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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 松山

154件の記事があります。

2010年07月09日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで100日前】

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

今月初めから中四国のAR日記で、なにやらカウントダウンが始まったことに
お気づきでしょうか?
これからCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の開催に向けて、
全国の有志ARが各地域のいきものなどを定期的にご紹介していきます
(この企画については文末にご紹介したHPをご覧ください)。

日本のいのち、つないでいこう! COP10まで100日前
※COP10 100日前(7月10日(土))は休日に当たるため、
本日100日前としての記事を掲載しております。ご了承ください。

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瀬戸内海の食物連鎖の頂点・「スナメリ」
スナメリ 【ハクジラ亜目 ネズミイルカ科 スナメリ属】 


みなさんは野生のイルカやクジラを見たことがありますか?
イルカやクジラというと、外洋に行かないと見れない、と思われている方も
たくさんいらっしゃるかもしれません。

イルカ・クジラの仲間は約90種弱確認されていて、日本近海にも
たくさんの種が生息しています。
なかでも瀬戸内海で最も身近なのは、背びれやクチバシがない
つるんとした体型で、大きさは2m弱の「スナメリ」です。
海上ではなかなか目立たないのですが、飼育している水族館などでは、
水中ではとても活発に泳ぎ回っていて、愛嬌もあるかわいい姿が見られます。

底生生物や小型魚類などを食べ、瀬戸内海の食物連鎖の中では
頂点にたつスナメリ。
たくさんの生き物の存在に支えられている代表的な存在であることから、
瀬戸内海の環境をみるとき、生物多様性、海の豊かさを示す
指標生物としても考えられています。


瀬戸内海  海中のいきものの豊かさは…?

海が身近な漁業関係者の方々には身近な存在だったようで、
昔は網にかかったスナメリを食べていた(?)とか、釣りや漁をしていて
スナメリが来ると魚が逃げて困った、なんて話も耳にしますが、
瀬戸内海のスナメリは、昔に比べて数が減ってしまったと言われています。
市民の方では瀬戸内海に「そういういきものがいることを知らない」、
という方も多いようです。

見たことがない、と言う方。
船に乗る機会自体、少なくなってしまっているかもしれませんが、
海に行ったとき、スナメリの姿を探してみませんか?

去年、7月と11月に瀬戸内のフェリー航路上でスナメリを探す
調査イベントが数カ所で行われ、松山では11月には、ほとんどの参加者が
スナメリを目撃することができました。


フェリー航路上では、コンスタントに発見されていることが
昨年の調査でも明らかになっています。
今秋も、調査イベントを実施する予定です。

いきものや自然環境に興味をもつきっかけはひとそれぞれ。
誰しも「かわいい!」「おもろい!」「なぜ?なに?」など
素朴な気持ちや感動から出発するものです。

今年もまた元気に泳ぐスナメリの姿を、またたくさんの方と一緒に
見られますように。

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“日本のいのち、つないでいこう”
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では『地球のいのち』
について、たくさんの国の人々が議論をします。
COP10に向けて、一緒にカウントダウンをしながら、
多様な『日本のいのち』を見つめてみませんか?

詳細は下記ページへ!
●中国四国地方環境事務所ホームページ
http://c-chushikoku.env.go.jp/
http://www.env.go.jp/park/ashizuri/topics/100705a.html

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2010年07月02日海開き、 湿地植物・花の季節

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

7月に入り、夏のレジャー情報も飛び交い始めていますが、
まだまだ梅雨真っ盛りの松山です。


1日、休暇村瀬戸内東予で行われている海開きの神事に、
今年はレンジャーとともに出席しました。

幸いお天気も良好で、海の目の前の休憩所で神事が執り行われ、
休暇村の職員の方々と、この夏の海水浴などの海岸利用者の安全を
祈願しました。



海開き神事の様子

今年も、水難事故が起こらずに、海に来る方々が楽しい思い出を
持って帰れますように。



休暇村近くの湿地、蛇池湿地ではモウセンゴケやネジバナの花が
咲き始めていました。


ネジバナの花  小さな螺旋階段のよう。

モウセンゴケ
 一ヶ月前(左 6月3日撮影)茎がするする伸び… 
白い花が咲いています(右 7月1日撮影) 

