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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

五色台体験教室~冬虫夏草を見つけよう!~

2026年08月27日
高松 竹本 末佳

五色台体験教室~冬虫夏草を見つけよう!~

 みなさんこんにちは。
 今回は、「冬虫夏草」がテーマの体験教室のご紹介です。
 講師は昨年度に引き続き「日本冬虫夏草の会」理事の嶋田友久先生です。今回は嶋田先生のほかにアシスタントとして、高尾理香さん、斎藤マユミさんにご協力いただき、また、地下生菌を研究されている櫻庭晴彦さん櫻庭三恵さんにも貴重なお話をしていただくという強力布陣での体験教室です。
講師
(前列)嶋田友久さん(後列右から)櫻庭晴彦さん、櫻庭三恵さん、高尾理香さん、斎藤マユミさん
 体験教室の前に、色々な冬虫夏草を見せていただきました。
 カメムシタケは、本日のお持ち帰り用標本です。参加者の皆さんに1個ずつプレゼント。
 櫻庭さんがお持ちくださったのはツブノセミタケの標本です。まんのう町で小一時間をかけて慎重に掘り出したものです。ここまで柄の部分が長いものはとても貴重だそうです。
ツブノセミタケ
カメムシタケ
 さて、それでは嶋田先生の座学の始まりです。
 そもそも「冬虫夏草」とは何なのでしょうか。昆虫の体に住み着いた菌が、昆虫を栄養分として育つキノコです。中国での冬虫夏草は、チベット等に生息するオオコウモリガの幼虫に菌が寄生して発生するキノコ(オフィオコルディセプス・シネンシス)のみを指す言葉となっていますが、日本では、ガに限らず、昆虫に取り付き昆虫を養分にしてキノコを作り子孫を残すものを冬虫夏草と呼んでいます。
 冬虫夏草の生活サイクルについての説明では、有性生殖と無性生殖の二つのサイクルがあり、同じ虫に同じ菌がついても、生活サイクルが違うと冬虫夏草の名前も違うということ、そして、虫が違うと付着する菌も違うというお話がありました。また、今回は冬虫夏草の断面図を紹介し、切ってみるとこんな感じ、といったお話を聞くこともできました。どのような場所で見つけることができるか、冬虫夏草の魅力は何か、など、たくさんの楽しいお話を伺うことができました。
嶋田先生の座学
 さて次に「地下生菌」についても学びました。ここからは櫻庭晴彦さんのお話です。
 「地下生菌」これまた聞きなれない言葉です。地下生菌とは、土の中で成長し、地上に頭を出さずにキノコを作る菌類のことです。私たちが最も知っている地下生菌は、あの高級食材「トリュフ」です。香川県でも40種類の地下生菌が発見されています。
 地下生菌は、昆虫や動物に食べられ排出されたもので胞子を撒き子孫を残します。今回はその中の一部の地下生菌を紹介してくださいました。中でもアオゾメクロツブタケは最初は真っ白ですが、切って1分で断面が真っ青になる、といったお話や、アナキアカダマタケは食べると甘い、シラタマタケは竹やぶでよくみられる、ウツロイモタケは香川県の銘菓にそっくり!など、地下生菌についてもっと知りたくなるようなお話をしてくださいました。また、地下生菌と冬虫夏草のDNAにはほぼ同じものがある、などの貴重なお話も聞くことができました。
櫻庭先生の座学
 それではフィールドへ!冬虫夏草を見つけに行きましょう!
 早速、嶋田先生が発見しました。ツクツクボウシタケのようです。参加者の皆さんも集まります。先生が丁寧に掘り進めて行きます。使用するのはスプーンです。大きさがちょうどよいそうです。セミの穴を目指して慎重に掘っていきます。穴が見つかるとそこからは掘りやすいそうです。ツクツクボウシタケが出てきました。
早速発見!
丁寧に掘ります
スプーンで掘ると掘りやすい
出ました!ツクツクボウシタケ
 さあ、参加者の皆さんも本格的に探しましょう!
捜索開始!
見えますか?これです
至る所で歓声が!
すごいの発見しました!後ほど紹介!
 さて、フィールドで見つけたツクツクボウシタケを持ち帰り、洗浄します。最近は雨が降っていないため、冬虫夏草に付着している土がからからに乾いています。それを水につけて落としていきます。木の根っこで子実体が切れることがあるので、採集中はもちろん、絡みついた根は必ずハサミで切ることも大事です。丁寧に丁寧に、絵の具の筆などを使用して落とすのが良いそうです。徐々に土が取れてきました。このツクツクボウシタケ、1体の昆虫から3本の子実体が出ている、ちょっと珍しいものでした。
土まみれのツクツクボウシタケ
洗うと子実体が3本見られる
 本日のフィールドで発見したツクツクボウシタケは14体でした。かなりの高確率での発見でした。冬虫夏草のピークは梅雨明けから1か月とのこと。今日は少し乾きすぎていたけれどたくさん見つかりました。ツクツクボウシタケは比較的初心者向けの冬虫夏草です。取れると楽しい!と思える気持ちが大事なんだとか。掘ってみなければ何が出るのかわからない楽しみもありますよね。
 冬虫夏草、奥が深いです。ご参加いただいた皆様、講師の皆様、アシスタントの皆様、ありがとうございました。
 
 五色台ビジターセンターでは土日祝日には、「森歩き」、また月に1回程度「体験教室」を行っています。「森歩き」は、職員によるその日のおすすめコースや参加者のリクエストなどを踏まえ、野鳥・昆虫・植物・地形地質などについて1時間半ほど森の中を散策します。「体験教室」は外部講師を迎えての本格的な教室をはじめ、職員が季節ごとの移り変わりを丁寧に説明する森遊びなど、様々な題材で実施しています。興味のある方は、ぜひ五色台ビジターセンターのホームページをチェックしてください。瀬戸内海国立公園 五色台ビジターセンター