中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【瀬戸内海国立公園指定記念行事】 屋島ウォーク

2015年03月17日
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ

昭和9年3月16日に日本で最初の国立公園として指定された瀬戸内海国立公園。その指定日に毎年香川県・高松市が主催となり開催されている屋島ウォークに参加してきました。1月中旬に県広報誌に掲載したところ、1週間もしないうちに定員の100名を超える人数となり、あっという間に募集停止!

開催当日は濃霧が発生したため、参加キャンセルが出ましたが、約120名の方が参加されました。

屋島の麓である出発地点からでも屋島がどこにあるのやら、といったくらい景色が見えません。。。せめて山頂に登る間に晴れてくれればいいのですが。。。スタッフはそんな不安を抱えたまま出発。前日に降雨があったため、当初予定していた浦生古道は避け、西古道から登り始めることにしました。


【森と霧の中を歩くので晴れた日よりも幻想的です】

最初は踏み固められた土道も場所によっては石が露出していたり、木の根が張りだしたりとちょっとした登山といった雰囲気になってきました。普段歩き慣れていない方はペースについて行けるか少し不安??先導する里山ボランティアガイドさんが参加者のペースをみながら合わせてくれるので、さほど早歩きではありません。ただ、普段全く歩かないご年配の方には少々キツイ登りですので、「ついて行けない!」となっても後方からゆっくりマイペースに登ってきて頂ければ大丈夫。無理しないことが1番です。
ボランティアさんの「ここに足掛けるといいよ」「あと○○分」などの声かけのおかげで約1時間かけて屋島南嶺に到着。そして、景色はどうなったかというと・・・。

【全く晴れず!!】
景色も見えないので休憩した後は、2組分かれて屋嶋城と冠ヶ嶽に向かいます。
現在復元中の屋嶋城城壁では、高松市文化財課・渡邉さんより「屋嶋城とは?」「その歴史は?」など高松市民でも意外と知らない山城・屋嶋城について説明がありました。

説明後も参加者からは「石の色の違いは?」など質問が飛び交いました。赤茶色の石は発掘された屋嶋城のもの。黒い石は他から持ってきた石でどちらも同じ安山岩。赤茶色の石も少し削ると黒い部分が出てくるので年月によってこのような色に変化したそう。復旧工事はあと1年はかかるそうで、工事中は重機が入るため普段開放していません。ただ、もっと詳しく知りたい!という方は、高松市文化財課もしくは高松市埋蔵文化財センターに連絡して頂き、渡邉さんと日程調整した上で対応することが可能だそうです。ご興味ある方はぜひ!

その後行った冠ヶ嶽もまだ霧の中で真っ白。参加者の方には晴れた日に来てみて下さいと伝え、その日を楽しみに待ってもらうことにしました。

そして、標高292mの山頂三角点では、里山ボランティアガイド組合・林顧問よりお話。

ちょっとした裏話も交えながら、屋島について語って頂きました。終えて林を抜けて遊歩道へ出ると・・・

【「お~っ!!」歓声があがった先に現れていたのは雲海に浮かぶ五剣山】
普段屋島を利用している方でもなかなか見られない景色ではないでしょうか。頭頂部しか見えていないので、まるで雲海に島が浮かんでいるよう。これは遊鶴亭からの景色も期待できるかもしれません。

南嶺から北嶺へと歩き、千間広場へ到着。ここでお昼休憩し、出発前には林顧問より備讃瀬戸の景色やどうして国立公園に指定されたのか、などお話。

【いつも熱の入った、郷土愛溢れるお話に感心しきりです】
千間堂跡を抜け、常緑樹に囲まれた中道を抜けると遊鶴亭展望地が見えてきました。

比較的霞がかることが多く、少しぼんやりした景色となってしまう瀬戸内ですが、この日は気温が上昇したことで水分蒸発が起こり、それによって海岸部分が霞み、けれど上空では晴れて青空、と様々な現象が合わさって幻想的な風景が創り上げられていました。

遊鶴亭からの景色を堪能した後は、先に見える長崎ノ鼻まで一気に下ります。途中の洞窟に少し立ち寄ったり、鯨大明神でお参りなど寄り道しながら長崎ノ鼻に到着。ここでは元気YASHIMAを創ろう会から飴湯のお接待を頂きました。疲れた体にほどよい甘さとしょうがの香りがすっと染みいります。

頂いた後は海岸清掃です。

大きな発泡スチロールや漁具、またお菓子の袋やペットボトルなどさまざまな漂着ゴミがたくさん落ちており、大きなゴミ袋はあっという間にパンパンになりました。これらは全て故意の有無関係なく人が出したゴミです。ゴミは必ず持ち帰って適切に処分する、ふたのないゴミ箱には捨てないなど1人1人が考えて行動すれば減らせる問題です。またゴミを増やさない、再資源として回収するなども行動の第一歩です。

20分という短時間でも大人数で行うと、あっという間にキレイな浜に甦りました。

あまり知られていない登山道や歴史文化、自然環境に長けた屋島の魅力再発見だけでなく、漂着ゴミが流れ着きやすい現状なども知って頂けたのではないかと思います。これをきっかけにまた皆さんには屋島を訪れていただき、さまざまな四季の屋島、動植物や風景など楽しんでもらいたいですね。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

そして、何度かイベントに参加いただき今回もお会いした方、またぜひご参加くださいね~!