。写真ではわかりづらいですが、砂を掘ってもゴミが詰まっていました。】
2013年05月02日カタクリの花咲く山頂 ~野生動植物の違法採取防止合同パトロール~
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
船通山と言う山をご存じですか。
島根県と鳥取県にまたがる山で、比婆道後帝釈国定公園の一部となっています。またスサノオノミコトとヤマタノオロチの神話の舞台として古代より登場し、近年では山頂にカタクリの花が群生している事で知られています。
この船通山でゴールデンウイーク前半の昭和の日、地元の横田山の会による恒例のカタクリ登山が行われ多くの方が訪れました。
島根県では野生動植物の違法採取防止を目的とした啓発活動・パトロールが同日行われました。
この日は多くの方に呼びかけられるチャンスでもある事から、毎年関係機関が合同でおこなっているのです。
先日の日記にも書きましたが、1週間前の三瓶山の山開きは雪山でした。
船通山は三瓶山とほぼ同じ高さですが(船通山が若干高い)、先週の雪山がうそのように暖かな1日となりました。
紫のスミレや白いミヤマカタバミの花がそこかしこに咲いています。
日本ではもっとも小さい鳥のひとつ、ミソサザイがとてもいい声を響かせています。ウグイスも今年は上手に鳴いていました。
ところどころには指定植物※のエンレイソウやサンインシロカネソウが咲いていました。
【サンインシロカネソウ 小~さな花をつり下げてちょこんと咲いていました。シロカネソウと言いながら黄色い花です】
これらの花はもし摘み取られてしまったら、あっという間になくなってしまうほどはかないものです。
安易な気持ちで摘み取る事が絶滅に追いやる事につながるかもしれません。
絶妙な自然のバランスの下に咲く花を、大切にし楽しみたいものです。
登山道の鳥上滝コースは、中腹までずっと石段が積まれ歩きやすくなっています。
この石段はいつ頃作られたのでしょうか。一時の工事で作られたとは思えません。古くから積まれていたような石もあります。
何十年前からなのでしょうか。それとも戦前からなのでしょうか。はたまたそれよりもずっと昔からなのでしょうか。
この山は古代より神話に登場するほどの山。また古くから鋼を採掘してきた山だそうです。
もしかすると先人達が少しずつ積み上げ築いてきた石段を、私たちは踏みしめているのかもしれません。
もうすぐ山頂と言うところまで来ました。するとカタクリの花が沿道を染めていました。登山道に迫るほどに咲く花に囲まれながら山頂に向かい歩きます。
山頂に到着しました。そこには満開のカタクリの花が、敷き詰められたように一面に咲いていました。これらは人が植えたものではありません。素晴らしい光景です。
昔から船通山に登られている方によると、以前はこれよりもずっと花は少なかったそうです。
今はロープで柵をもうけ、人を入れないようにしてカタクリの生育エリアを保護しています。
こういった地元の方々の保護活動と訪れる人達のマナーの甲斐あって、これほどまでに素晴らしい光景を目にする事ができています。
さて登山者で山頂がにぎわった頃、カタクリの紙芝居が横田山の会の皆さんによって行われました。
それによると、カタクリは花を咲かせるまでに7~8年も掛かるそうです。しかも株が成熟するまでは(条件などにもよるでしょうが)花を咲かせた翌年は咲かないそうです。
自然のサイクルとはなんとスケールが大きいのでしょうか。自然を壊してしまう事は一時で出来ますが、それを取り戻すには長い年月を要する事を感じさせます。
ゴールデンウイーク後半あなたはどう過ごされますか。船通山にカタクリの花を見に登られるなんてのもよいかもしれませんよ。
【紙芝居を見ると更にカタクリがいとおしくなります。山頂は展望も良いですよ!】
