アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
29年度 磯の観察会 「潮だまりの生きものを捕まえよう!」
2017年09月11日4年ぶりに松山自然保護官事務所主催の自然観察会を開催しました。瀬戸内海国立公園の大角鼻で磯の生きものを捕まえて観察します。
大角鼻は多島海景観に来島海峡大橋の展望地としてはもちろん、海水浴やキャンプ、バーベキューなどでもにぎわう人気のレジャースポットです。
お昼を過ぎるころ、バーベキューの肉が焼ける匂いの中、参加者が集まりました。
榊 自然保護官から身近にありながら豊かな自然を持つ瀬戸内海国立公園の紹介のあと、観察会の始まりです。
観察場所の大角鼻に移動すると、潮が引いて岩がむき出しになっています。ここで講師の西条自然学校 山本貴仁先生の登場です。磯の生きものことなら何でも知っている頼もしい先生です。磯での遊び方と注意点を教わって磯に踏み出しました。
【磯ってどんな場所?】
磯は潮が引いたり満ちたりする間に陸地になったり海中になったりするところです。潮が引いたときに岩のくぼみに残された「潮だまり」にはいろんな生きものが棲んでいます。磯の高いところと低いところでは、棲んでいる生き物の種類が違います。
磯の上部にはとても小さな貝「アラレタマキビ」がたくさんいました。そこは潮が満ちても海の中にならない場所です。海辺にいながら水が苦手な貝なのです。日に照らされて熱くなった岩から少しでも体を遠ざけようと、つま先立ちになります。
この辺りにはフナムシもたくさんいました。「フナムシ」は何でも食べてしまいます。革でできた靴やベルトなども食べてしまうのです。ほかの生きものの死骸などを食べてくれる海辺の掃除屋なのです。
磯の中間には「ウノアシ、カラマツガイ、ヒザラガイ」などの岩にぴったりと張り付いた生き物がいます。この貝たちは潮が満ちると活発に動き餌を摂り、潮が引くと家に帰るように同じ場所に戻るので、その場所は薄らと窪んでいます。
ウノアシ
カサガイ
ヒザラガイ
この辺りには「ケガキ」という、とげとげがいっぱい突き出た貝もいます。
磯の下部には素早く動く魚たちが見えるようになりました。黒いしましまの魚「ゴンズイ」の群れが泳いでいます。たくさん集まり玉のようになるので「ゴンズイ玉」っていうんだよと、自然公園指導員の小澤先生が教えてくれます。
ゴンズイ
他にもこんな魚が捕れました。
左からゴンズイ、ヘビギンポ、ナベカ。
派手なオレンジ色はイカを釣る疑似餌で餌木(えぎ)といいます。
この辺りでムラサキウニが捕れました。
ムラサキウニ
透明な水槽に入れてみると、生き生きと伸び縮みするウニの足(管足といいます)をじっくりと観察することができました。
みんなの水槽はどんどん生きもので満たされます。中にはビーチグラスや貝殻や海藻でセンス良く水槽を飾る子もいました。
自然と山本先生のまわりに子供が集まります。
この真剣なまなざし!
お母さんも楽しんでます。
お父さんを振り返る母と子供、素敵な風景です。
次に大きな「潮だまり」に移動です。山本先生の話を聞きながら、生きものが油断して出てくるのを待ちます。
山本先生の話
20年前の磯は、もっとたくさんの生きものであふれていた。海はその頃よりきれいにはなったけど、なぜか生きものが少なくなっている。その原因はよくわからない。この磯には泥のようなものが溜まっているが昔は、なかった。災害を防ぐための砂防ダムができて大きな石は止めてくれるけど、細かい泥だけが海に届くようになっているのかな?
太陽に照らされて水温の上がりやすい潮だまりに棲む生き物は、環境の変化に強い生き物が多く家に持ち帰っても飼いやすいそうです。
しばらくまったけど生きものが出てこないので、みんなで潮だまりに入ります。
ここでは細長い腕で素早く動くクモヒトデがいました。
みんなまだまだ捕まえたそうにしていたけど、これで観察会は終わりです。
最後に捕まえた生きものを海に帰しました。
生きものを捕まえようとする中で、どこにいるのか、何を食べるのか、どうやって動くのかなどを学べたのではないでしょうか。
この身近で豊かな自然を守っていきたいですね。
みなさん、ありがとうございました!
おまけ♪
夢中で生きものを追いかけて、お尻はびしょびしょ、長靴はちゃぷちゃぷに。
お父さんとお母さんに見守られて思い切り遊べましたね。