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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 松山

154件の記事があります。

2012年05月28日鹿島

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

鹿島は、松山市北条の西方約400mと北条側からすぐ近くに位置し、周囲1.5km、標高114mの小さな島です。
毎年5月には「北条鹿島まつり」が行われ、鹿島神社にまつわる伝統芸能や鹿島沖に浮かぶ夫婦岩の大しめ縄の張り替えなど、古くから地元住民らに馴染みが深いこの島も、瀬戸内海国立公園に指定されています。

渡船乗り場から見た鹿島

現在、減少している鹿島への観光客を取り戻そうと渡船料を値下げする新社会実験が行われています。島へ渡り現地調査を行ってきました。

港で渡船を待っていると見えてきたのは・・・鹿??

鹿島への渡船

なんと、船の上には鹿のレプリカが乗っています。それも結構大きい!
これも観光客へのアピールなのでしょうか?

その名の通り、鹿島には昔から野生の鹿が生存して、愛媛県指定天然記念物として文化財に指定されています。ホンシュウシカより小さく、臆病で警戒心が強く人になれにくいという特徴があります。
展望台への登山道を歩いていると野生のシカを数頭見かけました。

野生のシカ
登山道で出会ったシカは立ち止まりずっとこちらを見ていました。
シカの被害により鹿島も、下層植生はシダが目立ち、樹皮剥ぎも一部見られました。
若い木などには、木の周りにネットを張って樹木保護をしていました。

左:樹皮剥ぎ 右:樹木保護のためのネット


島の樹木の保護、繁殖育成などの見地から保護飼育されているシカ

野生のシカ以外にも樹上に営巣するアオサギやヤマガラ、イソヒヨドリなどを数種類の鳥を見かけました。キャンプ場など施設は整備されていますが、人が住んでいないため野良猫や犬などの外敵がすくないからでしょうか。

樹上に営巣するアオサギ

ヤマガラ
小さな島でも、野生動物にとっては重要なすみかになっています。これからもこの環境が続くように賢く利用して守っていきたいですね。

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2012年04月23日積善山と島の生き物たち

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

積善山のある越智郡上島町岩城島は、瀬戸内海の中央に位置し、広島県尾道市生口島からフェリーで島へ渡るように広島県と愛媛県の県境にあります。
この積善山はなんといっても桜が有名です。

4月の中旬、葉桜になりつつある積善山へ行きました。

瀬戸内海国立公園に指定されている積善山

積善山には約3000本もの桜が登山道沿いに植栽されており、積善山展望地からは360度しまなみの多島海景観を眺望でき、春には登山道沿いに植えてある桜が景色をより彩ります。

積善山展望台からの眺め

葉桜になりかけていたものの尾根上に連なる桜が、みごとでした。
少しかすんでいましたが、桜とともに奥の伯方島、大三島も眺望することが出来ました。

さらに桜に変わって山の斜面にはツツジもきれいに咲いていました。ちょうど今頃はツツジが見頃でしょうか。

ヤマツツジ


同じく岩城島の西岸にはアマモ場があり、漁協さんが保全活動をしています。
海岸は大きめの石がごろごろしていますが、道路沿いにはヨシが生える塩性湿地があり、潮が引くと小規模ですが干潟もできあがり、多様な地形が見られます。

潮が引き徐々に広がり始めた干潟

生き物を探そうと岩をひっくり返してみると・・・
さっそくヒライソガニを見つけました。
下の写真のヒライソガニは同じ海岸で見つけたものですが色が全然違います。
砂地や岩場など生息地によって体色を変化させているのでしょうか。

ヒライソガニ

そのほかにも・・・


イシダタミやイボニシは岩礁域に生息し、フトヘナタリは干潟の潮間帯よりも上の冠水しないところに生息し、環境省のレッドリストの準絶滅危惧種にも指定されています。スジホシムシモドキは砂泥質の干潟に生息し、海岸では海浜植物のハマダイコンの花も咲いていました。
多様な地形が今もなお残っているから、たくさんの生き物が生息し、生態系に富んだ海岸といえるでしょう。
豊かな自然に触れ、改めて島は生き物の宝庫だと実感した一日でした。

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2012年04月12日瀬戸内海国立公園 東予野営場がリニューアルオープン

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

桜も満開になり、街路樹のヤナギやイチョウも芽吹き、新年度が始まりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私は二年目になり、さらに瀬戸内海国立公園の魅力を発信していけるようがんばります。今年度もよろしくお願いいたします。

