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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

さようならコハクチョウ/米子水鳥公園自然観察会

2017年03月06日
大山隠岐国立公園

ご訪問ありがとうございます。

 

2017年3月4日に鳥取県米子水鳥公園主催のさようならコハクチョウ自然観察会に参加しました。毎年楽しみな観察会です!

春が近くなると米子水鳥公園をねぐらにしている、コハクチョウたちがこれから約1カ月間で片道約5,000キロ離れた、ロシアの北極海沿岸の繁殖地に北帰行します。北帰行のルートは、米子水鳥公園から日本海を越えて、ロシアのウラジオストクからウスリー川を北上しハバロフスクからさらにアムール川を北上してボゴロドスコエー、さらにオホーツク海を越えて、北極海沿岸の繁殖地に到着すると言われています。

米子水鳥公園の建物。

この建物の中から水鳥公園の野鳥を観察できます。

 

米子水鳥公園から美しい大山の姿を望めます。

 

米子水鳥公園建物内の様子。

 

米子水鳥公園のある中海は国指定鳥獣保護区として保護され、2005年には国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録されています。そして野鳥にとって大切なねぐらです。

私が子どもの頃(1960年代)は、毎晩のように食卓に中海でとれた赤貝(サルボウガイ)の醤油煮付けが登場していました。さすがに食卓に頻繁に赤貝がでると、またかやと、親の心を知らずに感じていました。また時を同じくして中海ではハゼ(米子ではゴズと呼びます)が沢山泳いでいて、小学校では全校をあげてゴズ釣り大会が開催されていました。また時々、子ども時代にゴズ釣りに行っては晩ご飯のおかずとして家に持って帰っていました。

 

仲良く就寝中のつがいのコハクチョウ。

 

コハクチョウは幼鳥のときは、全体が灰白色で成長になると白鳥らしく真っ白になり、「くちばし」の白い部分も消えて、黄色くなります。写真で首が灰白色のが幼鳥です。

 

写真ではわかりませんが、一番上のコハクチョウが首をたてに振り始めました。

この合図は、飛び立ちの準備を家族や仲間たちに知らせるものだそうです。

 

風の様子をうかがいながら風下に向かうコハクチョウたち。

この後、風上に向かって飛び立ちます。

 

風下から風上に向かい助走し飛び立つコハクチョウの様子です。
コハクチョウの体重は5kg~8kgと重いですが飛び立つ瞬間はジェット機のように感動的です!

 

飛び立つコハクチョウたち。

コハクチョウの体長は120cm、翼を広げると190cmにもなると言われています。

 

大きな翼を使い北へ向かうコハクチョウたち

次の冬に再びここ水鳥公園に戻ってきます。

 

観察桟橋からコハクチョウを見送る人たち。(早朝)

 

観察桟橋からコハクチョウを見送ろうと県内外から人が集まってきます。

そして時間が経つにつれて少しづつ人が多くなってきます。

私自身も、ここ6年間くらいコハクチョウを見送っていますが毎年飛び立つ姿を見ては感動が走ります。

無事、コハクチョウが繁殖地への旅をできることを願っています。

 

コハクチョウは、ロシアの北極海沿岸で繁殖したあとに、10月頃にえさを求めて日本に飛来します。北は北海道から飛来地がありますが、南限は米子水鳥公園のすぐ隣にある島根県と言われています。

毎年この時期、春の訪れとともに別れがあり、そして別れがあるからこそ新しい出会いもあると感じています。

 

シベリアのツンドラ地帯で育った幼鳥が、ここ米子水鳥公園に訪れることを楽しみにしています。

最後までご覧くださり大変ありがとうございました。