ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

瀬戸内海国立公園 広島

182件の記事があります。

2012年11月22日宮島の紅葉 その2

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

今週末に宮島の紅葉を見に行こうと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
18日には1日で3万人が訪れたようで、
3日後ならまだ紅葉がきれいなはず!と思い、
21日に紅葉谷に行ってみましたが、
なんと殆どが落葉・・・・

[仕方なく落葉したモミジと鯉を撮影]

がっくりしながら、
登山者カウンターのデータ集計をするべく、
紅葉谷コースを登ると、
迎えてくれたのは、きれいに色づいたウリハダカエデ。
木肌が瓜に似ていることからこの名がついたカエデですが、
宮島には多く自生しています。
中でも紅葉谷コースには川沿いにず~っと生えており、
今は紅葉の最盛期を迎えていました!!

[紅葉したウリハダカエデ]

[こちらもイロハカエデに見劣りしません]

緑から黄、赤とグラデーションになっている様は見物です。
今週末、紅葉谷に行く予定だった方、
是非少し足を伸ばして紅葉谷コースへ上がってみてください。
登るほど元気がないわという方も紅葉谷から徒歩5~10分で
ウリハダカエデの紅葉が楽しめますよ。

[弥山本堂前のカエデはピーク]

[千畳閣のイチョウもピーク!晴天時は黄金色になります]

ページ先頭へ↑

2012年11月20日ミヤジマトンボ生息地環境整備作業

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

今年もミヤジマトンボは順調に発生し、
10月上旬には産卵を終え、終焉を迎えました。
生息地はイノシシに多少荒らされたものの、
海水の流入もあり、
生息条件に必要な“汽水”も保たれていました。

と思いきや!
10月の高潮で海と湿地をつなぐ水路が砂で埋まってしまいました。
ミヤジマトンボの幼虫はケンカに弱いため、
他のトンボの幼虫が生息できる淡水下では食べられてしまいます。
放っておくと海水が入らず湿地が淡水化してしまうため、水路の整備作業を行いました。

整備作業と一言でいっても、
生息地には道がなく重機も入らない自然海岸。
どうやって行うかというと、
船で渡って人の手でひたすらシャベルで土をかき上げ、
水路が崩れないよう土嚢袋を積んでいくという100%人力作業です。
この作業を行う度に良くも悪くもミヤジマトンボの希少性を感じます。

[水分を含んだ土嚢を運ぶのは重労働です]


人の手がなければ生きられない生き物なら
そもそも生きていく力がないのでは?
以前、私はそう思っていました。
ですが、ミヤジマトンボが野生絶滅してしまえば、
ミヤジマトンボをとりまく様々な生きものの命が脅かされます。
そして、トキのように再び野生に復活させるには
莫大な時間と労力、そしてお金がかかります。
元々、水路も自然にできるものでしたが、
近年の異常気象や埋立て等による海流の変化、山の保水力低下など、
少なからず人的要因によって生息地が危ぶまれています。
人的要因によって、一種の生きものが絶滅してしまうなんて
悲しいことだと思いませんか?

今は水路さえ埋まらなければ、
ミヤジマトンボは自力で生きています。
どうか来年も元気な姿を見せてくれますように!

[羽を休めるミヤジマトンボ成熟♂(8月に撮影)]

ページ先頭へ↑

2012年11月07日宮島の紅葉情報

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

11月に入り、各地で紅葉狩りに行かれる方も多いのではないでしょうか。
街では、ソメイヨシノやイチョウが色づき始めていますが、
紅葉と言えば、やはり広島の県花・県木にもなっているモミジ。
そして、広島のモミジ名所といえば、宮島です!
紅葉谷公園にはイロハモミジやオオモミジなど約200本が植えられており、
春には新緑、秋には紅葉を楽しませてくれます。

11月3日の紅葉の様子はというと…

[もみじ橋から]

[四宮神社から]

部分的には紅葉しているものの、
まだまだ紅葉狩りには一歩手前!というところでした。
週末から来週にかけてが見頃かと思います。

よく見ると、
どの樹も上や枝先から紅葉していると思いませんか?