さて、今週から東予野営場がリニューアルオープンしました!
東予野営場は、ちょうど今治市と西条市の境界上にあり、目の前には燧灘や芸予諸島が眺望できる穏やかな瀬戸内海がひろがります。
白砂青松の海岸で知られる桜井海岸は、1年を通して釣り客や夏には海水浴場として海水浴客で賑わいます。


穏やかな瀬戸内海(桜井海岸)

そんな東予野営場がこの度リニューアルしました。

野営場入り口


整備によって、キャンプ場内へ車が乗り入れできるオートキャンプができたほか、トイレ、炊事等もリニューアルされました。
また、地球環境に配慮し、トイレには自然採光を取り入れ、太陽光発電による電灯など自然エネルギーを利用しています。

第2キャンプ場


炊事等


昨年の管理棟から引き続き、野営場が整備されたことで、キャンプも海水浴もますます利用しやすくなりました。
キャンプシーズン到来で、海水浴はまだちょっと早いですが、遊歩道を歩いて春の植物観察をしたり、野鳥の観察をしてみてはいかがでしょう。
また、先のお知らせですが、7月28日(土)~ 8月19日(日)に野営場の隣にある管理棟にてアクティブ・レンジャー国立公園写真展の開催を予定しています。
天気も良くなって、どこか出かけたくなったら、リニューアルした東予野営場・管理棟へ足を運んでみてはいかがでしょう。

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2012年03月15日ふれあい行事『新川河口干潟の自然観察会』を実施しました!

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

3月10日土曜日に西条市高田の高須海岸にて『新川河口干潟の自然観察会』を行いました。

予報では週末は冷え込み、天気も下り坂とのことで心配しましたが当日は晴れのち曇り、少し肌寒かったですが風も少なく無事に実施することが出来ました。

 当日の潮汐は大潮で最干潮が18時12分で14㎝だったため、イベント前半はビーチコーミング、後半に干潟の生き物観察会と潮干狩りを行いました。

講師藤原さんよりビーチコーミングでの注意事項、高須海岸、河口干潟の説明を聞き、さっそくビーチコーミングスタート!
それぞれが海岸を歩き、気になった漂着物を拾いました。




流木をひっくり返して下にいる生き物を探したり…




お気に入りの貝殻を拾ったり…

拾い集めた後は全員で漂着物を自然物なのか人工物なのかに分けて、さらに陸上由来なのか海から来たものなのかに分類しました。




カワハギや様々な種類貝殻、ウニの仲間ブンブクチャガマは海からきた自然のもの。
木の枝や松ぼっくり、亀の甲羅などは陸上からきた自然のもの。
漁具やゴルフボールや電球は陸上からきた人工のもの。

おもしろい物を拾ったという子はなんと、犬の頭蓋骨をひろっていました・・・。


青枠  :海上由来 緑、橙枠:陸上由来
青、緑枠:自然物  橙枠  :人工物
赤枠:犬の頭蓋骨

何気なく砂浜にたどり着く漂着物ですが、集めて色々と分類するとおもしろいことに気づきます。
貝殻や木の枝などはこのまま自然の中にあってもいずれは生き物たちが分解してくれます。
しかし、菓子のプラスチックゴミやゴルフボールや電球は私たちが捨てた物で分解することは出来ません。
実はこのような人工のゴミは海岸よりも海底にたくさん沈んでいるのだとか。
目の前に広がる海の底には、海岸見かけるよりもたくさんのゴミがあると想像するとぞっとします。
たくさんの生き物の住み家を汚さないように、自分が持ってきたゴミは責任もって持って帰ることや家から出るゴミを出来るだけ減らすなど日々の心がけが大切なんだと教えていただいきました。

ビーチコーミング終了後、徐々に潮が引いてできた干潟にて生き物観察をしました。


穴を掘って生き物を探す様子

穴を掘ってみるとカニやシオフキやアサリなどの二枚貝やゴカイなど生き物を観察できました。


左上:ヨゴエビ、ハゼの仲間 右上:シオフキ、アサリ、マテガイ
左下:オサガニ       右上:スゴカイイソメ


特に潮干狩りの時にみんなに大人気だったのが、マテガイ。
マテガイの巣穴に塩を入れて、少し待つとひょこっと頭を出す様子にみんな大興奮!!!


