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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【体験教室】 昆虫観察会(番外編)

2018年08月31日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

昆虫観察会当日は、参加者のみなさんにベイトトラップの結果をみてもらいましたが、「トラップってどうやって仕掛けたの?」と気になった方もいるのでは?

今回は昆虫観察会前日に仕掛けたトラップと下見のようすがコチラ↓。

■バナナトラップ

幹に仕掛けるならコレ。

講師・松本さんがよさげな木を見つくろって、バナナトラップを仕掛けていきます。

【作り方】

①皮ごとバナナを焼酎に一晩漬け込む。仕掛ける前日に仕込みましょう。

②焼酎からバナナを取り出し、1つのネットに3本程度入れる。

③バナナがずれ落ちてこないようにロープを木に引っかけながら括る。バナナは結構重いです。

【どんな昆虫をねらう?】

●飛ぶのが上手いチョウやカナブン・・・バナナはぶら下がったままでOK。

●飛ぶのが下手なカブトムシなど ・・・幹にくっつくように取り付けると、幹とバナナの間にカブトムシが入り込みやすい。

●ヒラタクワガタを捕まえたい! ・・・バナナを木の根元に置いて、上から石や落ち葉を被せておくと、石の隙間に入ってきやすい。

<右はカブトムシパターン>

Q1.バナナはなぜ3本セットがいいの?

A1.乾いたバナナだと虫が寄ってこないので、乾きづらいように複数本入れるのがベター。

Q2.トラップを仕掛けるのはどんな木でもいいの?

A2.クスノキは防虫剤に使われるショウノウの匂いのせいか寄ってこない。木製電柱に付けたものに寄ってきたことがある。

Q3.昆虫が捕まっているか見に行く時に注意することってある?

A3.一気に大勢で見に行くと、人の気配に気付いた昆虫が逃げてしまうことも。

  先に1人がそーっと偵察に行き、ゲットできていれば、ゆっくりとみんなに来てもらうといい。

Q4.漬け込むのはバナナがいいの?

A4.東~西日本はバナナが寄ってきやすい。沖縄だとなぜかパイナップルがいいらしい。

■ベイトトラップ

地面近くにいるコウチュウなどをゲットしたい!

【用意する物(今回作ったタイプ×30個)】

カルピス×900ml(ペットボトル推奨)、ちらし寿司の素×1(今回は「すしのこ」35gを使いました)、一味唐辛子×1袋(小袋タイプ)、プラスチックカップ250mlサイズ程度

【作り方】

①カルピスを3/4程度になるまで飲む。

②ちらし寿司の素、唐辛子を入れて、よく振って混ぜる。

 ※ポイント:これらを入れた時に溢れないようにカルピスの量を減らしておくんです。

③木の根元にスコップで穴を掘り、プラスチックカップを埋め込む。

 穴とカップの隙間に昆虫が落ちないように周りの土を少し固め、カップに入った土は取り除く。

④②の液体をカップに1㎝程度入れる。後は翌日まで待つのみ!

<左:周りの土を固める 右:ベイト液を入れる>

今回作ったレシピでもベイトトラップは作れますが、基本的にブドウ糖、酢、酒、酵母菌(イースト菌)、粉状唐辛子があれば大丈夫。

レシピの中に唐辛子とあるのですが、昆虫は辛いものを好むの?と思いますよね?

これは昆虫以外の野生生物避け。甘いものだけだとイノシシやイタチなど野生生物がやってきて、エサを食べきってしまうために唐辛子を使って、食べないようにしています。昆虫には唐辛子の辛さは関係ないよう。

!!トラップを仕掛ける前に土地所有者に許可や仕掛けてもいい場所なのか確認しよう!!

!!仕掛けたトラップは必ず全て回収して、持ち帰って処分しよう!!

■観察会に下見はマスト!

実際にどんなフィールドがあり、どんな生き物がいるのか分からないことには、参加者を楽しませるプログラムを作れません。

そんなこんなでトラップを仕掛けたり、実際どんな昆虫がいるのか下見していると・・・。

幹に擬態していたゴマダラウスバカゲロウを発見。

どこにいるか分かりますか?

幹の真ん中くらいにいて、黄色い触覚が目印。

ゴマダラというくらいなので、幹と同じような模様がついているおかげで少し目を離すと、本当にどこにいるのか分からないくらい。

幼虫は沢沿いの日陰に生息しているので、そういった環境で見られるそうです。

トラップを仕掛けている最中も動くものに反応する松本さん。

捕まえたのは、アトボシアオゴミムシ。

エサとなる小昆虫が多くいるゴミ溜めにいることが多いことから付けられた名前なのだそう。そんな名前ですが、メタリックカラーが美しいコウチュウ。

しかし、匂いが・・・?

ん?臭い??正露丸のような・・・・

松本さん曰く、クレオソートのような匂いを発するからだとか。

講師たちと「ここにいそう!」と的を当てて、網に泥をかき入れては確認を繰り返すと・・・。

オニヤンマのヤゴ!しかもいっぱい捕れた!

大きさから1年目~3年目までいろいろ。ということは、毎年オニヤンマが産卵していて定着しているってこと。翌日、みんなが見つけてくれるのが楽しみ。

池でも網をすくいながら、どんな生き物がいるのか調査!

ヒメミズカマキリや数を減らしてきているコオイムシが見つかり、みんなテンションだだ上がり。

実は、下見って結構楽しい♪

!注意!魚の池周辺に柵はなく、斜面も段差状になっていません。

池を観察する時は、子どもは必ず大人と一緒に、歩道面から下には下りないようにしましょう。

「環境が違えば見られる昆虫が変わる、同じ昆虫でも場所や時間帯が変われば見られる種類が違うことを知ってもらえれば」と講師。

今まで「五色台って昆虫少ないんだよなぁ」と思っていたのですが、いろんなタイプの環境が近い距離にあること、そして、その環境によって生息する昆虫が変わること。また、カブトムシやクワガタムシなど子どもに大人気の昆虫はいないけど、逆にいないのはなぜなのか?と考えると、他とは違う昆虫のくらしや多様性が見られるという強みがここにはあるんだなと教えてもらいました。