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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

鳥取県 国立公園・大山山系 鳥越・地獄谷ルートの植物

2016年06月27日
大山隠岐国立公園

ご訪問ありがとうございます。

6月17日(金)国立公園大山 木谷登山口から出発し、特別保護地区の巡視を行いました。このルートは現在管理者がなく、バリエーションルートの位置づけになりますが、現状把握の観点からパトロールを行いました。

なだらかな坂の健康の森を歩き、いくつかのベンチを通過し、突き当たりの立ち入り禁止ロープが見えたら右折して、鳥越えルートに入り、鳥越峠を目指して登る。ここから、反対側に下り、駒鳥小屋を目指しました。

駒鳥小屋の手前には苔むした一枚岩があり濡れていると滑るので要注意。ここを通ると、駒鳥小屋は近い。次第に地獄谷の沢の小さな音が耳に入ってくる。駒鳥小屋に到着すると室内に古びた一冊のノートが置いてあり、中を読むと登山者の様々な思いが綴られているので時が経つのを忘れてしまいそうでした。

休憩が終わり、地獄谷に下る。さっそく急斜面をロープでつたって降りる。降りたところから右手にほぼ水平に歩くとその山腹と歩道に山水が相変わらず流れていました。
歩道の突き当たりに短い梯子があるが、水に濡れて足置きがぬめっているため毎回、間違いなく滑るので注意して降りる。そして地獄谷に降りると大山の桃源郷と言っても過言ではないと感じている。特に、紅葉時期の地獄谷は途方もない美しさを持っている。ネパールに分布する桃源郷と比してみても、厳しさと優しさの両方を持つ個性豊かな地獄谷を私は気に入っています。

イラクサ。
イラクサは全草に細かい刺があり、その刺にはヒスタミンが含まれているために不用意に素手で触ると、痛く、痒くなるため注意が必要です。
また、痛みが続くため、イライラすることから、イラクサと名付けられています。

ギンリョウソウ。
「銀竜草」の名前の由来は、銀のように渋みのある光沢があり
首をもたげた龍の如き気高さがあるところからきているそうです。
中国大陸では、「水晶蘭」と呼ばれています。

ノリウツギ。

山地の林縁などに自生しよく目立つ花です。枝の先に白色の小さな雄しべと雌しべをもつ両性花が円錐状に多数つき、その中に花弁4枚の装飾花が混ざっています。

樹液で和紙を漉く際の糊に利用したため、この名がついています。

チマキザサ。

葉の両面および竹の皮など、全体が無毛であることを利用し、チマキをつくったり、料理を盛るなどに利用されています。また葉の長さは1035cmとされていますが、25cm前後が標準とされている。子どもの頃の、祖母と母のチマキつくりを手伝いが懐かしくよみがえります。

カラマツソウ。
人里近い里山から、山地の草原、湿原、高山の草原帯などの日当たりに見られ、夏山の代表的な植物の一つです。 雪解けからしばらくたつと芽を出します。茎は立ち上がり、夏の声を聞くころから、白くて美しい可憐な花を房状に咲かせます。

オオナルコユリ。

丘陵地や林の木陰などに自生する多年生草本で、北海道から九州及び朝鮮半島に分布します。 丈は大きいものでは1mに達し、茎は少し横に傾き、葉は細長くササの形をしています。

サンカヨウ。

丘陵地や林の木陰などに自生する多年生草本で、北海道から九州及び朝鮮半島に分布します。 丈は大きいものでは1mに達し、茎は少し横に傾き、葉は細長くササの形をしています。 地下茎は節が多く肥厚しています。
美しいブルーベリーに似た青い実をつけていました。

クサアジサイ。

多年草でやや湿った林内に生える。 草丈20~60cm。      
葉は互生で葉身は広披針形。葉先は尾状の鋭尖頭。細かい毛がはえている。
茎の先に散房状の花序を出し、淡い紅紫か白色の両性花と装飾花をつける。
両性花は直径5~7mm。

トリアシショウマ。

名前の由来は、花の形ではなく、若芽の頃に茎の先端から出る3枚の葉の閉じた姿が、鳥の足に似ることからと言われています。

駒鳥避難小屋(鳥取県所管:1950年建築)。
その昔、この辺には駒鳥が生息していたそうです。
そこから駒鳥の名前がつけられたそうですが、現在では駒鳥の姿を見ることができません。

紅葉シーズンの駒鳥小屋一帯は大変美しいです。

エゾアジサイ。
花は、美しい青紫色で、山地の半日陰に好んで自生し、多数の小型の両性花と装飾花があり、緑一色の山地でその美しさに魅了されます。大山地域では沢山見ることが出来ます。

ウツギ。
主な開花時期は5月~6月で、枝の先端に1cm程の白花を次々とたくさん咲かせます。葉のフチにはぎざぎざがあり、全体に毛が生えているので触るとざらざらしています。

ミゾホオズキ

全体に柔らかく、毛はない。径は枝分かれて広がり、斜上して長さは10-30cmになる。

山野の水湿地、湧水のほとり、溝などに生育し、ヒマラヤにも分布しています。

地獄谷の豊かな水湿地環境でごく僅かですが観察することが出来ました。

地獄谷

地獄谷には定まった道がないため、歩きやすそうなところを選んだり、石や岩の上を歩いたり、川をジグザグに渡ったり、時には膝から腰まで水に浸かったりして進みます。

振子沢の源流から地獄谷に流れる水は、下流に行くにしたがって水量が増し「加勢蛇川」となり琴浦町に出て最後に日本海に注がれていきます。

地獄谷・夫婦滝(写真中央に2本の滝)

この滝は、大山山系の中では最も標高が高く1,000mあたりに位置しています。

向かって左が雄滝で水源は鳥越峠と烏ケ山の間にある三角点で、滝までの斜面距離はわずか700mと言われています。一方の右手の雌滝は、水源までの距離が600mほどさらに短く、泥壁と呼ばれる火山砕屑層の水を集めていると言われています。

地獄谷・烏谷入口

ここでは、ほんの僅かしか水が流れていませんでした。もともと烏ケ山そのものの水量が少ないのかもしれません。

地獄谷にはいくつかの滝がありますが、ここの滝は(からす)(たに)いざなうような神秘的な世界を感じました。この滝を「烏谷滝」と言う人もいますが、地図を見ても正式な名前が見当たりません。

今回はここまでの巡視としました。

これより、下りの一向(いっこうがなる)方面へさらに進んで行くと、「地獄滝」、「大休滝」を見ることが出来、、さらに進むと左手に赤いペンキを塗った岩が見えてきます。この場所に大休口登山入口があります。そこから急な登坂を終えると大休口に到着します。そこからしばらく平坦地を歩くと勇壮な大山滝に着くことが出来ます。

ただし、これより先は川の中に入る機会が多くなり、川を渡る際には膝から、時には腰以上まで水に浸かることがあります。また、計4カ所の垂直(4m6m程度)のコンクリート堰堤をザイルロープで降りるなど、危険な場所があるため、ヘルメットやグリップの良い靴など、十分な装備が必要となります。

その他、近年地獄谷の烏谷入口から東側では、土砂崩れが発生しています。今後も土砂崩れの可能性があるため進入には十分気をつけてください。もし地獄谷に進入する際は、経験豊富なリーダーと同行するようにしてください。

また、「大山滝」を見学する場合は、琴浦町「一向平キャンプ場駐車場」から徒歩40分程度で、到着することが出来ます。

最後までご覧くださりありがとうございました。