マテガイを採っている様子


 生き物が動き出す早春の干潟を観察したのですが、今年は冬が長かったせいか生き物の数はぼちぼちでした。
しかし、私たちの生活の中での干潟とのつながりや、川から海への境に出来る河口干潟の役割などを学べ、さらにマテガイの頭を出す姿、アサリなどのお土産も出来て皆さんとても満足されていました。

もう少し暖かくなると新川河口の干潟ももっと賑やかになってくるでしょう。
ご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

最後に、当日観察できた生き物リストです!


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2012年02月24日新川河口干潟の自然観察会のおしらせ 

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

2月も気がつけばだんだん日が長くなってきて、動植物も活動を始める頃でしょうか。
もう少し気温が上がれば私も外で活動できるなぁ。

さて、松山事務所では3月10日(土)に早春の干潟の自然観察会を行います。
そのお知らせと先日行った下見の様子です。

西条市高須にある新川河口干潟は、砂質の干潟です。
新川から流れる水は西条の山々の栄養をたくさん含み、そこにできる干潟にはたくさんの生き物が生息しています。

今回は潮間帯の関係で、前半ビーチコーミング、後半干潟の生き物を観察します。
さらに2月1日からアサリの解禁があり潮干狩りも行っているので、イベントの最後には潮干狩りも行います。漁協さん曰く、早春のアサリは身が大きくておいしいそうです!



ビーチコーミングとは、浜辺に流れ着いた漂着物を集めることをいい、貝殻などの自然物、ペットボトルなどの人工物と分けて「どこから来たのか」また「誰が作ったのか」などを調べるアクティビティです。

ビーチコーミングの様子

流木や小枝が集まって打ち上がっている場所を見ると、そこにはいろいろな漂着物があります。ぱっと見た感じでは同じような貝殻が落ちているようですが、探してみるとたくさんの種類の貝殻がありました。


中心:ムラサキガイ
黄色の囲み:シオフキ、赤の囲み:アサリ、青の囲み:たばこの吸い殻


右上:ツメタガイ 左上:カガミガイ
右下:アカニシ  左下:コウイカの甲 ワタリガニの甲羅の一部


見つけるとラッキーなサクラガイ

貝殻以外にも海藻や魚の死骸、木の実や流木などのいろいろな自然物を見つけることが出来ました。
漁に道具の浮きや漁船のエンジンなどで使用するグリスチューブなど、人工物も。。。

グリスチューブ



色々探し見つけて拾う楽しさと、調べてわかる発見があり意外と熱中してしまいました。
ビーチコーミングの後は、実際に干潟に出て拾った貝やカニを探してみます。

潮が引いて出来た干潟

春になって動き始めた貝やカニ、そのほかにも干潟にはどんな生き物がいるのか。
生き物探しをしませんか??

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新川河口干潟の自然観察会
新川河口干潟、高須海岸で貝やカニなど干潟の生き物の観察会を行います。
日時・・・平成24年3月10日(土)13:30~17:00
集合場所・・・西条市高須公園(愛媛県西条市高田)
参加費・・・600円(干潟入場券、傷害保険代、資料代)
講師・・・藤原 陽一郎氏
募集・・・一般先着30名(小学生以上、小学生は保護者同伴)

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詳細・お申し込みは、こちらを参考に!
http://www.env.go.jp/park/setonaikai/topics/120217a.html
瀬戸内海国立公園HPより





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2012年01月17日【お知らせ】「国立公園写真展」愛媛県会場の開催について

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

あっという間に1月も中旬を迎えました。
みなさま本年もどうぞよろしくお願いします。
寒さも一段を冷え込むかと思いきや、松山では日中は日が差し込みそれほど寒くない日が続いています。

お知らせが少し遅くなりましたが、
1月6日より休暇村瀬戸内東予のホール内にて「国立公園写真展」が始まりました。


中国四国地方に存在する大山隠岐、瀬戸内海、足摺宇和海の3つの国立公園でそれぞれのアクティブレンジャーが出会ったすばらしい自然、風景など撮影しています。どれも素敵な写真ばかりです。

展示写真の一枚 【夕焼けの瀬戸内海】


展示会場の様子①


展示会場の様子②

写真を見て気に入った場所があれば、是非その場所へ行って自分の目で国立公園の自然を満喫してください。そして美しい風景・自然が意外と身近な場所にあるのだということを実感していただけたらと思います。

中国四国地方の6会場を巡回している「国立公園写真展」も愛媛県会場が最後となります。
2月5日まで開催しておりますので、お近くにお住まいの方も、他県からおこしの方もお時間のある方は是非お越しください。

