アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
✿足摺ヤブツバキ保全シリーズ① はじめの一歩
2016年10月03日今週中には台風18号が上陸する予報の土佐清水からこんにちは!
さて、ここの国立公園の名前にもなっている「足摺岬」。
写真を見たことがある人や訪れたことのある人の中には、
足摺岬と言えば、展望台とツバキの二つを思い浮かべる人もいるかと思います。
足摺岬に到着するとまず目に入るのが、この灯台のモニュメント。
看板にはツバキがあしらわれています。
足摺岬のツバキは「ヤブツバキ」と言い、同じツバキ属のサザンカや寒椿以外の、一般的に見られるツバキを指すようです。
(写真 土佐清水市HPより)
花の少ない冬の時期に、海食断崖に真っ青な空と海、白い灯台に差し色を添えるようなヤブツバキは、
足摺岬の特異な景観の、重要な構成要素になっています。
この景観は、ツバキの油をとるために、ツバキが残され
他の樹木が、利用されたことで、できあがったと言われています。
一方、現在の足摺岬で勢力を増しているのが「メダケ」。
このメダケも、鰹節を干すための棚や壁の骨材など、かつては暮らしに生かされていたようですが、
今は使われなくなり、足摺岬で少しずつその分布域を拡大し、
ヤブツバキを含む他の樹木の成長の妨げになっています。
そこで今年度から、土佐清水市、観光協会、地元の方々と連携し、
メダケを伐採し、ヤブツバキなどを植樹し、ツバキ林を再生しようという取組を始めることになりました。
題して、「ヤブツバキ林再生プロジェクト」です!!
その第一歩として先月末、育苗のための講習会を行いました。
牧野植物園から専門員の方々をお呼びして、種子の選別方法やクリーニング方法、
播種の時期や手法などを教えていただきました。
先月半ばの台風の影響で、穫りごろな種子はすべて落ちてしまったようですが、
なんとか割れているヤブツバキの実を探し出しました。
※国立公園内の植物や動物の採取・捕獲には手続きが必要です※
ないないといいながら、10人ほどで探すと意外と集まりました。その量約4kg。
今回採取した分は、牧野植物園で播種育苗していただきます。
今日はヤブツバキ保全シリーズ第一回をお届けしましたが、
今後も、ヤブツバキ保全について、最新の進捗状況をお伝えしていきます。
環境省でも、ヤブツバキの育苗に取り組む予定ですので、
ぜひぜひ次回のヤブツバキシリーズをお楽しみに~!
おまけ
ツバキの葉裏などで、集団越冬するカメムシの仲間、オオキンカメムシ。
こんなカラフルなカメムシもいるんだな-!と感動したり、
一人がにおいをかいで「くさい!」、また一人かいで「くさい!」。
まじめな保全事業の中で、大人が子どもに戻る幕間でした。