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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

環境学習「私たちの生活と環境」

2015年01月30日
瀬戸内海国立公園 大髙下理恵

広島大学附属小5年生を対象に宮島で

「私たちの生活と環境ー私たちにできることってどんなこと?ー」をテーマに環境学習を行いました。

題材は湿地と漂着ゴミです。

子どもたちはラムサール条約湿地やミヤジマトンボについては事前学習していましたが、

実際に湿地を見るのは初めて!という人が殆ど。

見学する前に「湿地ってどんな場所だろう?」と聞いてみると、

水があり湿っている、緑がたくさんある、生き物がたくさんいるなどの意見が出ました。

そして湿地へ向けて出発!

湿地を見た第一印象を聞くと、

汚い、思ったより水がない、自然が壊れているように見える、生き物がいる気配がないなどでした。

別の時期に撮影した同じ場所の写真を見せると、お~!と歓声があがりました。

というのも、湿地性植物で希少種のハンゲショウが一面を覆い尽くし、いかにも賑やかな生き物の雰囲気です。

冬は動植物も春が来るのを辛抱強く待っている状態というわけですね。

[現在]

[同じ場所で6月に撮影]

また、湿地の土にも触れてもらいました。

弾力がある、スポンジにように踏むと水が出る、しっとりしている、田んぼと似ているなどの感想がありました。

触ってみることで"湿地には保水力があること"がわかり、

動植物にとっては生活の場であると同時に、

私たちの生活にとっても貯水や洪水防止につながることもわかりました。

湿地から海側へ向かうとこなきり浜に出ます。

毎年パークボランティアで清掃しているにもかかわらず、大量の海ゴミが漂着します。


[生活用品や発泡スチロールが目立ちます]

ここで1人1点人工物を拾い、

残りの時間は自然環境に流れ着いた海ゴミと私たちとの生活について考えました。

[これは何だ?どこから来たのかなぁ?]

それぞれが拾った海ゴミは元を辿れば私たちの生活で使われていたもの。

どんな旅路を送ってこなきり浜にたどり着いたのでしょうか?

家で使われた後海にポイ捨てされた、道路に捨てられたものが川を辿ってきた、という意見のほかにも釣りで浮きが外れた、漁で使われた網が破れたなど、陸からだけでなく、海から、そして故意に捨てられたものだけでないことが分かりました。

[回収後は室内でグループワーク]

さらに、海ゴミの何が問題がなのか?

海ゴミを減らすために何ができるのか?

それぞれ班ごとに意見を共有し、発表しました。

最後に今回の環境学習を終えて、様々な気づきや学び、感想が出ました。

・神の島なのにこんなにゴミがあることに驚いた

・ゴミを捨てることで動植物に悪影響が出ることがわかった

・1つでもゴミを拾えば助かる命がある

・海の生き物や植物が人間とつながっていることがわかった

・再利用、ゴミは持ち帰り捨てない、ゴミを拾う大切さがわかった ...etc

2時間という短い時間でしたが湿地や自然海岸のありのままの姿を観察し、

そこから自分たちの考えをみんなで共有することで様々な気づきがありました。

今日の気づきを大切に、

また今後の生活にもつなげていってほしいと思います。