大山隠岐国立公園 松江
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2016年02月22日日御碕に行こう!【島根の自然】
大山隠岐国立公園 松江 宇佐美 裕太
島根半島は西端、日御碕(ひのみさき)をご存じですか??
出雲観光に行かれる方、出雲大社だけで終わるのはもったいないですよ!
日御碕といえば、まずはなんと言っても日御碕灯台です。
2009/5/15
石造りの灯台として日本一高い43.65mの高さを誇ります。白い立ち姿が美しいです。
世界の歴史的灯台百選(H10)、国登録有形文化財(H24)。
登ることも出来ます!階段はけっこうハードです。
2014/1/17
周辺には柱状節理が発達しています。
歩いて火山活動のダイナミズムを肌で感じることができ、面白い場所です。
2016/2/11
日御碕は西に突き出した立地で、夕日を遮るものは何もありません。
夕日や星を見に行くなら秋冬は良いです。
また素通りされがちなのですが、灯台よりさらに奥にある小松平展望台からの眺めがとてもオススメです。
2012/8/16
多数の岩礁が並びます。
300mほど歩いて経島へ
2015/12/21 2015/5/20
「ウミネコ繁殖地経島」は天然記念物に指定されています。
鳥見台展望台からウミネコの繁殖を観察できます。
こちらは子育て期間の5~7月は5000羽のウミネコたちがとてもにぎやかです。
以前の経島に関する記事↓↓
駐車場周辺ではウニ丼やサザエ丼が食べられます。
園地全体がコンパクトで、散歩にぴったりな広さです。
たびたび映画やドラマの撮影にも使われる気持ちの良い場所なので、ぜひ足を伸ばしてみてください!
2016年02月15日雪の宍道湖【島根の自然】
大山隠岐国立公園 宇佐美 裕太
冬は事務所での作業が多いのですが、月に3回、渡り鳥飛来状況調査のため宍道湖に出ています。
本年初となってしまいました日記は宍道湖の雪景色です。
【鳥ヶ崎(松江市玉湯町)】
宍道湖のほとりではユリカモメがたむろします。
赤い脚とくちばしがキュートな小さめのカモメです。
右側の2羽は今年の夏にロシアなど北方で生まれて渡ってきた個体です。
脚とくちばしがまだ赤くなりきらず、オレンジ色をしています。
羽の一部(雨覆)が茶褐色なのも特徴です。
どうしたのでしょうか、中央の一羽はまだ夏羽ですね。
雨覆が茶褐色なので、やはり今年生まれた個体と思われます。
斐伊川にやって参りました、ここは来るたびにいろいろと発見があります。
シャーベット状のヨシ帯に、タゲリが首をすくめて並んでいます。
白黒のおなかにヒラヒラとした独特の飛び方をするので、飛んでいると一目でわかります。
タゲリの保護を行っている地域などもあるのですが、出雲平野にはたくさんいますね。
おっと見つけてしまいました、細長い指が5本、アライグマ(特定外来生物)ですね...
しぶきが凍り付きます。
右上に伸びる足跡はタヌキと思われます。
タヌキは丸っこい足跡が2列に並びます。
こちらのひづめはイノシシでしょうか。
サイズは小さめのようです。
以上、動物たちの息づかいが聞こえる雪の宍道湖と斐伊川でした。
2015年12月03日宍道湖水草問題
大山隠岐国立公園 松江 宇佐美 裕太
○ 宍道湖清掃 ○
12/2(水)、宍道湖漁協さんにお願いした宍道湖清掃に参加して参りました。
年一回の本イベントは、本来は漂着ゴミなどを集中的に掃除する日です。
しかし今年は子どもパークレンジャー事業でも取り組んだ水草の除去がメインとなりました。
宍道湖各地にある港で手作業で水草を刈っていきます
袋に詰めて回収
ふくろの山になりました。処分にも多額の費用がかかります。
港から引き上げてしばらく放置して枯らせば体積は減らせますが、かなりの腐臭が発生してしまいます。
水草のある場所でエンジンを動かせば、スクリューに絡まります。
港の内側は防波堤により波が抑えられるため、水草が生えやすく漂着物もたまりやすいのです。
こうなると漁に出るどころではありませんね。
打ち寄せられ泥質化しかけているシオグサ(左)と新鮮なシオグサ(右)。
宍道湖では「なめたれ」と呼んでいます。
さらに冬になり水草が腐ると、ヘドロになります。
このような場所では酸素が乏しく、硫化水素が発生するなど生物にとって厳しい環境です。
とくにシジミなど湖底で暮らす生物への影響は大きく、みんな死んでしまいます。
本事業はグリーンワーカー事業の一環で行われました。
しかし普段は漁師さん達の各自の努力で水草の除去が行われています。
私たちも、宍道湖を守るためにできることをやっていきましょう。
