アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
中海の渡り鳥たち
2015年12月10日「中海(なかうみ)」
鳥取県と島根県にまたがるこの湖を、皆さんはご存じですか?
<遠くに大山がそびえます> <アオサギ>
【中海とは??】
①日本で5番目に大きい汽水湖(きすいこ)
日本海の湾の入り口が砂州(さす)によって塞がれ、一部の水路によって日本海と繋がっています。
淡水と海水の混ざった汽水湖で、様々な海藻類、魚類、貝類が生息する自然環境豊かな場所です。
②日本最大級のガンカモ類の越冬地
ハクチョウ類、シギ・チドリ類、猛禽類などの渡りの中継地や越冬地ともなっています。
特に冬になると、たくさんのコハクチョウやホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモなどがやってきます。
エサなど豊かな環境を求めて、季節的に中海にやってくるのです。
<渡りの季節、たくさんの鳥たちが集います>
③国指定鳥獣保護区である
区域内の鳥獣の保護や、その生息地の保護をする必要があるとされています。
<鳥獣保護区について↓>
http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area1.html
④「ラムサール条約」に登録されている
中海は水鳥の生息地として、国際的に重要な湿地と認められています。
<ラムサール条約について↓>
http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/2-3.html
<中海・宍道湖ラムサール条約登録10周年記念イベントの様子>
●夏の繁殖地と、冬の生息場所と、遠く離れた場所を定期的に移動することを「渡り」といい、
「渡り」をする鳥たちのことを「渡り鳥」と言います。
この渡り鳥の飛来状況を知るため、私たちは渡りの季節になると毎年、調査をしています。
上記で紹介したような鳥たちの他、希少な鳥類もたくさんやってきます。
<調査の様子> <スズガモ>
<キアシシギ> <オオバン>
<スコープを覗くとホオジロガモが!> <ミサゴもよく見えます>
調査では、どんな種類がいるか、何羽いるか、衰弱した鳥など異常はないかを調べます。
スコープを使えば、肉眼では見えない1羽1羽の様子が分かります。
*羽の色、模様、目の色、尾や首の長さ、形、大きさ、泳ぎ方、飛び方、鳴き声。
*集団で列になっているもの、1羽でプカプカと漂っているもの、遅れて飛び立つもの。
*懸命に潜ってエサを探すもの、羽づくろいをするもの、羽をバサバサと広げるもの。
表情こそありませんが、鳥たちのユニークな動きや美しい姿に、時間を忘れて見とれてしまいます。
中海ではさくさんの鳥たちを、より身近に感じることができます。
寒い冬だからこそ見られる、鳥たちの様子を、皆さんもぜひ観察してみてください。