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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

ミヤジマトンボ現地観察会を開催しました!

2014年08月26日
広島
世界で香港と日本の2カ国、
日本では宮島にしか生息しないミヤジマトンボ。
それも道路のない自然海岸の潮汐湿地という特殊な場所であることから
台風や潮流など気象の影響を受けやすく保護活動も難しい場所です。
※潮汐湿地…潮汐の影響を受け、海水と山からの湧水が入り交じる汽水性湿地
また、限られた生息地であるため、場所は非公開です。
環境省や県、専門家等で構成されているミヤジマトンボ保護管理連絡協議会により生息地の保全活動は行っていますが、
このままでは幻のミヤジマトンボになりかねないため、
ミヤジマトンボの出前講座を受講した大竹市立玖波小学校の5・6年生を対象に
現地観察会を行いました。

まず玖波小学校で宮島の歴史や文化について玉置先生より、
ミヤジマトンボの生態について坂本先生より事前学習を行いました。

[玉置先生による事前学習]

バスで塩屋漁港に移動し、ライフジャケットを装着して
いざミヤジマトンボの生息地へ出港!



満潮時刻に近かかったため、
潮汐湿地には海水が入っていました。

[海水の入った潮汐湿地]
この海水の流入によって他種のトンボのヤゴたちが死滅し
ミヤジマトンボのヤゴだけが生きながらえることができます。
満潮時は産卵に適していないため
あまりトンボは出ていませんでしたが
ススキに止まって休んでいるミヤジマトンボを
全員が確認することができました。

[坂本先生による現地学習]
初めて実物を見た感想は
「思ったよりも小さかった」「青くてきれいだった」などでした。

観察後は海と湿地とつなぐ水路を補修したり、


生息地に漂着しているゴミを回収など保全活動も行いました。


漂着ゴミはトンボが産卵するための縄張りを阻害するだけでなく、
宮島に生息するシカの誤飲食を招き、命を奪ってしまうこともあります。
漂着ゴミについて簡単なレクチャーも行いました。



現地観察と保全活動を終え、船とバスを乗り継いで玖波小学校に到着。
希少で常に絶滅と隣り合わせのミヤジマトンボを観察することで
宮島の新たな一面、瀬戸内の自然を肌で感じた1日だったのではないかと思います。