これは昼夜の気温差が大きく、
また光が多く当たれば当たるほど
緑色素(クロロフィル)が分解され、
赤色素(アントシアン)が形成されるためです。
では、どうして紅葉するのか?
その理由は未だにはっきりわかっていないとか。
花や実のように鳥や虫をおびき寄せるためではなさそうですし、
う~ん…気になりますね。
皆さんはなぜだと思いますか?

モミジの事情はさておき、
せっかくの美しい紅葉。
私たちはしっかり楽しませてもらいましょう!

★★★
宮島地区パークボランティアの会では、
ウグイス歩道~もみじ歩道~アセビ歩道に樹木名板を設置しています。
この樹はなんの樹だろう?
樹木名板はそんな疑問に答えてくれます。
もみじ歩道と大元公園の紅葉は特にオススメです!
是非足を伸ばしてみてください。

[今年も木を傷めないよう樹木名板の手入れをしました]

ページ先頭へ↑

2012年10月30日集団生活

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

朝晩が冷え込みが厳しくなってきましたね。
日中は過ごしやすいものの、広島でも最低気温が10℃を下回る日が出てきました。
寒くなってくると、
干潟に棲む生き物も砂に潜って姿を見る機会が減ります。
ですが、磯ではまだまだたくさんの生き物を観察することができました。

仙酔島の周辺には弁天島、皇后島、下加美島の3つの島があり、
下加美島(しもかみじま)は干潮時に陸続きとなるため、
島に渡ることができます。
陸続きになる部分は磯でタイドプールが出現し、観察にもってこいです。

タイドプールには、
アラレタマキビガイ



イボニシ



ヒザラガイ



ケガキ



カメノテ



タテスジイソギンチャク



ヨロイイソギンチャク



ヤッコカンザシ



ダイダイイソカイメン



ムラサキウニ


などなど多種多様。(これはほんの一部です)

これらの写真を見て、あることに気づきませんか?

そう、同じ種の生き物が集団で生活をしています。
それぞれの生き物が好む潮位による分布はありますが、
他にも地形や食べ物の有無、他種との共生、
オスメスの出会いなど、集団生活をする理由は様々です。
また、磯の生き物はイソギンチャクやカキなどのように
定着しているものが多く、
より工夫をしなければ生きていくことができません。
集団生活をしている磯の生き物を見つけたら、
どうしてここを住み家に選んだのか?
どんな工夫をして生きているのか?
そんな観点を加えて観察してみるとおもしろい発見ができるかもしれません。

【おまけ】
休んでいるユリカモメ



花期を迎えたツメレンゲ
(実は仙酔島が国内で初めて発見された場所!)



実は色んな生き物が集団生活を送っているんですね♪

ページ先頭へ↑

2012年10月03日出前講座「守ろう!広島の貴重な生きもの」

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

毘沙門台小学校の3年生を対象に、
出前講座「守ろう!広島の貴重な生きもの」を実施しました。
最初は題材とする生きものを秘密にして、
こちらが出す8つのヒントを元に子どもたちに当ててもらいました。
ヒントその1「世界に6000種、日本に200種の仲間がいます」
子どもたちからは「ええ~~~~!!」
ヒントその2「大きな仲間は10㎝、小さな仲間は2㎝程度です」
「わからんよー!」
そう言ってた子どもたちも
「肉食で昆虫などを食べます」
「子どもの頃は水の中で生活し、大人になったら空を飛びます」
など8つのヒントを言い終わった頃には全員がにんまり。
せーっので「トンボ!!」と答えてくれました。
今日は“ミヤジマトンボ”についてのお話です。

[出前講座のようす]

“ミヤジマトンボ”の名前を知ってる子どもたちは多かったのですが、
その生態についてはほとんど知られていません。
まずは幼虫から成虫になり、
黄色から青色に変色し成熟までのスライドとオスメスの違いなどを説明。
どっちがオスかわかるでしょうか?