○ 水草問題について ○
昔は水草を刈り取り、肥料として田畑に直接鋤(すき)込んでいました。これを「藻刈り(もがり)」と言います。湖の余分な有機物を持ち出して田畑の肥やしとし、上手に物質を循環させていたのですね。
ところが化学肥料がある現在では、そんな手間がかかることはしなくなりました。
宍道湖ではここ4~5年ほど水草が急に繁茂するようになりましたが、これを取り除くシステムは失われていました。そして絡みついては漁師さんを困らせ、ヘドロ化して水の"汚れ"となり、ひたすら湖底に堆積してはシジミを困らせています。
なお水草が復活してきた原因については水の塩分濃度や透明度の変化などさまざまな要因が考えられ、はっきりしていません。
このため
・水草や藻類の処分方法あるいは新たなバイオマス資源としての利用方法の開発
・効率よく水草を刈り取るための器具や船などの開発、
・宍道湖における水草の繁茂要因の解明、発生抑制方法の研究
などなど、この問題における課題は山積しています。
2015年11月24日宍道湖JPR ~環境フェスティバル~ 【イベント】
大山隠岐国立公園 宇佐美 裕太
11/15(日)、松江市のくにびきメッセにて松江市主催の環境フェスティバルが開催されました。
松江市の環境に関わる団体が多数出展するとともに、様々なイベントが行われました。
情報発信の場であるこのお祭りを利用し、今年度子どもパークレンジャー(JPR)として宍道湖で活動してきた秋鹿小5年生のみんなが体験したこと、学んだことをまとめて発表しました。
これまでの活動記事はこちら↓↓
本番では3つのテーマに分けるなど工夫し、最後には一緒に宍道湖を守るよう呼びかけて締めてくれました。
①宍道湖・秋鹿の生きもの
自分たちが実際に学校の周りのたんぼ、川、そして宍道湖で捕まえた生きものについて発表しました。
「みなさんはシンジコフナムシを知っていますか?―」
②宍道湖の水
宍道湖が塩の混じった汽水湖であること、溶存酸素など水質について発表しました。
「宍道湖の水をなめてみたら、ポテトチップスのうす塩くらいのしょっぱさでした―」
③宍道湖を汚すもの
川の中からテレビが出てきたこと、ゴミだけでなく生活排水や水草が汚れの元になることなどを発表しました。
「目には見えないけれど、本当は汚れているんです―」
発表後には、様々な水草をおし花にした手作りのしおりを配りました。
体験に終始せず、それからたくさん勉強・準備したことが伝わってくる本当に素晴らしい発表でした。立派にレンジャーのお仕事を務めてくれたと思います。
これで今年の活動は終了ですが、これからも一緒に宍道湖を守っていこうね!
2015年11月16日鳥の季節 【島根の自然】
大山隠岐国立公園 松江 宇佐美 裕太
標高の高い三瓶周辺では紅葉も見頃を過ぎ、晩秋の装いとなりました。
葉が落ちて鳥が観察しやすい季節になりましたね。
男三瓶山頂でユキホオジロに会いました。
北海道で見られる渡り鳥らしいのですが・・・?
群れも作らずひとり迷子でしょうか。
中腹ではソウシチョウの群れがやかましく鳴いていました。
とても鮮やかで美しいのですが、特定外来生物です。
東の原から北の原を外周しているサイクリングロードを歩くのもおすすめです。
自転車だと今は落ち葉で滑りそうですが、歩くには良い時期ですね。
シジュウカラ
エナガやコゲラと混群をつくっていました。
鳥は基本的にオスの方が鮮やかです。
ほぼシルエットになってしまいましたが・・・
コシアブラの果実を食べているアオゲラです。
野生のカキの実がなっていました。
とっても綺麗なまま残ってます。きっとまだ渋いんでしょうねえ。
朝夕はかなり冷え込みます。
しっかり準備して、快適に三瓶を楽しんでくださいね♪
2015年10月27日鳥地獄 【島根の自然】
大山隠岐国立公園 松江 宇佐美 裕太
10月22日、三瓶自然館サヒメルの地学学芸員・中村唯史さんの案内のもと、三瓶関係機関が集まって三瓶山の合同登山が行われました。
御嶽山噴火の一件以来、活火山である三瓶山では連絡会議ができるなど安全な利用へ向けて防災対策が進められています。
今回は三瓶山の火山活動が感じられるスポット、鳥地獄を紹介したいと思います。
2015/9/11 室ノ内展望所より
三瓶観光リフトを降りてすぐ、室ノ内展望所から三瓶の地形が一望できます。
すると一部森林が途切れ、草地になっている場所が見えます。
この一帯は地中から二酸化炭素が噴出しており、「鳥地獄」と呼ばれています。
反対側 子三瓶山頂から 2014/10/30
室ノ内池は火口があった位置とされています。
この室ノ内を見下ろす眺めはなんとも素晴らしい!
