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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【鳴門】自然観察会と苗木植樹

2017年03月13日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

卒業間近の3月上旬、毎年この季節に鳴門にやってくるのは鳴門市立桑島小学校6年生。

桑島小学校では、3年生の秋に鳴門山でウバメガシのドングリを拾い、それを立派な苗木になるよう3年間大事に育て、そして卒業前に苗木を植樹しに再び鳴門山に戻ってくる行事が行われています。

今年で21回目を迎える伝統行事。

さぁ、みんなが育てた苗木は大きく育ったかな。

3年前と比べて、自然観察への興味はどんなふうに変化したのでしょうか。

<12年前に植樹したウバメガシも順調に育っています>

まずは講師の木下さん(徳島県植物研究会会長)から苗木の植え方などを教わりました。少し肌寒い中でしたが、みんな集中して聞いていました。自分が育てた大切な苗木、しっかりと植えたいですもんね。

そして、いよいよ苗木を鳴門山に戻す時です。

主催者である自然公園財団鳴門支部のスタッフが予め用意してくれた腐葉土とスコップ、軍手を手に、木下さんから教わったとおりに植えていきます。

今回の6年生が育てた苗木は、例年よりも大きくて、前年に植えたものよりも成長していたものも!

根もしっかり張って、なかなかポットから出せない子もいたほどでした。

それだけ大事に育ててくれたってことですね。

もう1人の講師・市原さん(徳島県自然観察指導員)が見つけてきた昆虫が気になって、植樹中にソワソワし出す子も。6年生になると、なぜか急に昆虫が触れなくなったり、嫌いになったりする子が多く見られるのですが、今年の6年生は違います!

みんなが水やりする中、「絶対何かいる!石を取り出したい!」と夢中になって地面を掘り出す子も。(笑)

木下さんが捕まえたのはミミズやヤスデ、ダンゴムシなど主に地中で暮らす生き物。

バッタやチョウのような派手さはないですが、死んだ生き物や落ち葉を食べて分解し、栄養豊かな土をつくる大切な役割を担っている縁の下の力持ち的存在だということを教わりました。

「2本足の生き物は?」「じゃあ、ダンゴムシの足は?」など生き物の足の数クイズを出題。

これ、3年生に出した時は珍回答続出でしたが、さすがは6年生。覚えている子もいれば、図鑑や昆虫観察が好きな子はどんどん答えが出てきました。

植物の先生・木下さんからは、鳴門山で見られる植物図鑑を使った解説を。

海岸性植物の特徴や名の由来、匂いや形など五感を使って知る方法など教えてもらいました。

<雄松と雌松をさわって、違いを比べてみよう>

他の生き物は自身で栄養を作れないため、植物から栄養をいただいていること。

そして植物は理科で習ったように二酸化炭素を吸収して酸素を提供するだけでなく、他の生き物への栄養分も作っていること、いろんな生き物、植物が多様に存在し、支え合うことでその恩恵を受けて人が生活できていることなど学びました。

閉会前の質問コーナーでは、積極的に手が挙がります。

それだけ観察会で知ったことや見て聞いたことに興味を持ってくれたことですね。講師の顔も自然とほころびます。

松枯れや台風などの影響により青々とした松の景観が減少し、ウバメガシなど照葉樹を主体とした植生に変化してきている鳴門山。

地元小学生の手によって瀬戸内海国立公園の景観が守られている大切な植生回復活動です。

これからどんどん大人になっていく子供たちですが、この活動が記憶に残り、また自分の子供たちにも伝えられたらいいですね。

<お互いに大きく成長しようね~>