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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ⑨ メダケの使い方いろいろ

2017年06月22日
足摺宇和海国立公園 谷吉萌

ついに梅雨らしい天気がやってきましたね。

アジサイがいよいよ見頃になった土佐清水からこんにちは。

さて、ヤブツバキシリーズ第9弾では

足摺岬で着々とその陣地を広げつつあるメダケにフォーカスします。

主役は今年のルーキーズ。

足摺岬小学校、中浜小学校の5・6年生たち、総勢12名です。

先生は、地元足摺のために日々汗を流している「足摺岬の自然を守る会」のトップスリーです。

まずは、前回の授業の復習で、

メダケがかつて生活の様々な面で利用されていたことや、

利用されなくなって以降の拡大の理由をおさらいします。

あまり利用されなくなったとはいえ、

いまでも足摺岬ではメダケのタケノコを食べるそうな・・

ということで、今回はメダケ利用のひとつである「食」を体験するべく、

メダケタケノコハンターになってもらいます!

 

虫やヘビに気をつけて・・次から次にゲットしていく子どもたち。

お次はタケノコの皮剥ぎです。

これも、地元のおんちゃんならではの「こつ」を伝授!

 

うまく剥けました~!

このメダケ、地元では「ニガタケ」という別名をもつ、アクのつよい竹なんですが、

ちょっとなめてみ、とそそのかされて悶絶する子数名。非常に苦いです。

あとは調理するだけとなったタケノコを手に、足摺岬小学校へ向かいます。

図書室にあつまって、今度はメダケにまつわる昔話。

土佐清水市の特産品でもあるソウダガツオを使った宗田節は、

メダケと深い関係がありました。それがこれ。

「せいろ」と呼ばれる蒸し器・乾燥器です。

右側のものが昔の手作りせいろ、左が現在のアルミやステンレス製のものです。

昔はせいろの編み目部分をメダケで作り、

使えなくなると、またメダケを切ってきて作り直していたそうです。

また、小学生には難しい言葉も多いですが、竹に関係する漢詩を見、大小の竹を見くらべながら、

それぞれものには使い道があること、個性をそれぞれ生かすことが大事、という教訓を得ました。

そしていよいよお待ちかね、タケノコの試食です!

地元婦人会のみなさんが協力してくださいました。

 

献立は

・メダケタケノコのちらし寿司

・メダケタケノコとツワブキの煮物

・婦人会の皆さんが持ち寄ってくださった食材でつくったポテトサラダ です。

※メダケはアク抜きに時間がかかるため、すぐに調理できるよう別日に関係者が採ったものを使用しました。

おなかはぺこぺこ!ご飯ときいて、手際よく配膳していきます。

 

自校他校入り交じりで着席。みんなそろって「いただきま~す!」

「メダケが全然苦くない!」「おいしい!」と、箸が進みました。

今回、ヤブツバキ再生プロジェクトから提案したものが、

多くのかたのご協力によって形になり、

こうして地域のつながりを作っていくひとつの場になり、

地域にとっても、学校や子どもにとっても、そしてプロジェクトにとっても、

貴重な前進の一歩になったのではないかと感じた授業でした。