アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
防鹿柵(ぼうろくさく)設置ボランティア活動に参加してきました
2023年10月23日
AR日記をご覧の皆様、こんにちは!
9月30日、『三嶺(さんれい)の森をまもるみんなの会』と『高知中部森林管理署』主催で、防鹿柵の設置ボランティア活動が開催されました。『三嶺の森をまもるみんなの会』は、高知県と徳島県にまたがる剣山山系の高知県側、三嶺を中心とした物部川源流域の保全と再生を目的に活動されています。マイナスイオンをたっぷり含んだ霧の中、四国事務所野生生物課の3人とARの私、計4人で参加してきました。
この日は撮影には不向きな状況だったため、今年5月20日に参加した際の写真も使ってご紹介します。
ちなみに春は、中国四国地方環境事務所四国事務所から広く参加者を募り、総務課、環境対策課、松山自然保護官事務所、野生生物課、高松自然保護官事務所から6名が参加。穏やかに晴れ、花々の咲く中での作業でした。
9月30日、『三嶺(さんれい)の森をまもるみんなの会』と『高知中部森林管理署』主催で、防鹿柵の設置ボランティア活動が開催されました。『三嶺の森をまもるみんなの会』は、高知県と徳島県にまたがる剣山山系の高知県側、三嶺を中心とした物部川源流域の保全と再生を目的に活動されています。マイナスイオンをたっぷり含んだ霧の中、四国事務所野生生物課の3人とARの私、計4人で参加してきました。
この日は撮影には不向きな状況だったため、今年5月20日に参加した際の写真も使ってご紹介します。
ちなみに春は、中国四国地方環境事務所四国事務所から広く参加者を募り、総務課、環境対策課、松山自然保護官事務所、野生生物課、高松自然保護官事務所から6名が参加。穏やかに晴れ、花々の咲く中での作業でした。
今回の活動では、三嶺の森の中でもシカの個体数が多い「みやびの丘」頂上周辺と南斜面を対象に、増えすぎたニホンジカの食害から植物たちを守るため、保全区域をネット柵で囲み、シカの侵入を防ぎます。
高知県内外から、100人近い参加者が白髪山登山口駐車場に集合しました。
無料送迎バスが6カ所から出ており、参加しやすくなっています。
開会式の後、5つの班に分かれて作業開始です。
奥の地点で作業する班から順番に、資材を受け取り出発します。
無料送迎バスが6カ所から出ており、参加しやすくなっています。
開会式の後、5つの班に分かれて作業開始です。
奥の地点で作業する班から順番に、資材を受け取り出発します。
春の様子。視界良好。鮮やかな新緑と満開のツツジの脇を、作業地点へ向かう参加者の列。
防鹿柵設置手順を紹介します。
1.柵の支柱は、長さ2.37m。下から57cm(地面に埋め込んだ際、地上に出る高さ)の位置に下張り用フックを取り付けていきます。(右写真提供:福田専門員)
2.メジャーで約4mの間隔を測り、登山道の邪魔にならない場所を選んで支柱を立てていきます。
3.重い鉄製の杭打ち機を使って、支柱を地上1.8mの高さまで埋め込み、上にキャップを被せていきます。
4.1~3と同時進行で、ネット束上下にロープを通し、開始地点の支柱に固定します。
5.ネットに通した上張りロープでインクノット結び(輪っか)を作り、支柱のキャップにかけて次の支柱まで広げます。引っ張りすぎないように、ネットのダイヤ模様を縦長にキープしつつ、緩みすぎないように気を付けて、次の支柱までのばしていきます。
6.ネット下のロープを、地面すれすれまで埋められた1の器具両端に二巻きして、ネットのツッパリやたるみを確認。下のネットを鹿がくぐらないように、ペグを打ち込みロープを固定していきます。このペグは、自然分解する材質だそうです。
7.支柱とネットが外れないように、結束バンドで留めます。(写真提供:福田専門員)
8.最後に、支柱をロープで上下から引っ張り固定します。
この写真の背景をご覧ください!以前設置した柵の向こう側は植生が復活しているのがはっきりと見て分かります。
この写真の背景をご覧ください!以前設置した柵の向こう側は植生が復活しているのがはっきりと見て分かります。
防鹿柵設置の効果
春の尾根付近。柵の向こうと手前で、クマザサの生育状況に明らかに差が出ています。
左側は2013年、右側は2020年に柵を設置したそうです。
左は設置10年でダケカンバとタラノキを中心にネットを押し出すほど繁茂し、右もタラノキがたくさん生えてきています。自然の回復力に改めて感動を覚えました。
左は設置10年でダケカンバとタラノキを中心にネットを押し出すほど繁茂し、右もタラノキがたくさん生えてきています。自然の回復力に改めて感動を覚えました。
シカの影響を受けた動植物
シカの忌避(きひ:好んで食べない)植物であるトリカブトの仲間が美しい花を咲かせていました。
その後ろ、一見自然豊かに見えますが、茂っているのはこちらも忌避植物のイワヒメワラビです。
シカが形成する林は、このようにシカが好まない植物相で覆われ、多様性が失われていきます。
その後ろ、一見自然豊かに見えますが、茂っているのはこちらも忌避植物のイワヒメワラビです。
シカが形成する林は、このようにシカが好まない植物相で覆われ、多様性が失われていきます。
オオセンチコガネがたくさん飛んでいました。カラーバリエーションが豊富でとても美しい糞虫です。光沢の強いもの、マットなタイプ、ピンク、オレンジ、グリーン、ブルー、パープルと様々です。
昆虫の激減が問題になっている昨今ですが、ニホンジカの増加とともに動物の糞を食べる糞虫は増えています。
昆虫の激減が問題になっている昨今ですが、ニホンジカの増加とともに動物の糞を食べる糞虫は増えています。
『三嶺の森をまもるみんなの会』では、今回ご紹介しました春と秋の防鹿柵設置ボランティアの他にもたくさんの活動をされています。
シカ食害で痛む貴重な自然の再生をめざす 三嶺の森をまもるみんなの会HP (fc2.com)
http://sanreiminnanokai.web.fc2.com/
シカ食害で痛む貴重な自然の再生をめざす 三嶺の森をまもるみんなの会HP (fc2.com)
http://sanreiminnanokai.web.fc2.com/
来年の春、このAR日記読んで参加を決めたよ!という方にお会いできると嬉しいな、と思います。
※中国四国地方環境事務所四国事務所では、剣山山系と石鎚山系、2つの国指定鳥獣保護区において、ニホンジカの生息状況調査や生息適正数調整のための業務を行っており、その一環として参加しています。
※中国四国地方環境事務所四国事務所では、剣山山系と石鎚山系、2つの国指定鳥獣保護区において、ニホンジカの生息状況調査や生息適正数調整のための業務を行っており、その一環として参加しています。