※指定植物とは:国立公園,国定公園などの自然公園内で、採取などに規制がかけられている貴重な植物。
島根県と鳥取県にまたがる山で、比婆道後帝釈国定公園の一部となっています。またスサノオノミコトとヤマタノオロチの神話の舞台として古代より登場し、近年では山頂にカタクリの花が群生している事で知られています。
この船通山でゴールデンウイーク前半の昭和の日、地元の横田山の会による恒例のカタクリ登山が行われ多くの方が訪れました。
島根県では野生動植物の違法採取防止を目的とした啓発活動・パトロールが同日行われました。
この日は多くの方に呼びかけられるチャンスでもある事から、毎年関係機関が合同でおこなっているのです。
先日の日記にも書きましたが、1週間前の三瓶山の山開きは雪山でした。
船通山は三瓶山とほぼ同じ高さですが(船通山が若干高い)、先週の雪山がうそのように暖かな1日となりました。
紫のスミレや白いミヤマカタバミの花がそこかしこに咲いています。
日本ではもっとも小さい鳥のひとつ、ミソサザイがとてもいい声を響かせています。ウグイスも今年は上手に鳴いていました。
ところどころには指定植物※のエンレイソウやサンインシロカネソウが咲いていました。
【サンインシロカネソウ 小~さな花をつり下げてちょこんと咲いていました。シロカネソウと言いながら黄色い花です】
これらの花はもし摘み取られてしまったら、あっという間になくなってしまうほどはかないものです。
安易な気持ちで摘み取る事が絶滅に追いやる事につながるかもしれません。
絶妙な自然のバランスの下に咲く花を、大切にし楽しみたいものです。
登山道の鳥上滝コースは、中腹までずっと石段が積まれ歩きやすくなっています。
この石段はいつ頃作られたのでしょうか。一時の工事で作られたとは思えません。古くから積まれていたような石もあります。
何十年前からなのでしょうか。それとも戦前からなのでしょうか。はたまたそれよりもずっと昔からなのでしょうか。
この山は古代より神話に登場するほどの山。また古くから鋼を採掘してきた山だそうです。
もしかすると先人達が少しずつ積み上げ築いてきた石段を、私たちは踏みしめているのかもしれません。
もうすぐ山頂と言うところまで来ました。するとカタクリの花が沿道を染めていました。登山道に迫るほどに咲く花に囲まれながら山頂に向かい歩きます。
山頂に到着しました。そこには満開のカタクリの花が、敷き詰められたように一面に咲いていました。これらは人が植えたものではありません。素晴らしい光景です。
昔から船通山に登られている方によると、以前はこれよりもずっと花は少なかったそうです。
今はロープで柵をもうけ、人を入れないようにしてカタクリの生育エリアを保護しています。
こういった地元の方々の保護活動と訪れる人達のマナーの甲斐あって、これほどまでに素晴らしい光景を目にする事ができています。
さて登山者で山頂がにぎわった頃、カタクリの紙芝居が横田山の会の皆さんによって行われました。
それによると、カタクリは花を咲かせるまでに7~8年も掛かるそうです。しかも株が成熟するまでは(条件などにもよるでしょうが)花を咲かせた翌年は咲かないそうです。
自然のサイクルとはなんとスケールが大きいのでしょうか。自然を壊してしまう事は一時で出来ますが、それを取り戻すには長い年月を要する事を感じさせます。
ゴールデンウイーク後半あなたはどう過ごされますか。船通山にカタクリの花を見に登られるなんてのもよいかもしれませんよ。
【紙芝居を見ると更にカタクリがいとおしくなります。山頂は展望も良いですよ!】
※指定植物とは:国立公園,国定公園などの自然公園内で、採取などに規制がかけられている貴重な植物。
2013年04月26日三瓶山山開き
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
