アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
【紅葉情報】 寒霞渓のご案内
2015年11月13日五色台に続いては、香川県内屈指の紅葉の名所・寒霞渓です。
例年だと寒霞渓の紅葉の見頃は11月中旬なのですが、今年は色付きが早いようで、今月11日に現地巡視に行った時の様子をご紹介します。
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【銚子渓】
銚子渓自然動物園お猿の国の近くには銚子の滝があり、車道から下りて見られる場所があります。駐車場から土庄港方面に戻る方向へ約100m進むと、谷側へ下りる道が出てきます。歩道を下りた分岐を左へ、そのまま道なりにほぼまっすぐ進むと滝壺近くへ出ます。ただし、歩道は石階段状にはなっている所もありますが、柔らかい土道で案内標識がないので不安な方や足下がスニーカーなど動きやすい靴でない方は止めておいた方が無難ですね。滝壺まで行かれる方も落ち葉の影響もあって、少し滑りやすくなったり、段差が見えづらくなっているので十分ご注意ください。
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左:下から見た滝のようす 右:滝見茶屋から見た滝
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10月は雨量が少なかったせいか、5月に見た時よりも水量が少なく、やや迫力は薄れますが、それでも滝や葉の落ちる音、野鳥の鳴き声などを聞きながら見る滝は見応えがあります。
イロハモミジの色付きはまばらで、全てが真っ赤に染まるということではないですが、それでもやはりきれいでしたね。
上:同じモミジでも色付きは異なります
左下:滝壺近くから下流方向へ 右下:今年はドングリの当たり年!
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【寒霞渓】
銚子渓から寒霞渓に向かう車道沿いも紅葉が進んでいました。
途中、スギや松の緑と紅葉がいい色合いの道になっていました。
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四方指付近
四望頂付近
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さすが紅葉の見頃とあって、平日でも山頂駐車場はほぼ満車、大型バスには国内だけでなく、韓国や台湾など海外からの団体客で溢れかえっていました。
団体客は時間制限もあるので山頂~四望頂付近まで足を伸ばして、眺望を満喫していました。
雨上がりのよく晴れたこの日は、四阿でランチを取る人も多く見られました。
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鷹取展望地からの眺望はオススメです!
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そして、眺望を楽しむ方だけでなく、歩いて紅葉を楽しもうという方も多くいらっしゃいました。
巡視では、山頂→四望頂→表神懸遊歩道→紅雲亭(ロープウェイ麓駅)→(車道)→裏神懸遊歩道→山頂と約4.5㎞のコースを利用しましたが、この時期が1番利用者が多いと毎年感じます。
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左:表神懸遊歩道下山口近くから望める奇岩・烏帽子岩(えぼしいわ)
内海湾まで見渡せ、四望頂の名の通り山、海、空に視界が開け、四方の展望を楽しめることから
名が付いたのが分かります。
右:表神懸遊歩道内 常緑樹が多いですが、程よい湿度で心地いいです。
落ち葉の絨毯をお楽しみください★(滑りやすいのでご注意ください)
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足下を彩る小さなイワヒバの紅葉もオススメです。
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紅雲亭に着いて、山頂を見上げるとまだ紅葉はこれから、という感じでした。
紅雲亭から裏神懸歩道口までは車道を通り、案内看板の方向に向かって進みます。
左:紅雲亭~裏神懸遊歩道口までの車道から
右:登山口~石門洞間にある法螺貝岩(左)と大亀岩(真ん中)
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左:石門洞 モミジはまだ緑
右:裏神懸遊歩道内 少し勾配がありますが、ゆっくりと登れば大丈夫です
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山頂展望台近くのモミジは枯れたものもあれば、まだ緑のもあり、あまり状態がよくないようです。
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さて、秋になると葉が赤や黄色くなるのは、なぜ・・・?
秋になるとブナのような黄葉する樹木の葉の中には、緑(クロロフィル)と黄色(カロチノイド)がありますが、緑の方が圧倒的に多く含まれ、それが光合成を行う葉緑体として働いています。秋になると気温や日照時間が下がり、光合成の効率が低下し、樹木は落葉の準備に入ります。光合成で作る養分より消費する養分の方が多くなり、緑の色素が分解→減少した結果、分解されにくい黄色色素が残り、色づきます。
では、紅葉は・・・?
よく聞くのは、葉の中に残った糖の働きによって、赤色素であるアントシアニンが生成され、最低気温が8℃下回ると、葉の養分を運ぶ管が閉じられることで色付きが始まるということ。
そういえば、同じ場所、同じ樹木なのに毎年紅葉の色付きが違うことに気付いたことありませんか?
実はこのような条件が揃えば、真っ赤に色付き、きれいな紅葉が見られるのだそう。
■日中の天気がいいこと
赤い色素となる糖分は光合成によって作られます。
→糖が作られないとアントシアニンが生成されません
■昼と夜の寒暖の差があること
夜の気温が高いと、昼間作った糖分を使って活動してしまうため、鮮やかな赤になりません。
→糖の減少=アントシアニンが減少するということ
■適度な雨や水分があること
乾燥しすぎると葉が紅葉する前に枯れてしまいます。
→今年の10月は雨量が少なかったのが原因かもしれません
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こんなことも思い出しながら、毎年の紅葉シーズンを楽しんでもらいたいですね。
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注)寒霞渓~銚子渓にかけて野生の猿がたくさん出没します!
彼らは車すら避けないので、集団で車道に出ていたら超低速で進んでください。
決して窓を開けたり、エサを与えないで下さい。大変危険です!