中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

宍道湖水草問題

2015年12月03日
松江

○ 宍道湖清掃 ○

 

天候に恵まれました
12/2(水)、宍道湖漁協さんにお願いした宍道湖清掃に参加して参りました。

年一回の本イベントは、本来は漂着ゴミなどを集中的に掃除する日です。
しかし今年は子どもパークレンジャー事業でも取り組んだ水草の除去がメインとなりました。

 

宍道湖各地にある港で手作業で水草を刈っていきます

 

オオササエビモを袋詰めにしていきます

袋に詰めて回収

 

ふくろの山

ふくろの山になりました。処分にも多額の費用がかかります。
港から引き上げてしばらく放置して枯らせば体積は減らせますが、かなりの腐臭が発生してしまいます。

 

スクリューにからまるオオササエビモ

水草のある場所でエンジンを動かせば、スクリューに絡まります。
港の内側は防波堤により波が抑えられるため、水草が生えやすく漂着物もたまりやすいのです。
こうなると漁に出るどころではありませんね。

 


打ち寄せられ泥質化しかけているシオグサ(左)と新鮮なシオグサ(右)。

宍道湖では「なめたれ」と呼んでいます。

さらに冬になり水草が腐ると、ヘドロになります。
このような場所では酸素が乏しく、硫化水素が発生するなど生物にとって厳しい環境です。
とくにシジミなど湖底で暮らす生物への影響は大きく、みんな死んでしまいます。

 
本事業はグリーンワーカー事業の一環で行われました。
しかし普段は漁師さん達の各自の努力で水草の除去が行われています。
私たちも、宍道湖を守るためにできることをやっていきましょう。

 

 

○ 水草問題について ○

 
 昔は水草を刈り取り、肥料として田畑に直接鋤(すき)込んでいました。これを「藻刈り(もがり)」と言います。湖の余分な有機物を持ち出して田畑の肥やしとし、上手に物質を循環させていたのですね。

 
 ところが化学肥料がある現在では、そんな手間がかかることはしなくなりました。


 宍道湖ではここ4~5年ほど水草が急に繁茂するようになりましたが、これを取り除くシステムは失われていました。そして絡みついては漁師さんを困らせ、ヘドロ化して水の"汚れ"となり、ひたすら湖底に堆積してはシジミを困らせています。
 なお水草が復活してきた原因については水の塩分濃度や透明度の変化などさまざまな要因が考えられ、はっきりしていません。

 
このため
・水草や藻類の処分方法あるいは新たなバイオマス資源としての利用方法の開発
・効率よく水草を刈り取るための器具や船などの開発、
・宍道湖における水草の繁茂要因の解明、発生抑制方法の研究

などなど、この問題における課題は山積しています。