三瓶山は今年、国立公園指定50周年と言う節目の年を迎えました。地元では様々な記念行事が行われています。皆さんぜひ三瓶山に遊びに来てください。
※インターネットHP「“三瓶山”国立公園指定50周年記念事業公式サイト」のURL↓
http://nature-sanbe.jp/sanbe50th/about_sanbe/index.htm
さて、その三瓶山で4月21日(日)に山開きが行われました。
まず始めに麓の西の原で、今シーズンの登山の安全を祈願しました。
そしてその後、それぞれで三瓶山山頂に向けて登山を行いました。
三瓶山は標高1126m、1時間半ほどで頂上に登れる手頃な山です。
今回は壊れたままになっていた山頂の祠を修復するために、皆さん手分けして3キロづつ資材を持って上がりました。
この日は平均気温をグッと下回る寒い日でした。冷たい風が吹き、おまけに昨夜からの雨がまだ時よりパラつきます。山頂は厚い雲に覆われ望む事が出来ません。
そしてその厚い雲の下からなにやら白い物がのぞきました。
雪です。誰かが山頂には10cmの積雪があるらしいと言っています。昨日は東の原のスキー場跡地が真っ白になったらしい、とも。
悪い冗談でしょう・・・。にわかには信じられません。
なにせ松江はもうすっかり暖かな春を迎えているのですから。
しかし出発する頃には冷たい雨が本降りになってきました。ちょっと不安な登山開始です。
幸い登山道はしばらく林内で、風もなく雨もいつの間にかやんでくれました。
着込みすぎたため体はすぐに暑くなり、逆に汗で衣類が湿ってしまうので気をつけなければなりませんでした。
登山道沿いには青紫のスミレの花が沢山咲いていて綺麗です。と言いたいところですが、皆しおれたように元気がありません。やはり一度雪をかぶったのでしょうか。
標高800m半ばほどです。雪がちらほら残っていました。それは登るに連れ増えていきます。辺りは濃い霧に覆われ真っ白です。
地面がうっすらと白くなった頃、みぞれが降り出してきました。それはあられへと変わります。幸いにして一時でやんでくれたので助かりました。
標高1000m近く。岩場でしかも勾配はきつくなります。雪で辺りは真っ白、登山道も雪が積もり足下が悪くなっています。
岩陰にスミレが咲いているのを見つけました。やはり本来ならばこの標高にもスミレが咲く季節なのです。
【すっかり開ききったフキノトウも、雪に埋もれていました。】
急勾配の岩場を過ぎ、山頂近くのススキの原まで来ました。
雪原一面に、枯れススキだけが濃い霧の中にボーッと突っ立っています。
ススキに目をやると更に異様な光景が広がっていました。ススキの片側にだけ樹氷のように氷の“たてがみ”が立っています。どれだけ冷たく激しい風が吹いていたのでしょうか。
ついに三瓶山(男三瓶)山頂に到着しました。雪に覆われ濃霧に包まれた世界はさながら冬山のようでした。
皆さんが運んできた資材は山頂そばの避難小屋に集められました。これで山頂祠の修復もおこなえます。
寒くて長居は出来ません。早々に握り飯をほおばり下山することとしました。
下山は雪により足下がすべり、登りの時よりもずっと注意が必要でした。
ちなみに西の原に下るルートはもう一つあるのですが、この道は険しいため今回は避け、登ってきた道を下る事にしました。
辺りは濃い霧に覆われ、奈落の底に下るようです。
ところが標高900m辺りでしょうか。スーッと霧が消え始めたかと思うと視界がにわかに開けてきました。それはどんどんと遠くまで伸び、みるみる景色が望めるようになりました。
そして一面のパノラマが眼下に広がりました。空気が澄みクッキリと鮮やかに見えます。今まで閉ざされた世界にいただけに爽快な光景でした。
仰ぎ見れば山頂も雲が晴れクッキリと望めます。
私達にも日差しが降り注ぎ、先ほどまでの雪山の世界が嘘のように思えてきます。
