報道発表資料
- 報道発表
四国山地におけるツキノワグマ生息範囲調査の結果について~「はしっこプロジェクト2019」~
剣山山系及びその周辺地域のみに生息する四国のツキノワグマは、2017年時点で16頭から24頭と推定されており(鵜野ら 2019)、環境省レッドリスト2019では「絶滅のおそれのある地域個体群」とされています。 中国四国地方環境事務所、四国森林管理局及び(認特)四国自然史科学研究センターでは、ツキノワグマの生息状況を把握するための調査「はしっこプロジェクト」を、平成26年度から連携して実施しています(中国四国地方環境事務所は平成27年度から参画)。令和元年度(平成31年度)の調査結果は以下のとおりでしたので、お知らせします。
1 調査概要
調査期間:平成31年3月から令和元年12月まで
調査方法:無人撮影装置(センサーカメラ)による調査
20箇所54地点に無人撮影装置を設置(別添1)
四国森林管理局: 3箇所9地点
中国四国地方環境事務所: 9箇所27地点
四国自然史科学研究センター: 8箇所18地点
2 調査結果
令和元年度(平成31年度)のはしっこプロジェクトでセンサーカメラを設置した20箇所のうち10箇所(徳島県7箇所、高知県3箇所)において、少なくとも15頭のツキノワグマが確認されました(別添2)。そのうち、親子グマは2箇所(母クマ1頭とその子グマ2頭が1箇所、母クマ1頭とその子グマ1頭が1箇所の、合計成獣2頭、幼獣3頭)で確認されており、平成30年度に引き続き、順調に繁殖が行われていることが確認されました。
生息が確認された10箇所はいずれも、これまで生息が確認されていた区域に含まれており、依然として四国のツキノワグマは剣山山系及びその周辺の限定的な地域のみで生息していると推察されます。一方で、調査箇所の西端の3箇所を含む周辺地域(別添1)では、平成26年度から継続的にセンサーカメラを設置しているものの、生息が確認されないことも明らかとなってきました。四国のツキノワグマの限られた生息地である剣山山系において、その生息状況を適切に把握するために、各機関の連携による生息状況モニタリングを継続していく必要があります。
なお、今回の調査では、環境省レッドリスト2019で絶滅のおそれのある地域個体群のニホンカモシカや高知県レッドデータブック(2018)で準絶滅危惧とされるニホンモモンガなど複数の動物が撮影されており、四国山地周辺の森林が多様な動物のすみかとなっていることが窺えます(別添1)。
3 今後の予定
今回の調査結果を踏まえて、令和2(2020)年度も調査を継続する予定です。
添付資料
別添1:センサーカメラ設置場所と撮影された動物[PDF203KB]
別添2:調査地点ごとの撮影されたツキノワグマの例[PDF650KB]
- ■ 問い合わせ先
- 中国四国地方環境事務所
野生生物課 阿部 TEL:086-223-1561
四国事務所 金丸 TEL:087-811-7240
四国森林管理局
計画課 原、森本 TEL:088-821-2100
四国自然史科学研究センター
山田、安藤 TEL:0889-40-0840