[体のある部分の形がオスメスで違います]

そして、その後いろんな種類のトンボを実際に観察してもらいました。
班に配布されたトンボがオスかメスかを聞いてみると、
みごと全員正解!
よく観察できてますね。
川・海・湿地が全てそろった特殊な場所をすみかとするミヤジマトンボですが、
そもそも瀬戸内海で自然海岸ってどのくらいあるか知ってますか?
答えは約3割。
広島の本土側は人工海岸ばかり。
そのことを知ってか、ほとんどの子どもたちが半分以下だと答えてくれました。
自然海岸が多く残る宮島でさえ、
人が住むと埋め立てられたり、道ができたりと
川と海がつながった湿地は西側にしか残っていません。

[川と海がつながった湿地はわずか]

そして、ミヤジマトンボがずっと生きていくには私たちに何ができるのか。
トンボのすみかは皆に教えた方がいいのか、教えない方がいいのか、考えてもらいました。
皆で守っていった方がよいという意見もあったものの、
ほとんど全員が悪い人が捕りに行くかもしれないから、
誰にも教えない方が守っていけるという結論になりました。

ただし、ミヤジマトンボがどんな生きもので
どんな所にすんでいるのか知らないと
知らずにすみかを壊してしまうかもしれません。
また、広島の自然海岸には他にもたくさんの貴重な生きものがすんでいます。
彼らがこれからも今の場所で変わらず生きていけるよう、
私たちに出来ることは次の3つ!
「自然と遊ぼう!」
「自然を知ろう!」
「自然について話そう!」
今日学習したミヤジマトンボや広島の貴重な生きものについても、
帰ったらお父さんお母さんにも話してあげてくださいね。

ページ先頭へ↑

2012年09月19日第17回瀬戸内エコツアー開催!

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

大久野島周辺の自然を知ってもらおうと
毎年2回行っている瀬戸内エコツアーも
今回で17回目となりました。
場所は昨年も開催した尾道市瀬戸田町にある高根島です。

忠海港で開会式を行った後、
瀬戸内海をクルージングし、瀬戸田港に着港。
高根島に向かいました。
柑橘類の生産が盛んな瀬戸内でも、
日当たりのよい高根島のみかんは甘いと評判です。
講師の中田さんご夫妻はみかん農家さんです。
オリエンテーリングでは、
本日の目玉「すき網体験」のほか、
みかんがどういったルートで日本にやってきたか、
緑色の若いレモンは香りがよく、
黄色の熟したレモンは果汁が多いなど、
普段知れない柑橘類の特徴などを教えてくださいました。

[柑橘類の伝来について]

潮が引き始めると
砂浜の上部にすむスナガニが巣穴を掘り始めます。
その巣穴を狙って、まずはスナガニ掘りです。
逃げ足の速いスナガニですが、皆で捕まえました。

[スナガニを捕まえたぞ~]

大潮の干潮になると、海のゆりかごといわれるアマモ場が見えてきます。
といっても、大人でも腰までつからないとすき網はできません。
アマモ場にはどんな生き物が棲んでいるでしょうか?
大人も子どももすき網を持っていざ海へ!

[すき網体験の様子]
普段見ることの出来ない海の中にどんな生き物がいるか、
採集してすぐ観察できるのはすき網ならでは。
今回はクサフグやアミメハギ、ウミウシの仲間など
数十種類の生き物が見つかりました。

[採集した生き物を観察]

[アマモ場にいた生き物:コウイカ、オコゼ、テッポウエビ、タツノオトシゴ]

観察した後は採集した貝や魚など
皆さんで“海の恵み”をいただきました。

[ところてんも自分でついてみました]

[上:茹でたイシダタミやスガイ/下:メバルやハオコゼの唐揚げ]

“自然の中であそぶ”
“自分で採ったいのちをいただく”
昔はごく当たり前だったことですが、
ゲームや遊具で遊んだり、食べ物はスーパーで買ったりと今はなかなか経験できません。
今日は子どもたちにとって
海を身近に感じた貴重な体験だったのではないかと思います。

【おまけ】


何の写真かわかるでしょうか?
答えは“さより”の大群です!
生口島と高根島の瀬を数千匹は駆け上がっていました。
これもまた島ならではの光景でした。

ページ先頭へ↑

2012年09月07日宮島干潟の生き物観察会開催!