▽▲▽▲▽▲▽▲▽国立公園写真展▽▲▽▲▽▲▽▲▽
会場 休暇村瀬戸内東予 ホール内
   愛媛県西条市河原津
期間 平成24年1月6日~2月5日
   午前9時~午後6時
※入場無料 
中国四国地方環境事務所HPのトピックス
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2011/0516a.html
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2011年12月08日睦月島、陸上からのスナメリウォッチング

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

気がつけば、12月になってしまいました。この1年はどうだったでしょうか?
私はあっという間の1年でしたが、とても充実していたように思います。

11月後半に野忽那諸島の睦月島と中島へ行ってきました。

中島汽船 高速艇
この日は航路上でのスナメリ観察も行いましたが、陸上でのスナメリ観察が出来る場所を探すために睦月島に行き、陸上でのスナメリ観察を行いました。

睦月島は、西と東に山が一つずつあり島の山腹をぐるりと一周する農道が通っています。そこには西側に「島四国八十八カ所めぐり」と東側に「西国三十三カ所めぐり」のミニ巡礼コースがあります。

睦月島の案内板

今回は東側の農道を歩き「西国三十三カ所めぐり」の札所を目印にスナメリ観察を行いました。

睦月島
この日は天気も良く、波も穏やかでスナメリの観察にも向いていました。
島はまだ暖かくて、色々花が咲いていました。
愛媛と言えばみかん!島を歩けば柑橘園が広がります。

左上:ノジギク 右上:ツワブキ
下:柑橘園のミカン

そして「西国三十三カ所めぐり」十九番札所を発見。

「西国三十三カ所めぐり」十九番札所
ちょうど向かいには野忽那島と芋子島を望むことが出来ました。


奥に見えるのが野忽那島 手前にあるのが芋子島

睦月島の東にある野忽那島の間の海域は芋子瀬戸と呼ばれています。2つの島のちょうど真ん中にある島を芋子島といい、このあたりの海域でスナメリの目撃情報が多いことから、ここをポイントに観察を行いました。

囲われたところでよくスナメリを目撃されている


一眼レフの望遠で写すとこんな感じ
ここからの見晴らしはとても良いですが、海面から距離があるため裸眼で探すのはちょっと厳しいかもしれません。スナメリかなと思ったら双眼鏡や望遠鏡を使って探すと良いでしょう。今回は望遠鏡を据えつけて観察を行いました。
30分ほど探すのですが、スナメリらしきものは発見できず。。。

残念ながら次の船の時間がきてしまったので、陸上での観察はここまでで引きかえします。
スナメリを見ることは出来なかったのですが、かわりに農道を歩いているとキジに遭遇!さすが島。キジも驚いたのか走って逃げていきました。

尾っぽをこちらに向けて走って逃げてゆくキジ

睦月からフェリーに乗船しフェリーよりスナメリを観察しつつ、中島へ行きました。
中島と言えば・・・。みかん!!!

山の斜面を利用して柑橘畑が広がっている

中島のかなりの面積が柑橘園となっており、この時期から中島はみかんの出荷で大忙し。島に入るとたちまち、柑橘園が広がっていました。

おいしそう~

瀬戸内海国立公園の園地となっている姫ヶ浜海水浴場へいきました。
当たり前ですが、ビーチには誰もいなくて…。
この日の朝は冷え込んだのですが、午後から一気に気温が上がったせいか、海水浴場から見える島々が浮いて見える蜃気楼の一種浮島現象を見ることが出来ました。

遠くの島が若干浮いて見える(?)

これから寒い寒い冬の到来で家に引きこもりがちになりますが、晴れ間がのぞいた数時間だけでも誰もいないビーチに行ってのんびりするのも良いかもしれません。
瀬戸内ならではですね。

帰りのフェリーでもスナメリを探しますが・・・。結局発見することはでませんでした。
スナメリ観察日和だったのに肝心のスナメリには会えなくて残念。
また次回に期待です!





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2011年11月08日「スナメリのエコツアーを行いました!」

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

11月5日の土曜日に、香川県三豊市の粟島・志々島にてスナメリエコツアーを開催しました。

当日はあいにくの雨で・・・実施が危ぶまれたのですが、粟島汽船は通常通り運行予定であることと、参加者も雨のための当日キャンセル者がいなかったため、一部行程を変更して、小雨の中実施しました!!

天気は小雨。幸い、波は穏やかだったのでスナメリ観察はできそう。

まず、最初に港で講師の広島工業大学上嶋教授のエコツアーの説明、須磨海浜水族園副園長の長谷川さんのスナメリの説明を聞いた後、スナメリウォッチスタート!!

