アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
オキタンポポとセイヨウタンポポ
2016年04月20日こんにちは!隠岐の久永です。今回はオキタンポポという隠岐固有のタンポポと近年になって隠岐に入ってきたセイヨウタンポポの違いについてです!
隠岐にはオキタンポポという固有の植物が生育しています。このオキタンポポは隠岐が本土とつながっていた時代に入ってきたと考えられています。
その後、海によって隔てられ、独自の形態や遺伝子をもった種へと進化したと考えられています。
しかし、近年外来のセイヨウタンポポが隠岐にも侵入してきました。
まず、考えられる影響としてセイヨウタンポポとオキタンポポの生育地の奪い合いがあります。この奪い合いは果たしてどちらに軍配が上がるのでしょうか。両者の特徴を見比べてみましょう。
ここでポイントとなるのは種子の数と花の大きさです。セイヨウタンポポは花の大きさだけでなく種子や綿毛の大きさも小さいです。タンポポは風に乗って種子を運びますが、種の数が多く、綿毛や種の大きさも小さいセイヨウタンポポの方がより遠くへたくさん運ぶことができます。
そのため、生育地の奪い合いはセイヨウタンポポの方が強いとされています。
セイヨウタンポポの影響は生育地の奪い合いだけではありません。オキタンポポと違い、セイヨウタンポポは受粉しなくても増えることができます。さらに、セイヨウタンポポの花粉がオキタンポポの花に運ばれると受粉し、雑種のタンポポができあがります。こうした雑種のタンポポにセイヨウタンポポの無性生殖の特徴と隠岐の気候に適した特徴が受け継がれた場合、雑種のタンポポが隠岐にはびこり、純粋なオキタンポポの遺伝子は減っていきます。
雑種のタンポポを見分けることは難しく効率的な駆除の方法も見つかっていません。
今回は少しネガティブな情報発信でしたが、環境保全に取り組む際にひとつの考え方があるときいたことがあります。
それは「楽観的悲観主義者」という考えで、これは環境問題に関して私たちは悲観主義者であるべきで、起こっている問題や、その解決の難しさをしっかり知らなければならない。そしてその上で「解決が困難なのは分かったけど、それでもできるかぎりのことをしよう」という楽観的な決意をしなければならないという考えです。
隠岐で起きている環境問題から目をそらすのではなく私たちと一緒にポジティブに取り組んで行きませんか?