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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【屋島】 春はそろそろと

2015年03月27日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

暖かくなってきたかと思いきや、急に朝晩が冷え込んだりとまだまだ冬物は片付けられませんね。

さて、先日は瀬戸内海国立公園指定記念日・3月16日に開催された屋島ウォークについて掲載しましたが、今回は屋島の季節情報のお知らせです。

香川県でも先日、栗林公園で桜(ソメイヨシノ)が開花したというニュースが流れましたが、市内中心をはしる中央通り沿いでは一足早く咲くヒカンザクラが濃いピンクの花を彩っています。

そんな中、屋島はというと・・・。

つぼみも膨らみ、日当たりのよいドライブウェイ沿いではいくつか開花したサクラの木もありました。

見頃は4月上旬ですかね。そろそろ地方新聞にも各地のサクラ開花情報が掲載されると思いますので、逐一チェックしながらベストなお花見時期を計画してくださいね。

サクラ以外にも春を感じさせてくれるものがいっぱい見つかりました。

【ナガバタチツボスミレ】
南嶺~北嶺へと続く遊歩道脇で見つけました。スミレは小さくかわいらしい花、という印象ですが、花を一つ一つよく見ると上品で凛とした雰囲気に感じます。

スミレは大きく有茎類と無茎類の2種分かれます。有茎類は地上茎が伸びて葉が互生(互い違いに付く)するもの、無茎類は地上茎が発達せず葉や花柄が根元から付くものです。日本産のスミレは約70種あり、また平地から山地、高山にまで幅広く分布します。春の訪れが遅い山地~高山では平地よりも遅い開花を迎えるので、時期を追うごとに標高を徐々に上げて行くと桜前線ならぬスミレ前線を追うことができます。

登山が趣味の方は、ぜひ足下にも目を向けて下さいね。(ただし安全優先でお願いします)

【アセビ(馬酔木)】

山上駐車場から北嶺への歩道途中にある展望地近くで白とピンクの花を咲かせていました。

可愛らしい壺形の花が垂れ下がって咲くアセビは、庭園などでも見られる樹木。

アセビについた漢字のごとく、馬が葉を食べると毒に当たり、酔うようにフラフラする、ということが語源のようです。実際、アセビは全株、葉、茎、樹皮、花とほぼ全ての部位が有毒のため、草食動物も食べないので相対的にアセビが多くなる地域があるようで、シカのいる奈良公園もその例の一つだそうです。


北嶺の千間広場にある池では、オタマジャクシがいっぱい!

黒くて小さめなのがヒキガエル、真ん中ほどにいる薄い色のやや大きめのがアカガエルです。水中にあるスイレンの葉の上に乗っかっていたり、石影に写真のように団体でいたりとこの時期の池は大賑わい!降雨がしばらくなく、池の水が澄んだ日にはヒキガエルの卵塊痕(長い管状のもの)もまだ見られると思います。

・・・ですが、そんな中、ヤツがいたのです。

どーんと大きなオタマジャクシがいるのが分かりますか?
これ、ウシガエルのオタマジャクシなんです。これまでに鳴き声を聞いたことがなかったのでいるとは思わず。。

ウシガエルは成体になると、昆虫やザリガニの他、小型の哺乳類や鳥類、爬虫類、魚類まで何でもござれといわんばかりに貪欲に捕食します。これの何がいけないのかというと、ウシガエルが定着した池などでは、本来そこにいた在来生物がいなくなったという事例がいくつかあるほど食べるのです。地域の自然環境の中で大きな影響を及ぼし、また生態系を脅かす侵略的な外来生物ということでウシガエルは特定外来生物に指定されています。

子どもの頃、ウシガエルが苦手なのにも関わらず、大きなオタマジャクシがウシガエルだとは知らずに、むしろ当たりだと思って、見つけては喜んで捕まえて、友達が飼っていたアヒルにあげていたなぁと。今思えばあれは拡散を防止していたのか。。。

【外来種について】

http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/basic.html

と、話題が春から少しずれたりしましたが、屋島は少しずつ賑やかになってきています。

北嶺を散策すれば、ウグイスがさえずりの練習をしていたり、タララララッと木を叩く音が聞こえたら近くにはコゲラがいたり、またホオジロやヤマガラ、シジュウカラ、黄色い大きなくちばしのイカルの姿や鳴き声も聞こえてきました。

暖かくなって、春を感じるにはゆっくり歩いて、五感で楽しむのが1番です。

春休みのお子さんを連れて、またご夫婦、友人たちと一緒に春を探しに出かけてみてはいかがでしょう。

【遊鶴亭からの多島海景観をぜひ眺めて下さい】