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中国四国地方環境事務所

里海づくりの推進

里海づくり

里海とは

 里海(さとうみ)とは、人の暮らしと自然の営みがともにある海辺のこと。
 海にほどよく人の手や営みが加わることで高い生産性と独自の生態系が生まれ、そこから水産資源など豊かな恵みがもたらされます。環境省では、里海の豊かな恵みを未来へつなぐため、里海づくりを推進しています。
 環境省が運営する里海づくりの情報サイト「里海ネット」では、里海とはどんなものかわかりやすく解説。里海づくりの実践事例の紹介など、里海に関する資料や情報を掲載しています。里海づくりのパンフレットや手引き書をダウンロードしてご覧頂けます。
 
里海を育て、構成する5つの要素
生態系、物質循環、ふれあい、活動の場、活動の主体

藻場・干潟の保全と利活用の促進

  藻場・干潟は、生物の産卵場所、生息・生育の場、水質浄化、二酸化炭素の吸収・固定等、多面的な機能を有しています。
 今後、藻場・干潟の保全や創出を一層進めていくとともに、沿岸域の地域資源の利活用の好循環(ヒト・モノ・資金など)を生み出すことで、沿岸地域が抱える様々な課題(生物多様性や生物生産性の減少・過疎・少子高齢・人と自然の関わりの減少など)の解決につなげるべく里海づくりを推進していくことが重要です。
 また、令和2年10月に我が国政府は、2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、温室効果ガスの削減に向けあらゆる取り組みを行うこととしています。その中で、二酸化炭素の吸収源として、いわゆるブルーカーボン生態系が注目され、藻場・干潟は、一層その重要性と社会的な関心が高まっています。
 環境省のブルーカーボンに関する取り組みはコチラ

「令和の里海づくり」モデル事業

 地域の多様な主体が参加・連携して里海を地域資源として利活用することで、保全と利用の好循環の形成等を推進するため、令和4年度から地域の優れた取り組みを支援しています。
 全国の里海づくりの取り組みを「SATOUMI STORY 里海をめぐる物語」で紹介しています。

 中国四国地方環境事務所では、モデル事業に採択された次の団体の活動を支援しています。
 
実施団体 事業概要 事業成果等
令和6年度採択事業
公益社団法人玉野市観光協会 岡山県玉野市における未利用魚・低利用魚を食材とした特産品開発及び販売による観光エコシステム醸成事業  
日生町漁業協同組合 岡山県備前市における地域資源であるカキ殻を利用した里海の創造(カキ殻散布による里海づくり)  
尾道東部漁業協同組合 広島県尾道市におけるアサリ再生活動を契機とする「里海」・松永湾の再生・利活用に向けたバージョンアップ  
防府市藻場造成による豊かな里海づくり協議会 山口県防府市におけるeDNAを活用した食害被害調査及び多様な里海のフィールドづくり  
一般社団法人地方創生機構 愛媛県八幡浜市における地域の企業・団体と連携した「藻場BANK(増殖礁)造成」と、地域と未来を切り拓く人材を育む「学べる体験型プログラムの開発・実証事業」  
おおつき里海づくり協議会 高知県大月町における森川里海を一体として捉えた藻場再生と里海教育の充実  
令和5年度採択事業
岡山水産物流通促進協議会 豊かな水産物の食文化を持つ岡山県の魅力発信のためのエコツアーの実施、プロモーション 岡山県内沿岸エリア
一般社団法人みんなでびぜん 岡山県備前市におけるアマモ場再生活動に資する海洋学習プログラムの充実、未利用・低利用魚の商品開発 備前日生
尾道東部漁業協同組合 広島県尾道市におけるアサリ再生活動を契機とする「里海」・松永湾の再生・利活用に向けたバージョンアッププロジェクト 尾道松永湾
防府市藻場造成による豊かな里海づくり協議会 山口県防府市の里海における藻場造成とアイゴ等の「磯焼け」対策&商品化による循環型経済の仕組みづくり 防府市沿岸域
おおつき里海づくり協議会 高知県大月町における持続可能な里海づくりにむけた藻場再生と地域資源の好循環形成、都市部への発信 柏島
令和4年度採択事業
岡山水産物流通促進協議会 岡山県海域(瀬戸内海中部)における学び・体験・食を通じた岡山の里海づくりと低・未利用「地魚」の流通・消費促進 岡山県内沿岸エリア
一般社団法人瀬戸内海エコツーリズム協議会 広島県大崎上島の雄大な里海景観と海の恵みを体験し考察するエコツアー造成 大崎上島町(大崎上島及び周辺諸島)
特定非営利活動法人黒潮実感センター 高知県大月町柏島における森川里海を一体として捉えた藻場再生と地域資源の好循環形成 柏島

(参考:環境省の報道発表資料等)

瀬戸内海の環境保全

瀬戸内海環境保全特別措置法の運用

 令和4年4月に、瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律(以下「瀬戸内法」という。)が施行され、気候変動の観点を基本理念に加えるとともに、新しい時代にふさわしい里海づくりを総合的に推進することになりました。
 
クリックすると瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律の概要を説明するPDFに移動します。
(クリックすると拡大します)