鳥地獄周辺では植物の生育が悪く、土壌があまり発達していません
しかしながら最近は地中の溶岩が冷えてきて二酸化炭素の噴出量が減ったようで、
このようにススキなどが生えるようになってきました。
ちなみに孫三瓶を挟んだ鳥地獄の裏側には温泉(さんべ温泉)が湧いています。
二酸化炭素なのでここらは無臭ですね。
三瓶山は約4000年前に噴火があったことから活火山となっていますが、ただちに噴火の心配はありません。
火山であるということを意識して登ると、いろいろ発見が増えるかもしれませんね。
ただいま三瓶は紅葉シーズンです。ぜひ遊びに来てくださいね!
2015年10月20日37th さんべ祭【イベント】
大山隠岐国立公園 松江 宇佐美 裕太
10/17・18両日、三瓶山北の原では秋の恒例イベントである「さんべ祭」が開催されました!
今年のテーマは「いいね!さんべ」。
三瓶をもっともっと好きになってもらうため、食べ物やクラフトなどなど魅力的な企画が目白押しでした!
ステージの様子
松江自然保護官事務所からもパネル展示でさんべ祭初出展です♪
草原の大切さや三瓶山の自然について展示を行いました。
こりゃお得ですね!!
天気も最高で、登山客の方もたくさんいました。
ご来場ありがとうございました!
来られなかった方も、来年はぜひさんべ祭にお越しくださいね!
2015年09月30日マガンが飛来しました!【島根の自然】
大山隠岐国立公園 松江 宇佐美 裕太
今年も天然記念物・マガンの飛来がはじまりました。いよいよ秋ですね!
今年の初飛来日は9/28だったようです。
稲刈り後の田んぼや畑で食事中。。
おなかに模様が薄く、額の白い部分が小さいのは幼鳥です。
渡り直後は心なしかスマートな気がしますね。
多くの野鳥の活動場所となっている斐伊川河口では、ヨシがたくさん生えています。
長靴を履いて出かければ、生態系を支えるたくさんの発見がありますよ!
ハサミは赤っぽいですが、クロベンケイガニのようです。
↑ヤハズソウとクサネム
↑メドハギとナヨクサフジ
すべてマメ科植物
マメの仲間は空気中の窒素を利用する微生物と共生していて、
(噴火、氾濫などで)荒れた環境にも適応し、真っ先に侵入していきます。
ヒバリなど、放牧地のような草原環境を好む鳥もいます。
宍道湖の湖面にはキンクロハジロたちも徐々に着きはじめています。
秋はゴズ(マハゼ)釣りのシーズンでもあります。
長靴と釣り竿を持って宍道湖に出かけてみてはいかがでしょうか。
2015年09月03日第3回宍道湖JPR ~藻刈り~ 【イベント】
大山隠岐国立公園 宇佐美 裕太
前回に引き続き、松江市の秋鹿小学校5年生のみなさんと宍道湖で活動を行いました。
今回のテーマは「水草」です。
近年宍道湖では、水草が分布を広げていることが問題になっています。
そこで宍道湖漁協さんにお願いし、しじみ漁船に乗って藻苅りを勉強しました。
藻刈りで苅るのは「海藻」ではなく、主にオオササエビモなど「海草」と呼ばれる水草です。
海草...海に生える水草であり、陸上植物と同じ構造(根、茎、葉が区別できる)を持ち、種子を作って繁殖する。アマモなど。
海藻...海に生える藻類であり、胞子を作って繁殖する。ワカメ、コンブなど。
※どちらも読みは「かいそう」ですが、区別するために海草は「うみくさ」と呼んだりします。
○水草に住む生きものたち
船着き場と宍道湖の真ん中、それぞれで水草の周りに住む生きものを捕まえてみました。
エビや小魚、ヨコエビ、ミズムシ、ヒドラ、海綿類などいろいろな生きものがいました。
トンボ(ヤゴ)やガムシの仲間もいました。先日の大雨で流されてきたのでしょうか??
