アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
国立公園・大山ユートピア登山道の動植物
2016年06月08日ご訪問ありがとうございます。
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2016年6月1日(水)にユートピア登山道巡視を行いました。
今年に入って大山山系の登山は、ちょうど15回目になりました。
高山での空気は、新鮮で毎回新しい発見に心がおどります。
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大山夏山登山コースとユートピアコースを簡単に比較してみると大山夏山登山コースは6合目近くで樹林帯が終わり、視界が開けてきますが、一方のユートピア登山コースは多くが樹林帯の中を歩み、ようやく上宝珠あたりから視界が開けてきます。また夏山登山コースの直登登山と比べて、ユートピア登山コースはアップダウンも多少有り変化のあるアドベンチャーコースと言えます。それでは、ユートピアコースの動植物を紹介します。
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この日、最初に出会ったのがゴジュウカラでした。
ゴジュウカラは、平地から山地にかけての落葉広葉樹林に生息し、木の幹に垂直にとまり、頭部を下にして幹を回りながら降りる姿はまさにアクロバット的と感じています。
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アカモノ
高山などの岩場や道沿いの斜面など、日当たりの良い場所に群落を形成して生育しています。
花の姿は、ツガザクラに似ていますが、アカモノは葉が大きいのが特徴です。
葉の長さは1.5~3cm、茎の下部は地面を這い、5月から7月にかけ、白い小さな花を咲かせる。若枝には赤褐色の毛が多く見られます。
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タニウツギと大山北壁
男性的な大山北壁とは対照的に、パステルピンクのタニウツギが優しく風に揺らいでいました。漢字では「谷空木」と書きます。そしてウツギという意味は中が中空であるということで、髄が大きく木部が少ないことによる。正確には中空ではなく、髄として軟らかいスポンジ状のものが詰まっている。
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ダイセンクワガタ
ミヤマクワガタの仲間で鳥取県の大山の固有種です。
花が終わり、果実につく萼の形が兜の鍬形に似ることが名前の由来です。
高さ20cm程度で葉は対生し、長さ3cm程度の長楕円形で、縁に不揃いの鋸歯があるのが特徴です。
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マイズルソウ
雲霧環境を好み、海に迫った降雨量の多い山では比較的低高度で見られる傾向がある。
ハート型の葉が印象的です。
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孝霊山と美保湾
孝霊山は、その昔高麗山と呼ばれていました。
美保湾を形成する弓ヶ浜半島は、鳥取県西部の米子市と境港市に連なり弓浜(きゅうひん)半島ともいわれています。全長約17km、幅約4kmの日本有数の砂州で日本海(美保湾)と中海を分けています。
出雲風土記の国引き神話では島根半島を引き与せる綱として伝えられています。
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ユートピア登山のコースタイムは、博労座駐車場から下宝珠登山口まで約30分。下宝珠登山口からゆっくり登ってユートピアまで約2時間で登り、合計約2時間30分。
下りは、来た道を戻り約2時間で博労座駐車場へ到着できます。
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ユートピアでは7月下旬から8月上旬にかけてナンゴククガイソウ、シモツケソウ、コオニユリなどでユートピア一帯がお花畑で彩られます。
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ユートピア登山道は急傾斜や尾根沿いの岩場を歩く箇所がありますので十分に気をつけて通過してください。また雨天の翌日は登山道が大変滑りやすいため、登山は控えるようにしてください。そしてご自身の体調、体力によっては大変過酷な登山になることがあるため注意してください。
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大山の登山道の多くには、貴重な自然が残されています。
国立公園内では自然を大切にすることを心がけ、気持ちの良い登山と自然観察を楽しんでください。
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最後までご覧くださり大変ありがとうございました。