講師の上島先生

須田港から粟島へとフェリーが出発してまもなく、『いた!!』との声が。1頭のスナメリを発見したようで、急いで指さす方向を見ますが、一瞬浮き上がってきただけで、姿をとらえることは出来ませんでした。
しかし、開始直後の発見だったので、期待が高まります。


スナメリを探す参加者たち

しばらくスナメリを探しますが、最初の1頭が現れたきりスナメリの姿はありません。
粟島へと近づくもスナメリは発見できず、また天候が雨だったため粟島での城ノ山ハイキングを変更して引き続き船上でスナメリウォッチを続けました。
すると、1,2頭のスナメリが泳いでいく姿を2~3回観察することが出来ました。船の左右からスナメリが現れたので、運良く全員がスナメリを発見することが出来ました。さらに、先の方に鳥山を見つけその下を注意深く観察すると、、、いましたー!!スナメリ!!!

カモメの群れの下にしぶきを上げるスナメリが3頭います。

カモメたちのあつまる下にコノシロ(餌)を追うスナメリを発見しました。その数なんと10頭~20頭。餌を追いかけスナメリも興奮していたのか、尾ひれを水上にあげたり、荒々しく餌を捕まえているようでした。
こんなにもたくさんのスナメリを見ることが出来て私たちも大満足!カメラを構え写真に収めようと何度もシャッターを切っていました。

黒っぽい背中が見えているのがスナメリです。
※写真をクリックして拡大して見てみてください。


水族館で見るような全体の姿・形を見ることは出来ませんでしたが、餌を追う姿など自然界で生きる様子をまじまじと観察することが出来ました。

その後、フェリーは粟島港へ到着し、志々島へ向けて出発しました。
志々島では、樹齢1200年とも言われている大楠(おおくす)の見学を行いました。地元の志々島・大きな木プロジェクトの寺下さんに案内してもらい、民家の間を通り抜け山を登り15分ほど歩くと、大楠が見えてきました。

立派な大楠

大きな木のプロジェクトのみなさんが下草刈りをしているおかげで、1200年たっても枯れ枝がほとんど見られず、生命力がみなぎるように枝葉を伸ばしていました。

再び粟島に戻り、粟島イベント実行委員会の西山さんに案内いただき粟島海洋記念館を見学しました。日本で初めての海員養成校として村で建てた学校は、4000人もの卒業生を輩出したなど、興味深いお話をたくさんしていただきました。
そのほかにも、粟島の地形や自然について、粟島で有名な海ホタルのことなど粟島の魅力について説明していただきました。

海洋学校の構造について説明する西山氏

今回のエコツアーで多くのスナメリを観察できた粟島は、詫間湾の湾内にあり、一年を通して波も穏やかです。また粟島の周りは水深もあり、潮通りもよく小魚たちは自然と集まってきます。それを餌にスナメリがやってきます。
瀬戸内海にも同じような場所はたくさんあったのですが、いろいろな環境の変化でスナメリが見られる場所は少なくなりました。

スナメリや大楠など豊かな自然が粟島・志々島で今も見られるのは、生態系の一部として、そこに暮らす人々が重要な役割を果たしてきたからでしょう。

今回のエコツアーで地元の方々が守ってきた自然に触れ、少しでも肌で感じ学んでいただければうれしいです。
雨の中でしたが参加してくださったみなさん、お疲れ様でした。
そして、ご協力くださった、地元の方々本当にありがとうございました。


志々島 大楠の前で記念撮影

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2011年10月28日【イベント】瀬戸内海エコツアー スナメリと大楠に会いにいこう!

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

直前のご案内となってしまいましたが、11月5日(土)に香川県三豊市の粟島・志々島にて『瀬戸内海エコツアー スナメリと大楠に会いにいこう!』を行います。

21日には粟島・志々島へ下見を行ってきました。
天気予報は雨でしたが、なんとか夕方まで曇りでした。しかし、風が強かったため波が立ち船も揺れて揺れて。。。
スナメリ観察には向いていませんでした。


粟島汽船のフェリー


あいにくの天候でスナメリは期待できないと思ったのですが、そこはこの時期からスナメリがよく見られるという粟島。
その日の早朝にも目撃したとの情報があり、あきらめず航路を探していたら、、、
いました!!スナメリ発見!!
粟島~上新田に向かう航路で船と反対方向に泳ぐスナメリを2~3匹発見しました。とっさのことに写真では追い切れず、撮影は出来ませんでした。残念..


