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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【体験教室】 昆虫観察会

2016年08月08日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

夏休みに入り、数日が経ちましたね。

子ども達で、また家族みんなでいろんな所にお出かけしているのではないでしょうか。

そんな楽しい夏休みですが、子ども達に待っているのは宿題!

特に自由研究はどうしよう・・・と悩んでいる人も多いのでは?

7月の五色台体験教室では、そんな子ども達の興味や探求心をかき立てる「昆虫観察会」を開催しました。


講師は、かがわ自然観察会・好井さん。

今回の参加者は未就学児が多いということで、トラップなど仕掛けず、身近に見つけられる昆虫を中心に捕まえてじっくり観察しました。

さっそく昆虫探しに出発!と言いたいところですが、まずは森に入る注意点や身の置き方などを教わりました。

・森はいろんな生きものの住み処。「こんにちは。お邪魔します」と優しい気持ちで入りましょう。

・森の中にはスズメバチやマムシなど毒を持つ生きものも。

 怖い!と思うかもしれませんが、ゆっくり静かに後退しながらその場を離れましょう。

 むやみに手で払ったりすると、「攻撃された!」と勘違いして襲ってきます。


そんな気持ちや心構えを胸に森の中に出発!


早速、道中にはクロアゲハが。留まっては飛ぶのでなかなか観察はできませんが、アゲハチョウってなぜか人を惹きつけますねぇ。

森の中には魚(うお)の池があり、そこにはトンボや水生昆虫が生息しています。

この日、あまり数は見られませんでしたが、モノサシトンボやアオイトトンボ、ギンヤンマやオニヤンマ?などが見られました。水面には気持ちよくスイーっと浮かぶアメンボも。

急斜面のため池の近くまでは行けませんが、じっとしていると生きものの方から近づいてくれますよ。



近くのテニスコート広場でも昆虫探し。

ここでもチョウやトンボを中心に捕まえようと子ども達は追いかけ回しますが、なかなか捕まりません(笑)

そんな中、近くにある木を見ると・・・


左:クマゼミ    右:ニイニイゼミ


同じ木に10匹以上の抜け殻がくっついていました。

セミは木の枝や幹に産卵管という管を通して卵を産み付けます。たいていのセミは翌年の初夏になると、卵から孵化した幼虫が木から出て、木から下りて土の中に潜ります。幼虫は木の根から樹液など吸いながら数年かけて成長し、時がくれば土から出て、木などに登り、羽化の準備を始めます。羽化するために土から出てくるのは日暮れから。これは鳥など天敵に狙われないようにした自然の知恵なのでしょう。

昼間に木の下で小さな穴を見つけたなら、それはセミの幼虫が抜け出た後かもしれません。7~8月、風のない暖かい日の夕暮れからはセミの羽化を観察するのもいいかも。

またセミの抜け殻は採取した場所と日時などを記録すると、セミの分布を調べるのに役立ちますよ(自由研究のヒント!)


【AR日記 広島2010年7月20日「アブラゼミの一生」】

https://chushikoku.env.go.jp/blog/2010/07/20/


クラフトハウスに戻り、少し休憩した後は広場でバッタ探し競争!

・・・のはずが、広場いっぱいに飛んでいるナツアカネやショウジョウトンボ捕りがメインになってしまいました。

講師から「追いかけるんじゃなく、じっと待ってトンボからやってきたところで捕虫網をかけるんだよ」とアドバイスを受けるも、体は自然と追いかけてしまうようです(笑)



さぁ、タイムアップ!何匹捕まえられたか数えてみましょう!



・・・なんと、1番多い子は24匹も捕まえていました!ツマグロヒョウモンやナツアカネ、ショウリョウバッタにクロアリといろいろありました。

そんな子ども達にはスタッフ手作りのうれしいプレゼントが★


竹の皮で作られたバッタです。


観察し終えた昆虫はまた自然に帰しました。

昆虫観察は捕まえる楽しさだけでなく、観察する楽しさ、自然に対する優しい気持ちを育んだり、また今必死でやっている宿題のテーマ決めなどいろんな種類の楽しさがあります。昆虫は少し怖いな、と感じる子もきっと何かきっかけがあれば好きになるかも。

そして、昆虫観察や採取する時は以下のことも気をつけてもらえるといいですね。

・肌を守るために長袖、長ズボン、運動靴、帽子など服装はしっかりと準備しましょう。

 スズメバチや蚊は黒いものに寄りつきやすいので黒い服は避けましょう。

・水分やタオルなど日焼け、暑さ対策は十分に。

・捕虫網や虫かごなど道具はていねいに正しく使い、ギュウギュウになるまで虫かごに入れないようにしましょう。

・昆虫を捕まえる時はそっと、やさしく持ちましょう。


夏~秋にかけては虫の鳴き声も変わる季節。

目に見える昆虫だけではなく、耳で感じる昆虫も楽しんでみましょう。