下山した私たちが振り返ると、山頂には雪、中腹には新緑、そして山桜までが一望できる三瓶山の姿がありました。
4月下旬ともなれば三瓶山は春の陽気が感じられます。今回もスミレやフキノトウが咲いていました。それでも冬に逆戻りするような日もあるのです。
平地に住んでいるとどうしてもそんな状況を思い浮かべられないものです。
この日は幸いにして雨も風も止みましたが、もし冷たい雨が降り続き、強風が吹き付けていたら、更にずっと厳しいものとなっていたでしょう。
またこの日周辺は日差しもありましたが、三瓶山だけが厚い雲に覆われていました。天候も刻々と変わりました。
春を迎え、これから登山を楽しもうと思われる方も多いでしょう。
登山の際は天気予報を確認するのは当然ですが、最悪の状況も考慮し、装備は万端にし、状況に合わせて対応判断し、無理のない計画と行動を心がけたいものです。
※インターネットHP「“三瓶山”国立公園指定50周年記念事業公式サイト」のURL↓
http://nature-sanbe.jp/sanbe50th/about_sanbe/index.htm
さて、その三瓶山で4月21日(日)に山開きが行われました。
まず始めに麓の西の原で、今シーズンの登山の安全を祈願しました。
そしてその後、それぞれで三瓶山山頂に向けて登山を行いました。
三瓶山は標高1126m、1時間半ほどで頂上に登れる手頃な山です。
今回は壊れたままになっていた山頂の祠を修復するために、皆さん手分けして3キロづつ資材を持って上がりました。
この日は平均気温をグッと下回る寒い日でした。冷たい風が吹き、おまけに昨夜からの雨がまだ時よりパラつきます。山頂は厚い雲に覆われ望む事が出来ません。
そしてその厚い雲の下からなにやら白い物がのぞきました。
雪です。誰かが山頂には10cmの積雪があるらしいと言っています。昨日は東の原のスキー場跡地が真っ白になったらしい、とも。
悪い冗談でしょう・・・。にわかには信じられません。
なにせ松江はもうすっかり暖かな春を迎えているのですから。
しかし出発する頃には冷たい雨が本降りになってきました。ちょっと不安な登山開始です。
幸い登山道はしばらく林内で、風もなく雨もいつの間にかやんでくれました。
着込みすぎたため体はすぐに暑くなり、逆に汗で衣類が湿ってしまうので気をつけなければなりませんでした。
登山道沿いには青紫のスミレの花が沢山咲いていて綺麗です。と言いたいところですが、皆しおれたように元気がありません。やはり一度雪をかぶったのでしょうか。
標高800m半ばほどです。雪がちらほら残っていました。それは登るに連れ増えていきます。辺りは濃い霧に覆われ真っ白です。
地面がうっすらと白くなった頃、みぞれが降り出してきました。それはあられへと変わります。幸いにして一時でやんでくれたので助かりました。
標高1000m近く。岩場でしかも勾配はきつくなります。雪で辺りは真っ白、登山道も雪が積もり足下が悪くなっています。
岩陰にスミレが咲いているのを見つけました。やはり本来ならばこの標高にもスミレが咲く季節なのです。
【すっかり開ききったフキノトウも、雪に埋もれていました。】
急勾配の岩場を過ぎ、山頂近くのススキの原まで来ました。
雪原一面に、枯れススキだけが濃い霧の中にボーッと突っ立っています。
ススキに目をやると更に異様な光景が広がっていました。ススキの片側にだけ樹氷のように氷の“たてがみ”が立っています。どれだけ冷たく激しい風が吹いていたのでしょうか。
ついに三瓶山(男三瓶)山頂に到着しました。雪に覆われ濃霧に包まれた世界はさながら冬山のようでした。
皆さんが運んできた資材は山頂そばの避難小屋に集められました。これで山頂祠の修復もおこなえます。
寒くて長居は出来ません。早々に握り飯をほおばり下山することとしました。