水草は生きものたちにとって大事なエサやすみかになっているようです。
○水草が増えると...
水草は生きものたちが利用している場所だということがわかりました。
鋤簾(じょれん)を使ったしじみ漁の様子
でも水草が増えすぎると、船の航行や漁の邪魔になるだけでなく、枯れた水草は腐ってヘドロになり、水質を悪化させます。
ヘドロ化が進めば、しじみはもちろんその他多くの生きものにとって宍道湖が住みにくい環境になってしまいます。
竹棒でパスタを絡めるように藻を巻き取りました
そこで藻刈りをすることで、宍道湖の養分(=汚れの元)を吸収して育った海草をヘドロになる前に宍道湖の外に持ち出し、水質の悪化を防いでいるのです!
↑宍道湖漁協さんが地元の高校と協力して作った宍道湖しじみのブランドロゴ
[島根][宍道湖][しじみ]の頭文字「S」がかかっているそうです。
ここ2年、宍道湖のしじみ漁獲量は日本一になっています。
しかしその裏では、藻刈りをはじめとした漁師さん達の多くの知恵と努力があることを学びました。
こんにちわ松江の宇佐美です。
昨日の渡り鳥調査では、コハクチョウとマガンは見つからず、ヒバリが見られるようになりました。
季節が変わり北へと帰っていったようです、、ちょっと寂しいですね。
今回は私たちの身近にやってくる鳥たちとの付き合い方について考えてみたいと思います。
堤防から水面を覗くと、カモがすーっと遠ざかっていきます。
さらに近づくと飛んで逃げます。
警戒されている証です。少なからずストレスを与えていることになります。
▲警戒するコハクチョウ
警戒して一斉に首を伸ばし、鳴き声を上げています。近づきすぎました。
なるべくストレスを与えないようにするために、少なくとも田んぼ一反分はさんで観察したり、
車から降りずに観察するようにしましょう。
マガンが道を塞いでいます...
このような場所ではマガンが道路に大量のフンを残している場合があります。
ちなみにマガンは国の天然記念物にして環境省RDBではNT(準絶滅危惧種)です。
▲砂州で水浴びするマガン ▲砂州に残ったフン
マガンをはじめとする渡り鳥の多くは鳥インフルエンザのリスクを持っています。
むやみに近づくとフンを踏んで拡散させてしまう恐れもあるのです。適度な距離を保ちましょう。
以下最近宍道湖周辺にやってきた希少種とされる鳥たちです。
▲ソデグロヅル 2015年9月
推定個体数3000~4000羽の世界的希少種です
IUCN REDLIST:CR(環境相RDB絶滅危惧ⅠA類相当)
▲ヘラサギ 2015年6月
環境省RDBではDD(情報不足)としていますが、かなりの希少種です
▲ハヤブサ 2016年2月
環境省RDB:VU(絶滅危惧Ⅱ類)
▲ズグロカモメ 2015年2月
環境省RDB:VU(絶滅危惧Ⅱ類)
▲ツクシガモ 2016年1月
環境省RDB:VU(絶滅危惧Ⅱ類)
ラムサール条約は、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(The Convention on Wetlands of International Importance especially as Waterfowl Habitat)」といいます。
この条約の登録湿地である宍道湖とその周辺の田畑には、水鳥に限らずたくさんの鳥たちが訪れます。
多くの人に身近に訪れる鳥たちに興味を持ってもらい、保護が必要であることを知っていただきたいと思います。その上で共生のための行動やマナーを普及することが重要です。
適度な距離を保ち、ヨシ原を刈り込み、田畑を維持しなければなりません。
現在ふつうに見られる鳥たちも将来保護が必要になってしまわないように、どうぞご協力をお願いします。
IUCN:国際自然保護連合
RDB:レッドデータブックの略。絶滅危惧種のリスト及びランクを掲載。
絶滅危惧種:絶滅の危機にある生物種のこと。
~絶滅危惧種のランク(危機が大きい順)~
CR:絶滅危惧ⅠA類...ごく近い将来における絶滅の可能性が極めて高い
EN:絶滅危惧ⅠB類...ⅠA類ほどではないが近い将来における絶滅の可能性が高い
VU:絶滅危惧Ⅱ類...絶滅の危険が増大している種
NT:準絶滅危惧種...現時点での絶滅危険度は低いが、存続基盤が脆弱