中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

ミヤジマトンボ現地調査

2011年10月03日
広島
ご報告が遅くなりましたが、
国の絶滅危惧種ミヤジマトンボの保護管理連絡協議会(以下、協議会)では、
この度広島工業大学 上嶋教授(海洋環境学)と
広島大学 関名誉教授(植物学)が新メンバーに加わりました。
生息地に押し上げる海砂の対策等を検討するため、
協議会で生息地と元生息地山白浦の現地調査を行いました。

生息地は今年も大きな被害はありませんでしたが、
台風の影響により海砂で水路が多少埋まったため、
今回も人力で海砂の撤去作業を行いました。
ですが、度々船を渡して作業出来るわけではありません。
何とか年押し上げる海砂を減らせないか?
そこで上嶋先生より石や竹を利用した防止策などが提案されました。

[毎度おなじみ水路の整備作業]

そして今回は元生息地である山白浦へ。
山白浦は1936年に初めてミヤジマトンボが発見された場所です。
後に海水浴場として整備されたため湿地がなくなり、
現在トンボは生息していません。
多少なりともトンボが生息できる条件が残っているのでは?
そんな期待もありつつ訪れましたが、
水量も少なく湿地といえる場所はありませんでした。
一度失われた自然は簡単には戻せず、
そこに生息していた生きものならなおさらだと感じました。

[かつてミヤジマトンボが生息していた山白浦の様子]


9月中旬はトンボの終息時期です。
数頭の年老いたミヤジマトンボが姿を現し、この日も観察することができました。
今年は全ての生息地で安定した数のトンボが確認され、一安心。
これからトンボのヤゴは脱皮を繰り返し、
来年6月頃にはきっと元気な姿を見せてくれることでしょう。

[当日発見した熟成した♀]


ミヤジマトンボについて↓
http://chushikoku.env.go.jp/blog/2009/05/472.html