中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【体験教室】 昆虫観察会

2015年07月29日
高松 大林めぐみ

夏休みに入って1週間。四国もやっと先週末に梅雨明けしました!

プールに海、山でのレジャー、家族旅行や林間学校などなど、楽しいことがたくさん待っている夏休みですが、子ども達にはさらに待っているものが。

そう、宿題。

7月の五色台体験教室は、そんな子ども達の自由研究の材料としてピッタリな昆虫観察会を行いました。今回の昆虫観察会は、2ヶ月前にはキャンセル待ちになってしまい、スタッフ数を考慮した結果、予定より多めの約30名を受け入れさせていただきました。

          <フィールドに出る前の準備>

フィールドに出る前に、まずは触ってはいけない、威嚇してはいけないなど注意しなければならない生き物についてレクチャー。最近何かと話題のマダニや危険生物の常連・マムシにスズメバチ、知らずに触りがちなウルシやハゼなど、特に小さなお子さんを持つ親御さんにはしっかり聞いて欲しいことです。このレクチャーをすると、たまにフィールドに出るのを怖がる子もいますが、何も知らずにフィールドに出てしまう方が最も危険!しっかり対処方を聞いて、気を付ければ大丈夫です♪

早速、みんなでバッタ探し!前日にインタープリター(以下:IP)が探した時は1匹しか見つからなかったそうですが、30人一気に広場に入るとバッタも一気に飛び跳ね、トノサマバッタにショウリョウバッタ、エンマコオロギなど捕まえました。

ここで質問。みなさん、バッタの顔を見た時に目と口は分かりますよね?では、耳は一体どこにあるのでしょうか。「そもそも耳があるの?」という声が聞こえてきそうですが。

答えは・・・

<赤○部分の穴が耳>

バッタ科は後ろ足の付け根に耳がありました。オスが前翅をこすり合わせ、鳴き音を出し、それを聞いたメスがオスに近寄ってくるために耳はあります。そう、心地よい鳴き音を出すのはオスだけ。野鳥にしても昆虫にしても、オスはメスの気を引くためにいろんな工夫をしているんだな、と思いました。キリギリス科(キリギリス、ツユムシ、ササキリなど)とコオロギ科は前足の関節近くにあるので、捕まえた時にそっと探してみてください。

バナナ+焼酎+酢を混ぜ、発酵させた虫寄せトラップには残念ながら引っ掛かってくれず。。。しかし、キャンプ場奥で仕掛けたトラップには、オサムシ、シデムシ(幼虫・成虫)がいました!初めて見るシデムシの幼虫(三葉虫のような形)に釘付けのようでした。

シデムシのような動物の死骸を食べ、分解してくれる昆虫がいるからこそ、土が肥え、また植物が育つ環境が整います。カブトムシのように目立つ昆虫ではないですが、こうした役割を持つ生き物がいるからこそ成り立つ自然環境があると学びました。ちなみにここで仕掛けたトラップは、レトルトのちらし寿司の素です。

さて、お次のトラップは人が仕掛けたものではなく、昆虫が仕掛けたもの。

旗を立てたすぐ側には小さな穴が。

この穴の下に潜んでいるのがアリジゴク、ウスバカゲロウの幼虫です。穴に落ちた昆虫を捕らえて食べる肉食性のアリジゴクは普段表に出ないため、その姿を見たことがないのでは?そこでシャーレを使って土をすくってみると・・・いました!

こんな姿をしたアリジゴクですが、成虫になると名前通り、トンボに似たカゲロウになります。このように完全変態する昆虫を1から観察すると、姿だけでなく生態や生息する環境の違いなどいろいろ学べますよ。来年の自由研究を今から始めておくのもいいかもしれません。

魚の池では恒例のアメンボの匂いを嗅いだり、トンボを捕まえたり。今の時期はギンヤンマにショウジョウトンボ、モノサシトンボ、クロイトトンボ、シオカラトンボと見られる種類も増え、広場ではウスバキトンボがたくさん飛んでいます。ここで活躍するのはやはり親御さんたち。中にはトンボ2匹同時に捕まえたお母さんも!捕まえたお母さんの子どもは「これ、お母さんが捕まえたんだよ!」と何だが誇らしげでした。

小さな子はすばしっこいトンボを捕まえるのは一苦労なので、セミの抜け殻探しをしたり、ダンゴムシやアリの行列を観察したりと、昆虫観察は子ども~大人まで楽しめ、そして新たな発見もできます。

おうちの庭や公園から始めても十分楽しめる昆虫観察。自由研究だけでなく、絵や工作などいろんなヒントが隠されているかもしれませんよ。

<鳴き声や昆虫の特徴が表れている絵を描いてくれました!>

=============================================

****************夏休み自由研究お助けプログラム*************** 

       『小鳥の巣箱づくり&使ってもらうための方法』

小鳥の巣箱を作るだけでなく、使ってもらうための方法や野鳥の基礎知識、双眼鏡と望遠鏡の使い方などを学ぶ、自由研究お助けプログラムです。野鳥好きっ子には必見です!

日 時:8月9日(日)9:00~12:00

場 所:五色台ビジターセンター

参加費:1,000円/巣箱1個(材料費+保険代)

申 込:事前受付・先着10名(参加条件:原則小学4年生以上)

問合せ:http://goshikivc.web.fc2.com/

---------------<余談>------------------

体験教室とは別日に、とある方とお話した時に「自由研究は夏休み終盤になって始めるのでは遅い。子どもが何に興味を持って、何をやってみたいか、そこから失敗・成功両方学ぶことが自由研究の醍醐味。大人はすぐに答えや手を出してしまいがちだけど、子ども自身で考え、気付きを見つけられるように導くこと、待つことが大人の重要な役割」。

教える・催促することと導くことは紙一重だけど全く違うことだと感じた言葉でした。