アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、大山隠岐、足摺宇和海国立公園があります。
剣山山系国指定鳥獣保護区巡視同行② 植物と昆虫編
2023年05月24日
高松
左は健康なミヤマクマザサ、右は西島野営場付近のクマザサです。
シカの食害のほか、ササコナフキツノアブラムシの影響もあるそうです。
シカの食害のほか、ササコナフキツノアブラムシの影響もあるそうです。
葉の中心に白い点が見つかりました。
ササコナフキツノアブラムシの越冬形態かもしれません。
ササコナフキツノアブラムシの越冬形態かもしれません。
ササコナフキツノアブラムシは降水量の少ない年に大量発生し、その排泄物からカビが発生、そのカビが原因でササがサークル状に枯れるそうです。
山肌に大きなクレーターが多数出現し、貴重なミヤマクマザサの群落が枯れるだけでなく、景観を大きく損なうことも問題になっています。
このアブラムシの天敵はゴイシシジミ。なんと、日本で唯一の肉食性の蝶で、一生を通してササコナフキツノアブラムシを餌とするそうです。(幼虫期にササコナフキツノアブラムシを捕食。若齢幼虫と成虫はこのアブラムシの甘露を主食とする)
また、ササコナフキツノアブラムシも、ゴイシシジミの攻撃に対抗して、防衛個体である兵隊アブラムシを生みだし、戦うそうです。大きいものでも1.4mm程度のササコナフキツノアブラムシ、話題の尽きない虫でした。
山肌に大きなクレーターが多数出現し、貴重なミヤマクマザサの群落が枯れるだけでなく、景観を大きく損なうことも問題になっています。
このアブラムシの天敵はゴイシシジミ。なんと、日本で唯一の肉食性の蝶で、一生を通してササコナフキツノアブラムシを餌とするそうです。(幼虫期にササコナフキツノアブラムシを捕食。若齢幼虫と成虫はこのアブラムシの甘露を主食とする)
また、ササコナフキツノアブラムシも、ゴイシシジミの攻撃に対抗して、防衛個体である兵隊アブラムシを生みだし、戦うそうです。大きいものでも1.4mm程度のササコナフキツノアブラムシ、話題の尽きない虫でした。
次は可愛い山野草、ネコノメソウ3種です。
左からヨゴレネコノメソウ(もしくはボタンネコノメソウ)、ネコノメソウ、ハナネコノメソウです。
左からヨゴレネコノメソウ(もしくはボタンネコノメソウ)、ネコノメソウ、ハナネコノメソウです。
ネコノメソウの黄色は光を放っているように鮮やかです。名前の由来である種子はまだできていませんでした。
ヨゴレネコノメソウ、ちょっと気の毒な名前ですね。葉の表面に乳白色の斑点が散らばっているのが埃に見える、というのがその名前の由来のようです。
ヨゴレネコノメソウ、ちょっと気の毒な名前ですね。葉の表面に乳白色の斑点が散らばっているのが埃に見える、というのがその名前の由来のようです。
調査コースの中盤でさしかかる祖谷川源流。
その周辺にはシカが食べるのを避ける有毒植物トリカブトが目立ちます。
その周辺にはシカが食べるのを避ける有毒植物トリカブトが目立ちます。
トリカブトの写真中央、紫色の花はミツバテンナンショウ(黄色い丸で囲んだ部分)です。
これもまた、シカが食べない忌避植物です。
そんな中、食害を免れたわさびの小さな株を発見しました。
これもまた、シカが食べない忌避植物です。
そんな中、食害を免れたわさびの小さな株を発見しました。
バイカオウレンも咲いていました。
今年の朝のテレビドラマで話題になっている花ですね。
見つけると嬉しくなりました。
今年の朝のテレビドラマで話題になっている花ですね。
見つけると嬉しくなりました。
下山後、三宅さんと別れてシカカメラのメンテナンスへ向かう途中、満開のヤマザクラとこれから見頃を迎えるヤマシャクヤクに出会いました。
ヤマザクラは、赤い新芽と薄紅色の花のコントラストがとても美しかったです。
そして、斜面一面のヤマシャクヤク。まるいフォルムがとても愛らしい花です。
そして、斜面一面のヤマシャクヤク。まるいフォルムがとても愛らしい花です。
残念なことに、明らかな盗掘の跡がありました。
山野草は持ち帰っても環境が変るとうまく育たないデリケートなものが多いです。
みんなが気持ちよく花々を楽しめるようにも、とるのは写真だけに留めておいてくださいね。
みんなが気持ちよく花々を楽しめるようにも、とるのは写真だけに留めておいてくださいね。
山道脇のガードレール下にユキモチソウがたくさん咲いていました。
つぼみはもっちりと可愛い花ですが、咲くとまた雰囲気が変わってスレンダーな美女のようです。
つぼみはもっちりと可愛い花ですが、咲くとまた雰囲気が変わってスレンダーな美女のようです。
このほかにもコミヤマカタバミ、イチリンソウ、ジロボウエンゴサク、キケマン、タネツケバナなど、小さくて可愛い山野草にたくさん出会えました。
AR日記をご覧の皆様、こんにちは!
4月24日の国指定鳥獣保護区管理員の三宅さんが行う剣山山系調査コース巡視に同行した際のお話パート2です。
頂上に近づくにつれ、樹間が開けていき、登山道両脇にミヤマクマザサが広く茂ってきます。
四国のミヤマクマザサは亜高山帯に生育することで、その特異性から天然記念物に指定されています。
人の背丈を超えるほど高く茂っていたかつての姿はなく、葉はまばら、全体に茶色く立ち枯れたような様相が広がっています。