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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

小さな湿原、生き物たちの繋がり

2017年08月08日
松山 福田学

「こんにちは」とそばかすだらけの顔をのぞかせるのは、コバネイナゴの幼虫です。
すっかり夏の装いとなった、医王池(通称蛇池)の様子をお伝えします。

蛇池は湿地植物が豊富で、愛媛県の天然記念物に指定されています。

蛇池といえばサギソウです。えひめ自然百選の一つに選定されています。

しゃがみこんで視点を低くすると、湿原植物の森をシラサギが、翼を広げて飛んでいるように見えます。

湿原植物の森を形作るのは、カヤツリグサ科とイネ科の植物です。背丈が高く、細長い葉が特徴です。

コマツカサススキ

カモノハシ

細長い葉に擬態し、餌とする生き物といえば、ショウリョウバッタです。日本最大種のバッタで8月の旧盆(精霊祭)の時季になると姿を見せることが、この名前の由来の一つです。オスのほうが体が小さく、飛ぶときに前後の翅を打ち合わせてチキチキと音を出すので、チキチキバッタと呼ばれたりもします。

ショウリョウバッタ♀

ショウリョウバッタ♂

イネ科の植物の汁を餌とするのはホソハリカメムシです。水田の稲の害虫としても有名です。

細長い葉に擬態するハンターもいます。それはカマキリです。まだ子供のカマキリですが、なかなかの面構えです。

ヌマトラノオの群生です。

虎の尾という名ですが、とても可愛らしいです。虎のしっぽが、こんな花柄だったら楽しいですね。

最後に登場するのは、ナガコガネグモです。とても美しい姿のクモです。
ナガコガネグモ♀


ナガコガネグモ♂


クモの巣に特徴があり、スタビリメンタムと呼ばれる、白い帯状の模様で巣を飾ります。スタビリメンタムの機能には多くの説があり、カモフラージュ、体を大きく見せるため、網の安定、紫外線光を反射させて獲物をおびき寄せるなどなど、いろいろ言われています。またその形はクモによって異なり、デザインを競い合っているかのようです。

小さな湿原に広がる生態系をのぞいてみませんか?