下山は雪により足下がすべり、登りの時よりもずっと注意が必要でした。
ちなみに西の原に下るルートはもう一つあるのですが、この道は険しいため今回は避け、登ってきた道を下る事にしました。
辺りは濃い霧に覆われ、奈落の底に下るようです。
ところが標高900m辺りでしょうか。スーッと霧が消え始めたかと思うと視界がにわかに開けてきました。それはどんどんと遠くまで伸び、みるみる景色が望めるようになりました。
そして一面のパノラマが眼下に広がりました。空気が澄みクッキリと鮮やかに見えます。今まで閉ざされた世界にいただけに爽快な光景でした。
仰ぎ見れば山頂も雲が晴れクッキリと望めます。
私達にも日差しが降り注ぎ、先ほどまでの雪山の世界が嘘のように思えてきます。
下山した私たちが振り返ると、山頂には雪、中腹には新緑、そして山桜までが一望できる三瓶山の姿がありました。
4月下旬ともなれば三瓶山は春の陽気が感じられます。今回もスミレやフキノトウが咲いていました。それでも冬に逆戻りするような日もあるのです。
平地に住んでいるとどうしてもそんな状況を思い浮かべられないものです。
この日は幸いにして雨も風も止みましたが、もし冷たい雨が降り続き、強風が吹き付けていたら、更にずっと厳しいものとなっていたでしょう。
またこの日周辺は日差しもありましたが、三瓶山だけが厚い雲に覆われていました。天候も刻々と変わりました。
春を迎え、これから登山を楽しもうと思われる方も多いでしょう。
登山の際は天気予報を確認するのは当然ですが、最悪の状況も考慮し、装備は万端にし、状況に合わせて対応判断し、無理のない計画と行動を心がけたいものです。
2013年04月17日宍道湖の旅鳥 セイタカシギ
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
すっかり春めいてきました。
黄色の菜の花が地元一畑電車の線路沿いを彩っています。
松江の街では青いイソヒヨドリが美しい声を響かせています。
ツバメの姿も見かけるようになりました。
この日の宍道湖渡り鳥調査は少し風が強かったのですが、もう冷たいほどではありません。
[宍道湖に注ぐ斐伊川の土手には野大根が花を咲かせていました]
周辺の田んぼはぼちぼち代かきが始まり、トラクターの周りをカモメ達が集まっていました。はい出してきた虫などを狙っているようです。
北へと向かう春の旅鳥を見つけました。
セイタカシギです。
白と黒の姿に長いくちばし。そしてなんと言ってもとっても長くて赤い脚が印象的です。
この鳥は日本での絶滅の危険性が高く、日本のレッドリストでは絶滅危惧種Ⅰ類に入れられています。
[なんと長い足でしょう。フラミンゴみたいに1本脚の立ち姿もサービスしてくれました。]
眠っているのか頭を体にうずめ動きません。
カメラを構えてファインダーをのぞいてみましたがシャッターチャンスは訪れそうにありません。
あきらめかけていると、ふいに起きて頭を上ました。
シャッターチャンス到来。カメラを構え直しました。ところがそうこうしているうちにまたすぐに眠りの姿勢に入ってしまいました。
ああ、残念・・・と思っていると、少ししてまた不意に頭を上げて歩き出しました。ですがまたすぐに眠りの体勢です。
ところがです。その眠ったポーズから今度はフッと頭を上げたかと思うと走り出しました。その素早い事。とても寝起きとは思えません。
そしてその長いくちばしでなにやら地面を突きだしました。餌となる虫などをついばんでいるようです。
ですがそれが終わるとまた眠りのポーズになってしまいました。
でもどうも“まじめに”眠っているとは思えません。これはまさにポーズだけのような気がします。なぜこんな行動をするのでしょうか。
餌となる周りの虫たちを油断させるために眠っているふりをしていたのでしょうか?