(改正のポイント)
○ 栄養塩類の「排出規制」一辺倒からきめ細かな「管理」への転換
○ 温室効果ガスの吸収源ともなる藻場の再生・創出を後押し
○ 瀬戸内海を取り囲む地域全体で海洋プラごみの発生抑制を推進

瀬戸内海環境保全計画

 瀬戸内法に基づいて、瀬戸内海の沿岸域の環境の保全、再生及び創出、水質の保全及び管理、自然景観及び文化的景観の保全、水産資源の持続的な利用の確保、海洋プラスチックごみを含む漂流・漂着・海底ごみへの対応等について、総合的かつ計画的に推進するため、瀬戸内海環境保全基本計画を定めています。(令和4年2月閣議決定)

瀬戸内海の環境保全に関する各県計画の策定

 瀬戸内海沿岸の府県(以下「関係府県」という。)では、瀬戸内法の基本理念に則り、各府県の区域における瀬戸内海の環境保全に関し実施すべき施策について、府県計画を定めています。
 中国四国地方環境事務所管内の各県が定めた計画は次の通りです。

栄養塩類管理制度

 瀬戸内海における生物の多様性と生産性の確保を図るため、瀬戸内法に基づいて、関係府県の知事が窒素やリンなどの栄養塩類の管理に関する計画を策定できるようになり、周辺環境の保全と調和した形で特定の海域への栄養塩類の供給が可能になりました。
 現在、中国四国地方環境事務所管内では、香川県が、令和6年3月に「香川県栄養塩類管理計画」を策定し、栄養塩類の増加措置を計画的に実施することとしています。

海洋ごみ対策

環境省の取り組み

 プラスチックを含む海洋ごみ(漂流・漂着・海底ごみ)は、生態系を含めた海洋環境の悪化や海岸機能の低下、景観への悪影響、船舶航行の障害、漁業や観光への影響等、国内外で様々な問題を引き起こしています。
 海洋ごみは人為的なものから流木等自然由来のものまで様々ですが、回収・処理された海洋ごみにはプラスチックごみが多く含まれています。また、近年、マイクロプラスチック(一般的に5mm未満とされる微細なプラスチック)による海洋生態系への影響が懸念されており、世界的な課題となっています。
 この地球規模の問題について、2019年開催のG20大阪サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提案され、87の国・地域がこのビジョンを共有しています。
 環境省が実施するプラスチックを含む海洋ごみ対策についての資料はコチラ
 

■プラスチック・スマートを日常に
 環境省では、海洋プラスチックごみの削減に向けて、プラスチックとの賢い付き合い方を全国的に推進するキャンペーン「プラスチック・スマート」を展開しています。
 海洋プラスチックごみ対策として人の手や装置などを使っての回収などが実施されていますが、ごみを出さないことも同じくらい有効な手段です。ポイ捨てをしない、使い捨てのものをむやみに使わないなどのアクションを一人ひとりが意識することで、ごみの量はグッと減少します。地球環境だけでなく、今の生活や食を守るためにも、海洋プラスチックごみを減らす方法を今一度考えてみませんか?

■海ごみゼロ活動を推進しています
 世界中で増え続ける海洋ごみの問題。2050年にはプラスチックをはじめとする海洋ごみの量が、魚の量より多くなるともいわれています。早急な対策を図るため、環境省は日本財団と共同で、「海ごみゼロ」を合言葉に一斉清掃活動を推進しています。

海ごみゼロウィーク2024
  • 春:2024年5月30日(木)~2024年6月9日(日)
  • 秋:2024年9月20日(金)~2024年9月29日(日)

瀬戸内海における海洋ごみ対策

「瀬戸内海の海ごみ問題」について
 海ごみ問題とは、陸域を含めた地域全体で考え、対応していかなければならない"身近でやっかいな不法投棄問題"であると言えます。瀬戸内海における海ごみ問題について現状を知り、日頃からできることを考えてみましょう。

■瀬戸内海の海ごみを考える月間
 11月は、海域では瀬戸内海の底びき網漁の本格的な漁期直前で、瀬戸内海の豊かさが認識できる時期、陸域では山里の河川流域に人々が集う秋の行楽シーズンのピークの時期であるため、陸域側も含めて、瀬戸内海の海ごみ問題の普及啓発等に効果的な時期であると考え、関係県と協力して『瀬戸内海の海ごみを考える月間』としました。

瀬戸内海プラごみ対策ネットワーク(瀬戸プラネット)
 環境省と瀬戸内海関係14府県は、2023年10月に、瀬戸内海プラごみ対策ネットワーク(瀬戸プラネット)を立ち上げました。これ以上のプラスチックごみを増やすことなく、きれいで豊かな瀬戸内海を守るための取り組みや課題の共有、実態の把握、海洋ごみ削減への行動を一緒になって取り組んでいます。

【参考】瀬戸内オーシャンズX
 瀬戸内海に面する4県(岡山県・広島県・香川県・愛媛県)と日本財団が2020年12月に連携協定を締結し、共同で推進している包括的海洋ごみ対策プロジェクトです。外界からの海洋ごみ流入が少ない海域(閉鎖性海域)である瀬戸内海をフィールドに、①調査研究②企業・地域連携③啓発・教育・行動④政策形成の4つの柱で事業を推進しています。