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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【体験教室】 音で楽しむ森歩き

2015年04月30日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

4月の五色台体験教室は、いつもの自然観察に音楽が加わったコラボレーション企画。

音楽と自然観察??不思議な組み合わせに一体どんなことが行われるのでしょう。

今回、音楽を担当してくれるのは、瀬戸内国際芸術祭ボランティアサポーターこえび隊の音楽好きが集まってできた「こえびカンダダン」。学生時代に吹奏学部に所属していたり、楽器をやってみたいと集まったグループで、島でのお祭りを始め、さまざまなイベントに引っ張りだこの愉快な楽団です。

    <管楽器に太鼓、ピアニカなどなんだか楽しそうな雰囲気>

会場に到着した時から聞こえてくる音楽に、参加者もわくわくしていました。

今回は音楽ということで、耳慣らしのアイスブレイクを。

中身の見えない筒を振って聞こえてくる音の仲間探し、そしてみんなで中身を当ててみましょう。

    <声に出さず、聞こえてくる音とジェスチャーで仲間探し>
中身は砂、水、ドングリと身近にあるものでした。フィルムケースを使いましたが、別の入れ物を使っても少し聞こえてくる音が違うかもしれません。

耳慣らしが終わった後は、森歩きに際しての危険生物への注意点や服装などレクチャーを受けたら、さぁ森歩きへと出かけましょう。

さっそく広場から下りた所では、野鳥の鳴き声が聞こえてきます。

    <みんな目を閉じて、聞こえてくる音に耳を澄ませます>
"森のピッコロ"と呼ばれるキビタキの声や分かりやすいウグイス、メジロなど聞こえてきます。

・・・すると、聞き覚えのある音楽が。トトロ!野鳥の鳴き声を合わさり、みなさんすごくリラックスした雰囲気。このまま数分いると、大人はきっと寝てしまいそうになるくらい。

出発すると、子ども達は生き物探しに夢中です。地面をじっと見ながら少しでも動く物があれば、集中的に探して、捕まえられたらスタッフに質問攻め。中でも見つけやすく、可愛らしい姿のダンゴムシは人気でした。

上写真:匂いを嗅いでみよう! 

→答えはホンザンショウ(ミカン科)。いい香りがします。葉を見て「寿司にのってる」と答えた子も。
下写真:沢ではどんな生き物が見られるか?演奏される音楽がヒント!

→みんな手が挙がり、答えはそう、トンボ。竹でウッドブロックを模した楽器や空き容器を使ったマラカスを持って、みんなで合奏しました。

この日は気温が上がらず、沢ではカワトンボは見られませんでしたが、ガガンボを捕まえたり、コクサギの匂いを嗅いだり、ヒサカキの葉で草笛を作って吹いたりしました。沢の近くでは薄紫の花のシャガ(アヤメ科)や白い花が茎下に垂れ下がるホウチャクソウ(ユリ科)が見られますよ。

テニスコートでは・・・?"ふるさと"が聞こえてきて、歌詞の中にある「うさぎ」からウサギの痕跡探しです。

痕跡って何かというと。。。

ウサギの糞です。各自旗と目印の洗濯ばさみを使って、見つけたらドンドン差していきます。広さはテニスコート1面あるかないか程度ですが、30本程あった旗はあっという間になくなりました。


<左:ここにもあったよ!> <右:引いて見ると・・・、広場は旗で埋め尽くされる程たくさんの痕跡>
日中は姿を見せにくいノウサギですが、夜になると落ち着ける場所で用を足していきます。

五色台ビジターセンター周辺の広場では、こういった糞がたくさん見られます。また他にもタヌキやイタチも姿を見せることがありますよ~。ただ、日没~早朝はイノシシも活動中なので、十分注意してくださいね。

魚の池に到着すると、子ども達の目は大群のオタマジャクシに釘付け。

ここでも見られる生き物のヒントは音楽で。演奏し始めると・・・。

<左上:「ハイハイッ!」一斉に手が挙がりました!答えは・・・カエルの唄とメダカの学校>
知っている童謡だと思わず口ずさむ子ども達。

歌った後は、網にオタマジャクシをすくって水槽に移し入れて、手で触ってみたり、じっくり見たり。

また魚の池で見られるフタスジサナエは羽化し始めたばかり。羽根やカラダがまだ乾ききっていないので、そっと持って近くで様相を観察。さすがにクロスジギンヤンマは速すぎて捕れませんでしたが、男児がヤゴの抜け殻を見つけてくれました。しかも保存状態は抜群です。

<左上:イトトンボのヤゴ 右上:フタスジサナエであろうヤゴ>
<左下:オニヤンマのヤゴ 右上:帽子に止まったフタスジサナエ>

ヤゴの抜け殻をよく見ると、その独特なアゴをじっくり見ると折りたたまれていることが分かります。ヤゴは捕食する時に下あごがグンッと伸びてワシャッと食べてるのです。映像でみると圧巻です。

魚の池ではメダカもいます。このメダカによく似たカダヤシという外来生物は、他の地域で在来のメダカと交配して雑種が生まれている問題も起こっています。

簡単な見分け方はこちら↓


たっぷり2時間30分歩いた後は、日焼けの後のビタミン補給にぴったりのイチゴと塩分補給のドリンクを飲みながら青空ライブ。

<最初は聞いていただけでしたが、後半は各々楽器を持って合奏>
終始、普段見慣れないフルートやホルン、チューバなどに興味津々な子ども達。自然観察同様、ただ見るだけより実際手に取ってみんなで一緒に演奏する方が断然楽しい!

五感のうち、得る情報のほとんどが視覚ですが、耳を使って、また手で感じること、匂いを嗅ぐことで1つの生き物や植物からいろいろな情報が得られます。そうすると、好奇心もぐんぐん出てくると子ども達の目は2時間前よりもぐっと変わってきますし、まして大人の方が夢中になることも。

五色台は、高松市、坂出市中心部から車で約40分程度と気軽に行ける里山の自然がたくさん感じられます。

このGWの予定がまだの方、ぜひ五色台へお越し下さい。

今は薄紫の花をつけたヤマフジやキリ、まだ見頃のオンツツジやヤマツツジ、園地には色鮮やかなオオムラサキなど園芸種のツツジもお目見えです。

********************5月 GW特別プログラム*************************

        『簡単スモークチーズづくり&プチロープワーク』

そろそろキャンプシーズン到来!アウトドアに役立つロープワークや新聞紙で作る生ゴミ入れの紹介、

そして、アウトドア料理に加えると自慢できるスモークチーズづくりを行います!

ただし、各回限定5人、先着順となっております。お早めに事前予約ください。

日 時;5月3日(火・祝)①10:00~ ②11:00~ ③13:00~ ④14:00~

場 所;五色台ビジターセンター(詳細の集合場所は申込・お問い合わせ下さい)

参加費;300円/人

持ち物;汚れてもいい服装、飲み物など