アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
【体験教室】 ハチミツ絞りと蜜蝋キャンドルづくり
2017年08月10日大人気の体験教室「ハチミツ絞りと蜜蝋キャンドルづくり」。
なんと今回で6回目を迎えるプログラムですが、毎年キャンセル待ち続出の人気っぷりで、もはや五色台ビジターセンター夏の恒例プログラムとなっています。
今年も五色台のふもとで生業されている中田養蜂さんが講師としてミツバチの働きや手動遠心分離器を使った蜂蜜絞り体験などを教えてくれます。
まずは、「ハチミツってどうやってできるの?」という質問。
でも、これって大人でも知らない人がほとんどなのでは?「ハチミツ」=「花の蜜」と思いがちですが・・・。
ミツバチは花の蜜を一旦体の中に取り込み、酵素で凝縮分解した後、再び体内から出して巣に入れています。この甘~いハチミツ、実はミツバチが創り出しているんです!
花の蜜を舐めたことある人なら分かると思いますが、意外と甘くない・・・。
そのハチミツをいただく巣箱には、小さな八角形が集まった巣板が8枚入っています。その巣板1枚にはなんと!ミツバチが2,000匹も!巣箱にはもちろん女王バチも。
中田養蜂さんは香川県内の農家や採蜜場所に巣箱を置いているそうで、五色台だけでも800~1,000箱を5~12ヶ所に分けて置いているんだとか。
【資料と絵を見ながらフムフム・・・】
基本的なことですが、ミツバチのすごさ、身近な食品だけど意外と知らないことを少し知ってから体験をすることでいろんな疑問やミツバチに対する気持ちが変わってくるのではないでしょうか。
そんな後は、いよいよ2手に分かれてハチミツ絞り体験と蜜ろうキャンドルづくりのスタート!
まずはハチミツ絞り体験のようすから・・・。
ハチミツがた~っぷり入った巣板を持ってみると・・・「重い!!」
中田さん達から丁寧に教えてもらいながら、ナイフを使って蜜がこぼれないように表面を固めた蜜ぶたをこそぎ取ります。
この時のポイント★
・ナイフはノコを挽くように前後に動かそう。
ナイフに蜜がくっついて「ナイフが動かない!」ということが少ないです。
・密ぶたは薄く切り取ろう。
あまり深く刃を入れてしまうと八角形の巣が壊れてしまいます。巣板はまた巣箱に戻し、ミツバチたちが
使うもの。できるだけミツバチが壊れた部分を修繕しなくてすむように薄く切り取りましょう。
【蜜いっぱいの巣板、結構重い!】
蜜ぶたが切り取れたら遠心分離器に巣板を入れます。
そして、ハンドルを一気に回すと・・・
【キラキラしているのは飛び散る蜜】
遠心力で蜜を飛ばすので、外側に向いている方の蜜が取れただけ。ある程度蜜が出なくなったら巣板の向きを変えて、もう反対側の蜜も遠心分離器で採蜜します。
両面とも採蜜できたら、あま~くいい香りのするハチミツのできあがり。
絞りたてハチミツは中田養蜂さんのご厚意でお土産としてお持ち帰り。
右:蜜を絞った後は驚くほど軽い巣板!
左:とろ~りとしたハチミツに思わず手が伸びそうに・・・
順番にハチミツ絞り体験を待っている間は、観察箱でミツバチをじっくり観察。
【女王バチはどこかな~?】
左上側に他より大きめのミツバチがいるよ。
子供だけでなく、大人も興味津々。むしろ大人の方が興味があるようで、中田養蜂さんにいろいろ質問したり、燻煙器やネット付き帽子など養蜂グッズを見たりしていました。
さて、こちらは蜜ろうキャンドルづくり。
まずは、上側を缶切りなどで開けた空き缶(スチール缶)に蜜ろうを入れて湯煎して溶かします。ここでやっちゃいけないのが、空き缶を直火に当てて蜜ろうを溶かすこと。これをやっちゃうと爆発することがあるので、必ず湯煎をして溶かしましょう。
その間に、キャンドルを固めるためのシリコン型の準備。
シリコン型が破れないように竹串などで穴を開けて、そこにロウ芯(火が灯るところ)となるヒモを通してくくります。
そうこうしていると、蜜ろうが溶けてくるので、ヤケドに注意しながらシリコン型にロウを流し込んでいきます。ここでのポイントが、一気に流し込まずにゆっくり少しずつロウが固まるのを待ちながら流し込むこと。そして、シリコン型は動かさないこと。固まったかどうか気になるところですが、そこはガマン(>_<。)
30分くらい経つと・・・
【見事に固まりました!】
ハチミツ絞り体験と蜜ロウキャンドルづくり組が交代して、一通り終えたらお楽しみが。
ハチミツ4種の試食&どれか分かるかなクイズ!
【さぁ、香りと味の違いを頼りに答えを導いて・・・】
ハチミツってどれも似たような味だと思っていたら、意外としっかり違いがあることが分かったようで、みんな驚きの顔をしていました。さぁ、答え合わせはどうだったのでしょうか。
正解は、①サクラ ②ビワ ③アカシア ④タマネギ
気になる人はおうちで食べ比べしてみましょう。
ハチミツの味の違いを知った後は、少しミツバチについてのお話を。
■働きバチってオスが多い?メスが多い?それともどちらかだけ?
働きバチはメスのみ。しかも外で蜜を集める外勤バチは年配のハチで、巣の門番や幼虫の世話をする内勤バチは若いハチ。これは外勤バチの方がスズメバチなどの天敵や雨で羽が濡れて飛べなくなったりと危険要素が多いことから寿命の短い年配バチが外に出るのだそう。
ちなみにオスバチは交尾のためだけに存在するので、いない時期もあるそう。
■ミツバチの寿命って?
ミツバチの寿命は1ヶ月程度。
その反面、女王バチは2~3年程度生き、中には8年生きた女王バチもいたそう。女王バチは毎日1,500~2,000個の卵を産み続けます。
■ミツバチの役割
毎日のように食べている野菜や果物。それもミツバチが果物や野菜の花を受粉して実ができるのです。ミツバチがいなくなると、ハチミツができないばかりか、野菜や果物が実らず、私たちの食卓は・・・と考えると、ミツバチって本当に有り難い!
中田養蜂さんでは香川県下の2/3の農家さんにミツバチを貸し出しているそうですよ。ちなみに我が家の畑も近所のイチゴ農家さんから飛んできたミツバチのおかげで野菜や果物が実っています。
そんなミツバチたちですが、自然環境の変化によって少しずつ変わってきているそう。
昔に比べ、蜜源となる花が減ったことでミツバチ自身も栄養が取れなくなり病気がちになったり、そしてミツバチの数が減ってきたりと自然環境の変化と共にミツバチ達の環境も変わっています。今は野菜や果物も実り、ミツバチがつくり出すハチミツやローヤルゼリーなどの恩恵も受けていますが、100年後はどうなっているんだろう・・・?
同じミツバチからでも採集する花によって味の違いハチミツができること、それも花やミツバチの状態や採るタイミング、その場所の環境によって味が変わってくることを学んだ今回。近づいてきたら手で払いがちなハチですが、古くから人の暮らしに密着し、私たちに多くの恩恵を授けてくれる大切な存在。
食事をいただく時に野菜や果物などを作ってくれる農家さんだけでなく、一緒に実りを支えてくれているミツバチにも感謝しながらいただきたいなと感じた体験教室でした。