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

夏休み最後の土曜日。
広島大学総合博物館の清水則雄先生をお呼びし、
宮島の大元干潟にて生き物観察会を開催しました!
今回のテーマは“干潟の役割”
まずは双眼鏡を持って、干潟全体をのぞいてみました。


離れて見ると、砂質のところもあれば、泥質のところもあったりと
一言で“干潟”といってもいろんな表情があることが分かります。
近づくと巣穴に入ってしまうカニたちも
双眼鏡ならありのままの姿も観察できました。

河口域に下りるとアシハラガニの巣穴がたくさん!
巣穴ってどのくらい深くてどんな形なんだろう?
そんな質問に答えるべく、
前日にいくつかの巣穴へ樹脂を流し込みました。

[よし!皆で掘ってみよう!]

[どんな形が出てくるかな?]

掘り出した巣穴は多種多様。
どんな生き物がすむかによっていろんな形の巣穴があるんですね。

[オサガニの巣穴]

[Y字型はアナジャコの巣]


そして、土壌の断面図が見れるという調査器具、
その名もハンディージオスライサー!
干潟の土壌ってどうなってるんでしょうか?

[土壌を縦に引っこ抜きます]

ふたを開けてみると、
下部の嫌気性の泥質に対して上部は好気性の砂質の二層になっていました。
上部が砂質なのは、
生き物の巣穴によって酸素を送り込まれたり、
有機物を食べているから。
そのおかげで海の水がきれいになってるんですね。

[干潟の断面図]

沖ではアラムシロの捕食実験!
海の掃除屋と呼ばれるアラムシロ。
貝の死がいを置いただけで
1~2分で群がる群がる・・
常にお腹を空かせた干潟のハンターです。

[貝の死がいに群がるアラムシロ]

最後は石垣の帯状分布を観察。
干潟と異なり、イシダタミやヒザラガイなどが観察できました。
石垣の下の方と上の方とでは棲息している生き物が違い、
潮位によってすみ分けをしていることが見て取れました。



宮島といえば、「世界文化遺産」というイメージが強いかもしれませんが、
厳島神社のすぐ横には神の島として、また国立公園として守られてきた豊かな自然が今も残っています。
宮島を訪れた際は厳島神社だけでなく、
是非干潟に降りて生き物たちの様子にも目を向けてみてください。

ページ先頭へ↑

2012年08月29日雨の日の楽しみ方

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

野外活動を行うとき、天気の心配は付きもの。
雨が降ると予定していた活動ができず残念だったという声もよく聞きます。
ですが、晴れの日は活動的な昆虫たちも
雨の日は葉裏などで雨宿りをしていたりと、
実は観察にはもってこいの日だったりします。

[雨の日はカタツムリもお出迎え]


先日、雨上がりの日に弥山に登ったときのこと。
今まで気づかなかったものを発見!
それはクモの巣です。
ロープウェーを上がった獅子岩駅から弥山本堂に向かった登山道脇に
それはもうびっしり!!

[1本の樹に20個はついていました]
普段は見えない糸で隠れて獲物を狙うクモも
この日ばかりは一番目立っていました。
そして、普段は嫌われ者のクモの巣も、


どうでしょうか?
自然界の芸術品に早変わり!
しかも、よくよく見ると、
一本の糸でらせん状に作っていたり、



一面だったと思っていた巣も横から見ると層にもなっていたり、



[横から見ると3層に]

タワーのような形の巣があったりと

[こちらは2階建て]

巣によっていろんな形があることに気づきます。

昼にはすっかり晴れ、
いつもの透明な巣に戻っていました。
何十回と通ってるルートでも
晴れの日に見えなかったものが雨の日には見え、
新しい発見をすることがあるんですね。

ちなみにクモの巣は縦糸と横糸で粘りが違います。
虫を捕らえるにはどちらが都合が良いでしょうか?
答えは是非触ってみてください!

