アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
【体験教室】 初夏の昆虫観察会
2019年06月14日初夏といえども日中はすっかり夏に!
いつもは8月に開催することが多い昆虫観察会ですが、今回は6月!昆虫も人と同じで夏の暑い時期より春や秋の過ごしやすい気候の方が動き出しやすく、見られる種類が多いのだそう。
昨年に引き続き、講師は、むしむし博士こと松本さん(NPOみんなでつくる自然史博物館・香川)。そして、今回は特別講師として伊藤さん(香川大学農学部教授・昆虫生態学)と超強力な講師2人で観察会を盛り上げてもらいました!
今回の観察ポイントは、ハチの住居やさまざまな環境下にくらす生き物たち。
■ハチの住居編
ハチの住居っていえば、よく見るのがコレ↓
ミツバチやスズメバチは集団で生活するハチですが、単身で生活するハチもいるんです。
そんなハチ達の住居をスタッフで作ってみました。それがコチラ↓
直径約10㎝の竹に細い竹をひたすら突っ込んだだけのハチの家。
「こんな細いトコにハチなんて入れるの?」って思いますよね?
さてさて、当日はどうなったのやら。伊藤先生が慎重に竹を割ると・・・
巣を作ってくれていたのはツツハナバチの仲間。黄色いのは全部花粉です。
幼虫との間にあるのは土でできた壁。ツツハナバチのお母さんは子どものために1匹ずつ快適に過ごせるように土で壁を作っていました。
では、なぜ人が作った穴に住んでくれたのか?
実は、単独で生活するハナバチやカリバチはエサ(花や昆虫など)にはさほど困らないのですが、巣にできる木の穴などは意外とない・・・。そう、シングルのハチは住居に困っていたのです。
巣が見つからないと・・・→子育てできる場所がない!→子孫を増やせない!→ハチの種類や数が減少・・・?→他の生き物にも影響が・・・?→人の生活にも影響が・・・?となんだか不穏なサイクルに陥りそう。
植物が子孫を残す種や、人や動物が食べる実を付けるには受粉が必要。受粉するためには花粉を運ぶ役割のハナバチがとっても重要。
カリバチが庭にいれば、庭木の葉を食べ尽くしてしまう害虫を捕ってくれるなど一色単に「ハチ」=怖いではなく、人の生活に密着していることを学びました。
■朽ち木・沢編
去年は近くの水路でオニヤンマのヤゴを探してもらいましたが、今回はむしむし博士からのアドバイスで枯れた木を集めた環境を作ってみました。さぁ、どんな昆虫が見つかるのか?
いました!!コクワガタの幼虫!
なんと去年は見つけられなかった成虫も発見!小さくても「クワガタいたー!」の言葉に子どもも大人も大興奮!
幼虫にとって人の手はヤケドレベルの熱さ。幼虫を掴む時は小さな枝やコヨリなどを顔近くに寄せるとパクッと噛みつきます。その瞬間に素早く移動させましょう。
そして、昨年同様にトラップ(カル○スウォーター、ちらし寿司の素、一味唐辛子を混ぜたもの)も仕掛けてみましたが、どうやら去年の秋とは違う昆虫ラインナップ。ルイスナガゴミムシ、アトボシアオゴミムシ、クロヒゲアオゴミムシ、オオホソクビゴミムシなどなど。正直、区別ができるのはむしむし博士だけ(笑)
・・・しかし、ゴミムシの種類多い。けど、色がキレイ。
■うおの池(止水域)編
下見の時もヒメミズカマキリやコオイムシなど見られましたが、当日は?
網で生き物をすくってくれるスタッフ。子ども達は身を乗り出して待ちきれない様子。
今回はヒメゲンゴロウが見つかりました!
※観察している間にどこかに行ってしまい、子ども達が手にして写真撮れーず(ToT)
この他にヒメミズカマキリやコオイムシ、アカトンボやギンヤンマのヤゴなどいろいろ見つかりました。
8月と11月に開催した去年と6月に開催した今年。
場所は大きく変わらないのですが、見つけた昆虫は少しずつ違っていました。
前回は「環境が変われば生き物の種類や数が変わる」を学びましたが、今回は「同じ場所でも季節が変われば見られる種類と数が変わってくる」ことを教わりました。
昆虫観察会ってなんとなく夏をイメージ(夏休みの宿題っぽいから?)ですが、1年を通して楽しめる、場所や環境を変えればそれだけで新しい発見ができるアクティビティ。親子で、またお友達と一緒に、もちろん1人でもOKな身近にできる自然観察をはじめてみませんか?
■■昆虫観察で気をつけること■■
・甘い匂いの食べ物や飲み物はきっちり蓋をする。食べた後はきちんと口や手をぬぐうこと。
※甘い匂いに誘われてスズメバチなどが近づいてくることがあります。
・長袖、長ズボン、帽子、スニーカー等を着用しましょう。毛虫やウルシなどから肌を守ります。
・昆虫を捕まえるときは手足や羽が取れないようやさしく接しましょう。
・夢中になると休憩を忘れがち!十分な飲み物、塩飴などしっかりと熱中症対策を。