この湿地で見られる植物は、小さな小さな花をつけるものが多いですが、
とても可憐です。夏季は最も多くの植物の花が見られますので、
是非小さな花を見つけに湿地をのぞいて見てください。
 

日本のいのち、つないでいこう!【COP10 108日前】
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会 http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/

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2010年06月18日定点観測調査【愛媛 笠松山】

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

こんにちは、松山ARです。全国で梅雨入りが発表されましたね。
晴天は恋しいですが、ここ数年水不足にひやひやする夏が続いたので、
しっかり降ってね!と祈る今日この頃です。

さて今年度より、中四国のARの共通業務として、それぞれの地域で
決めた定点から定期的に写真を撮影していく定点観測調査を始めることに
なりました。
観測地点は、国立公園の維持管理に反映させることを主な目的に、
主要施設や自然資質などの経年変化や季節変化を捉えられるよう
多様な目的のもとそれぞれ選定しています。
愛媛でも、定点として6箇所ほどを計画し、記録を始めました。

観測場所の一つとして考えているのが一昨年山林火災に見舞われた
笠松山です。
http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2008/09/314.html
長期的なスパンになりますが、植生の回復状況などが記録していければ、
と考えています。

笠松山撮影の定点は、火災が発生したときに記録を残していた地点を
いくつか選んで引き続き撮影していく計画です。


こちらは、火災鎮火直後の写真。


こちらが先日撮影した笠松山です。(手前は小麦畑)

現在は道の整備やその後の植林など、地元自治体などの
復興に向けた事業、活動が続いています。


別の現状調査もあり、久しぶりに笠松山にも入りました。
まだまだ焼け跡が痛々しいですが、シダ類や樹木の新芽の鮮やかな緑が
印象的でした。
緑豊かな山に戻るには長い年月がかかりますが、その様子を
記録していければと思います。

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2010年05月26日近頃のお天気事情

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

風薫る五月晴れ!

とはなかなかいかず、今日もお天気どんより曇り空の松山です。
今日も出張予定でしたが、眺望などの写真撮影を伴う調査は、
空のご機嫌を伺いつつなので、今年はなかなか予定通りに進みません。


山ではアジサイが咲き、時雨がちな天気に、カタツムリも活き活き活動してました。
もうすぐ6月。このまま梅雨に入っていくのでしょうか。

昨日出張の際も、朝まで雨が降り続きましたが、
予報の通り、午後から天気は急速に回復。

徐々に雲が薄くなり… 今治市・小島の砂浜


午後にはすっかり青空 今治市・馬島より小島

紫外線対策をすっかり忘れ、帰って鏡を見るとしっかり日焼けしていました。
大気中のチリなどが洗い落とされた雨のあとの特に紫外線は強烈とのこと。
まだ春とはいえ、油断禁物。外出の際はお気をつけください。

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2010年05月18日AR写真展開催中 *会場から足を伸ばして

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

現在、愛媛にてアクティブレンジャー写真展~中国四国地方の自然~を開催中です。

展示場所をお借りしている休暇村瀬戸内東予周辺は散策スポットも満載です。
気候のいい5月、おでかけに来られませんか?

休暇村からの眺望も、すばらしいです。


写真上:休暇村瀬戸内東予(写真展会場)からの眺め
写真下:桜井海岸

そして会場から足を伸ばすと、気持ちの良い自然海岸や遊歩道があります。
海岸ではハマエンドウの花盛り。コウボウムギの穂も見られます。


写真上:桐の花
写真下:フジの花
もう花は終盤の様ですが、園地の中に咲くフジや桐の花も美しかったです
(5月13日撮影)。
春は紫色の花が多いんでしょうか?

