アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
三瓶山火入れ【イベント】
2015年03月22日3月22日、三瓶山で毎年早春に行われる、草原を維持するための伝統的な行事「火入れ」がおこなわれました。
先週まで暖かかったのにこの日は雪がちらつく天気・・・
全国的に草原の面積が減少している現代でありますが、草原が持つ機能が見直されてきているために日本では火入れを行う場所が増えています。
火入れ前はこんな感じのススキ原です
ボランティアの方々や三瓶山関係機関の職員たちがジェットシューターで鎮火します
この「輪千」という防火帯がないと火がどこまでも広がってしまいます。
輪千は先週これまたボランティアの手を借りて先週つくられました。輪千作りのための労働力確保は火入れを行うのにあたって最も重要な課題です。
煙がすごいんです・・・
でも火入れを行うことで、結果的にCO₂は削減されることが明らかになっています。
火入れ直後は文字通り焼け野原になりました。
2週間後には一面みどりになると言うのですから驚きですね。
参加したみなさまお疲れさまでした。
=解説=
~なぜ草原を守るの?~
○草原で特に注目される生態系サービス(エコロジカルサービス)
高い地下水涵養機能・・・森林におとらず地下水を蓄える機能を持っています
種多様性の保全機能・・・絶滅が危惧される「草原性希少種」がたくさんいます
景観・レクリエーション機能・・・美しい景観やクロスカントリー、ピクニックなどに利用
カヤネズミ ユウスゲ クロスカントリー競技
○全国で進む草原面積減少の要因
放牧の減少 ・・・牛の舎飼への移行が原因
採草の減少 ・・・化学肥料の普及により、草肥利用が少なくなったため
火入れ労働力の減少 ・・・高齢化、後継者不足など火入れの担い手が不足
~なぜ火入れをするの?~
○火入れの効果
樹林化の抑制・・・低木・灌木の生長を抑え、草原環境を維持する
萌芽の促進 ・・・枯れたススキなどを除去し、背の低い草に陽が当たるようにする
CO₂の削減 ・・・毎年高い生産性を維持し、炭として長く地表に固定
☆要するに火入れで枯れ草を除去することで、次世代の草がたくさん生える(たくさん大気中のCO₂を植物体に取り込む)⇒炭にして地中に保存 を繰り返すことで良質な草原を維持しつつ、生態系や環境保全に貢献しているということですね。