ページ先頭へ↑

2012年08月06日就業体験@大久野島ビジターセンター

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

梅雨も明け、夏休みが始まりました!
大久野島の海水浴場では平日にかかわらず、
たくさんの人でにぎわっていました。

[海水浴場:向いに見えるのは愛媛県大三島]

例年、大久野島ビジターセンター(以下、VC)では、
夏休みの間を利用して県立忠海高校生が就業体験に訪れます。
今年は2日間で12名の学生を受け入れました。
VCスタッフから大久野島や館内の説明を行ったほか、
ARから環境省や国立公園について解説を行いました。
まずは高校生に竹原のいい所を訊いたところ、
「自然や海がきれい」
「町並み保存地区がある」
「竹細工が有名」などの意見が出ましたが、
瀬戸内海国立公園がある!との意見は出ませんでした。
グランド・キャニオン国立公園やグレート・バリア・リーフ海洋公園は知っているのに
一番身近な国立公園を知らないのは勿体ない!
ということで竹原のいいところの一つとして、
国立公園とはこんなところ、という話をしました。

[国立公園について解説]

その後は実際にVC業務を体験してもらおうと、
HPの原稿作成をしたり、
お客さんを捕まえては館内の案内や、
クラフト体験の指導を行ってもらいました。
最初はぎこちなかったものの
徐々に笑顔で案内ができるようになり、
さすが若者の吸収は早いなぁと感心させられました。

[クラフト体験の指導風景]
お客さんに楽しんでもらえてるか、
また、自分が楽しんで仕事ができているかが
仕事をする上での醍醐味なのかなと思います。
これから進路で色々悩む時期だと思いますが、
VCでの就業体験が学生の皆さんの今後の進路にとっていい経験になれば幸いです。

ページ先頭へ↑

2012年07月06日宮島一周クリーン作戦

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

毎日梅雨らしい天気が続きますね。
この季節は雨が降っていなくても
足場がぬかるんでいることがありますので、
山歩きには十分お気をつけください。

広島といえば、カキ!
全国的にも有名な産地ですが、
どのように育っているかご存じでしょうか?
最初は干潟でホタテの貝殻に幼生を付着させ、
その後筏に吊して沖で育てます。
筏は発泡スチロールで出来たフロート(浮き)で浮いていますが、
台風などの強風や高潮でフロートが外れてしまうことがあります。

[カキ筏の下にあるのがフロート]

さて、このフロートはどこに行ってしまうのでしょうか?

外洋に流れ出るものもありますが、
多くは瀬戸内の自然海岸です。
有人島の中でも自然海岸が多く残る宮島は多くのフロートが漂着しており、
その数なんと1000個以上!
サイズが約1.5mと大きく、また南部海岸には道路がないため、
運び出すのは容易ではありません。

[海岸に漂着したフロートの山]

そこで先月、NPO団体が中心となり、
行政や漁協、宮島PVなど宮島の関係者総勢115名で“宮島一周クリーン作戦”が実施されました。
場所は南部に位置する大砂利浦、焼山浦、藤ヶ浦の3ヶ所です。
船で海岸に移動し、早速作業開始!

風で樹林の中に積み上がったもの、
粉々になって土の中で根と絡まっているもの、
それらのフロートと一緒にペットボトルなどの生活ゴミもたくさん流れ着いていました。

[全部岩に見えますが、矢印先はフロート]

[みんな担いで運び出します]

[水溜まりに浮かんだフロートの粉:粉々になっても石油製品は長い間分解されずに残ります]

回収されたフロートは原型・半分程度のもので200個以上。
破片を含めるとフロートだけで1トン以上、
一般ゴミは約400キロにもなりました!
暑い中の作業ではありましたが、
多くの方のご協力で2時間程度できれいな海岸に戻りました。
また、集められたフロートは後日漁協の皆さんによって
船で島外に運び出され、燃料として再利用されました。

[当日集めたフロートの一部]


宮島は周囲30㎞。
一周するにはまだまだ時間がかかりますが、
こういった取り組みがきれいな瀬戸内海を後世に残していけるのだと思います。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