また、国道から休暇村瀬戸内東予へ向かう途中には愛媛県天然記念物に
指定されている蛇池湿地植物群が見られます。夏にかけて様々な湿地植物が
花をつけますのでぜひのぞいてみて下さい。


上:蛇池湿地
下:河原津海岸 (背景には石鎚山(右奥)がくっきりと見える良い天気でした)

13日に会場設営を終えて帰る頃、隣接した場所にある河原津海岸の干潟が
干出していました。ちょうど大潮の干潮時だったようです。
人影が見えましたが潮干狩りでしょうか。干潟の人々をうらやましげに
見ながら帰りました。

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2010年05月17日AR写真展開催中 -愛媛会場-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

肌寒い日が多かった4月。
5月に入り松山はずいぶん気温もあがり、
初夏の眩しい日差しが降り注いでいます。

さて、中国四国地方環境事務所では3月より中国四国地方の6名のARが
撮影した写真や、それぞれが活動する国立公園等を紹介するパネルを
展示した巡回写真展を実施しています。
愛媛では休暇村瀬戸内東予の一角をお借りして、現在開催中です!

同じ中国四国管内のARとはいえ、普段ほとんどお互いに顔を合わす機会も
ないことから、メールや電話で意見交換し構想を練りながら、
約半年の準備期間を経て開催に至りました。

ついに愛媛会場の展示期間がやってきましたが、
私は、展示作業も不慣れで四苦八苦。
なんとか無事に会場作りを終えました。
それぞれの公園の雰囲気や、活動の様子が少しでもお伝えできれば
よいのですが。

お近くへお越しの際は、ぜひお立ち寄りください!

【AR写真展 愛媛会場】
・日程 5月14日 金曜日~6月6日 日曜日(期間中無休)
・場所 休暇村瀬戸内東予(愛媛県西条市河原津)
・入場無料(自由に観覧できます)


写真展会場の様子
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詳細はこちら↓↓
●アクティブレンジャー写真展~中国四国地方の自然~の開催(愛媛会場)について
http://www.env.go.jp/park/setonaikai/topics/100420a.html

*他会場の情報*
【高松会場】(終了) http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2010/03/603.html
【高知会場】(終了) http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2010/04/630.html
【広島会場】 6月17日(木)~7月11日(日)  大久野島ビジターセンター
【鳥取会場】 7月22日(木)~8月16日(月)  大山参道ギャラリー
【島根会場】 8月20日(金)~9月14日(火)  三瓶自然館サヒメル

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2010年04月28日シカの島 - 松山市 鹿島 -

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

先日、保護官と松山市の鹿島へ現地調査に向かいました。
鹿島は比較的事務所から近い場所なのですが、点在する管内の公園には、
なかなか定期的には行けない所も多く、久しぶりに訪れました。

松山の事務所から車で30分ほどの旧北条市の港から、鹿島は船で3分ほど。
周囲1.5km、標高114kmの小さな島で、人は住んでおらず、
居住者はシカなど、野生の動植物たちです。


鹿島の概観 小さくまあるい形をしています。

船を降りた頭上ではにぎやかな鳴き声が。
見上げるとアオサギが営巣しているコロニーがありました。


人とほどよい距離を保ち、その姿を見せてくれる鹿島の野生シカたち(シカは、県指定の天然記念物に指定されています)。
島の周囲や頂上の展望地へ向かう遊歩道では、
シカたちの自然の姿を見ることができます。

また、歩道を歩いて20~30分ほどで登ることができる頂上の展望台からは
周囲の島や、旧北条市の町並みを見渡すことができます。


松山からほど近い無人島。
GW連休には鹿島まつり、夏季には海水浴などで賑わいますが、
その他の時期に静かに島内を散策するのもオススメです。

※注意
現在、島を一周できる周歩道は、落石、土砂の崩壊の危険性があるため通行止めになっています。

アクセスなど、鹿島の情報は松山市のホームページに掲載されています。
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/1179555_1021.html

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2010年04月23日佐田岬灯台周辺が再整備されました!

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

こんにちは、松山ARです。
松山自然保護官事務所は保護官がこの春で交代し、気持ちも新たに新年度を始動しました。
しかし、なかなか「春」らしい日が続かない今年のお天気。
出張もお天気のご機嫌を伺いながらです。

さて、保護官との現地の確認や関係各所への挨拶・業務打合せが続く日々ですが、
先日訪れた四国最西端・佐田岬(さだみさき)では、昨年度、町により駐車場付近のトイレや展望台などがが再整備され、工事が完了していました。

ヤブツバキが生い茂る椿山展望台。
手すりも新たに設置されました。


階段を登った先は・・・


木製のデッキができた椿山展望台


以前はこのような感じでした(2010年1月)。

その他、遊歩道の階段に手すりがつけられたり、看板が新しく立てられたりと、歩きやすく、また楽しみやすくなっています。
よいお天気の日には、四国最西端へ足を伸ばして遊びに行きませんか?