もしそうだとすると、狸寝入りならぬ“セイタカシギ寝入り”ですね。
他にも宍道湖グリーンパーク(野鳥観察施設)の調査では、珍しいクロツラヘラサギが見られたそうです。
この季節は普段見る事が出来ない、北に向かう旅鳥をひととき見る事ができるチャンスかもしれません。
[こちらも春と秋の渡りの季節に見られる旅鳥のシマアジです]
黄色の菜の花が地元一畑電車の線路沿いを彩っています。
松江の街では青いイソヒヨドリが美しい声を響かせています。
ツバメの姿も見かけるようになりました。
この日の宍道湖渡り鳥調査は少し風が強かったのですが、もう冷たいほどではありません。
[宍道湖に注ぐ斐伊川の土手には野大根が花を咲かせていました]
周辺の田んぼはぼちぼち代かきが始まり、トラクターの周りをカモメ達が集まっていました。はい出してきた虫などを狙っているようです。
北へと向かう春の旅鳥を見つけました。
セイタカシギです。
白と黒の姿に長いくちばし。そしてなんと言ってもとっても長くて赤い脚が印象的です。
この鳥は日本での絶滅の危険性が高く、日本のレッドリストでは絶滅危惧種Ⅰ類に入れられています。
[なんと長い足でしょう。フラミンゴみたいに1本脚の立ち姿もサービスしてくれました。]
眠っているのか頭を体にうずめ動きません。
カメラを構えてファインダーをのぞいてみましたがシャッターチャンスは訪れそうにありません。
あきらめかけていると、ふいに起きて頭を上ました。
シャッターチャンス到来。カメラを構え直しました。ところがそうこうしているうちにまたすぐに眠りの姿勢に入ってしまいました。
ああ、残念・・・と思っていると、少ししてまた不意に頭を上げて歩き出しました。ですがまたすぐに眠りの体勢です。
ところがです。その眠ったポーズから今度はフッと頭を上げたかと思うと走り出しました。その素早い事。とても寝起きとは思えません。
そしてその長いくちばしでなにやら地面を突きだしました。餌となる虫などをついばんでいるようです。
ですがそれが終わるとまた眠りのポーズになってしまいました。
でもどうも“まじめに”眠っているとは思えません。これはまさにポーズだけのような気がします。なぜこんな行動をするのでしょうか。
餌となる周りの虫たちを油断させるために眠っているふりをしていたのでしょうか?
もしそうだとすると、狸寝入りならぬ“セイタカシギ寝入り”ですね。
他にも宍道湖グリーンパーク(野鳥観察施設)の調査では、珍しいクロツラヘラサギが見られたそうです。
この季節は普段見る事が出来ない、北に向かう旅鳥をひととき見る事ができるチャンスかもしれません。
[こちらも春と秋の渡りの季節に見られる旅鳥のシマアジです]
2013年04月08日野生の掟(おきて) ~宍道湖渡り鳥調査にて~
大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和
松江の桜は満開となり週末は見頃、と思われましたが、全国を襲った週末の風雨で散ってしまったようです。皆さんのお住まいではいかがですか。
さて暖かくなり、宍道湖の冬鳥であるカモたちは大分少なくなりました。
周辺の田園で見られたコハクチョウやマガンたちは、前回調査(3月下旬)から姿を見せていません。みんな北に渡って行ったようです。
今回その田園での調査中、ある光景を目にしました。
車を進める先の交通標識に、なにやら大きな鳥が留まっています。
ノスリです。ノスリはカラスと同等かやや大きいタカの仲間です。沖縄以外の日本中で見られ、この辺りでは冬鳥としてやって来ます。
「鋭い嘴、そして爪。標識の上端の塗装がはげています。」
話はこれからです。
しばらくして、1羽のハシブトガラスが近くのガードレールに留まりました。
そのカラスがふいに飛び立ちました。そして・・・
ノスリの後方からノスリに向かって突っ込んで行きました。
あわやぶつかると思われるスレスレを飛びます。