写真が撮れなかったので、チラシのイラストを

粟島汽船の船長さんいわく、カモメや鵜が集まっている下にはえさを求めてスナメリがいる可能性が高いそうです。スナメリがよく見えるポイントも教えてもらったので、次回のエコツアーでは写真に納められますよう、がんばります!


スナメリ観察以外にも粟島では、城ノ山からの瀬戸内海をぐるりと一周360°パノラマ体験をしたり、志々島では、樹齢1,200年とも言われる大楠(おおくす)を地元の方に案内してもらいます。

城ノ山からの眺め 粟島の阿島(あしま)山

盛りだくさんのエコツアーとなっておりますので是非、お時間のある方は是非ご参加ください。
以下案内文です。なお、締め切りが11月2日(水)となっておりますのでお申し込みはお早めに。

◇◆◇瀬戸内海エコツアー スナメリと大楠に会いにいこう!◇◆◇

 瀬戸内海は、瀬戸内海国立公園に指定され、歴史と文化を誇る島々が点在しています。
その中でも、粟島は船と共に栄えた、風光明媚な島です。また、島の周辺には
瀬戸内海の生態系では上位に位置するスナメリが多数目撃されており、
生物の多様性に富んだ環境であると言えます。
 今回は船からのスナメリ観察と粟島の歴史および文化を学ぶエコツアーを行います。

日時:平成23年11月5日(土)9:00~14:45(受付:8:30~)
場所:香川県三豊市粟島・志々島
定員:小学生以上 先着20名まで(ただし小学生は保護者同伴)
参加費:500円(保険代など)
持ち物:弁当、飲み物、防寒着、帽子、参加費、双眼鏡(あれば)

チラシ・申込書は、こちらをご覧下さい。
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2011/1017a.html
中国四国地方環境事務所HPより

□お問い合わせ・参加申し込み先
スナメリ検討会事務局 担当 徳岡、富田、安武
電話:082-251-3928
FAX:082-251-3988
e-mail:sunamerimap@gmail.com

主催:環境省 中国四国地方環境事務所
◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

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2011年10月13日スナメリのモニタリングを行いました!

瀬戸内海国立公園 松山 齋藤明光

最近の天気は晴れたり、曇ったりはっきりしませんね。気温はだんだんと下がって、季節の変わり目を感じます。

昨日、野忽那諸島にスナメリのモニタリングを行ってきました。
天候は曇りのち晴れと良く、波の高さもほとんどなく絶好のモニタリング日和でした。

スナメリとは大きさおよそ1.5メートルで体は灰白色、頭部は丸く背びれのない、小型の動物です。日本では、瀬戸内海を初め5つの海域で生息が確認されています。

昨年のスナメリ観察会 場所:芋子瀬戸(前任永田AR撮影)


今回は、中島汽船の東線をモニタリングしました。
中島汽船の東線は航路上にスナメリの良く見かけられる場所があることと、
昨年の観察会でもスナメリを確認出来ているため、期待できます。


乗船するなかじまフェリー(高浜→睦月→野忽那→大浦の順に向かいます)

船長さんに話を伺ったところ残念ながら最近はほとんどスナメリを見なくなったとか。
スナメリが見られる場所を伺うと芋子瀬戸に浮かぶ芋子島と睦月島の青の灯台の間でよく見られるようです。

奥に見える島が芋小島、手前が睦月島の灯台

この間をよーく目をこらして観察しますが。。。

穏やかな瀬戸内海 奥に見えるのは睦月島

結局何も発見できず、睦月島から野忽那港、野忽那から中島大浦港へと到着。


中島大浦港

所々、山の地肌が見えるのはみかん畑です。島の半分がみかん農家をしているというみかんの島中島。これからみかんの最盛期を迎えるということで忙しくなるそうです。

中島汽船の運航管理者の方にもお話を伺ったところ、今年の2月から春先にかけては毎日スナメリが見られたそうです。夏頃から見られる回数が減ったのだとか。

やはりスナメリもエサを求めて移動しているのでしょうか??

今回の野忽那諸島でのスナメリは観察できませんでしたが、同日の防予フェリー 三津浜港-柳井港にて、周防大島(山口県)付近に5,6頭のスナメリを発見したという情報がありました。

11月の上旬には香川県三豊市粟島でスナメリ観察会を予定しています。
今頃から粟島ではエサをもとめてスナメリが集まってくるそうです。
次回の粟島に期待が高まります!


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