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2010年03月30日3月13日行事・ビーチクリーンの結果報告

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

3月13日(土)に実施した行事「ビーチクリーンと海辺のいきもの観察」
http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2010/03/16/index.html
の報告です。

今回のビーチクリーンでは、「JEAN/クリーンアップ全国事務局」
(ホームページhttp://jean.jp/index.html)が作成している
海岸のごみ調査のデータカードを利用し、30分間で拾ったごみの個数を
項目ごとに記入してもらいました。

データカードの項目は大きく
①破片/かけら類、
②陸(日常生活・産業・医療/衛生など)、
③海・河川・湖沼(水産・釣り・海上投棄など)

に分けられ、上記3つの大項目の中に、

①プラスチック片、ガラス片… 
②タバコ吸殻、飲料用プラボトル、おもちゃ… 
③ルアー、カキ養殖パイプ、漁網… 
などと細かな項目ごとに数えるようになっています。

さて、この海岸で拾ったごみの正体たちは…。




まず、全員で拾った全てのごみの合計は576個。
そのうち3つの大項目ごとの割合は下の円グラフ「区分別割合」の通りでした。



また、今回拾った漂着ごみのワースト10を見てみると…
1位 カキ養殖用パイプ
2位 ガラスや陶器の破片
3位 食品の包装・容器

この上位3つが拾ったごみの50%、またワースト10が全体の74%を占めていました。
(この結果は、拾った個数で計算しており、大きさや重さは勘案していません。)
しかし、なんともたくさんのごみがあるんだなぁと思い知らされます。

場所や季節によって、また年によって漂着するごみは
変化していくものかもしれませんが、
愛媛の海岸で、現在よく見られるごみの一つにカキ用養殖パイプがあります。
カキ養殖が盛んなお向かいの広島から流れてくるようですが、
広島では、こうして流れ着いたパイプを回収する活動も行っているそうです。
同じように、愛媛から出たごみも、どこか違うところに流れ着き、
問題になっているかもしれません。


海はどこまでもつながっている…

どこから、なぜごみが海にやってきたのか。
それを1人1人が考え、何かの行動をしていくことで、
海岸のごみは減っていくかもしれません。
いろいろな命を育む美しい海をみんなで大事にしていきたいですね。



※ゴミの中には、釣り針やとがったガラス片、中身不明の液体など、
危険なものが落ちていることがあります。拾う際は充分注意してください。

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2010年03月16日「ビーチクリーンと海辺のいきもの観察」を実施しました【イベント】

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

早くも桜の開花が発表された松山です。

3月13日(土)午後に主催行事「ビーチクリーンと海辺のいきもの観察」を
実施しました。
春の気まぐれな天候に翻弄され、当日午前中まで行事の実施時間中が
小雨という天気予報。
予報がはずれるのを祈りつつ、開催時間を迎えました。


今回の会場は今治市の七五三ヶ浦(しめがうら)海岸という、
瀬戸内海国立公園に指定された風光明媚な海岸。
夏にはキャンプや海水浴で親しまれています。


しかし、地理上、漂着物がたくさん流れ着いてしまう場所のようで、
たくさんの漂着ゴミにも悩まされています。


写真:七五三ヶ浦海岸に漂着したゴミ

今回のビーチクリーンは、ゴミを拾うだけではなく、
どんなゴミがどのくらいあるのか、それぞれ拾いながら個数を数えてもらい、
どこから来たのか、どうすれば減らしていけるのかなぁ、
ということを考えるきっかけにしてもらうことがねらいです。
また、その海岸に棲むいきものを観察することで、より海辺の自然に親しみ、
関心をもってもらいたいとの思いを講師やスタッフは抱いています。


写真上:ビーチクリーン調査の様子
写真下:海辺のいきもの観察の様子


幸運なことに、午前中降った雨もやみ、15名の参加をいただき、
無事に行事を終えることができました。

現在、拾ったゴミのデータをまとめています。
行事の詳細な報告は、後日アップしたいと思います。

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