アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
【体験教室】 ミサゴ観察会in五色台
2015年07月03日6月の五色台体験教室第2弾は、五色台に営巣する鷹の仲間・ミサゴ。
ここ数年、ビジターセンター(以下VC)裏にあるタンベ池奥の松に営巣し、ほぼ毎年ヒナも巣立っています。タンベ池を越えれば海があり、山にはまだ営巣しやすい松があるため子育てしやすい環境なのかもしれません。
野鳥の先生といえば、五色台VCではお馴染み、香川の野鳥を守る会の岩田さん。そしてスタッフには岩田さんの奥様、その子ども達と、なんと一家揃って野鳥に詳しい野鳥一家なのです。
今回は参加者7名と少なめではありますが、その分、望遠鏡を見る時間はたっぷりです。
早速、VC2階デッキへ行ってみましょう!
子育て中のミサゴは、とても警戒心が強く、森からタンベ池に少し顔を出しただけで「キィーッキィーッ」と、ものすごい鳴き声を発します。なので、ストレスがかからないよう遠くから観察します。
今年はなんと3羽のヒナがいるとのことですが・・・
<見えるかな>
望遠鏡でも少し見えづらいですが、かすかに顔を上げるヒナが見られました。親ミサゴはどうやら留守のよう。ここ数日天候が良くなく、親ミサゴもエサを十分ヒナに与えられていないので、魚を持って巣に帰ってくるのでは?という期待を持ちつつ、みんなでチャンスをうかがいます。
その間に「ミサゴってどんな姿?」を岩田さんからレクチャー。
ミサゴは羽根を広げると約1.5~1.7m、1㎏程度の鷹の仲間。四国や本州では留鳥として見られますが、北海道など北のミサゴは本州で越冬します。瀬戸内では、比較的見られるミサゴですが、営巣しやすい松が枯れたり、その他環境の変化により環境省レッドリスト準絶滅危惧種に指定されています。近年では、鉄塔に営巣するミサゴの姿も目撃されています。最近だと徳島県鳴門市に飛来したコウノトリも鉄塔の上で営巣していましたね。
ミサゴはトビと違い、写真の様にのど~腹が白く、尾羽根は丸尾になっています。また、メスとオスの見分け方としては、のどが茶色になっているのがメス。ただ幼鳥だとどちらも茶色いですが、幼鳥は羽根1枚1枚に白い縁取りがあります。
しばらく観察していたのですが、親ミサゴの来る気配やヒナの羽ばたきも見られないので、スタッフに見張りをお願いして、その間に参加者の皆さんはスライドでミサゴを見てみましょう。
ミサゴの好きな食べ物は魚。魚ってヌルヌルしたり、暴れたりと結構掴みにくいですよね。しかし、ミサゴの足はそれに特化した構造になっています。
このウロコ状の足を使って、池や海にダイブして魚を捕ります。それも結構勢いよく頭から突っ込んで下りるのですが、水面直前でこのように・・・
<この体勢の変え方は見事です!>
体半分位が浸かるほど入り、魚が捕れたら足を前後にし、空気抵抗が少なくすむよう魚の頭を前にして、安心できるところまで持って行き食べる、もしくはヒナに与えます。
10数年前に釣りに行った時、バシャンッ!と大きな音がしたと思って振り向くと、目の前で猛禽類が池から魚(しかも大きめ!)をかっさらって行ったのです。こっちは何も釣れず、しかも目の前で魚をさらわれたので完全にやる気0になり、帰ったことを思い出しました。あの頃はトビだと思っていましたが、実はミサゴだったのかな。
という位、他地域と比べると、瀬戸内には意外とミサゴは多く生息しています。特に香川県は平地と池、営巣しやすい山林とが近接しているため、ミサゴにとって棲みやすいようです。
その後、「ミサゴが帰ってきた」という朗報はなかったですが、タンベ池にやってきたカルガモやカワラヒワ、ホオジロなど見られ、今まで聞いても分からなかった野鳥の鳴き声の正体を知ることができました。
スライドでミサゴについて学んだら、最後にみんなでミサゴクイズに挑戦!
1.ミサゴは魚を食べるが、その中で好き嫌いはある?
2.ミサゴは魚を骨毎食べる?
3.ミサゴの英語名は?
4.ミサゴが魚と捕る時に見せる飛び方は何という?
→正解は最後!
体験教室終了後は、岩田さんからお借りしている野鳥の剥製や巣などいろいろ見せて頂きました。剥製だと野鳥の特徴などもしっかり見えますね。
お出かけの際に空を飛んでいる猛禽類がいたら、あれはトビかな?ミサゴかなと探してみて下さいね。
ヒナが無事巣立ち、来年も五色台でミサゴが子育てしてくれますように。
*******ミサゴクイズの正解は・・・********
1.何でも食べます。ボラ、ウマヅラハギ、フナ、長いダツも食べるそうです。
2.エラなど大きな骨は外します。噛むというより飲むように頭から食べていきます。
3.オスプレイ。アメリカでは飛行機の名前に猛禽類の名前を使うことが多いそう。
4.ホバリング。翼を高速ではばたかせ、空中の1点にとどまり続ける飛び方のこと。