ノスリも体勢を崩しながらも身をかわしてやり過ごし、標識の上にとどまっています。
「後方からのカラスの攻撃、ノスリもひるがえってこらえ、脅しには屈しない構えです。」
カラスはと言いますと・・・逃げてはいません。元いたガードレールに戻っています。
そして再び舞い上がり、ノスリに攻撃を仕掛けました。
同じような展開となり、またカラスはガードレールの上に戻りました。タイミングを見計らっているようです。
ノスリはと言いますと・・・カラスを攻撃しようとはせず、標識の上に留まったままです。
「右へ左へと揺さぶりをかけます」
カラスの攻撃は何度か繰り返され、そしてだんだん厳しくなっていきました。
そして何回目かの攻撃で、ついにたまらずノスリが留まっていた標識から逃げ出しました。
なおも追うカラス。
体の大きいノスリがカラスに追われています。
「烏合の衆」とは言いますが、いやいやどうして、たった1羽でも少し大きなノスリを追い払うカラスのしつこさ、したたかです。
そしてそのカラスは、今までノスリが留まっていた道路標識に代わって留まりました。
「俺様の天守閣だぞ!と言わんばかりです」
私がそのすぐ真下を車で通過してもそこから離れようとはしませんでした。
けして弱肉強食だけでは表し切れない「野生の掟」を見た気がしました。
さて暖かくなり、宍道湖の冬鳥であるカモたちは大分少なくなりました。
周辺の田園で見られたコハクチョウやマガンたちは、前回調査(3月下旬)から姿を見せていません。みんな北に渡って行ったようです。
今回その田園での調査中、ある光景を目にしました。
車を進める先の交通標識に、なにやら大きな鳥が留まっています。
ノスリです。ノスリはカラスと同等かやや大きいタカの仲間です。沖縄以外の日本中で見られ、この辺りでは冬鳥としてやって来ます。
「鋭い嘴、そして爪。標識の上端の塗装がはげています。」
話はこれからです。
しばらくして、1羽のハシブトガラスが近くのガードレールに留まりました。
そのカラスがふいに飛び立ちました。そして・・・
ノスリの後方からノスリに向かって突っ込んで行きました。
あわやぶつかると思われるスレスレを飛びます。
ノスリも体勢を崩しながらも身をかわしてやり過ごし、標識の上にとどまっています。
「後方からのカラスの攻撃、ノスリもひるがえってこらえ、脅しには屈しない構えです。」
カラスはと言いますと・・・逃げてはいません。元いたガードレールに戻っています。
そして再び舞い上がり、ノスリに攻撃を仕掛けました。
同じような展開となり、またカラスはガードレールの上に戻りました。タイミングを見計らっているようです。
ノスリはと言いますと・・・カラスを攻撃しようとはせず、標識の上に留まったままです。
「右へ左へと揺さぶりをかけます」
カラスの攻撃は何度か繰り返され、そしてだんだん厳しくなっていきました。
そして何回目かの攻撃で、ついにたまらずノスリが留まっていた標識から逃げ出しました。
なおも追うカラス。
体の大きいノスリがカラスに追われています。
「烏合の衆」とは言いますが、いやいやどうして、たった1羽でも少し大きなノスリを追い払うカラスのしつこさ、したたかです。
そしてそのカラスは、今までノスリが留まっていた道路標識に代わって留まりました。
「俺様の天守閣だぞ!と言わんばかりです」
私がそのすぐ真下を車で通過してもそこから離れようとはしませんでした。
けして弱肉強食だけでは表し切れない「野生の掟」を見た気がしました。
そんな暑い夏にはやはり「海」ですよね。海と言えば「島根半島」ですよね。
「何それ・・・」とおっしゃられた方。島根半島をご存じない?それはもったいない。それでは島根半島の夏の魅力をご紹介しましょう。
島根半島は宍道湖と中海の北岸に位置する半島で、大山隠岐国立公園に指定されています。
松江、出雲、米子、境港の各市内から近いのに、国立公園に選ばれるほどの自然が残されています。
