アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
鳥との距離感【島根の自然】
2016年03月16日こんにちわ松江の宇佐美です。
昨日の渡り鳥調査では、コハクチョウとマガンは見つからず、ヒバリが見られるようになりました。
季節が変わり北へと帰っていったようです、、ちょっと寂しいですね。
今回は私たちの身近にやってくる鳥たちとの付き合い方について考えてみたいと思います。
堤防から水面を覗くと、カモがすーっと遠ざかっていきます。
さらに近づくと飛んで逃げます。
警戒されている証です。少なからずストレスを与えていることになります。
▲警戒するコハクチョウ
警戒して一斉に首を伸ばし、鳴き声を上げています。近づきすぎました。
なるべくストレスを与えないようにするために、少なくとも田んぼ一反分はさんで観察したり、
車から降りずに観察するようにしましょう。
マガンが道を塞いでいます...
このような場所ではマガンが道路に大量のフンを残している場合があります。
ちなみにマガンは国の天然記念物にして環境省RDBではNT(準絶滅危惧種)です。
マガンをはじめとする渡り鳥の多くは鳥インフルエンザのリスクを持っています。
むやみに近づくとフンを踏んで拡散させてしまう恐れもあるのです。適度な距離を保ちましょう。
以下最近宍道湖周辺にやってきた希少種とされる鳥たちです。
▲ソデグロヅル 2015年9月
推定個体数3000~4000羽の世界的希少種です
IUCN REDLIST:CR(環境相RDB絶滅危惧ⅠA類相当)
▲ヘラサギ 2015年6月
環境省RDBではDD(情報不足)としていますが、かなりの希少種です
▲ハヤブサ 2016年2月
環境省RDB:VU(絶滅危惧Ⅱ類)
▲ズグロカモメ 2015年2月
環境省RDB:VU(絶滅危惧Ⅱ類)
▲ツクシガモ 2016年1月
環境省RDB:VU(絶滅危惧Ⅱ類)
ラムサール条約は、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(The Convention on Wetlands of International Importance especially as Waterfowl Habitat)」といいます。
この条約の登録湿地である宍道湖とその周辺の田畑には、水鳥に限らずたくさんの鳥たちが訪れます。
多くの人に身近に訪れる鳥たちに興味を持ってもらい、保護が必要であることを知っていただきたいと思います。その上で共生のための行動やマナーを普及することが重要です。
適度な距離を保ち、ヨシ原を刈り込み、田畑を維持しなければなりません。
現在ふつうに見られる鳥たちも将来保護が必要になってしまわないように、どうぞご協力をお願いします。
IUCN:国際自然保護連合
RDB:レッドデータブックの略。絶滅危惧種のリスト及びランクを掲載。
絶滅危惧種:絶滅の危機にある生物種のこと。
~絶滅危惧種のランク(危機が大きい順)~
CR:絶滅危惧ⅠA類...ごく近い将来における絶滅の可能性が極めて高い
EN:絶滅危惧ⅠB類...ⅠA類ほどではないが近い将来における絶滅の可能性が高い
VU:絶滅危惧Ⅱ類...絶滅の危険が増大している種
NT:準絶滅危惧種...現時点での絶滅危険度は低いが、存続基盤が脆弱