アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
【報告】蒜山の草原の未来をみんなで考える会
2017年01月20日
大山隠岐国立公園のうち、岡山県側に位置する「蒜山(ひるぜん)」。
大山の南東へ連なる蒜山三座(上蒜山・下蒜山・中蒜山)と、その南に広がる高原地帯のことを言います。
蒜山山頂部にはササの草原やブナ林が、山麓部には草原景観やコナラの二次林が広がります。
伝統的な「山焼き」によって形成されている草原は、希少な草原性の動植物の生息・生育地になっています。
蒜山地域は1963年に「大山隠岐国立公園」に仲間入りしました。(岡山県真庭市)
■2017年1月17日
真庭市との共催で、「蒜山の草原の未来をみんなで考える会」を開催しました。
蒜山の山焼きに関するヒアリング結果や、蒜山の草地利用の歴史的展開についての研究報告、
全国の草地利用の事例発表、ワークショップなどを行いました。
「何のために山焼きを続けるのか?」「どうして草原が必要なのか?」
地元住民、ボランティア、観光・・・蒜山に様々な形で関わりを持つ皆さんと集まり、
「蒜山の山焼き、これからどうする?」について意見交換を行いました。
【そもそも草原ってどんな場所?山焼きってどんなこと?】
今回は蒜山の草原や山焼きについて、簡単にご紹介したいと思います。
■草原とは?
木がほとんど生えておらず、あたり一面を草でおおわれた、広い原っぱのことを言います。秋には白銀いろのススキでおおいつくされ、とても美しい景色が広がります。ヒョウモンチョウの仲間など草原に咲く花が好きな生き物や、ひらけた場所が好きな生き物、草原ならではの美しい植物も見られます。
■蒜山の人々の生活と山焼き
昔は、今よりもっと広い草原がありました。田畑の肥料や、牛や馬のエサ場、かやぶき屋根の材料など、昔の人の生活に必要なものが草原に多くあったからです。人々は山を焼いて、毎年草原にはえてくる草を利用していました。これを「山焼き」と言います。
今では、草原の草を生活に利用する人が少なくなりました。それに高齢化などの影響で、山焼きを受け継ぐ人や地域が減ってきています。
蒜山では、ボランティアを受け入れて山焼きを行っている場所(山焼き隊)もあります。
しかし経験・知識・技術等が必要で、危険をともなう作業でもあります。
興味をお持ちの方は、山焼きを知ること、ボランティアとしてサポートをすることから
「山焼きについて考える」ことを始めてみてください。
(山焼き隊問い合わせ窓口:津黒いきものふれあいの里 0867-67-7011)
四季折々にさわやかな風景を見ることが出来る「蒜山」に、足を運んでみてくださいね。