【下記インターネットホームページのURLから、国立公園の地図が見られます。】(2.6MBありますのでご注意ください)
http://www.env.go.jp/park/daisen/intro/files/area_3.pdf
島根半島は出入りの多い複雑な海岸線に日本海の荒波によって浸食された断崖、洞門、洞窟等が続く優れた景観を持っています。
そのような自然豊かな岩場(磯)は生き物たちの宝庫です。島根半島はそんな所だらけです。夏はぜひ磯遊びで海の自然に包まれてみてください。
日御碕などではスキューバダイビングもおこなわれています。
ただし自然は危険をはらんでいるもの。水の事故にはくれぐれも注意してください。
【海藻の森には魚たちが住んでいます】
そして夏、海、と言えばなんと言っても海水浴ですが、今年は暑いのでもう少し楽しめそうです。
島根半島は大きな砂浜はありませんが、入り江の白砂の浜にエメラルドブルーの海と言った美しい浜が点在します。
涼しくなっても浜でのんびり過ごすのもいいかもしれません。
島根半島には世界灯台100選に選ばれている灯台(国内に5つ)が2つ建っています。(国の文化財でもあります。)
半島東端の美保関は地蔵崎にある「美保関灯台」と、西端の日御碕にある「日御碕灯台」です。
どちらも100年以上前に建てられた石造りの白亜の灯台で、美保関は灯台守の宿舎があり、今は観光ビュッフェとして使われています。
青い海と木々の緑と白い灯台が晴れた空に相性抜群!澄んだ日には隠岐島や大山が大きく見えます。ただ晴れていても霞んで見えない事も多いのですが。
【美保関灯台:ビュッフェは、8月限定で週末の夜、漁り火の海を眺めながら食事ができるとの事。】
日御碕は柱状節理により独特の景観を創り出しています。
灯台は今も日本一の高さを誇り、そのてっぺんには登る事ができます。
またグラスボートに乗って、海からの景色や海中の世界を観察する事ができます。
【日御碕灯台:8月末までは夜のライトアップをおこなっています。】
島根半島の中で北に向かってひときわ突き出した岬があります。「多古」です。気になる名前ですが、「タコが多いから」と言う人がいましたが定かではありません。
ここは海に囲まれたロケーションの中にコテージとキャンプ場があります。
【ここも隠岐島が望め、夜には星空と漁り火の灯りが広がります。】
多古から少し西に行きますと「加賀の潜戸(かかのくげど)」と言う岬があります。新旧2つあるのですが、新潜戸は3つの入り口があり、中がトンネルのように連結された全長200メートルの海中洞窟です。この新潜戸は出雲国風土記によると佐太大神の誕生の地とされ、名勝と天然記念物に指定されています。
ここへは観光遊覧船で巡る事ができます。
最後に紹介するのは皆さんご存じの「出雲大社」です。
出雲大社は島根半島の西部に位置しています。
今年は60年に一度の大遷宮の年で、綺麗になった本殿にお参りしようと全国から沢山の方が訪れています。
ご存じでしょうか、出雲大社の本殿周辺は国立公園に入っています。
太い松並木の長い参道の奥に建つ荘厳な神殿。神々しさを感じます。
先にお話しした「日御碕」へは、大社から美しい岩礁の海岸線を車で15~20分ほどです。
【この日は特に沢山の方が参拝に訪れていました。】
島根半島は古事記や出雲国風土記に書かれた神話の舞台として各地が登場します。例えば有名な「国引き神話」は島根半島誕生の物語です。
神話に登場する岩や洞窟が今もそのままの姿で私達が目にする事ができるのも醍醐味でしょう。
また出雲大社や日御碕神社など神話に繋がる歴史ある神社も多く、更には日御碕の海には古代の聖地らしき海底遺跡が眠っていると言ったロマンあふれる話もあります。
神話や歴史を知って巡ると更におもむきを持って楽しめるかもしれませんね。
夏の終わり、そして秋の初め、島根半島に出かけられてはいかがでしょう。
【御盆の頃、どの集落でも盆踊りのやぐらが組まれていました。】